入札不調との違いは？不落随契について理解しよう

官公庁の契約手続き

官公庁が契約をするにあたって、会計法令などの法律に従って手続きを進める必要があります。その中でも押さえておかないといけないのは、一般競争契約が原則である点です。

一般競争契約であるべき理由

一般競争契約、いわゆる入札が原則になっているのは契約金の原資にあります。契約金は官公庁が出す以上、国民の税金が使われます。

税金は国民であれば納めないといけません。納税は国民の義務だからです。

強制的に徴収している以上、公平に使われなければなりません。特定の企業に癒着して、そこに税金を出し続ければ不公平感が出てきます。

一般競争契約では「公開入札方式」と言って、不特定多数の業者が参加できます。そして、金額を提示してもらって、より安い金額を提示したところに依頼します。こうすれば、公平な競争の中で選定できるわけです。

入札不調と不落随契の違い

入札不調と不落随契の違いですが、簡単に言うと時期の違いです。入札不調になって、その後不落随契という流れです。

入札不調とは

入札不調とは、開札したときに落札者がいなかった状態を指します。落札者がいない以上、入札は成立しません。だから、入札不調というわけです。

その他に、予定価格とあまりに開きが大きかった場合も入札不調になります。競争するにあたって、官公庁ではどの程度なら入札可能かという一定の範囲の予定価格を想定します。予定価格の範囲内の落札者が現れないと、契約は成立しません。もし予定価格の範囲外であれば、再度入札を行います。通常は3回程度繰り返し行って、それでも入札不調であれば、入札は打ち切りになります。

不落随契とは

入札不調に終わった後で出てくる次のステップが、不落随契です。特定の業者と個別に交渉を行って、成立すれば発注を出します。

この契約方式を不落随意契約、略して不落随契と言います。通常、入札した会社の中でも最安値の会社と交渉を行います。そして、予定価格以下の金額で話がまとまった場合、不落随契が成立する流れです。

しかし、価格交渉の結果、話がまとまらないということもあり得ます。その場合には入札手続きをやり直します。

この時、同じ条件では再度入札不調に終わる公算が大です。そこで、仕様書や予定価格をすべて見直して、最初から手続きを進めるわけです。

不落随契の根拠法令について

不落随契が可能になるのは根拠法令があるからです。それは予算決算及び会計令の規定によるものです。

予算決算及び会計令

予算決算及び会計令の第99条の2の中で、一般競争入札の中で、入札者がなくて入札手続きをリセットして行うと業務に支障をきたす場合に不落随契が認められます。

例えば、リセットして最初から入札手続きを行うとなると、それだけ期間が延びてしまいます。すると、予定した時期までに事業が完結しない可能性が出てきます。

また、手続きをやり直すとなると、事務作業が煩雑になる恐れもあります。その結果、官公庁の業務に支障が生じる場合には不落随契が例外的に認められるわけです。

入札者がない

不落随契の行える例外規定の中で、「入札者がない時」と明記されています。通常、官報やサイトに入札公告を出して、参加者を広く募ります。

ところが、入札当日に誰も参加者がいなかった場合のことを「入札者がない」と言います。ただし、入札者がない時というのはまれです。

というのも、官公庁の方で市場調査を行い、その調査の結果をベースにして仕様書や予定価格を策定するからです。つまり、多くの会社が入札に参加できる妥当な仕様書を策定しているはずです。

にもかかわらず、誰も入札に参加しないというのは起こりにくいです。長年入札に携わった人でも、そのような経験をしたことがないという人も少なくありません。

再度の入札をしても落札者がない時

もう一つ、不落随契の行える例外規定として、再度の入札をしても落札者がない時があります。不落随契の根拠になるケースの大半がこちらだと思っていいでしょう。

入札を行ったところ、入札者はいたものの予定価格を超えた入札金額になった場合です。この時、入札不調で再度入札を実施します。

ところが、何度やっても予定価格の範囲内での入札者が現れないこともあります。再度の入札をしても落札者がいない状況です。このようなことになってしまうのは、予定価格の設定を厳しくし過ぎた結果と言えます。

再度入札を行うと言いますが、入札を打ち切るのはいつでしょうか？一般的には3回程度と言われていますが、どのケースでもそうではありません。

予定価格を超えているとアナウンスして、再度入札してもらいます。すると、入札者は価格を落とします。ところが、値引き額が少なくて、何度入札を繰り返しても予定価格の範囲に到達しない場合には打ち切ります。

一方、3回目の入札をしてかなり予定価格に近づいてきている、あと1〜2回入札を繰り返せば落札できるという場合には、3回を超えて入札が実施されることもあります。その他には、1社だけ残っている場合、再度入札になった際に継続する意向があるか直接聞くケースもあるようです。

ちなみにこの時、予定価格を教えることは厳禁です。会計法令の中で、予定価格は公開できない決まりになっているからです。

不落随契の交渉とは？

入札を終えて、予定価格は超えているけれども最安値の金額を提示した業者に対し、不落随契の交渉を進めます。この時、いったんその業者は会社に戻ります。これ以下の契約金額では受注できない、利益を確保できる最低限のラインについて検討してもらえます。そして、最終的な金額について、メールもしくは電話で通知してもらいます。

最終金額が予定価格の範囲にあれば、見積書を提出してもらいます。その上で、不落随契を締結します。大体、検討期間は3日から1週間程度というのが相場です。

まとめ

入札不調になって、予定価格の範囲内での落札者がいなかった、再度やり直すだけの時間的余裕がない場合、不落随契を締結することもあります。競争性を確保して、その結果として随意契約をします。ですから、公平性は担保されているわけです。

入札に参加するにあたって、妥当な金額などを検討しなければなりません。十分に情報収集を進め、妥当な価格を提示して随意契約を確保してみましょう。

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