HTMLメールをスマホに配信するには？注意ポイント・レスポンシブ化の方法を解説！

HTMLメールはスマホに配信できない？

一般的な方の認識としては、スマホ＝「iOS / AndroidなどのモバイルOSが動作する、小型のコンピューター」というものではないでしょうか？それなら、PCが問題なくHTMLメールを受信できるのと同じように、スマホでも簡単にHTMLメールを受信できるはずです。

たしかに、それはある意味においては「正解」であり、アメリカではスマホでHTMLメールを受信することになんの問題も生じません。しかし、日本では必ずしも正解だとはいえず、スマホユーザーによっては「HTMLメールが見れない」「表示が崩れる」「画像が表示できない」ケースが多々あります。

HTMLメールの画像はサーバ参照が一般的

なぜ日本ではHTMLメールのスマホ配信に問題が生じることがあるのか？その前に、HTMLメールの仕組み、どのようにメール配信されるのかを簡単におさらいしておきましょう。

HTMLメールとは、Webページを作成する際に使われるプログラミング言語「HTML（Hyper Text Markup Language）」を活用したメールのことです。

文章を直接打ち込んでいくテキストメールと異なり、＜h2＞、＜img＞、＜p＞などの「HTMLタグ」を目印に文章・画像をレイアウトしていくメールです。

Webページのようなメールを制作できるHTMLメールは、特徴を活かすために画像を埋め込むケースがほとんどですが、メールに添付するのではなく、外部サーバから画像データを参照する場合が一般的です。

つまり、配信されたHTMLメールを見るためには、HTMLタグに対応し、かつ外部サーバからのデータ参照が可能な「メーラー」が必要なのです。

スマホで使えるメールアドレス・メーラーは？

それでは、日本で利用できる一般的なスマホでは、どのようなメールアドレス・メーラーが使えるのでしょうか？

大きくは、PCでの受信を前提にした「PCドメインのメールアドレス」「PCドメイン対応のメールアプリ」、スマホでの受信に特化した「携帯キャリアドメインのメールアプリ」「キャリアドメイン対応のメールアプリ」の2つに分類できます。それぞれを簡単に解説していきます。

PCメールアドレス・メールアプリ

PCメールアドレスとは、メールサーバを活用してメールを送受信するためのメールアドレスのこと。企業が専用メールサーバを設置する、あるいはホスティングサービスを活用し、取得した独自ドメインをもとに設定される場合が一般的です。

Gmail、YahooメールなどのWebメールサービスもPCメールアドレスに含められるといえるでしょう。PCメールアドレス宛に送信されたメールは、Outlook、Mail、Thunderbirdといったメーラーで受信・閲覧しますが、GmailなどのWebメールならブラウザだけでメール受信・閲覧が可能でっす。

近年では「Gmail」「Spark」など、iOS / Android向けメールアプリが多数リリースされており、多くのスマホユーザーがインストールしてPCメールアドレスを受信できるように設定しています。この場合、HTMLメールの受信に問題が発生することはほとんどありません。

携帯キャリアのメールアドレス・メールアプリ

携帯キャリアのメールアドレスとは、携帯キャリアと契約する際に付いてくるメールアドレスのこと。スマートフォンの契約時に「@dokomo.ne.jp」「@i,softbank.jp」などを設定したことを思い出した方も多いはずです。

iPhoneの場合、携帯キャリアのメールアドレス宛に送信されたメールは、iPhone純正の「Mail」で受信されますが、Androidの場合は、それぞれのキャリアが独自開発した「専用メーラー」で受信されます。

各キャリアに応じてAndroidメーラーの仕様はまちまちであり、HTMLメールへの対応も機種・キャリアごとに大きく異なります。

日本独自に進化した携帯メール

なぜキャリアメールなどというものが存在するのか？それは、フィーチャーフォンの時代から独自に進化を遂げてきた、日本ならではの携帯電話文化があるからです。

cHTML形式のメールを送受信できる、NTTドコモのデコメールなどが挙げられますが、他社もこれに追随したメールサービスを携帯電話に搭載するようになった為、キャリア独自のメールシステムが必須になった経緯があります。現在のキャリアメールはその名残だともいえます。

実際、フィーチャーフォンの時代から「MMS（Multimedia Messeging Servece）」が活用されてきたアメリカでは、キャリアメールアドレスというものは存在しません。

アメリカのスマホユーザーは、PCメールアドレスを取得したうえで、汎用のメールアプリを活用してメールを送受信する場合がほとんどです。

スマホでもHTMLメールが見れるアドレスは？

日本のスマホでは、PC・キャリアメールアドレスの2つが使えるのは上述した通りですが、すべてのユーザーがPCメールアドレスを利用しているわけではありません。メルマガ登録にあたって、キャリアメールアドレスを選ぶスマホユーザーもいます。

では、キャリアメールアドレスを見ただけで、HTMLメールに対応したスマホであるか判断できるのか？というと、そんなに単純なものでもありません。

同じキャリアでも、スマホの機種によってHTMLメールへの対応状況が異なるからです。一覧表で確認してみましょう。（HTMLメールを見れないフィーチャーフォンは除外しています）

スマホでのHTMLメールの見え方1：正常に表示

上の表からおわかりの通り、配信したHTMLメールが「正常な状態で表示される」のは、PCメールアドレス + 汎用メールアプリを利用するスマホ、もしくは「@softbank.ne.jp」以外のキャリアメールアドレスを利用するiPhoneです。

これは上述したように、iPhoneのキャリアメールアドレス宛メールを受信するメーラーが、iPhone純正の「Mail」だからです。

では、なぜ同じキャリアアドレスであるiPhoneの「@softbank.ne.jp」ではHTMLメールを受信できないのか？これは、「@softbank.ne.jp」宛のメールを受信するのが「SMSメッセージアプリ」だからです。

着信自体は知らせてくれますが「HTMLメールが表示できるメールソフトでご覧下さい」というアラートが表示されてしまいます。

スマホでのHTMLメールの見え方2：画像がない・表示が崩れる

それでは、iPhone以外のキャリアメールアドレスを使うAndroidスマホにHTMLメールを送信したらどうなるのか？「×」だらけで画像がない、表示が崩れる、真っ白の画面になるなどの表示に関する問題が発生する可能性があります。

これは、Androidでキャリアメールを受信するメーラーの仕様が各社で異なるからです。

具体的には、「@docomo.ne.jp」「@softbank.ne.jp」を利用するAndroidスマホは、外部サーバの参照ができないため、HTMLメール内の画像が表示されません。これは、専用アプリにフィーチャーフォン時代の仕様が残っているためだといわれています。

唯一「au」のAndroidメーラーは画像参照できる仕様になっていますが、いずれにしても、AndroidスマホではHTMLメールの表示が崩れしてしまうケースもあるようです。

HTMLメールをスマホに配信する方法

受信するスマホの機種・メールアドレスに応じて、HTMLメールの見え方が大きく異なることが理解できたのではないでしょうか？では、できる限り表示トラブルがないように、HTMLメールをスマホに配信するにはどうしたらいいのか？いくつかのトラブル回避方法を、以下から紹介していきます。

マルチパート配信が大前提

まず大前提として、HTMLメールは配信先がPCであってもスマホであっても、マルチパート配信するべきです。マルチパート配信とは、「HTMLパート」「テキストパート」の両方が含まれたメルマガを配信することです。

マルチパート配信なら、ユーザーの受信環境でHTMLメールを受け取れない場合、テキストメールを表示できます。マルチパート配信はPCユーザーにメルマガ配信する際も非常に有効です。HTMLメールはスパム判定されやすい一面があるため、ユーザーに届かない場合も少なくないからです。

マルチパート配信ならスパム判定されにくく、HTMLメールを拒否設定しているユーザーにもメルマガを届けられます。

キャリアアドレスにはテキストメールを配信する

キャリアアドレスを利用しているのはスマホユーザーばかりではありません。フィーチャーフォンユーザーが少なからず存在するほか、HTMLメールが正常に表示されないAndroidユーザーも多いでしょう。

こうしたユーザーにも確実にメルマガを届けるには、キャリアアドレスにはテキストメールのみを配信するという、シンプルかつ割り切った判断をする方法もあります。

ただし、「@softbank.ne.jp」に関しては別途、検討が必要です。SMSでメルマガを受信する形になるため、長文のテキストメルマガを配信すると「表示はできるが、リンクをクリックできない」状態になってしまうからです。

メルマガのCV（コンバージョン）はあきらめ、情報提供のみに徹するなどの割り切りが必要です。

メルマガでWebページに誘導する

メルマガと同じ内容のWebページを用意したうえで、メールに「正しく表示されていない場合はこちら」といったリンクを貼り、ブラウザでのメルマガ閲覧に誘導する方法もあります。

HTMLメールが正常に表示されない時点で捨てられてしまう可能性はありますが、リンクをクリックしてくれるユーザーならCVにつながる確率も低くはありません。できる限りのユーザーを拾い上げるという意味では有効です。

HTMLメールをスマホ配信する際の注意ポイント

ここまでで、HTMLメールのスマホ配信が難しい理由、できる限りのスマホユーザーにHTMLメールを届ける方法を解説してきましたが、実は、まだまだ注意しておかなければならないポイントがあります。具体的な解決方法とともに解説していきましょう。

マルチパート配信に対応できないキャリアアドレスが多い

HTMLメールでメルマガ配信する際は、PC・スマホの関係なくマルチパート配信が大前提であることは紹介しましたが、実は、キャリアアドレスを利用するAndroidスマホのなかには、マルチパート配信に対応できないものが少なくありません。

具体的には、マルチパート配信されたメールを受信しても、HTMLメールが表示できないばかりか、テキストメールへの切替えもできない場合があるのです。

これはもともと、マルチパート配信が「HTMLメールを拒否設定にしている、画像表示をOFFにしているPCユーザー」向けのものだから。特殊な事情で生まれた、日本のキャリアメールアドレスすべてに対応できるわけではないのです。

デバイスに応じてメールを送り分ける

こうした注意ポイントも踏まえたうえで、できる限り多くのユーザーにメルマガを届けるには、ユーザーの受信環境に応じて「適切な形式のメルマガ」を送り分けるのがベストです。

具体的には、PC・キャリアアドレスのiPhone、PC・auアドレスのAndroidであれば「HTMLメール（マルチパート）」、docomo・softbankuアドレスのAndroid、フィーチャーフォンであれば「テキストメール」といった形です。

ではスマホユーザーの機種はどのように把握すればいいのか？メルマガ登録時、ユーザーに受信端末を選択してもらう、デバイスに応じた送り分け機能を持つメール配信システムを活用する方法があります。

スマホに最適化させるHTMLメールのレスポンシブ化

もうひとつ、HTMLメールをスマホに配信する際に問題になるのが、ユーザーによって異なるデバイスにどう最適化させるか？でしょう。HTMLメールを制作する際は「横600px」でレイアウトされる場合が一般的ですが、スマホに最適化するには300〜400px程度にしたいところです。

スマホユーザーにHTMLメールを最適化すれば、PCユーザーが見にくくなる問題も出てきます。これを解決するのが「HTMLメールのレスポンシブ化」です。

ユーザーのCTR・CVR低下を防げる

せっかくデザインやレイアウトを凝ってHTMLメールを作成しても、見た目がいかにも小さい、あるいは横スクロールしなければならないのでは、メルマガの魅力も半減してしまいます。内容も読まずに捨てられてしまうかもしれません。

しかし、HTMLメールをレスポンシブ化すれば、PC、スマホどちらのユーザーにも最適化したメルマガを配信できます。狙い通りのレイアウトでメルマガをユーザーに見てもらえれば、CTR（クリック率）やCVR（コンバージョン率）が低下してしまうことも防げるでしょう。

インライン記述でレスポンシブ化

具体的に、HTMLメールをレスポンシブ化する方法を簡単に解説します。上述したように、一般的なHTMLメールは、最大幅600pxで制作されますが、まずはこの最大幅をHTMLタグで記述します。

スマホで見た場合に画面幅を狭くしたい場合は、変更したいものにクラス名を付け、headタグに幅を記述していきます。

HTMLメールを簡単にスマホ配信するには？

CSSのインライン記述を使ったレスポンシブ化は、ある程度のITリテラシーがなければ難しいかもしれません。そもそもHTMLの知識がなければ、メルマガ制作そのものをWeb制作会社にアウトソーシングするのもひとつの方法です。

ただし、制作期間のかかるアウトソーシングは、クオリティは担保できてもタイムリーな配信ができない弱点があります。コストが見合わない、そんな悩みが出てくる場合も考えられるでしょう。

メール配信システム・MAツールを活用

そんなときは、レスポンシブHTMLメール配信に対応する「メール配信システム」や「MAツール」を活用するのがおすすめです。

ドラッグ＆ドロップの簡単操作で、直感的にメルマガを制作できるツールも多く、スマホ配信の悩みどころでもある「デバイスに応じたメールの送り分け機能」を持つサービスもあります。

まとめ

本記事では、HTMLメールをスマホに配信する場合の注意ポイントや解決策、HTMLメールのレスポンシブ化の方法などを解説してきました。スマホにHTMLメールを配信するのが、意外にも複雑かつ困難なことに驚いた方も多いかもしれません。しかし、メルマガはユーザーに見てもらわなければ意味がありません。HTMLメールありきではなく、いかに最適化したメールを届けるかを優先させることが重要です。

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