税理士登録する方法とは?手続きの流れ・費用まとめ
税理士の試験に受かって資格を取ったから、すぐに事務所を開いて業務を始めようと思っても、実際には不可能です。というのも、税理士としての業務を行うためには、資格以外の条件を満たさないといけないからです。それが、税理士会への登録です。実質的に税理士としての登録を済ませていないと、税理士を名乗ることはできないことになっていますので、この登録というプロセスは欠かせないものです。そのため、この業界で働きたいと考えているのであれば、資格取得だけでなく登録制度について知っておく必要があります。
税理士登録のメリット・デメリットとは?
税理士として登録することのメリットは、まず冒頭にもあるように税理士として名乗って仕事ができるということです。逆に言うと、登録は必須事項であると言えるでしょう。資格試験を受けることと、税理士登録というのはセットにして考えておいた方が良いことになります。
こうした基本的なメリットの他にも、税理士会に入ることによって、税務に関する高度な研修を手軽に受けられるというメリットもあります。税務処理では欠かすことのできない税法は、定期的に改正されるものですし、関係する法令や書類なども変更される頻度が高い傾向にあります。
税理士として正確に業務を行うためには、こうした最新情報に精通していく必要がありますし、法律の細かな適用を確実に把握していないといけません。税理士会では、こうした情報提供を必要に応じて行っていますので、業務をきちんと行う上での十分なサポートを与えてくれるのです。
このように、登録をすることには大きなメリットがあるのですが、コストというデメリットもあります。
新規に税理士として登録するにも、その資格を維持するためにもそれなりの費用がかかります。もちろん、この費用は必要経費と言えるものなのですが、事前に準備ができていないと思わぬ負担となってしまうこともあります。
税理士としての業務をすることを考えているのであれば、あらかじめ費用がかかるということを念頭に置いて資金準備をしておくことが重要です。
税理士登録にかかる費用はどのくらいかかる?
税理士登録のデメリットとしては、費用が定常的にかかるということですが、決して低い金額ではありませんのできちんと把握しておいた方が良いでしょう。
まず、税理士の資格を取ってから新規登録をする場合は、20万円弱の費用がかかります。その内訳としては、登録免許税として6万円、登録手数料として5万円がかかります。この費用はどの自治体でも一緒で、必ず必要なものとなります。
その他に、それぞれの自治体の税理士会が定める費用を支払うことになります。入会金として3万円から5万円程度、税理士会館の建設費用として2万円程度かかります。そして、登録に当たっては研修を受ける必要があり、そのための研修費として5,000円から1万円くらいがかかります。
細かな申請手数料などをプラスすると、20万円近くかかってきます。場所によってはさらにかかることもありますので、事前に確認しましょう。
これが初年度にかかる費用で、その他に毎年年会費がかかることになります。
それぞれの地域の税理士会によって年会費は異なるのですが、10万円から高くて15万円程度となります。これに加えて、研修に参加する場合に研修費がかかってきます。新規登録費用にしても年会費にしても、カットできる費用というのはありませんので、確実に必要となる金額だという認識を持って備えをしておく必要があります。
税理士登録のスケジュールの流れは
税理士の登録は書類を提出すればすぐに終了するという簡単なものではありません。
いくつかの手続きがありますし、時間もそれなりにかかります。まず、税理士としての資格を取ったら、少なくても2年以上の実務経験を持っていることが登録の条件となります。この条件を満たした上で自分が住んでいる地域の税理士会に入会、登録することになりますので、その地域の税理士会館を訪れるようにしましょう。
そこで、登録に必要な書類をもらい、申請手続きの流れを確認します。提出する書類はかなりたくさんありますので、その書類の準備が意外とかかります。そのため、あらかじめ書類準備のための時間を取り分けておいた方が賢明です。
書類の準備ができたら、税理士会に提出します。書類を提出した次の月に面接と審査が実施されることになります。税理士会館に赴いて面接を受けます。この審査にパスすれば入会が受け付けられ、翌月に交付式で晴れて証書をもらって登録が終了します。
書類の準備ということ以外はそれほど手間はかかりませんが、時間はかかります。まず、書類の受付は月締めとなっていますので、1日でも月をまたいでしまうと翌月の扱いとなってしまいます。そのため、できるだけ早めに書類を出せるようにしておきましょう。
書類提出の翌月に面接があるのですが、審査にパスしたからすぐに登録とはなりません。交付式はその次の月と決まっているからで、さらに1か月ほど待ちます。たいがい交付式は月の下旬に実施されますので、合計で3か月程度はかかることになります。
このように、手続き自体は複雑ではありませんが、待っている時間が長いので、あらかじめ時間がかかるものだと思っておくようにしましょう。資格を取ったからいきなり業務を開始できると思って予定を組んでいると、肩透かしをくらったような状態になります。
税理士登録に必要な提出書類とは?
登録手続きで一番大変なのは、提出書類をそろえることです。以下の通り、全部で15から20くらいの書類が必要となりますので、効率よく集められるようにしましょう。
- 税理士登録申請書
- 登録免許税領収書(6万円分)
- 履歴書(税理士会で発行している書式)
- 税理士資格証明書
- 証明写真
- 戸籍抄本
- 住民票写し
- 面接日付が記載された税理士会からのハガキ
- 身分証明書
- 住民税課税証明書(過去2年分)
- 未登記証明書(成年被後見人、被補佐人となっていない証明)
- 申請情報の変更をすぐにしない旨の念書
- 業務に関する誓約書
- 事務所として使用する場所の賃貸契約書
- 事務所の見取り図
- 事務所の地図
などとなっています。事務所を開設しないのであれば、事務所関連の書類は必要ありません。役所や法務局などに行かないともらえない書類も多く、時間がかかってしまうこともありますので、前もって見越しておきましょう。
税理士登録の面接では何を聞かれる?
難関の税理士試験5科目にパスし、実務経験もこなしているので、税理士登録の面接は形式的なものと思いがちです。実際に面接で落ちることは滅多なことがないかぎりないそうです。
それでも、あまりにも想定外な発言や突拍子もないことを言ってしまうと、「要注意人物」というレッテルを貼られかねません。
税理士になることが目的ですから、税理士登録の面接をおろそかにすることなく、しっかりと準備をして臨むようにしましょう。
実際に税理士登録の面接では何を聞かれるのでしょうか。東京税理士会・品川支部での面接で聞かれた内容です。
- 税理士登録の動機
- 税理士としてどのような業務をやっていきたいか
- 税理士会に加入した場合の部活はどうするか
以上のような内容だったそうです。動機や業務については税理士になるにあたって、頭の中になくてはいけない項目ですし実際に行ってきたことです。この2点については「淀みなく」「ハキハキ」と答えることが望まれます。
よほどのことがないかぎり面接で落とされることはないということですが、ここで「考え込む」ようだと「この人を税理士にして大丈夫なのか」と面接官に疑念を持たれかねません。
この程度の問答集は当然準備している、といった人がほとんどです。しかし、ある一部の人は、税理士試験にパスすることだけが目的で、税理士になってからのことをまったく考えていないという人も少なからず存在します。
それ以外では、当たり障りのない緊張を和らげるような質問が続くようです。ただし、それさえも受験者の「人となり」を見ています。ここでもしっかりとした口調で対応をするようにしましょう。
税理士登録しない人が増えている?
税理士は社会的地位も高く、実績を積むと周囲から「先生」と呼ばれるようになります。それでも、近年は士業を開業しても大きく稼ぐことができない、あるいは仕事がない…ということが多く語られるようになりました。
中には、税理士登録をしな人も増えているようです。
税理士になる道を切り開き(税理士試験にパスした)、後は実務経験を経て税理士登録をすることで税理士になることができるのに、それをしない人の心理はどういったものでしょうか。ここでは、その理由をもう少し掘り下げてご紹介します。
税理士登録が増えない要因(1)登録費用がかかる
税理士登録をしない人が増えている理由として考えられるのが、税理士登録するにも費用がかかる点です。税理士登録する費用を以下にまとめてみました。
- 税理士登録料 5万円
- 登録免許税 6万円
- 登録時研修費用 5万円
- 税理士会入会金 4万円(入会する税理士会による)
- 税理士会年会費 10万円(入会する税理士会による)
入会金や年会費は所属する税理士会によって金額が前後します。それでも、初回だけでも30万円必要ですし、毎年年会費として10万円が必要になります。
税理士ですから、それくらい稼げると思う人も少なくないでしょう。しかし、税理士になっても勤務税理士であれば月給ですし、開業してもすぐにたくさん稼げるようになるわけではありません。
そうなると、税理士登録費用にかかるお金を捻出できずに、そこで思いとどまる人も少なくないのです。このため、即独立しようと考える税理士の卵が少なくなったことも大きな要因といえます。
税理士登録が増えない要因(2)税理士法人化
また、税理士も以前は「開業税理士」あるいは「勤務税理士」の二者択一しかありませんでした。現在は、そのほかに「税理士法人化」が行えるようになりました。これは税理士が2人以上在籍すれば、法人化できる制度です。
この税理士法人であれば、「税理士試験合格=税理士」といった社内規定で税理士として活動することができます。その税理士法人に在籍することによる条件ですが、それでよければ、税理士登録する必要がなく税理士になれるということです。
この税理士法人化も税理士登録を思いとどまる大きな要因です。
税理士登録が増えない要因(3)AIによる代替
もうひとつの要因として、将来的に税理士の仕事がなくなるのでは?という懸念です。以前から、「税理士の仕事はAIに代替される」と言われてきました。
実際に、通り一遍のことであれば税理士が介在しなくても片づく税務・会計業務は少なくありません。定型業務であれば人間よりもAIのほうが失敗がないことから、AIに任せられることは積極的に代替されるようになるでしょう。
これも、税理士になることの将来的なリスクとして、税理士登録が敬遠される一つの要因となっているのです。
税理士登録しなくても就職や転職で不利にならない
税理士登録をしない=税理士にならない…。この場合でも、就職や転職で大きな不利になることはないでしょう。
もちろん、希望の就職・転職先が税理士を求めているのなら、税理士登録をして税理士になれば、就職・転職は100%決まると思います。
それ以外でも、難関の税理士試験をパスしたという実績があります。それだけでも、就職・転職に有利になることは間違いありません。
企業内でも、税務会計部門に回される可能性がありますが、それを抜きにしても就職や転職に左右されることはないでしょう。
企業内税理士を求める企業であれば、入社してから税理士登録をしたらいいので、税理士登録の有無が就職や転職に不利になることはありません。
まとめ
税理士として業務をするには、資格を取るだけでなく税理士登録、税理士会への入会が必要となります。登録をすることによって、最新情報を学べる研修会などに参加できるなどのメリットがあります。
一方で、新規登録と登録維持のためには一定の費用がかかります。自治体によって異なりますが、新規登録で20万円程度、継続年会費として10万円以上はかかります。必要経費となるものですので、費用面での備えをしておくようにしましょう。
税理士登録は、書類の提出後、面接と審査、そして交付式というスケジュールで進んでいきます。全体で3か月はかかりますので、その予定を組んでおく必要があります。特に必要書類はたくさんあって、役所や法務局などに行って作成しないといけないものばかりです。手間も時間もかかり、数週間必要となります。
登録まではちょっと大変ですが、これが終われば晴れて税理士と名乗って業務ができるようになりますので、あらかじめ準備して効率よく進められるようにしましょう。
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