青色申告は赤字を3年繰り越せる!その条件や書き方の注意点とは?

更新日:2021年01月29日 発注カテゴリ: 確定申告
青色申告は赤字を3年繰り越せる!その条件や書き方の注意点とは?

青色申告にはさまざまな特典がありますが、その中の一つが赤字の場合の繰越損失です。 確定申告時に最長3年間赤字を繰り越せる制度のため、次年度以降黒字化した時には節税対策にもなります。 どのような条件なのか、その書き方や注意点も含めて解説します。

青色申告の赤字繰越とは

青色申告者に認められている特典の一つが、赤字の場合の繰越損失です。 確定申告時の損失申告と言いますが、一定の条件下で事業に損失が出た場合、損失金額を翌年以降へ最長3年間繰り越せる制度となっています。

赤字の年度にきちんと確定申告しておけば、翌年以降黒字に戻せた時に、その利益から損失分を差し引いて確定申告することができるのです。 つまり翌年以降、黒字になっても過去の赤字分で節税ができることになり、非常にメリットの大きい制度と言えます。

単純な例で言えば、令和2年度に100万円の損失があり、令和3年度に300万円の所得が出た場合、課税対象となるのは差額の200万円のみです。 年間を通じ総収入金額から必要経費を引いた損失金額を繰り越せるため、青色申告者でもし赤字が出た年度があれば積極的に活用したい制度です。

ちなみに白色申告ではこうした適用はありません。 前述の例で白色申告であれば、令和2年度の損失には関係なく令和3年度は300万円に対して所得税も住民税も納めなくてはなりません。 事業としてみれば2年間でようやく取り戻せた利益にもかかわらず、赤字だった分の税金も結局納めなくてはならないことになります。

苦しい時にこそ、しっかり青色申告し、少しでも有利に事業を進められるようにしましょう。

青色申告で赤字繰越できる条件

青色申告で赤字繰越する時の条件は、その損失が事業所得・不動産所得・山林所得・譲渡所得で生じた損失であることです。 また、ほかの所得区分に黒字があればそれと相殺する必要があります。

たとえば事業所得が赤字でも、不動産所得で黒字が出ていればその金額とまずは相殺されることになります。 これは損益通算と言いますが、こうして相殺してもまだ赤字が出た場合だけ繰り越しすることが可能です。

なお、差し引く黒字所得には一定の順序があり、以下の順となっていますので覚えておきましょう。

事業所得または不動産所得が赤字だった場合に差し引く黒字の順

1:経常所得 2:譲渡所得 3:一時所得 4:山林所得 5:退職所得

譲渡所得が赤字だった場合に差し引く黒字の順

1:一時所得 2:経常所得 3:山林所得 5:退職所得

山林所得が赤字だった場合に差し引く黒字の順

1:経常所得 2:譲渡所得 3:一時所得 4:退職所得

ただし、不動産所得や譲渡所得には一定の条件があり、ほかにも損失申告できない所得もあります。 たとえば「損失が出るという概念がない」所得は、たとえ損失が出ても繰り越しは不可能です。

損失は累計可能であり、2年以上続いた場合は合算して所得から差し引くことができます。 たとえば令和1年に30万円、令和2年に10万円の赤字があり、令和3年に60万円の所得が出れば、60万円ー(30万円+10万円)=20万円という計算になり、課税対象金額を20万円にまで圧縮することが可能です。

前述の通り繰り越しは最長3年ですのでそれ以上の累計はできませんが、活用できる範囲ではフル活用しましょう。

青色申告の赤字繰越の書き方

青色申告の赤字繰越の書き方を説明します。 とはいっても、申告書の書き方自体は非常にシンプルで難しいことはありません。 損失申告には専用のフォーマットがあり、確定申告表Bの第一表、第二表以外に確定申告書の第四表(一)と第四表(二)の提出が必要です。

第四表(一)の書き方

第四表(一)の上の段にある「1 損失額又は所得金額」の「A 経常所得(申告書第一表の1から7までの合計額)」欄に、繰り越す赤字金額を記入します。 たとえば損失が500,000円なら、記載は「−500,000」です。

次に下の段にある、「2 損益の通算」の「A 経常所得」を記入します。 「Ⓐ通算前」「Ⓑ第1次通算後」「Ⓒ第2次通算後」「Ⓓ第3次通算後」「Ⓔ損失額又は所得金額」のすべてに同じく赤字繰り越しする金額を記入してください。

最下段の「損失額又は所得金額の合計額」のところにも、同じ金額を記入します。 前述の例で言えば、こちらの欄すべてに「−500,000」と記載されることになります。 これで第四表(一)は完了です。

第四表(二)の書き方

最上段に「3 翌年以後に繰り越す損失額」という欄がありますから、そこに繰り越す赤字金額を記入します。 前述の例のように損失が500,000円なら、記載は「−500,000」です。

第四表(二)に関しては、これで完了です。

もし山林所得で損失金額がある場合や変動所得や被災事業用資産の損失などがあれば、ほかに記入箇所が増えるため多少複雑になります。 ただそうしたケースは一般にはあまりないですし、あれば税理士など専門家への相談がまず先決です。

ほとんどの青色申告者にとっては第四表の作成は非常に簡単であり、難しいことはありません。 ただし、以下の損失を繰り越したい場合は、別途損失を証明する書類が必要です。

  • 被災者事業用資産
  • 上場株式等にかかる譲渡
  • 特定投資株式に係る譲渡
  • 先物取引やFX

また事業所得のほかに不動産所得や山林所得がある場合は、青色申告決算書の添付が必要になります。 これらのケースでは損失申告書だけを提出しても受け付けられないため、必要な書類をすべて揃えたうえで提出を行うようにしましょう。

赤字繰越は難しいのか?

赤字繰越は、一般的には書類作成の難易度は低いです。 事業所得以外の所得がある場合には必要書類が必要となり多少複雑になりますが、基本的には初めてでも実施できる手続きと言えるでしょう。

本来であれば、確定申告は所得の申告であり、赤字の年度は義務がないのも事実です。 ただし事業者にとって申告することに意味がないわけではなく、損失をカバーし次年度以降の節税対策につなげるためにも必要な行動と言えます。 青色申告者は赤字の時こそしっかり申告し、繰越損失をフル活用するのが正解です。

赤字繰越を行う際に注意すべき点

まず大前提として、赤字を繰り越せるのは青色申告に限られるということを忘れてはいけません。 開業から2ヶ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」の提出をしなければ、この節税制度は使えなくなってしまうため、後悔しないようにしてください。

また当然ではありますが、赤字の場合は青色申告特別控除を受けることはできません。 青色申告特別控除は利益に対して適用される制度であるため、赤字の場合は対象外となります。

そしてもっとも注意すべき点は、請求前に確定している納税金額に対しては繰越対象にならないということです。 たとえば令和1年度に繰り越しができる損失があったにもかかわらず、繰り越しの申告をしなかったとします。

次年度にそれに気づいた場合、その時点で更正の請求は行うことはできても、その年度の納税金額はすでに確定しているため損失を差し引くことはできません。

更正の請求というのは、確定申告をした後に間違いに気づいた場合、間違いを正して払いすぎた所得税を取り戻せる制度です。 たとえば間違えて売上を多く申告してしまった場合や経費計上漏れがあったような場合に更正の請求ができますが、その年度の赤字の繰り越しはできませんのでくれぐれも注意しましょう。

損失繰越の適用を受けるには、損失発生時に期限内に青色申告を行う必要があります。 また損失が発生した以降も続けて申告を行っていることが条件となるため、漏れなく確定申告を終わらせることが重要です。

青色申告できない所得は7つ

前述の条件の項で触れましたが、「損失が出るという概念がない」所得については、赤字の繰り越しができません。 該当する所得は7つあるため、それぞれまとめておきましょう。

給与所得企業などに勤める従業員が、勤務先から受け取る給与や賞与の所得
退職所得企業などに勤める従業員が退職する際に受け取る退職一時金などの所得
譲渡所得土地や建物などの所有権や、会員権などを譲渡した時の所得
配当所得 株や投資信託の分配金などによる所得
利子所得金融機関などの預貯金や公社債に付く利息などによる所得
一時所得公営ギャンブルの払戻金や生命保険の一時金などによる所得
雑所得年金や作家以外の稿料など上記のどれにも該当しない所得

たとえば、株式の値が下がり赤字が出たとしても、その分を青色申告して次年度に繰り越すことはできません。 株の配当金は配当所得、株の売買による儲けは譲渡所得となり、青色ではなく白色申告の対象となります。

ただし給与所得そのものは青色申告できなくても、会社勤めで給与を受けながらマンション経営をしているような場合、不動産所得は青色申告することができます。

純損失の繰戻し還付制度とは

青色申告者は、損失赤字繰越だけでなく「純損失の繰戻し還付」についても知識を持っておいたほうが良いでしょう。

純損失の繰戻し還付は、簡単に言うと過去に支払った所得税を取り戻す行為です。 赤字繰越は、当年度に生じた赤字を次年度以降、最大3年間まで繰り越すことで次年度以降の所得に対して節税しようとする行為です。

これに対して純損失の繰戻し還付は、当年度で生じた赤字と前年度の黒字とを相殺し、すでに支払った所得税を取り戻す制度となります。 赤字繰越は未来に支払う税金に対する話、繰戻し還付は過去に支払った税金に対する話として、一対で覚えておくと良いでしょう。

実はこの制度は赤字繰越に比べて利用する青色申告者が少なく、制度の存在自体知らないケースが少なくありません。 考え方としては、当年度の赤字金額を前年度の所得と差し引いて所得税額を計算し、すでに支払っている所得税額との差額を還付するというものです。

赤字繰越との一番大きな違いは当年度に実際に入金があることであり、直近の資金繰りが困難な場合に非常に効果的に活用することができます。

即効性のある純損失の繰戻し還付制度

国に納める税金の所得税や法人税、地方公共団体に納める税金の住民税や事業税などは、個人事業主なら暦年1年間、法人税なら事業年度などで計算されます。

当年度が黒字なら税金を納め、赤字なら税金はかからないという考え方ですが、ある年度で急な赤字が出た場合はどんな事業者でも資金的に苦しくなるのが普通です。 取り返すためには次年度からの黒字回復を目指すしかありませんが、機械的に年度計算される税金は、失った資金を取り戻せないうちに事業者へ多くの負担を課すことになります。

それでは回復どころか事業そのものの存続が難しくなるため、税制度では一定の条件を設け、赤字を他年度の黒字と相殺するさまざまな制度を設けています。 赤字繰越ももちろんその1つですが、繰戻し還付も同じくその制度の1つです。

過去の黒字にさかのぼって今回の赤字を相殺するというのは少々イメージが必要ですが、過去申告で納税した金額を再計算し、差額を返してもらえると考えれば良いでしょう。 現金が手元に入ってくるため事業的に即効性があり、当面の資金繰りに大いに役立つのがメリットです。

繰越控除は将来の黒字との相殺であるため、結果が得られるのは次年度以降ですが、すでに事業が黒字化していた事業者であれば、この方法も活用可能です。

繰戻し還付のデメリット

多くの事業者にとって、将来の不確定な話より現在の話で即効性があるほうが良いに決まっています。 ただし繰戻し還付にはデメリットがあり、適用されているのは国税に対してのみです。

周知の通り、国に納める税金の所得税や法人税は国税、地方公共団体に納める税金の住民税や事業税は地方税です。 この制度は地方税分は適用対象外となり、還付金額が期待するほど大きくならないことが考えられます。

また繰戻し還付制度には還付請求に対して厳しい内容調査があるため、税務署から問い合わせが来ますし、事務所に税務調査が入る場合もあります。 税務調査は恐怖感を感じる人も多いですし、調査官に所得の発生根拠を説明するだけでも心理的ストレスを感じる人は少なくないでしょう。

もちろん脱税などしていないなら恐れる必要もありませんし、「純損失の金額の繰り戻しによる所得税の還付請求書」を税務署に提出すれば請求できます。 ただどうしても税務調査には時間がかかりますし、もし修正事項が見つかったような場合には書類の再提出手間も生じます。

本来の事業活動に支障が出ることも考えられるため、こうしたデメリットも理解したうえで検討しましょう。 税金を取り戻すよりも次年度以降に赤字を繰り越すほうが人気が高いのは、こうした現状があるためです。

個人事業主の純損失の繰戻し還付条件と計算式

個人事業主は、事業上の利益は事業所得に分類されます。 事業収入から必要経費を差し引き、給与所得や雑所得などほかの所得の黒字と相殺しても赤字が相殺しきれない場合、その金額を「純損失」と呼びます。

青色申告をしている個人事業主は、当年度の純損失を前年(もしくは前々年)の所得と相殺し、所得税の還付を受けることができます。 還付金額の計算は、以下の通りです。

還付金額の計算方法

A 前年分の所得税額ー前年分の所得金額から純損失を相殺した所得税額

B 源泉徴収税額を差し引く前の所得税額

AとBを比較し、ずれか少ないほうの金額=還付金額

繰戻し還付が受けられる条件は、以下の5つです。

  • 青色申告者
  • 当年度と前年度を相殺して再計算した時に差額が出る
  • 事業を譲渡や廃止した場合、前年に生じた純損失と前々年分の所得と相殺して差額がある
  • 前年分(または前々年分)の青色申告決算書を提出している
  • 当該の確定申告期限内に「純損失の金額の繰り戻しによる所得税の還付請求書」を確定申告書とともに提出する

繰越損失は青色申告の大きなメリット

青色申告で赤字を翌年以降に繰り越す手段は、苦しい時にこそ有効です。 手続き自体は基本的に難しいものではなく、通常の確定申告の流れで完結できる事業者がほとんどです。 赤字だからといって確定申告を見送るのではなく、赤字の時こそ確定申告し、翌年度以降の節税対策へつなげましょう。

白色申告でも損益通算をすることはできますが、繰り越しはできません。 繰越損失制度を利用できるのは、青色申告を行っている事業者に限ります。

次年度以降、赤字の金額×税率の計算分で節税できるため、期待できる節税額はかなり大きくなります。 事業を開始したばかりならもちろんのこと、これから開業を考える場合、次年度以降の事業方針の転換をはかる場合には、青色申告の承認申請書を提出することをおすすめします。

青色申告特別控除なども含めて、青色申告者のみが利用できる節税策はいくつもあり、黒字の時も赤字の時も大幅な節税対策につなげることが可能です。

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