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安易な人件費削減にメリットはない|優秀な人材が流出する悪循環を避けるには?

公開日:2020年04月08日 最終更新日:2022年05月09日
安易な人件費削減にメリットはない|優秀な人材が流出する悪循環を避けるには?
この記事で解決できるお悩み
  • 人件費削減には会社のプラスになるどんなメリットがある?
  • メリットの反面となる人件費削減のリスクは?
  • リスクを避けながら人件費削減する方法はある?

「経営を圧迫している固定費を削減したい、そのため人件費削減に取り組みたい」そう考える経営者の方は少なくないはず。一方、従業員の立場から見れば、人件費削減は会社の経営状態が危険であることを示すシグナルにほかなりません。

安易な人件費削減に走れば、会社の存続に関わる悪循環に陥るリスクがあることを、肌感覚で実感している経営者の方も多いのではないでしょうか。

ではどうすればいいのか?そこで本記事では、安易な人件費削減を実行してはいけない理由や、優秀な人材が流出する悪循環を避けるための人件費最適化ステップを徹底解説!人件費最適化に向けた体制作りについても紹介していきます。

経営者が人件費削減したい理由

経営者が人件費削減を検討する理由は、会社の利益を確保したいからにほかなりません。業績が停滞している、あるいは悪化し始めると同時に大きな負担となるのが「経費(財務上の損金)」です。会社としての収入が頭打ち・減少しているなら、出て行くお金である経費・損金を減らすことが利益を確保するもっとも簡単な方法です。

経費・損金には、売上に応じて変動する流動費、売上に関係なく発生する固定費があり、より高い効果が得られるのが「固定費の削減」です。当然、経営者の立場からすれば、固定費の削減に目を向けるのが自然な流れだといえるでしょう。

人件費が固定費の多くを占めている

固定費には減価償却費、固定資産税、オフィスの家賃などが含まれますが、なかでも大きな割合を占めているのは人件費。これは給与・賞与といった直接的なもののほかに、社会保険料や福利厚生費用などの間接的なものも含まれるからであり、会社が支払う人件費の総額は給与の2倍ともいわれているのです。

たとえば、従業員の給与を10%カットする人件費削減策を実行すれば、10%以上のコスト削減効果が得られると期待できます。年収400万円の従業員を1名整理解雇できれば、コスト削減効果は年収の約2倍、おおよそ年間800万円のコスト削減が期待できるかもしれません。

もっとも削減しやすい固定費が人件費

一方、減価償却費・固定資産税・オフィスの家賃といった固定費を削減するのは困難です。賃料の安いエリアにオフィスを移設するという方法もありますが、そもそも店舗を構えている企業であればそれも難しいでしょう。

これに対する人件費削減は、従業員の理解さえ得られれば実行可能。もちろん、労働法で手厚く保護される日本の労働者の場合、簡単に給与削減・整理解雇できるわけではありませんが、もっとも効果的かつ、もっとも手をつけやすいコスト削減策が人件費削減であることに変わりありません。経営者が人件費削減を検討するのはこのためです。

参考元は下記リンクにございます。

安易な人件費削減は効果よりもリスクが大きい

それでは、人件費削減とは、イコール「給与削減」「整理解雇・希望退職」なのでしょうか?日本ではリストラの一環として捉えられがちな人件費削減ですが、リストラ本来の意味は、事業規模・従業員数を維持・増強したうえで組織を再構築することであり、英語の「リストラクチャリング(restructuring)」を語源にしたものです。

日本では、事業規模の縮小・不採算事業からの撤退・従業員数の削減を前提とした、ネガティブな意味で「リストラ」という言葉を使いますが、こうした給与削減・整理解雇を中心にした人件費削減策は安易であり、得られる効果よりもリスクが大きいといわざるを得ません。

人件費削減は対処療法

なぜなら、人件費削減は企業業績が停滞している・思わしくないときに利益を確保するための「対処療法」に過ぎないからです。その場の短期的な利益を確保することはできても、事業規模・従業員数を維持・増強したうえで組織を再構築する本来の意味でのリストラはできません。

給与削減・整理解雇といった安易な人件費削減策は、優秀な人材の流出や、従業員のモチベーションを削ぐことになり、キャッシュを生み出す重要な「ヒト」という経営資源を毀損します。一度毀損されてしまった「ヒト」という経営資源は、簡単に再構築することはできないのです。

安易な人件費削減が招く悪循環

毀損された「ヒト」という経営資源は、簡単に再構築できないだけではなく、そのままにしておくことによって負のスパイラルともいえる悪循環を招いてしまう確率が高くなります。

こうした負のスパイラル・悪循環は、安易な人件費削減策実行が招くもっとも大きなリスクであり、最悪の場合は会社の存続が危ぶまれる状況に追い込まれる、あるいは会社清算を余儀なくされる恐れがあります。以下の4つから具体的に解説していきましょう。

  • 優秀な人材の流出
  • モチベーション減退による生産性低下
  • 従業員への負荷増大・残業時間の増加
  • さらなる生産性低下・業績悪化

優秀な人材の流出

最も効果の高い人件費削減策といえるのは「整理解雇」「希望退職を募る」ですが、これは優秀な人材が流出してしまう可能性が非常に高い方法だといわざるを得ません。なぜなら、整理解雇するためには以下の4つの要件を満たす必要があり、経営者の思惑通りの人材を残せるとは限らないからです。

  • 人員整理の必要性
  • 解雇回避努力義務の履行
  • 解雇対象の従業員を選定する合理性
  • 手続きの正当性

希望退職を募る場合は、もっと露骨に優秀な人材が流出してしまうでしょう。優秀な人材ほど状況を把握する能力があり、どこの会社に転職しても活躍できる自信を持っているからです。特に、転職によるキャリアアップに抵抗感を感じない若い世代になるほど、危ない会社を見切るのは速くなります。

結果的に、経営資源である「ヒト」のパフォーマンス低下は避けられません。

モチベーション減退による生産性低下

給与削減・賞与カットなどの人件費削減策は、従業員のモチベーションを著しく毀損し、意欲の減退による生産性低下を招きます。これは経営者でなくても容易に想像できることです。「給与は減るけど仕事は今まで以上に頑張って」といわれても、納得して働く意欲を保ち続けられる労働者など存在しません。

積極性の失われた停滞した空気が職場を覆うようになれば、生産性が低下するだけでなく、働く意欲を失った従業員が辞めてしまうケースも多くなるでしょう。その場合も、真っ先に辞めていくのは「優秀な人材」です。生産性が低下しているところで優秀な人材が流出すれば、さらなるパフォーマンスの低下は避けられません。

従業員への負荷増大・残業時間の増加

給与削減・整理解雇などの人件費削減策を実行すれば、当然のことながら従業員数は減少します。しかし、従業員数が減少した分、仕事量が減るわけではないのが現実です。当然、オーバーフローした仕事は残った従業員に割り振られることになり、従業員一人ひとりへの負荷が大きくなり、残業しなければ仕事が終わらないという状況に陥りがちです。

それでも会社がキチンと残業代を支払える状況であれば、増大した負荷を受け止められる従業員も多いかもしれませんが、人件費削減に踏み込む会社はそこまでの余裕がないことが一般的です。結果的にサービス残業や、ステルス残業が横行することになり、溜まった不満は「人材の流出」という事態につながる可能性が高くなります。

さらなる生産性低下・業績悪化

そもそも、働き方改革関連法案が順次施行されたことにより、従業員の残業時間には厳しく上限が設けられており、残業代を支給しなければ労働法に違反することになります。労働法に違反しなければ運営していけないような会社だと従業員に思われてしまえば、さらなる人材流出、それによる生産性低下・業績悪化という、負のスパイラルにはまってしまうでしょう。

このことからもわかるように、給与削減・整理解雇といった一般的に理解されている人件費削減策は、会社が抜き差しならない状況に陥ったときの最後の手段だといえるのです。

人件費削減の本質は人件費最適化

ここまでで解説したのは、経費削減という金額のみに着目した「安易な人件費削減」です。それでは、安易ではない人件費削減とはなんでしょうか?それこそが、人件費から最大限を引き出して生産性を高め、売上を増やすことによって「人件費率」を下げて最適化していく方法であり、人件費最適化こそが人件費削減の本質であるといえます。

具体的には、業務効率化による生産性向上、そして人材を適材適所に配置する臨機応変な組織の再構築を推し進め、従業員のモチベーションを高めることによってさらなる生産性向上を目指す正のスパイラルを生み出していくのです。

人件費最適化に向けたステップ

人件費最適化を目指すには、好循環を生み出す労働環境を整えるため、適切なステップを踏んで施策を実行しなければなりません。一時的に環境を整えるためにはコストがかかりますが、中長期的な観点でビジネスを成長させることによって、投資分を回収していく心構えで取り組んでいくべきでしょう。5つの例を以下に挙げたのでご確認ください。

  • 業務の棚卸・課題の洗い出し
  • 改善に向けた業務設計
  • 業務効率化に向けた設備投資・システム化
  • 業務体制の再構築(リストラクチャリング)
  • アウトソーシングの活用

なによりも重要なのは、あらゆる自社業務を棚卸し、効率化・生産性を阻むボトルネックがどこにあるのか問題点を洗い出すことと、理想と現状のギャップを明らかにし、どう埋めていくのか「業務設計」することの2つ。

ここまでのプロセスでやるべきことが明確になれば、その後の設備投資・システム化、アウトソーシングの検討もスムーズに進みます。自社にとって重要な業務はなにか?優先順位が明らかになれば、人材の再配置・事業再構築はもちろん、アウトソーシングすべきか否かの判断も下しやすくなるでしょう。

業績が安定しているときこそ効率化・生産性向上に取り組む

人件費最適化を実現するには、理念・ミッションからブレイクダウンする形で中長期経営計画を立案し、KGIの達成度合いから適切な人件費を割り当て、全体的な人件費率を下げていくことが重要。ポイントとなるのは、効果的に施策を打てるよう早め早めのアクションを起こすことです。

人件費が経営を圧迫するほど負担になってからでは打てる施策も限られてしまいます。業績が安定しているときこそ効率化・生産性の向上に取り組み、市場の動きを見極めながら臨機応変に対応していく必要があります。

利益の還元を忘れてはいけない

人件費率を下げ、人件費最適化を進めることは非常に重要ではありますが、生産性向上によって利益を確保できたのであれば従業員へ還元することも必要です。従業員のモチベーションアップに重要な要素としては「働きがい」のほかにも「賃金アップ」が大きく影響するからです。

売上増の数字がリターンとして返ってくれば、従業員も高いモチベーションを持って業務に当たってくれます。積極性がさらなる生産性向上につながり、売上も増えるという、理想的な好循環を生み出すことができるでしょう。

人件費最適化に欠かせない制度作り

それでは、ビジネスを成長プロセスに乗せる好循環を生み出しつつ、人件費率を下げ、従業員の働きに報いる利益の還元を行うにはどうしたらいいのでしょう?増えた利益をやみくもに還元しているだけでは、将来的に人件費削減を検討しなければならなくなるかもしれません。

利益の還元・分配に公平性が感じられなければ、従業員のモチベーションを毀損することになります。こうしたリスクを避けるためにも、人件費最適化と同時に推し進めておきたいのが「人事評価制度」の整備です。以下の4つから人事評価制度について解説しています。

  • 人事評価制度とは
  • 人事評価制度の目的・意義
  • 人事評価制度の主な方法
  • ノー・レイティングという人事評価方法

人事評価制度とは

人事評価制度とは、業務における従業員のパフォーマンス、業績、能力などをある一定の基準で評価し、賃金や待遇などに反映させるための仕組み・システムのこと。日本では、従来から年功序列を重視した賃金体系が定着していましたが、産業構造の変化によって「成果主義」へとシフトする会社が増えています。

公平・明確・絶対的な基準で評価することを周知する人事評価制度は、従業員がブレることなく目標達成に向けて力を発揮できる環境を整えられます。結果的に、従業員一人ひとりのパフォーマンスを最大化し、生産性向上・売上増加という好循環を生み出すことに役立ちます。

人事評価制度の目的・意義

もちろん、人事評価制度の目的は従業員の待遇を決めるだけではありません。従業員一人ひとりが向かうべき方向を指し示すことにより、会社の存在意義である「理念」「ミッション」を実現させるという目的・意義が人事評価制度にはあるのです。以下の3つが主な人事評価制度の目的・意義です。

  • 理念・ミッション・ビジョンの実現
  • 従業員の待遇決定・最適配置
  • 従業員の育成

これらを実現するための人事評価制度は、従業員の能力・業績を一定の基準で評価する「評価制度」、従業員の評価・能力に応じて役割・職務を与える「等級制度」、評価・等級をもとに報酬を決定する「報酬制度」の3つで構成されることが一般的です。

人事評価制度の主な方法

人事評価の各制度を成り立たせるためには、評価の対象となる「評価項目」を明確にしなければなりません。

一般的には、目標の達成度を数値化して評価する「業績評価」、スキル・資格などの従業員個々の能力を評価する「能力評価」、意欲・やる気などの従業員個々の行動を評価する「情意評価」の3つがありますが、評価方法は多種多様。代表的な評価方法としては以下が挙げられます。

人事評価の方法 概要
目標管理制度(MBO) 従業員一人ひとり、もしくはチームごとに自主的目標を定め、会社と認識を共有しながら達成率を管理していく手法
重要業績評価指標(OKR) 1か月から3か月程度の短いスパンで、従業員一人ひとり、あるいはチームの目標達成率を管理していく手法
コンピテンシー評価制度 高い業績を誇る人材の行動特性(コンピテンシー)を評価基準に設定し、それを元に従業員を評価していく方法
360°評価 上司・同僚・部下、あるいは他部署の従業員が評価者となり、多面的に一人の従業員を評価していく手法

ノー・レイティングという人事評価方法

従来の人事評価制度のような等級評価(レイティング=Rating)をしない、ノー・レイティングという人事評価制度を採用する企業も増えています。

ノー・レイティングでは、業績評価・プロセス評価自体は実施されるものの、等級・報酬評価とは結びつかず、週・月単位、あるいはプロジェクトごとなどの短いスパンで「評価」と「フィードバック」が繰り返されます。

上司・部下間でのコミュニケーションを頻繁に取ることで人材育成につなげ、個々人のパフォーマンス向上を促すのがノー・レイティングの狙いだといえるでしょう。人件費率を抑えながら個々の従業員を正当に評価し、パフォーマンスを高めることで生産向上を実現できるノー・レイティングは、成長過程にある企業にも採用しやすいかもしれません。

まとめ

人件費削減に取り組みたい、しかし、人件費削減は会社の存続に関わるリスクがあるのではないか?不安を感じる経営者の方に向け、本記事では、安易な人件費削減を実行してはいけない理由や、優秀な人材が流出する悪循環を避けるための人件費最適化ステップを解説するとともに、人件費最適化に向けた体制作りについても紹介してきました。

人件費削減を検討する経営者の思惑はさまざまであり、会社の置かれた状況もまた千差万別です。人件費削減が一概に悪だとはいい切れないことも事実ですが、金額面だけに着目した対策は最後の手段にすべき。資金に余裕がなくても、将来的なビジネスの成長を考えれば投資は必要。経営・人事の専門家に相談してみることもひとつの方法です。

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