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会社設立の費用は経費計上できる?仕訳の処理を解説

公開日:2020年02月07日 最終更新日:2022年05月09日
税理士法人烏丸会計事務所
監修者
代表社員・税理士 堀井 優
会社設立の費用は経費計上できる?仕訳の処理を解説
この記事で解決できるお悩み
  • 会社設立にはどんな費用がかかる?
  • 会社設立の費用の仕分け方法は?
  • 経費を使って賢く節税できるって本当?

会社設立を目指している方にとって、どの程度の費用がかかるのか、かかった費用は経費計上できるのかはとても気になるところでしょう。あとで支払う法人税額に大きく影響してくるので、経費計上できる費用や仕分け方法について詳しく知っておくことが必要です。

当記事では、会社設立の際に支払う費用が経費として計上できるか、法人税額を抑えるための節税方法について詳しく解説します。

会社設立の費用は経費に計上できる!

結論からいえば、会社設立のために費やした費用については、経費として計上できます。

確かに会社設立のためにかかった費用は、会社を作ろうとする個人が支払うものなので、会社宛ての領収書を発行してもらうことはできません。まだ会社が存在していない以上、経営者となる人の名前で領収書をもらうことになるでしょう。

しかし、会社宛ての領収書ではないからといって、会社設立の経費が一切認められず、法人税額が決定されるとすれば、非常に不合理といえます。そのため、会社設立のために支払った費用であれば、会社設立後の売り上げから経費として差し引けるのです。

ただし、会社設立前の支出をすべて経費とすることはできません。したがって、どこまでを経費にできるのかを経営者が把握しておくことが重要となるでしょう。

会社設立にかかる費用とは?

会社設立にかかる費用には、大きく以下の2種類に分かれます。では、それぞれの費用の内訳を見ていきましょう。

  • 創立費

    会社設立までにかかった費用

  • 開業費

    会社設立後の開業準備にかかった費用

創立費

創立費は、会社を設立するまで、つまり法人として登記するまでにかかった費用のことです。

会社を設立する前後の支出は創立費になるのか開業費になるのかわかりにくいこともありますが、創立費は必ず個人の支出として処理されます。まだ会社が存在していない状態での支出なので、領収書の宛名も個人であるはずです。

創立費として認められる意外な支出もあるので、以下から創立費の例を5つご紹介しましょう。

  • 定款・諸規則作成費用
  • 登録免許税
  • 印鑑証明書の発行手数料
  • 司法書士等の報酬
  • 株主募集の広告費用

定款・諸規則作成費用

創立費の代表的な例の一つが、「定款・諸規則作成費用」です。会社設立の際には、必ず定款を作成しなければなりません。定款は会社の根本的な規則を定めたもので、法人名や本社の住所、事業内容などが含まれます。

定款はただ作ればよいわけではなく、本社の所在地を管轄している公証人役場で、公証人による認証を受けなければなりません。公証人に認証を依頼した場合の料金相場を表にまとめたのでご覧ください。

1件につき 5万円の手数料
特定文書にかかる印紙税 4万円
謄本の請求手数料 約2,000円
合計 10万円近く

登録免許税

会社設立のためには、国税として登録免許税を支払う必要があります。株式会社と合同会社によって最低課税額が異なる点に注意が必要です。それぞれの料金相場を表にまとめたのでご覧ください。

株式会社 合同会社
税率 資本金の1万分の7 資本金の1万分の7
最低課税額 15万円 6万円

印鑑証明書の発行手数料

会社設立に際しては、会社や個人の実印を登録することが少なくありません。実印を登録すると、さまざまな場面で印鑑証明書の添付が求められます。この印鑑証明書の発行手数料も、創立費として計上可能で、法務局で申請を行います。料金相場を表にまとめたのでご覧ください。

書面申請の場合 450円
オンライン請求して窓口で受け取る場合 390円

しかし、印鑑証明書の枚数によってはかなりの金額になることがあります。ぜひ、印鑑証明書の手数料の領収書なども保管しておき、少しでも計上する費用を増やして節税につなげましょう。

司法書士等の報酬

会社設立にあたっては、司法書士の助けを借りなければなりません。法人登記を含む会社設立手続きを司法書士に依頼した場合の料金相場を表にまとめたので、ご覧ください。

株式会社の場合 7万円から10万円
合同会社の場合 6万円から9万円程度

株式会社の方が手続きや定款の認証などに手間がかかるため、報酬額が若干高く設定されています。司法書士の多くは電子定款に対応しており、4万円の印紙代がかからなくなる可能性が高いのは大きなメリットといえるでしょう。

株主募集の広告費用

設立する会社が株式会社である場合、株主を募集する広告などの費用も創立費として経費計上可能です。株式会社では出資者となる株主が必要であり、会社設立のために株主を募集するケースでは広告の費用が創立費として計上できます。

ただし、創立時以外の時期に増資を目的とした広告は、創立費とはならないので注意が必要です。

開業費

開業費は、会社設立から営業開始までに、特別に支払った費用を指します。創立費のように種類が多いわけではありませんが、以下のように主に4つの費用が開業費に該当します。それぞれ解説していきましょう。

  • 発起人への給料
  • 会社案内などの作成費用
  • 調査費用
  • 接待交際費

発起人への給料

会社設立の際の開業費には、発起人の給料が含まれます。登記が完了してから、実際に営業を開始するまで発起人に支払われる給料は開業費として経費に計上しなければなりません。

会社案内などの作成費用

開業に必要な備品の購入費用や、会社案内などの作成費用も開業費として経費計上できます。名刺や会社案内は社名が許可されるかわからないというケースもあるため、一般的に登記完了後に作成を始めるでしょう。

したがって、登記完了から営業開始までの支出となり、開業費として認められます。加えて、本格的に営業を始めようとする前には、チラシやパンフレットを作成して営業活動を行うでしょう。こうした広告宣伝費も開業費です。

調査費用

会社設立後、マーケティングのために行う市場調査にかかった費用も開業費として計上します。マーケティングは通常、会社設立後に行うものだからです。

市場調査のために使った電気代やガソリン代などが調査費用に含まれるので、領収書等はきちんと保管しておく必要があります。

接待交際費

開業費には、接待交際費も含まれています。開業に必要なミーティングや打ち合わせを行うために会議室を使ったり、飲食したりすることもあるでしょう。

開業に必要なミーティングだったのであれば、飲食代等も開業費として計上できるのです。

創立費と開業費の仕訳方法

会社設立のための創立費と開業費は、仕分け方法に注意が必要です。会社設立のどの段階にいるかによって、仕分け方法が変わってくるからです。

では、時系列に創立費や開業費の仕分け方法を以下の5つのタイミングから見ていきましょう。

  • 会社設立前
  • 会社設立の準備時
  • 開業後に創立費を精算
  • 開業後に開業費を計上
  • 繰延資産の償却

会社設立前

まずは、会社を実際に設立する前に、登記費用として250,000円を経営者が個人で支払ったとします。この場合、まだ会社は存在しておらず、個人が経費を支払っているだけなので仕分けはありません。

会社設立の準備時

会社設立の準備が始まると、資本金が振り込まれます。仕分けは資本金が振り込まれた時点から始めなければなりません。仕分け方法は以下の表の通りです

借方 現金1,000,000円
貸方 資本金1,000,000円

開業後に創立費を精算

続いて、会社設立前に立て替えた250,000円を精算するとしましょう。この段階では会社が登記されて存在しているので、精算が可能です。仕分け方法は以下の表の通りです

借方 創立費250,000円
貸方 現金250,000円

当然ですが、創立費として認められるためには、必要情報が記載された請求書や領収書を取っておかなければなりません。

開業後に開業費を計上

開業後に市場調査を行ったりチラシを作ったりした場合、開業費として経費計上する必要があります。たとえば、会社のパンフレットを作成するのに20万円かかったとしましょう。仕分け方法は以下の表の通りです

借方 開業費200,000円
貸方 現金100,000円

繰延資産の償却

こうして会社が無事に設立され、事業が始まると決算がやってきます。後述しますが、創立費や開業費は会計上の繰延資産と呼ばれ、5年以内に毎期同額を償却しなければなりません。

しかし、税務上は5年という縛りがなく、任意償却となります。会社が任意の時期に任意の金額を償却できるのです。もし登記費用として250,000円、会社のパンフレットを作るのに使った200,000円を初年度に一度に償却する場合には、以下の通りに仕分けします。

借方 創立費償却250,000円
開業費償却200,000円
貸方 創立費250,000円
開業費200,000円

創立費と開業費は繰延資産として扱う

前述のように、創立費や開業費は会計上「繰延資産」として扱われます。繰延資産とするで、会社にとって大きな利益になるのです。

では、具体的に繰延資産とは何か、どのように節税に役立つのか見ていきましょう。

繰延資産とは?

繰延資産とは、有形無形を問わず、会社に1年以上にわたって利益を与える資産のことです。創立費や開業費の他にも、株式の交付費や社債の発行費、新技術の開発費なども繰延資産といえるでしょう。

創立費や開業費は、会社そのものを設立し、事業を始めるための費用なので、当然1年以上にわたり将来の収益に貢献すると考えられます。したがって、創立費や開業費は一度資産として計上した後、経費として償却していきます。

創立費や開業費を初年度から経費として計上してしまうと、初年度の経費が大きくなり赤字になってしまう恐れがあるでしょう。極端な赤字になってしまうと金融機関などから信頼されなくなり資金繰りに悪影響が及ぶこともあるので、創立費や開業費をいったん資産として計上するのです。

これで初年度から大赤字になることを避けられ、会社として良いスタートを切れるでしょう。

繰延資産の償却で効果的な節税を!

創立費や開業費などの繰延資産は、償却の方法によって節税に役立ちます。節税は非常に重要な課題なので、繰延資産を活用した上手な節税方法について知っておきましょう。

ポイントは、繰延資産がいつでもどれだけでも経費として計上し償却できる点です。当然、まったく償却しない年度があっても問題ありません。以下に利益の違う年度の場合についてまとめたのでごらんください。

  • 利益が大きいと予想される年度

    繰延資産を多く償却するとよいでしょう。創立費や開業費などの繰延資産を多く計上し経費が大きくなれば、利益が圧縮され翌年度の法人税額が下がります。

  • 利益が少なかったり赤字になってしまったりする可能性が高い年度

    繰延資産を償却せず翌年度以降に回すのが得策です。会計上、繰延資産は定額法により毎期同額を5年以内に償却しなければなりませんが、税務上の手続きによって節税効果を得られるでしょう。

開業費に該当しない費用3つ

創立費や開業費は繰延資産として節税に役立てられますが、開業費として認められない費用も存在します。開業費ではない費用を開業費として計上すると大きなトラブルになる恐れがあるので注意が必要です。

では開業費とはならない費用について3つ見ていきましょう。

  • 従業員への給料
  • オフィスの家賃・敷金・礼金
  • 10万円以上の値段の物

従業員への給料

開業前から従業員を雇っており、給料を支払っていたとしても、その費用が開業費として認められることはありません。給料は開業前に限って発生するものではなく、定期的に発生するものと考えられるからです。

したがって、繰延資産とはならず、その支出が発生した期の費用として計上します。

オフィスの家賃・敷金・礼金

オフィスを借りている場合、開業前から敷金や礼金、さらに家賃を支払わなければならないでしょう。しかし、これらも開業費としては認められません。それぞれの理由についってまとめたのでご覧ください。

  • 家賃

    開業時とは関係なく定期的に発生する費用のため

  • 敷金

    定期的な支出ではありませんが、後日返還されるものなので、そもそも費用として認められないため

  • 礼金

    返還されず定期的に発生する支出ではないため繰延資産として認められますが、異なる処理が必要となるため開業費としては処理できないため

10万円以上の値段の物

備品や機械などは通常開業費として認められますが、10万円以上するものについては固定資産だと判断されます。固定資産になると、種類や金額によって処理方法が変わってくるので注意が必要です。

備品であればすべて開業費になるわけではなく、どの程度の頻度で発生する費用かによって認められるかどうかが変わってくることも覚えておきましょう。

まとめ:会社設立の費用を経費にして上手に節税しよう

会社設立には創立費や開業費といった費用がかかり、節税に活用できます。領収書や請求書を保管しておくことはもちろん、仕分け方法についてもよく確認しておくようにしましょう。

繰延資産を上手に償却することによって、効果的な節税が実現できるのです。

監修者の一言

繰延資産である開業費と創立費を上手に活用すると、円滑な経営の助けとなります。しかし税務・会計の知識が必要なため、なおざりとなってしまう方もいらっしゃます。特に創立費は会社設立までの費用であるため、領収書さえ処分されているケースも見受けられます。

「会社設立前⇒経費とならない」ではなく、「れっきとした経費」となるのです。又、設立後事業開始までの費用も高額となる場合もありますので開業費として処理して、一定期間の収益と対応させることが望ましいでしょう。

また、税務上は任意償却であるというのを覚えておくとよいでしょう。事業が軌道に乗り所得(利益)が出て、思いがけず法人税が発生するということもしばしばあります。そのタイミングで、開業費や創立費を償却してうまく活用すれば税負担を抑えることも可能です。

但し、これをするために一定の経理処理と法人税申告書に一定の記載や書類添付が要件となりますので税務・会計の専門家に相談する方が安心です。

税理士法人烏丸会計事務所
代表社員・税理士 堀井 優
監修者

1967年生 静岡県出身 法政大学経営学部経営学科卒業。証券会社の法人営業、投資信託委託会社を経て、主体的な生き方を求め税理士業界へ。税務会計に携わって27年、地場中小企業中心に上場企業、IT・ネット関連、メディア・広告、大規模宗教法人・社会福祉法人など多くの税務顧問を務め、京都府包括外部監査補助者(2004年)、地域公益法人の監事(2019年〜)に就く。圧倒的な経験と多彩なクライアントから得たノウハウを創業間もない起業家にリーズナブル価格で提供したいとの思いから創業支援センターを立ち上げている。

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