会社設立の費用は経費計上できる?仕訳の処理を解説

更新日:2020年06月11日 発注カテゴリ: 顧問税理士
会社設立の費用は経費計上できる?仕訳の処理を解説

会社法が改定され、たった1円の資本金でも会社を設立することができるようになりました。しかし、1円で会社を設立することは現実的ではありません。各手続き費用をはじめ、準備費用等が必要です。では、会社設立に掛かった費用を経費として計上できるのでしょうか。

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会社設立費は2種類に分けられる

会社設立時に掛かった費用は経費として計上できます。しかし、費用の掛かる時期によって勘定科目が変わってきますので注意が必要です。

設立登記までは創立費として計上

創立費とは設立準備段階から設立登記までに使用した費用を表します。

例えば、会社を設立するにあたって全責任を負う立場にある発起人の報酬や、設立登記の作成に重大な役割を持つ司法書士・行政書士等への報酬も創立費として経理処理されます。

また、登録免許税やオフィスの賃借料、印鑑購入代、金融機関取扱手数料等も含まれます。

さらに会社設立のためにカフェ等でミーティングを行った場合の飲食代も経費として計上可能です。そのカフェに向かうのに電車を使用した場合は、電車賃等の移動費も含めることができます。

このように多くの種類の必要コストを創立費として経費計上できるため、領収書・レシートは、たとえ会社設立前だとしても、大切に保管しておきましょう。

また、創立費計上の疑問点として挙げられるのが、「設立準備段階はどのくらいの期間なのか」です。

一般的には一ヶ月ほどと言われています。ただし、根拠となるものはありません。

そのため、会社設立に伴って必要となる備品の購入等であれば、一ヶ月という期間に縛られることなく、必要経費として考えて良いでしょう。

創立費の経費として、以下のような具体例が挙げられます。

  • 登録免許税:15万円
  • 定款に関する費用(認証作成・印紙代・謄本代):9万2千円
  • 発起人報酬:20万円
  • 行政書士・司法書士報酬:20万円
  • オフィス賃貸料:25万円
  • 株主総会開催費用:5万円
  • 株券等の印刷代:1万円
  • ミーティング時の飲食代・交通費:2千円

あくまで例ですが、これだけでも954,000円分が経費として計上できます。

設立登記後から計上される開業費

開業費は設立登記完了後から営業を開始するまでの期間における費用です。

このように、創立費と開業費の時期の違いは、設立登記を基準としていることが分かります。

しかし設立登記の後、開業するために必要となる費用をすべて開業費でカバーできるかといったらそうではありません。開業費は、開業のために特別に掛かった費用だけが経費として計上されるのです。

開業に必要な備品の購入費(印鑑や名刺等)はもちろん、パンフレットやチラシ、ホームページ作成などの会社の宣伝広告の類いも開業費に含まれます。

また、開業に必要なミーティングでの飲食代、各種調査に掛かる電気代やガソリン代も開業費として計上できます。

しかし、通信費や水道代、事業と関係する各種保険、事務に必要な消耗品などは開業費として計上されません。

これらは開業後も継続して必要となる費用なので、経常的経費となります。そのため開業費とは別に、初年度の費用として通常は処理されます。

注意点として10万円を超える備品(パソコンやプリンタ等)は、開業費ではなく固定資産に含まれ、減価償却されます。

備品費用が10万円を超えない場合は、経常的支出として消耗品費用での計上となります。

開業費の具体例は以下の通りです。

  • 広告宣伝費:35万円
  • 印鑑・名刺費:2万5千円
  • 市場調査費:20万円
  • 交通費:5千円
  • 通信費:1万円
  • 水道光熱費:1万円

上記の例だと600,000円もの費用を経費として計上できます。

創立費は事業の種類による費用の違いに大差はないのですが、開業費はその会社の事業によって非常に大きく変わります。

そのため、事業の特性をしっかりと把握することが重要なのです。

開業費・創立費の仕訳の例

経費を簿記上のルールとして遵守しながら記帳することを仕訳と言います。仕訳方法を理解することで、お金の流れの把握に役立ちます。

開業費の仕訳例

  • 借方の勘定科目:開業費
  • 金額:1,000,000
  • 貸方の勘定科目:現金
  • 金額:1,000,000
  • 適用:開業費の支払い

創立費の仕訳例

  • 借方の勘定科目:創立費
  • 金額:1,000,000
  • 貸方の勘定科目:現金
  • 金額:1,000,000
  • 適用:創立費の支払い

あくまで一般的な記帳例を紹介しました。

総勘定元帳や賃貸対照表といった財務表が存在するため、それぞれに仕訳ルールが決まっています。

このように異なる仕訳ルールが存在することが、経理処理が難しいと認識される所以なのです。

えっ!創立費・開業費は費用として計上されない?その理由とは

創立費と開業費は経費に含めることが可能です。しかし、実は最初から費用として計上されるわけではありません。

創立費・開業費は繰延資産として考えられる

繰延資産とは、継続して計上される資産のことです。

一旦資産として計上し、毎年少しずつ費用とすることが認められています。

このように、繰延資産は本来ならば費用として考えられるのですが、あえて資産として計上しているのです。

なぜ通常ならば費用とされるものが資産となるのかというと、その必要コストを支出することにより、利益を生み出すことのできる会社を設立したためです。

会社設立年度の大赤字を回避するための対策だった

先に述べたように、創立費・開業費を繰延資産として扱うことで会社設立の初年度だけではなく、翌年以降も費用として影響があります。

会社設立時には大きな費用が必要となるのが普通ですよね。

そのため、会社設立費用を初年度にまとめて経費とすると、初年度だけ大赤字となってしまいます。

ここで、繰延資産として計上することが重要となります。この赤字分を初年度だけではなく、翌年以降にも回すことで、極端な赤字を避けることが可能になります。

償却処理のルールを覚える

償却とは一旦資産として計上したものを数年にわたって費用化する処理のことを言います。

繰延資産の償却処理には、会計上の繰延資産、税務上の繰延資産の2つのルールがあります。

会計上のルールでは定額による償却処理が必要

定額法により、毎期均等に償却しなくてはいけません。また、償却期間は5年以内となっています。

仮に繰延資産の支出額が300万円で償却期間を5年とすると、毎月支払いを求められる償却額は300万円÷5年÷12ヶ月=5万円となります。

このように、毎月の償却額は支出額÷償却期間の年数÷12ヶ月という計算式により算出できます。

任意償却による節税効果がある税務上のルール

納税者が償却する額を自由に設定できる任意償却が採用されています。なお、償却額に制限がないため、全く償却しない年度があっても問題ないのが特徴です。

つまり、赤字の出た年度での償却をする必要がありません。逆に大きな利益を得た年度に償却することが可能になります。

そのため、税務上の手続きを踏めば節税効果が期待できます。

まとめ

会社設立時にかかる費用は開業費と創立費の2種類あることをお話しました。そして、これらは経費として処理することが可能です。

ただし、すべてを初年度の経費として計上してしまうと、大きな赤字を生み出してしまいます。

そのため、繰延資産による償却処理が必要です。また償却の際には、任意償却を行うことで節税効果を得ることが可能となります。

経営者として税務に関する知識はあるに越したことはありません。また、金銭の流れを把握するためには欠かせない能力とも言えるでしょう。

とは言っても、ここまで説明してきた経理処理は複雑かつ面倒な作業ばかりです。

これらの処理は会計士等の国家資格を持つ専門家が行う作業です。国家資格を取得するための費用や時間を費やすことも経営者にとって難しいことです。

しかし経理処理を正確に行わないと、会社にとって損となり得る場合もあります。

そのため、無理に自分で行うのではなく、専門家に依頼することを視野に入れることが重要です。

会社設立に伴う経営管理は、他者の手を借りることで、間違いの無い経理処理・確定申告に繋がるのです。

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