原稿料・講演料の確定申告はいくらから必要?書き方と経費などを解説

税理士
監修者
税理士 佐藤 憲亮
最終更新日:2023年10月02日
原稿料・講演料の確定申告はいくらから必要?書き方と経費などを解説
この記事で解決できるお悩み
  • 原稿料・講演料はいくらから確定申告が必要?
  • 原稿料・講演料の確定申告の書き方は?

文章を書いて原稿料を得たとき、講演をして講演料を得たときは、確定申告が必要になるケースがあります。自分は確定申告が必要なのかを知り、正確に手続きをすることが大切です。

この記事では、原稿料や講演料に関する確定申告について、対象となる所得条件や確定申告書の書き方などを詳しく解説します。「原稿料や講演料の確定申告について知りたい」という方は参考にしてください。

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原稿料や講演料はいくらから確定申告が必要?

原稿料や講演料はいくらから確定申告が必要?

原稿料や講演料を受け取った場合、上記の条件に当てはまるなら確定申告が必要です。それぞれ解説します。

【副業】所得20万円以上から確定申告が必要

会社員など給与所得を得ている人が、副業として原稿料や講演料で年間20万円以上の所得を得ている場合は確定申告が必要です。副業なら原稿料・講演料の収入を年間20万円未満に抑えることで、確定申告と納税を避けられます。

例外は高収入の給与所得者

給与所得者で副業として原稿料や講演料を得ている場合でも、年間2,000万円を超える高収入の給与所得者は副業の金額を問わず確定申告が必要です。

基本的には会社員の副業なら20万円を超えた場合に確定申告をすると覚えておきましょう。

【専業】所得48万円以上から確定申告が必要

給与所得がなく専業で原稿料・講演料を得た場合、年間38万円以上の所得があるときに確定申告が必要です。原稿料・講演料に限らず、フリーランスとして収入を得ているならすべて当てはまります。専業で年間38万円以上の所得があるなら、必ず確定申告の手続きをしましょう。

原稿料や講演料の確定申告の注意点

原稿料や講演料の確定申告の注意点

原稿料・講演料の確定申告の注意点について、上記の2つからみていきましょう。

原稿料・講演料が年間20万円未満でも住民税の申告は必要

原稿料・講演料の所得が年間20万円未満でも、住民税の申告は必要です。通常、税務署は確定申告の所得に基づいて所得税と住民税の課税額を算出します。そのため確定申告をしていれば、住民税の申告は不要です。

確定申告をしていないと住民税の計算ができないため、住民税の申告が必要です。原稿料・講演料が20万円未満で確定申告をしない人は注意しましょう。

原稿料・講演料は金額にかかわらず源泉徴収の対象

原稿料や講演料を受け取る際には源泉徴収が必要です。源泉徴収税は原稿料・講演料の金額にかかわらず納付します。源泉徴収税額の計算は以下の通りです。

  • 100万円以下なら支払額の10.21%
  • 100万円以上なら100万円の10.21%に超過分の20.42%を加算

源泉徴収の対象となるかは実態で判断するため、以下の名目で支払われた場合でも実態が原稿料や講演料と同じなら対象です。

  • 謝金
  • 取材費
  • 調査費
  • 車代

原稿・講演にともなう旅費や宿泊費の支払いも原則的には報酬等に含まれ、源泉徴収の対象です。支払い者が直接、宿泊施設や旅行会社等に支払う場合は報酬等に含めなくてもよく、源泉徴収の対象にはなりません。

原稿料・講演料の確定申告書の書き方

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原稿料・講演料の確定申告書の書き方について、以下の流れで解説します。それぞれみていきましょう。

  1. 原稿料・講演料の所得区分
  2. 原稿料・講演料の経費計上

1. 原稿料・講演料の所得区分は「雑所得」か「事業所得」

原稿料・講演料の所得区分は「雑所得」か「事業所得」です。以下を参考にどちらに当てはまるかを判断しましょう。

雑所得副業として収入を得た場合
事業所得・専業として収入を得ている場合
・本業に関連する内容で原稿執筆や講演をした場合
・副業だが事業として認められる基準を満たしている場合(個人事業主として活動している場合)

副業で収入を得た場合は、原則「雑所得」で確定申告します。事業所得の「本業に関連する内容で原稿執筆や講演をした場合」とは、医療関係者が職業に関連する内容で原稿執筆や講演を行った場合などです。

副業でも「事業として認められる基準」

副業でも「事業として認められる基準」には以下の3点があります。

  • 一定の収入を継続的に安定して得ている
  • 作業に相当な時間を用いている
  • 職業として自他ともに認識している

上記は記録やデータがあり、証明できることが重要です。もし事業所得として認められなかった場合、申告の修正で余計な手間や時間がかかります。副業の場合は基本的に「雑所得」で申告しましょう。

2. 原稿料・講演料の経費計上

原稿の執筆や講演の準備にかかった費用を経費として計上できます。経費計上により節税に努めましょう。経費として認められるものと認められないものをそれぞれ解説します。

  • 経費として認められる費用:仕事で用いた書籍代や調査旅行費など
  • 経費として認められない費用:食費や私用の側面が強い出費

経費として認められる費用:仕事で用いた書籍代や調査旅行費など

原稿の執筆や講演に必要な出費が経費として該当します。以下のものが代表的です。

  • 書籍代
  • 交通費
  • 宿泊費
  • 通信費

経費と認められるには、原稿執筆や講演に必要な出費であると証明できることが重要です。領収書がない場合には経費と認められないケースもあるので注意しましょう。

経費として認められない費用:食費や私用の側面が強い出費

食費や私用の側面が強い出費は経費として認められません。以下の出費が該当します。

  • 講演後の打ち上げ等の飲食費
  • プライベートの旅行としての面が強い調査旅行
  • 執筆とあまり関係がない書籍・資料の購入代金

経費にできないものを経費計上することのないよう注意しましょう。

わからないことがあるときは税理士に相談を

原稿料や講演料を得ている方は、所得区分や経費計上で判断がつかずに悩むケースが多いです。わからないことがあるときは無理せず税理士に相談してみましょう。税務のプロに相談すれば明確なアドバイスを得ることができ、正確に確定申告ができます。

本格的に原稿料・講演料で収入を得ようと考えている場合、一度相談して基本的な知識を学ぶこともおすすめです。税理士に支払う報酬も経費計上できます。節税のアドバイスを得られれば、税理士に依頼する以前より多くの資金を手元に残せるでしょう。

わからないまま自分で確定申告を行うのはリスクが高い

不明点がある状態で確定申告をすると、税務署からチェックが入った際に過少申告や不適切な経費計上が指摘され、延滞税などのペナルティが課されるおそれがあります。正確な確定申告をするためにも、わからないことをそのままにせず、税理士に相談することが大切です。

まとめ

今回は、原稿料・講演料の確定申告について解説しました。確定申告は各種税金が関わってくるため、正確に行うことが重要です。原稿料・講演料の確定申告では、所得区分や経費計上で悩むケースが多くあります。判断に悩むときは、税理士に相談して適切に手続きを行いましょう。

弊社が運営しているWebサービス『比較ビズ』では、確定申告が得意な税理士が数多く登録しており、一括で複数の事務所に相談可能です。「原稿料・講演料の確定申告が不安」という方は、相談先を見極めるツールとして一度使ってみてはいかがでしょうか。

監修者のコメント
税理士
佐藤 憲亮

京都市出身。 医療系特化事務所、税理士法人の社員税理士(役員)を経て、気軽に相談できる専門家として税務顧問業務をメインに活動。実務で得た知識や経験を活かし、税務記事や税務論文の執筆、ブログの運営をしている書くことが好きな税理士。大学卒業後、税理士事務所で14年の実務経験を積みながら、大学院で税法を学ぶ。2020年に税理士登録。2023年6月に京都市中京区にて独立。また、顧客企業の利益最大化を実現するため、バックオフィスの効率化や改善に力を入れており、経理代行及びコンサルの事業会社を設立。経理、財務、税務の支援を得意としている。

本業にプラスアルファでする執筆や公演に係る収入の多くは雑所得となります。所得税法上の所得区分は、その性質によって下記のように10区分に分かれており、雑所得はバスケットカテゴリーとして、 銑のいずれにも当たらない所得に該当します。

〕子所得、配当所得、I堝飴砂蠧澄↓せ業所得、サ詬申蠧澄↓β狄所得、Щ確喀蠧澄↓┥渡所得、一時所得、雑所得

日本の所得税法は包括所得概念という考え方を採用しており、これは全ての所得について漏れなく認識する前提のことです。そのため、原稿料や講演料が事業所得に付随して行われるような事業収入でなければ、自動的にの雑所得に区分されることとなります。

また、事業所得か雑所得かの判断においては、 ̄塚性有償性の有無、反復継続独立の有無、自己の危険と計算のもとにおいて行われているか、ぜ匆馘地位のある職業であるか、ダ験茲防要な収入を得られているか、などの複数の材料から総合的に判断する必要があり、ものごとを客観的に捉える必要があります。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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