農家さんが行う農業の確定申告と経費のポイント【いくらから必要?】

更新日:2020年03月05日 発注カテゴリ: 確定申告
農家さんが行う農業の確定申告と経費のポイント【いくらから必要?】

所得は大きく10種類(雑所得を含む)に分けることができます。そのうち農家を営む人の所得は事業所得に分類されます。事業所得なので、農家の人の多くは個人事業主というくくりになります。また農業法人として行っている人もいるでしょう。また、家族経営として確定申告をしている農家が多く、申告方法も白色申告や青色申告などさまざまです。ここでは、事業所得(農業所得)においての確定申告と経費のポイントについてご紹介します。

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確定申告のキホン/農家はいくらから申告が必要?

個人事業主となるので所得があれば原則として確定申告が必要ですが。また、明らかに所得が少ない場合は不要となります。

収入よりも経費(控除)のほうが上回っていて明らかに赤字となっている場合(年間所得が38万円以下)は所得税がかかりません。そのため、確定申告は必要ないといっていいでしょう。

確定申告は所得税を確定させるために行います。と同時に年間の所得を確定させるためにも行います。

それによって、翌年の住民税が決まります。また、赤字になっても損益通算できます(後述)。

そのため、農業収入(所得ではない)がある場合は、確定申告を行ったほうがいいでしょう。農業所得の確定申告は複雑と考えがちですが、基本的に収穫物を販売したものが収入になり、それにかかったお金を経費にするだけです。

農家に関わらず、個人事業主の基礎控除額は38万円です。このため、農業収入が38万円以下の場合は所得税がかかりません。

そのため、確定申告は不要なのですが前述した理由のため、収入がある場合は確定申告をしましょう。

また、兼業で農業をやっている人は簡単に雑所得として申告しがちです。しかし、事業所得に分類できるので、こちらのほうが税制面で節税メリットがあります。

農業の確定申告で収入とみなされるもの

農産物の販売によって得た収入が農業所得(経費を引いたもの)として確定申告しなくてはいけません。生産物の販売先はさまざまです。

農協に販売する場合や法人として直に卸売業者に販売する場合もあります。また、個人的に販売するケースもあるでしょう。いずれもが農業の確定申告に必要な収入となります。

農家の場合、農作物を自分で消費すると思います。この場合も売上高に計上可能です。これを家事消費と呼び、このときの販売金額は収穫時の販売金額と同じ構いません。

家庭菜園の農作物を自分で食べた場合は?

事業として営んでおらず、明らかに家庭用の田畑で作られた農作物については家事消費に計上しなくて大丈夫です。もちろん、この場合、家庭農園に関連した経費も計上できません。

農業の確定申告で認められる経費

農作物を作るためにかけた費用は経費計上できます。ここでは経費計上できる主な経費を17種類紹介します。

経費(1)農地やトラクターなど租税公果

農地にかかる固定資産税、トラクターにかかる自動車税などの租税公課は経費計上できます。他には不動産取得税、消費税、農協に納める組合費なども経費として計上できます。

農業に関わる税金は経費計上できるのですが、税金全てが経費となるわけではありません。所得税・住民税・罰金は経費とはなりません。

また、確定申告によって税務調査が入った場合の加算税あるいは延滞税も経費計上はできません。

消費税の申告について

※消費税については『消費税の課税事業者』として申告している人が対象です。経費として計上できる消費税はその年に支払った消費税に限ります。そのため、令和元年の消費税は翌令和2年になってから申告して支払います。そのため令和2年分の経費として申告することになります。令和元年の経費とはならないので注意が必要です。

経費(2)肥料、種苗代など栽培に関連する出費

農作物を作るために使用した、肥料や種苗にかかった費用は経費計上できます。他には農薬代金やビニールハウスのビニール代金なども、経費として計上可能です。

経費(3)農機具などの農作業で使う機械などの出費

ここでいう農機具は、購入した金額が10万円未満のものです。また、1年を立たずに使えなくなったものも含みます。

これらについては、農具費としてその年の確定申告について経費計上できます。一方で10万円以上の農機具、設備などは減価償却の対象となるので農具費に含めることはできません。

経費(4)ビニールハウスなどの修繕費

農業用機械や設備・建物・自動車などの修理に支払った費用である修繕費は経費計上できます。農業用の車の車検費用も同様です。

ただし、農業以外の私生活でも使っているものの修理については、経費に含めることはできません。

経費(5)トラクターの燃料などの動力光熱費

動力費というのはトラクターなど農業用機械の燃料費です。これには灯油・軽油・ガソリン代が含まれます。

また光熱費は、農業用に使ったもので電気・水道・ガス代となります。家庭用と分かれている場合は、そのまま経費計上できますが、同一の場合は按分率などから農業用のみを経費計上しなくてはいけません。

経費(6)農作業で使う作業用衣料費

作業用衣料費には、衣服・長靴・帽子・手袋・地下足袋などの費用が含まれます。私服は経費に含まれません。

兼用している場合は、そのまま経費計上は認められないので注意しましょう。

経費(7)1個10万円以上の機械などの減価償却費

10万円以上の機械は減価償却資産扱いです。そのため減価償却費の計算をして経費計上します。

減価償却資産というのは、その年限りではなく、何年にもわたって使用できる資産のこと。たいていは耐用年数が個別に決められています。

農業をしている人の多くは個人事業主ですから、定額法で減価償却費を計算します。計算式は以下のようになります。

減価償却費 = 購入金額 × 償却率 × 農業に使った期間(月数) × 仕事で使用している割合

以上の式となります。償却率などは国税庁が細かく規定しているため、それに沿って計算しなければなりません。

経費(8)出荷などで使うコンテナなどの荷造運賃手数料

荷造り運賃手数料は農作物を出荷する際にかかる費用です。これには、段ボール・コンテナ・ひも・ガムテープ・運賃・手数料など、荷造りから出荷までのあらゆる費用を経費計上できます。

経費(9)バイトなどに支払う雇用費

従業員の他、繁忙期に雇うアルバイトなどの雇用費です。従業員を含め、仕事に従事してもらった人に支払う給料は雇用費として経費計上できます。

ただし、親族に支払う給料は雇用費として計上することはできません。

親族への給料は、白色申告者であれば専従者控除、青色申告者で届け出を提出している場合、青色専従者給与として控除することができます。

※専従者届けを事前に税務署に提出しておく必要があります。

給料を支払う場合は、「源泉徴収」の知識もしっかりと持っておかなければいけません。

経費(10)JAへの借金の利息

JAから借り入れで、農地や農機具を購入した場合、支払利息を経費計上することができます。気をつけたいのは元金は経費計上できません。

あくまでも利息のみが経費にすることができます。

経費(11)農地などの地代・賃借料

農地や施設を借りて農業を営んでいる場合、その地代・賃借料は経費計上できます。

経費(12)仕事で使うネットなどの通信費

農業をしている上で使っている通信費です。これは、インターネットプロバイダ料金、通信料、電話代、携帯・スマートフォン代、ホームページのサーバ・ドメイン代などです。

家庭やプライベートと一緒になっているケースがほとんどだと思います。そのときは事業割合によって按分して計上します。事業割合が難しい場合は、50%で計上しても大丈夫です。

経費(13)チラシなどを広告宣伝費

農作物の販売促進に使用したチラシ代などは、広告宣伝費として経費計上できます。インターネットのホームページやFacebook、Twitterでの告知も含めることもできますが、一般的には通信費で計上することが多いようです。

経費(14)出張などで使う旅費交通費

農業関係で出張した場合の電車代・バス代、タクシー代などは旅費交通費となります。宿泊した場合は宿泊費で計上してもいいですし、旅費交通費の中に含めても大丈夫です。

経費(15)農業の勉強のために買った書籍費

農業関係の新聞、勉強や調査のための書籍代、雑誌代などが新聞図書費として経費計上できます。また、セミナーなどの研修費も経費計上できます。

その場合は、こちらの費目でも内訳記入で大丈夫です。

経費(16)農業トラクターの自賠責などの保険費

農業用の車にかけている保険費用を経費計上します。自賠責保険や任意保険もこちらになります。私用で使っている場合は事業割合で按分して計上します。

※保険料でも、国民健康保険料・国民年金・介護保険などの社会保険は経費ではありません。社会保険料控除項目となります。

経費(17)仕事の付き合いによる接待交際費

農業をするうえでのつきあいの席の費用は接待交際費となります。飲食代のほかに接待ゴルフの費用や冠婚葬祭費なども接待交際費として経費計上できます。

ただし、仕事とプライベートの区別ははっきりとしなければいけません。

農業の確定申告でやりがちな経費ミス

農業に関係するものはなんでも経費計上してしまいがちです。しかし、経費にできるものと思い込んでいても実際には経費計上できないものがあります。

ここでは代表的な3つの事例についてご紹介します。

トラクターの購入のために借りたお金の元本は経費にならない

農業用機械としてJAからお金を借りてトラクターを購入したとします。このときJAに返済する金額のうち利息分のみが経費計上できます。元本は経費計上できません。

購入費用は減価償却費として経費計上しており、返済分(元本)も経費で計上すると二重計上になってしまうからです。この点は確定申告上の盲点になりえるので注意しましょう。

親族に支払う給料は雇用費にならない

従業員や繁忙期のみのアルバイトなどの給料は雇用費として計上できます。しかし、親族が働いてくれた場合の給料は、白色申告あるいは青色申告の事業専従者控除ができます。

給料を親族に支払う場合は節税対策としても、白色申告よりも青色申告の事業専従者控除のほうが有利です。この場合の専従者控除ができる条件として以下の3つがあります。

  • 青色申告者と生計を一にする親族であること
  • 該当年度の12月31日の時点で15歳以上であること
  • 青色申告者の事業に6ヵ月を超える期間専従していること

私用でも使うネットなどの通信費は全額計上できない

農業用に専用回線を引いている人は少ないでしょう。大半は家庭用と一緒になっているはずですその場合は、ネットなどの通信費や回線使用料などは全額経費計上できません。

事業割合によって按分する必要があります。事業割合で農業に関する通信が3割程度でしたら、通信費や回線使用料などの全額の3割を通信費として経費計上します。

割合の特定が難しければ50%の按分で経費計上しましょう。

経費計上がしやすいように領収書やレシートの保管は大切

確定申告をする場合の経費計上には、その使用に対して領収書やレシートが大切です。それは使用に対して裏付けが必要だからです。

何もないのに経費だけ計上してしまっても、それを裏付けるものがなければ経費として認められません。帳簿と同様に領収書やレシートは7年間は保管するようにしましょう。

個人事業主でも税務調査は行われます。経費計上に上限はありませんが、あまりにも不自然な経費計上をしてしまうと、そこを税務署から追求されます。

どうしても、レシートや領収書がない場合は、出金伝票を自分で起こします。もちろん正当な出金の場合に限ります。

農家さんなら試したい節税テク

農業所得が少なくなると、その分収める所得税も少なくすることができます。経費に上限はないのでいくらでも経費計上したいと思うのですが、不自然な経費は税務署からの問い合わせ、さらには税務調査などに発展することになります。

計上する経費にも限りがありますし、経費計上をする他にも節税することができます。次に節税対策として有効な方法をご紹介します。

青色申告で確定申告を行う

確定申告と一口にいっても、大きく次の3つの方法に分けることができます。

  • 白色申告
  • 青色申告10万円控除
  • 青色申告65万円控除

白色申告について

白色申告は、青色申告の届け出を出していない人…というくくりになります。売上げなどを1日の合計額でまとめて記入できるといった簡単な記帳で済ませることができます。

収入金額と必要経費が記帳されていればOKということで書式も自由です。かなり簡易的な申告ができるのが特徴です。

経理の知識もそれほど必要がないので、簡単に確定申告を済ませたい人に向いているのが白色申告です。一方で2014年からすべての白色申告者に「帳簿への記帳」「帳簿等の保存(5年〜7年)」の2点が義務づけられました。

帳簿の作成だけなら、青色申告10万円控除とそれほど手間は変わりません。そのため、農業所得者の場合の白色申告は少なくなりつつあるようです。

青色申告と違って白色申告自体には控除がありません。

青色申告について

青色申告には10万円控除と65万円控除の2種類があります。まずは、共通するメリットについてご紹介します。

青色申告では、赤字の繰り越しができます。経費がかさんで赤字になってしまうこともあるでしょう。

白色申告ではゼロになるだけですが、青色申告ではマイナス分を翌月に繰り越して経費計上できます。これを「損益通算」「損失の繰越し控除」と呼んでいます。

赤字の繰越しは、3年間繰り越すことができます。

そして、専従者給与です。白色申告でも専従者給与の控除がありますが、1人86万円までと決まっています。青色専従者給与の控除では、上限がありません。

そして、青色申告事業者の場合、減価償却についても特例があります。通常でしたら10万円以上の減価償却資産は、使用できる期間にわたって減価償却を行わなければなりません。

少額減価償却の特例では、30万円以内の購入費用については全額費用として経費計上できます。白色申告と比べて早く経費計上できるので、それだけ節税効果を得ることができるのです。

※少額減価償却の特例を受ける資産の合計は、300万円までと上限が決まっています。

青色申告の10万円控除と65万円控除の違い

まず青色申告をする場合は、青色申告の届け出を前年の3月15日までに申請しなくてはいけません。(※2019年度はコロナウィルスの影響もあり提出期限が4月16日までに延長されました)そして、65万円控除をする場合は、複式簿記を付けること、さらには貸借対照表、損益計算書などの決算帳票を提出しなくてはいけません。

複式簿記は経理の知識を必要とします。一つ一つのお金の流れについて事細かく借り方・貸し方の記帳をしなくてはいけません。

この点がデメリットとなります。

それでも、青色申告10万円控除では、住民税・所得税合わせて15,000円の節税になります。65万円控除では97,500円の節税効果があります。

そのため、農業所得で確定申告をするのであれば、青色申告をするようにしましょう。白色申告と青色申告10万円控除では、手間はほとんど変わりません。

65万円控除についても、簿記の勉強をすることと会計ソフトの力を借りることで、それほど難しくはありません。

税理士に確定申告を相談または依頼する

農業所得について確定申告をする際は、さまざまな疑問が出てきます。収入については、農業に関する収入ですから問題はないでしょう。

一方で、経費計上については、どこからどこまで計上していいのか分からない面も出てきます。減価償却などは自分で判断が難しい場合もあります。

そういったときは、税理士に相談するようにしましょう。無料相談をしてくれる税理士も多いので、質問事項をあらかじめまとめておいて、簡潔に相談するようにすると無料の範囲で答えてくれます。

農業所得がある程度多くなると、税理士に確定申告を代行してもらうことも視野に入れていいでしょう。節税効果にも長けていますし、税務署勤めの長い税理士もいます。

そういった税理士は確定申告にも強く、税務調査を受けないようなノウハウもあります。的確なアドバイスをしてくれる税理士もいるので、顧問契約を結ぶのも一つの方法です。

少なくとも65万円控除の青色申告をしてくれるので、節税効果もあがりますし、その上がった分を税理士報酬に充てることができます。安心を買うといったことを考えると、税理士に全てを任せるのも一つの方法です。

まとめ

先述していますが、現在は優秀な会計ソフトが多く出回っています。プロ使用の高機能な会計ソフトもありますので、確定申告の難易度は以前より低くなったと言えるでしょう。

とは言え、専門知識が全くいらないというワケではありません。事業所得としてある程度の収入がある場合や農業以外にも所得がある場合は自分ひとりで確定申告を完結させるのは困難と言えます。

誤った認識で確定申告をしてしまい本来納める額より多く納税してしまったり、過剰な経費計上で税務署から指摘が入ったりするリスクはゼロではありません。

そのため、「農業である程度収入がある」「農業以外にも所得がある」「確定申告に充てる時間がない」という方は税理士に相談するのが良いと言えます。

煩わしい申告業務から解放できる上に、専門知識を活かしたアドバイスのもとしっかりと節税対策を施した上で確定申告を行えるでしょう。

事業所得は継続性のあるものですから、確定申告や会計は一生付き合わないといけません。すべて自分でやるのも一番ですが、一番時間を充てるべき農作業に集中できるように税理士の力を借りてみるのも賢い手段と言えます。

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