新入社員研修の費用・料金相場|効果的な人材育成のポイントとは?
- 新入社員研修の費用はどのくらい?
- カリキュラムにはどんなものがあるのか?
- 効率的な新入社員研修の方法とは?
自社で新入社員研修を内製している企業の方であれば、外部研修会社の利用を含め、新入社員研修の見直しを検討しているかもしれません。
本記事では、費用・料金相場や新入社員研修の基礎知識を徹底解説!効果的に人材育成するための新入社員研修のポイントが知りたい方、必見です。
新入社員研修の費用・料金相場は「20万円〜250万円」
新入社員研修の費用は「20万円〜250万円」くらいを想定しておくとよいでしょう。非常に開きがありますが、これは、研修の日数や手法によって変わってくるためです。一般的に、以下の通り大きく3つに分類することができます。
- 基礎研修
- OJT研修
- フォローアップ研修
研修の日数 | 費用・料金相場 | |
---|---|---|
基礎研修(参加者20〜30名) | 1〜2週間 | 150〜250万円 |
OJT研修(参加者20〜30名) | 1日 | 25〜35万円 |
フォローアップ研修(参加者20〜30名) | 1日 | 20〜30万円 |
基礎研修の場合:100〜300万円
新入社員に対して、社会人としての基礎を教育する研修です。いわゆる「ビジネスマナー」「コミュニケーション」「ビジネスシミュレーション(名刺交換など)」が、これにあたります。
1週間〜2週間をかけて実施していくため、どうしても他の手法より高額になってしまいます。1日20万円〜30万円程度を見ておくとよいでしょう。
OJT研修の場合:25〜35万円
実際に仕事をしながら実施する研修です。「On The Job Training」のことで、先輩社員などが「OJT研修」をして育てる手法です。「OJT教育」の名で呼ぶ企業も多いです。
一般的には社内の人間が教育をするためイメージがつきにくいですが、企業の職種によって研修プログラムを用意している外部研修会社が存在します。
フォローアップ研修の場合:20万円〜30万円
新入社員研修といっても、少し実務の経験を積んだ新入社員に対して実施する研修です。OJT研修などを実施し得たスキルを実践で使った後に、振り返りをすることが目的です。
いわゆる「PDCA」サイクルでいう「Check(測定・評価)」「Action(対策・改善)」にあたる部分です。さらなる成長を促すために、非常に有用な研修といわれています。
新入社員研修の費用が変動する3つのポイント
新入社員研修を外部に委託をする場合、基本的に外部研修会社が研修内容をカスタマイズして提案してくれます。依頼する内容が変われば、当然費用も大きく変わっていきます。費用が変動するポイントを以下の3つからみていきましょう。
- 新入社員研修に参加する人数
- 新入社員に対して実施する研修内容
- 実際に新入社員研修を実施する場所
1. 参加人数
参加人数が多くなればなるほど、サポート役の講師を用意したり、2グループ・3グループに分けて実施したりしなければなりません。このように増えた手間が費用に反映されるのです。
人数が少ない場合は「合同の新入社員研修」など、公開セミナーや研修に出向くのも1つの手です。費用はさまざまですが、1名1日あたり「2〜5万円」で受講できます。こちらの方が安いケースもあるため、しっかりと吟味しましょう。
2. 研修内容
外部研修会社はさまざまなプログラムを用意しており、このプログラムの組み合わせで研修内容を決定します。「スキルを要する研修」や「準備が面倒な研修」など、それぞれの性質により費用が変わってきます。1つ1つのプログラムの費用とカスタマイズ内容によって料金が変動するのです。
3. 場所
自社に新入社員研修が実施できる場所があれば問題ありませんが、場所がなければ会場を抑えなければいけません。大規模になれば大規模になるほど、比例して費用が高くなります。
費用を安くするために郊外の会場を借りたとしても、講師の交通費や宿泊費が高くなってしまう場合があるので注意しましょう。
新入社員研修の代表的なカリキュラム5つを紹介
新入社員研修の目的を達成するために、さまざまなカリキュラムが用意されています。代表的なカリキュラムを以下の5つから紹介します。
- ビジネスマナー研修
- コミュニケーションスキル研修
- ビジネスシミュレーション研修
- 実務研修
- フォローアップ研修
1. 基本中の基本「ビジネスマナー研修」
社会人として身に付けておきたい最低限のマナーを習得するビジネスマナー研修です。具体的な「最低限のマナー」は以下の6つが考えられます。
- 挨拶
- 言葉遣い
- 礼儀作法
- 身だしなみ
- 電話応対
- 名刺交換の仕方
ある程度のコミュニティに属していたとはいえ、ほとんどの学生はビジネスマナーをわきまえていないことが多いです。状況によっては、対話・講義型で実施されるほか、ロールプレイング・グループワークを採り入れた体験型で実施される場合もあります。
ロールプレイング・グループワーク
ロールプレイング・グループワークとは、グループに分かれて、各人がさまざまな役割を担ってシミュレーションしていく手法です。言葉やテキストでは伝わりにくいことも多いため、実際にやってみてマナーを習得していくことが目的です。効率的に学ぶことができるため、多くの外部研修会社が取り入れているようです。
2. 社会人として必須の「コミュニケーションスキル研修」
社会人として働いていく上で、さまざまな立場の人と円滑な人間関係を構築する必要があります。学生のコミュニケーションスキルと社会人として求められているスキルは少し違うため、研修でおさえていきたいところです。
具体的には、「報・連・相」の仕方や、相手の立場を考えた発言の仕方などが挙げられます。こちらでも、ロールプレイング・グループワークなどの体験型で実施するのが効果的です。
3. 実務をイメージする「ビジネスシミュレーション研修」
ビジネスを展開するうえでよくある場面を「模擬体験」させ、ビジネスの仕組みを学ばせる研修がビジネスシミュレーション研修です。業界・業種によって、さまざまなテーマ・形式で実施されるのが特徴です。
たとえば、店舗であれば「接客シミュレーション」を、営業であれば「プレゼン・交渉シミュレーション」を実施するなど。ビジネスゲームと呼ばれる、体験型のプログラムが採用される場合もあります。
4. 習うより慣れろ「実務研修」
業務遂行に必要な最低限の知識・スキルを身に付けさせ、配属先でスムーズに仕事に取り組めるよう実施される研修が実務研修です。業界・業種・ビジネススタイルに応じて、自社独自のプログラム・カリキュラムを用意するのが一般的といえるでしょう。
たとえば、システム開発会社であれば、最低限身に付けておきたい「プログラミングスキル」を学ばせるなどが挙げられます。
5. 振り返りが非常に重要だからこその「フォローアップ研修」
新入社員研修が完了した後、入社から今までを振り返り、改めての「確認」や「これからのことを考える」などを兼ねて実施される研修がフォローアップ研修です。実践を伴わないような新入社員研修の場合、頭では理解しているつもりでも実際にはなかなか身に付かないものです。
実務を経て経験を積んだうえで、振り返りを行うフォローアップ研修を実施すれば、知識と経験が結びつきやすくなります。
新入社員研修を実施する5つの目的とは?
新入社員研修を実施する目的は、企業によってどこに重きをおくのかで変わってきます。目的を明確にして効率的な新入社員研修を実施することが大切です。新入社員研修を実施する目的を、以下の5つからみていきましょう。
- 社会人としての意識向上
- 社会人としての必要な知識・考え方を教える
- 企業や職場の雰囲気などを理解してもらう
- 「ビジネスマナー」など一般的なマナーを身に付けさせる
- 業務を遂行する上で必要最低限なスキルを身に付けさせる
1. 社会人としての意識向上
端的に言えば、学生気分を改めてもらうという目的です。責任感だったり、能動的に動いてもらったり…学生とは、まったく違う意識を持ってもらわないと企業としては困ってしまいます。
「好き嫌いを言わずに仕事をしないといけない」「時間管理が徹底されている」など、社会人として自覚をしてもらうという1つのきっかけになる重要な目的があるのです。
2. 社会人としての必要な知識・考え方を教える
「コンプライアンス」「経済」「経営」にまつわる話を教えることも大きな目的です。給料をもらう以上、会社に対して「利益を上げるような働きをしないといけない」ということを理解してもらいます。例えば経営の話だと、勉強するにも「会社がお金を出してくれている」ことや、報告の義務が発生することを学んでもらいます。
特に昨今では「SNSの扱い」について、コンプライアンス遵守を徹底させることを大きな目的として新入社員研修を実施している企業も多いです。情報漏洩をしてしまったことで、会社がどのような被害を受けてしまうのか?自身はどのような処罰になるのか?そして、結果として「企業ブランドを守る」ことも目的になっています。
3. 企業や職場の雰囲気などを理解してもらう
自身が入社した会社がどのような会社なのか?を理解してもらう目的もあります。どの企業にも経営理念だったり、経営基本方針だったり、会社としての方向性というものを持っています。これを教え込むことで「あなたが入社した会社はこんな感じだよ」とイメージしてもらうことができるわけです。
職場の雰囲気を実際に見てもらうために、さまざまな部署を短期で実務をこなすような研修を実施している企業も存在するようです。中には、半年ぐらいの研修期間を経て配属するケースもあります。実務への慣れが非常に早いメリットを持っています。
4. 「ビジネスマナー」など一般的なマナーを身に付けさせる
名刺交換、打合せの実施方法、上座・下座など、一般的なビジネスマナーを身に付けさせることも新入社員研修の目的です。お客さんはもちろんのこと、上司に失礼があれば不利益を被ってしまいます。状況によっては、大きな損失を生んでしまう可能性も否定できません。
5. 業務を遂行する上で必要最低限なスキルを身に付けさせる
専門性の強い業種の場合は、必要最低限のスキルを身に付けさせることを目的に新入社員研修を実施するケースもあります。わかりやすいところでいうと、飲食店などの接客業です。プログラミングをするようなソフト開発会社の場合は、時間をかけて開発言語の習得をさせたり、金融商品を扱うような業種の会社では、経済に関する基礎知識を身に付けさせたりしています。
新入社員研修で効果的に人材育成するための6つのポイントとは?
新入社員研修は単に実施するだけではなく、効果的に人材育成できるようにしたいものです。ヒントとなるポイントを以下の6つから紹介しておきましょう。
- 新入社員研修の目標を決める
- カリキュラムの順番・スケジュールを考える
- アンケート・テストで新入社員のスキルを把握する
- OJTはトレーナーが重要
- 振り返り・フォローアップ研修が重要
- 企業理念・ビジョンは経営層が伝える
1. 新入社員研修の目標を決める
新卒者を対象にした新入社員研修は、どうしても基礎的・画一的なプログラム・カリキュラムになりがちです。しかし、業界・業種はもちろんのこと、ビジネススタイルはそれぞれの会社で異なります。どういった知識・スキルを身に付けて欲しいのか?新入社員研修の具体的な目標を定めるとよいでしょう。
例えば、経営陣・人事部の漠然とした理想だけでなく、配属先となる現場の意見も集約し、新入社員がスタートラインに立った時点で持っているべき知識・スキルを明確化することなど。目標が定まれば、新入社員研修にどのようなプログラム・カリキュラムを取り入れるべきなのかが見えてきます。
2. カリキュラムの順番・スケジュールを考える
新入社員研修に費やすべき時間は、会社の考え方・事情によって異なります。新入社員研修を効果的に実施するためにも、配属時期から逆算したスケジュールを決め、消化していくカリキュラムの順番を検討することが重要です。
新入社員研修は、入社から1か月まで、長くても3か月までに完了させることが多いです。ビジネスマナー・コミュニケーションといった社会人としての基礎を学ばせ、その後にビジネスシミュレーション・実務研修を実施するのが一般的です。
3. アンケート・テストで新入社員のスキルを把握する
例えば集合研修をした場合、個々の状況を把握することは難しいでしょう。だからこそ、アンケートやテストを実施して新入社員個々の考え方や知識・スキルの把握をします。適正に応じた人材育成プログラムを立案したり、配属先の決定の情報にしたり、さまざまな場面で役立ちます。
4. OJTはトレーナーが重要
業務に必要とされる実践的な知識・スキルを計画的かつ体系的に学べるOJT(On The Job Training)は、新入社員の育成に最適な研修です。ただし、OJTを効果的にできるかどうかはトレーナー次第になります。例えば、研修で学んだ要素とあまりに剥離するようなOJTをしてしまうと、新入社員が混乱してしまうことに繋がります。
配属先にOJTをすべて任せてしまうのではなく、トレーナーとなる上司・先輩スタッフの教育も必要です。トレーナーが大きな負担を感じることのない環境を用意するのはもちろん、新入社員の教育技術・習慣を身に付けさせるのも大事と理解するとよいでしょう。
もし自社でトレーナーを育成できないのであれば外部研修会社のOJTプログラムを活用する方法もあるため、視野に入れて計画をしていきましょう。
5. 振り返り・フォローアップ研修が重要
新入社員研修で学んだことを実践的な知識・スキルとして定着させるには、振り返り・フォローアップ研修の実施が重要です。OJTに慣れてきた入社3〜6か月後頃に実施することを目安にしておくとよいでしょう。振り返りによって復習できるフォローアップ研修は、非常に重要と理解しておくとよいでしょう。
6. 企業理念・ビジョンは経営層が伝える
新入社員研修の目的のひとつに、自社の企業理念・ビジョンを正しく理解させることが挙げられます。これに関しては、経営層が直接新入社員に伝えることが重要です。早期離職してしまう新入社員が挙げる退職理由は、そのほとんどが「業務内容や自身の役割への理解不足」です。
こうした理解不足を避けるためにも、企業理念・ビジョン・価値観をしっかり伝える必要があるわけです。この役割を経営層が担うことで、より説得力が増すため理解してもらいやすくなります。
まとめ
ポテンシャル採用が基本の新卒者に対しては、社会人としてスタートできる最低限の知識・スキルを身に付けさせ、企業の一員としてビジネスを進めていくための意識改革を促す新入社員研修が必要です。効果的な新入社員研修を実施し、人材育成の基礎を築くためにも、外部研修会社の協力を仰ぐのがおすすめです。
しかし、費用・料金体系の異なる多種多様な研修会社があるなか、依頼する候補先を選ぶことすら迷ってしまうこともあるでしょう。「比較ビズ」なら、必要事項を入力する2分程度の手間で、優良な研修会社をスピーディーに探せます。複数の会社に無料で相談できるのもポイント。研修会社の選定に迷うようなことがあれば、是非利用してみてください。
株式会社ワイズエフェクト 代表取締役。大学卒業後、株式会社サンリオに入社。人事部、商品部を経て居住の地を名古屋に移し、現在は全国で「企業の資産の一つである人材を真の人財にするための研修講師」として活動中。トヨタ、ドコモなど大手企業から中小企業まで既に48000人以上のビジネスマンが受講。また芸能事務所タイタン主催の「タイタンの学校」のレギュラー講師、ミス・ユニバース、ミス・ジャパンなどにビューティキャンプ講師として長年携わる。著書は2冊。
新入社員研修は毎年ご担当者様もお悩みになられるところだと思います。単にビジネスマナーだけでいいのか、コミュニケーションや社会人としての基礎力まで必要なのか、それよりも現場で必要な内容を実施した方が良いのか?数々のお悩みのことと思います。
費用面で言えば、ビジネスマナーを短期間で知り、ワークなどを取り入れ身につけるというところでは、各社でそこまで差はないかもしれません。しかし、新入社員研修で大事なことは、今ではビジネスマナーはYoutubeでも見ることが出来る状態です。単に本に書いてあるような内容ではないところに研修の醍醐味があります。
研修でも集合研修で様々な企業様が集まり実施される場合は、費用面も抑えられますが、御社のビジネス内容やビジネスシーンを具体的に描いて実施されるものではありません。あくまで一般的になるので新入社員自体のカスタマイズが必要になります。
しかし、昨今の新入社員の場合はそのカスタマイズが難しいのが実情です。出来る限り、御社の事業を理解し具体的なビジネスシーンを想定したビジネスマナーを実施できると良いでしょう。
また、新入社員研修としてもビジネスマナーだけではなく、マインドとコミュニケーションスキルを一緒にインプットし意識をキャリアという点で自己成長に繋げて指導していくことが重要です。新入社員研修はビジネスマナーは普遍的でも最初にマインドとコミュニケーションを時代を捉えてセットすることが企業にとって”真の人財”を創ることに繋がります。