任意整理の手続きにかかる期間は?返済期間やポイントを解説

こしだ司法書士事務所
監修者
こしだ司法書士事務所 司法書士 越田一希
最終更新日:2023年04月20日
任意整理の手続きにかかる期間は?返済期間やポイントを解説
この記事で解決できるお悩み
  • 任意整理の手続きにかかる期間はどのくらい?
  • 任意整理後の返済期間はどのくらい?
  • 任意整理を利用する前に把握しておくべきポイントとは?

任意整理はさまざまな手続きや計算が必要になるため、手続きが終わるまでの期間を長めに考えておく必要があります。具体的にどのくらいの期間がかかるでしょうか?

この記事では任意整理のメリットやデメリットを交えつつ、手続きにかかる期間や返済期間をまとめました。借金の返済にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

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任意整理の手続きにかかる期間と流れ

本を開いているビジネスマン

任意整理は、以下の手順に沿って手続きを進めていきます。

  1. 弁護士や司法書士に相談
  2. 債権者への受任通知
  3. 取引履歴の開示請求や債務額の調査
  4. 利息制限法による引き直し計算
  5. 債務者との和解交渉
  6. 返済再開

任意整理の手続きがすべて終わるまでに必要な期間は3カ月〜6カ月です。個人再生や自己破産よりも早く手続きが完了するため、借金の返済に悩んでいる場合はすぐに弁護士か司法書士へ相談しましょう。

ステップ1. 弁護士や司法書士に相談

任意整理の手続きを依頼する弁護士や司法書士を探します。今後の対応をスムーズに進めるためにも、借金総額や毎月の収支状況を把握できる書類を準備しておくことが重要です。

上記を確認後、今後のスケジュールや毎月の返済額などを決めていきます。

ステップ2. 債権者への受任通知

任意整理を依頼する弁護士や司法書士と正式に契約した後、債権者へ受任通知を送付します。受任通知とは弁護士や司法書士が債務者の代理人として、任意整理の手続きを進めることを債権者へ知らせることです。

銀行や消費者金融など、債権者に受任通知が届いた段階で借金の取り立てが止まります。

ステップ3. 取引履歴の開示請求や債務額の調査

任意整理の依頼を受けた弁護士や司法書士は、債権者から取引履歴の開示を要求します。返済額や日付を取引履歴から確認し、現状の借金額を正確に把握することが目的です。

ステップ4. 利息制限法による引き直し計算

利息制限法では借金額に応じて上限金利を定めています。上限率の変動に関して下記の表にまとめました。

  借金額が10万円未満 借金額が10万円以上〜100万円未満 借金額が100万円以上
上限金利 年20% 年18% 年15%

参照:日本貸金業協会

弁護士や司法書士は利息制限法に基づいた利息の計算をおこない、過払い金の有無を確認します。過払い金があった場合は返還請求によって、借金の支払い義務がなくなるため、借金返済に悩まされる心配がありません。

過払い金がなかった場合は借金額を確定し、債務者との和解交渉に進みます。

ステップ5. 債務者との和解交渉

債権者との和解交渉では、算出した借金額の将来利息分をカットしたうえで、分割払いの合意獲得を目指します。弁護士や司法書士が債権者と交渉するため、債務者が交渉の場に立ち合う必要はありません。

ステップ6. 返済再開

弁護士や司法書士と債権者の間で和解契約が締結されれば、任意整理の手続きは完了です。和解契約書に記載された日付から、借金の返済が再開します。

任意整理後の返済期間

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任意整理によって借金額が確定した後、以下の期間内での借金完済を目指します。

  • 原則的に3〜5年で残額を支払う
  • 場合によっては返済期間を延長できる

返済期間の延長はあくまで例外的な措置です。3〜5年での返済を目指しましょう。

原則的に3〜5年で残額を支払う

任意整理により定められる借金の返済期間は3〜5年です。任意整理後の返済期間には、法的な規定はありません。民事再生が3年返済を原則としている影響から、3年前後での借金返済を目指すのが一般的です。

支払能力や借金額により、支払期間が多少変動します。毎月の返済方法は「債権者に自ら振り込む」または「弁護士や司法書士を介して送金する」どちらかを選んでください。

弁護士や司法書士を介して返済する場合債権者とのやりとりを依頼でき、ストレスや不安を軽減できる点がメリットです。手数料が発生するため、手元の残金は少なくなります。

弁護士や司法書士を介すべきか、慎重に検討してから返済方法を決めましょう。

場合によっては返済期間を延長できる

場合により返済期間を5年以上に設定可能です。借金額が大きい場合や債務者の収入が少ない場合、7年を目処に応じてくれる債権者もいます。

債権者側は元金を回収できなければ赤字です。返済期間延長により元金を回収できる見込みが出てくる場合は、交渉に応じてくれる可能性もあります。

ただし、任意整理後の返済期間は3〜5年が原則的なルールです。期限延長は例外的な措置であり、債権者がかならず応じる保証はありません。

安定した収入が得られる企業への就職や返済実績の積み上げなど、借金返済の見込みを高める努力が必要です。また、返済期間延長に向け、交渉力に優れた弁護士や司法書士を選ぶのも1つの選択肢です。

任意整理後は数年間ブラックリストに掲載

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任意整理を弁護士や司法書士へ依頼すると、債務者の情報がブラックリストに掲載されます。ブラックリストにはどのくらいの期間、掲載されるでしょうか。

また、ブラックリストに掲載されると、どのようなリスクが生じるでしょうか。

ブラックリストが解除されるタイミングは債権者によって異なるため、正確な時期を認識しておくことが重要です。

ブラックリストに登録される期間は5年

任意整理の手続き中に受任通知が債権者に渡ると、ブラックリストに債務者の情報が登録されます。ブラックリストから情報が削除されるタイミングは、基本的に借金完済後から5年後です。

ただし、任意整理での和解契約締結から5年後に設定される可能性もあるため、正確な情報を確認しておきましょう。

ブラックリストとは、信用情報機関に事故情報が登録されている状態を指します。日本には「CIC」「JICC」「KSC」3つの信用情報機関が存在しますが、どの機関に登録されても事故情報が削除されるのは5年後です。

個人再生や自己破産の場合は10年に設定される可能性もありますが、任意整理の場合は5年に統一されています。

信用情報機関とは過去の取引情報を管理する機関

信用情報機関は、クレジットカードの支払いや各種ローンの契約状況など、個人がおこなった過去の取引情報を管理する機関です。ブラックリストに掲載されると信用情報機関から支払い能力や信用性を疑問視されるため、新たな借り入れは原則的にできません。

ブラックリストへの登録によって生じるリスク

ブラックリストに情報が登録されると制限が生じ、生活での利便性が低下します。ブラックリストへの掲載により、できなくなることは以下のとおりです。

  • クレジットカードの利用や新規作成
  • 住宅ローンやキャッシングなど新規借り入れ
  • 賃貸住宅への入居
  • 携帯電話やスマートフォンの分割支払い
  • 子どもの奨学金の保証人

ブラックリストから削除された後も、すぐにはキャッシングや住宅ローン契約を結べません。

過去5年以上取引履歴がないと「ブラックリストに掲載されていた」と警戒され、審査に落ちる可能性が高いです。信頼回復に向け、審査の基準が軽い企業でクレジットカードを作成し、利用実績を着実に重ねましょう。

ブラックリストに掲載されても、パートナーや家族への影響はありません。任意整理や借金の事実が周囲に知られる心配もないため、1人で抱え込まず弁護士や司法書士へ相談しましょう。

任意整理を利用できる条件

任意整理の利用に収入に関する要件はありません。ただし、3〜5年以内での借金完済を目指す以上、数年間継続的に支払いが可能な収入を得ていることが前提となります。

上記に加え、毎月の返済額や返済スケジュールを記載した返済計画を明確に示すことが重要です。借金返済の見込みが持てない限り、債権者は任意整理に応じません。

毎月の返済金額は、手取り収入から家賃を引いた3分の1未満に収まっていることが重要です。3分の1を超えている場合、生活費とのかね合いで借金返済がとどこおる可能性が高くなります。

任意整理の利用可否の判断材料として、任意整理を利用可能なケースと不可能なケースを以下にまとめました。

任意整理を利用可能なケース 任意整理を利用不可能なケース
・数年間にわたって借金を支払えるだけの収入がある
・返済する意思を明確に示せる
・借金額が多すぎる
・借金返済に必要な収入を得られていない
・過去に同じ金融機関で任意整理をした経験がある

任意整理を利用する前に把握しておくべき5つのポイント

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任意整理を利用しても、借金の返済義務がなくなるわけではありません。加えて任意整理を成功させるため、以下5つのポイントを理解しておくことが重要です。

  1. 弁護士と司法書士の違いを理解しておく
  2. 2カ月以上借金を滞納できないことを理解しておく
  3. 同じ金融機関から借金できないことを理解しておく
  4. 大手の消費者金融は比較的交渉に応じてくれる
  5. 個人再生や自己破産も検討する

ポイントの内容を1つひとつみていきましょう。

ポイント1. 弁護士と司法書士の違いを理解しておく

弁護士と司法書士では、任意整理で扱える範囲が異なります。司法書士の場合、1社からの債権額が140万未満の場合のみ任意整理を依頼できます。

法律によって司法書士が扱える債務額は決まっており、過払い金額が140万円を超えた場合も、司法書士では対応できません。司法書士への依頼により得られるメリットは、弁護士よりも依頼費用を抑えられる点です。

弁護士の場合は、債権額や過払い金額に関わらず任意整理を依頼できます。債権者との代理交渉や過払い金の早期返還など、手続き全般を依頼できる点も魅力です。

どちらに依頼するか迷っている場合、まずは弁護士に相談してみましょう。

ポイント2. 2カ月以上借金を滞納できないことを理解しておく

任意整理によって決められた返済額の滞納が認められる期間は1カ月までです。2カ月以上返済がとどこおると、借金を一括で支払わなければなりません。

借金返済の期間が2カ月以上とどこおると、期限の利益が失われます。期限の利益とは、民法によって定められている債務者側の権利です。

支払い期日が来るまで、債権者は債務者に対して支払いの請求や催促をおこなえません。しかし、借金の滞納期間が2カ月を超えると、上記の権利を失います。

一括支払いを命じられないよう、滞納期限は1カ月以内に留めましょう。滞納分を含めて次月にまとめて支払えば、権利を失わずに済みます。

ポイント3. 同じ金融機関から借金できないことを理解しておく

任意整理は債務不履行に該当し、債権者との信頼関係は崩壊している状態です。ブラックリストや信用情報機関から事故情報が削除された後も、任意整理をおこなった事実に変わりはありません。

債権者側のデータベースには任意整理の記録が半永久的に残されています。同じ金融機関から借り入れをするのは事実上不可能です。

借金完済後から5年間は、ブラックリストに登録されています。登録期間中は、新たな借り入れやローン契約の締結はできません。

ポイント4. 大手の消費者金融は比較的交渉に応じてくれる

アコムやアイフルなど大手消費者金融は、中小消費者金融より比較的任意整理に応じてくれる傾向があります。消費者金融だけに留まらず、債権者にとって回避しなければならないのは債務者の自己破産です。

債務者が自己破産を選択することで、債務者はこれまで貸していたお金を回収できません。債権回収率を高めるためにも、基本的には交渉に応じてくれます。

ただし、貸付期間が1年の場合や1度も返済実績がないなど、返済能力が低いとみなされた場合は、任意整理に応じてくれません。和解交渉での合意締結を実現するためにも、まずは返済実績を作ることが重要です。

ポイント5. 個人再生や自己破産も検討する

任意整理をしても借金返済が難しい場合、個人再生や自己破産を検討しましょう。

個人再生は借金の総額を5分の1〜10分の1まで減額できる制度ですが、住宅ローン以外にローン契約を締結中の財産はすべて失います。手続きの期間は半年〜1年かかり、書類作成や裁判所への出廷が必要です。

自己破産は不動産や車などの財産をすべて失う代わりに、借金の返済を全額免除される制度になります。クレジットカードは最長10年利用不可で、手続きが完了するまでは弁護士や公認会計士など、特定の資格を使う仕事はできません。

任意整理がうまくいかなかった場合の手段として、個人再生や自己破産も理解を深めておくことが重要です。

まとめ

今回の記事では以下の4点を解説しました。

  • 任意整理の手続きにかかる期間
  • 任意整理後の返済期間
  • 任意整理を利用できる条件
  • 任意整理を利用する前に把握しておくべきポイント

任意整理は3〜5年の期間で借金を完済する必要があります。任意整理を利用するには安定した収入が必要となり、債権者に返済意思を明確に示すためにも、返済計画を作成することが重要です。

任意整理を利用した借金返済には、弁護士か司法書士へ依頼します。しかし、初めて弁護士や司法書士へ相談する場合、どのように依頼先を探したらいいかわからない方もいるでしょう。

「比較ビズ」を利用すれば、必要事項を入力する2分程度で弁護士事務所や司法書士事務所を探し出せます。複数の事務所に無料で相談が可能です。

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監修者のコメント
こしだ司法書士事務所
司法書士 越田一希

1984年京都市生まれ。不動産・相続・会社の「登記」に必要な手続きを代理する専門家であり、若手ならではのフットワークの軽さと様々な職業経験で培った対応力を持つ法務大臣認定司法書士。自身が法律知識ゼロで資格学習を開始した経験から法律の適用や用語の難しさを理解しており、平易でわかりやすい説明を心がけており評価を得ている。

任意整理を司法書士や弁護士といった専門家に依頼した場合、1〜3ヶ月程度で完了し、そこから新たな返済条件での返済が開始、3〜5年かけて返済していくという流れになります。

基本的に依頼後は必要な書類を専門家に渡してご自身の状況を説明するだけです。あとは依頼者がご自身行う事はほぼありませんので、専門家が交渉を締結するまで待っているだけで大丈夫です。

この時に注意していただきたいのが「嘘をつかない」という事です。

・依頼後に新たに借金を増やしてしまった
・借り入れをした理由が実はギャンブルだった
・借り入れ内容について過少(過大)申告していた

といったような内容などの場合は、恥ずかしいとか後ろめたいといった感情により正確な内容を専門家に告げられない場合があります。

うそはかならずどこかのタイミングで判明することですし、債権者と交渉していく上で内容に齟齬があれば当然期間も長くなり、依頼人に有利な交渉を行うことも難しくなっていきます。

また、他の有効な手段を使うという選択肢を消してしまうことにもなりますし、せっかく依頼した専門家との信頼関係を損なうことにも繋がります。

専門家に依頼をする際は、ご自身の味方である専門家に対して誠実に対応することが一番重要なことであり依頼人ご自身の利益につながるのだとお考えください。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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