任意整理ができないケースとは?基本知識と対処法をわかりやすく解説
- 任意整理ができないケースと理由は?
- 任意整理ができない場合の対処法とは?
- 任意整理の基本的な知識が知りたい
任意整理とは、裁判所を介さずに債権者との直接交渉で借金の返済条件を見直す方法です。しかし、すべてのケースで対応してもらえるものではありません。
この記事では、任意整理を検討している方向けに、任意整理が対応できないケースや対処法を解説します。記事を読み終わった頃には、任意整理を行動に移せるでしょう。
「自分は任意整理をできるのか知りたい」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
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任意整理とは返済条件を緩和すること
はじめに任意整理とはなにかを確認しましょう。任意整理とは、債務者と債権者の直接交渉により、返済額の減額や返済期間の短縮、利息の免除や分割払いの見直しをすることです。毎月の返済額が減り、借金完済期間も短くすることが目的です。任意整理によって見直した金額を原則3年(最長5年)の内に返済しなければなりません。
弁護士に依頼することで必ず成功するとは限りません。借金の内容により任意整理ができない場合があります。個人再生や自己破産など、ほかの債務整理の検討も必要です。
また任意整理は、最も簡単で費用も安い債務整理ですが万能ではありません。借金を任意整理で解決できるかどうかは、専門家に相談することも大切です。
任意整理ができない6つのケース
任意整理は、交渉することで誰でも和解してもらえるものではありません。和解に応じてもらえず任意整理ができないケースがあり、以下の6つが該当します。
- 元金が大きすぎて返済できるほどの収入がない
- 税金や公共料金の滞納が要因である
- 借金に保証人や担保がついている
- すでに借入先から差押えられている
- 借りてから数回しか返済していない
- 債権者が和解に応じない
1. 元金が大きすぎて返済できるほどの収入がない
元金が大きすぎて返済できる収入がない場合は、返済の目処が立てられないため、任意整理に応じてもらえない可能性があります。返済条件は緩和されますが、借金の元金が減額されることは滅多にないため、元金を返済するための収入が必要です。
元金を減らす場合は、自己破産や個人再生の手続きを検討しましょう。自己破産は、借金を免除してもらえる制度ですが、信用情報に長期間記録が残ります。個人再生は、借金の大幅な減額が可能ですが、利用要件や手続きが複雑であり、費用が高くなります。
2. 税金や公共料金の滞納が要因である
税金や公共料金は、任意整理が困難です。公的機関は国民全体の利益を考える立場であり、一部の債務者に対して特別な措置をとることに抵抗感を持つためです。
税金や公共料金の場合は任意整理ではなく、自己破産や個人再生の手続きを検討しましょう。税金や公共料金も含め、借金を免除または減額ができます。ただし、以下のデメリットがあります。
- 高額な財産を失う(家や車など)
- 資格制限を受ける(警備員や保険外交員など)
- 非免責債権は免除されない(税金や養育費など)
- 免責不許可になる可能性がある(賭博や浪費などの理由による場合)
- 信用情報機関に事故情報が登録される
3. 借金に保証人や担保がついている
任意整理は保証人や担保のある借金には向きません。任意整理をすると、債権者は、確実に回収できる方法として保証人への支払い請求や担保を差し押さえ、貸付金の回収を図ります。債務者の分割払いよりも「確実に回収できる」と判断するためです。
4. すでに借入先から差押えられている
すでに借入先から差し押さえられている場合は、任意整理に応じてもらえません。差し押さえとは、借金を長期間返済しないと債権者が裁判所に申し立て、債務者の給料や預金、不動産などの財産を徴収することです。
債権者と債務者が話し合い、返済条件を変更するよりも、差し押さえをする方が確実に貸付金を回収できるため、任意整理は困難です。
差し押さえがおこなわれている状況下で債務整理する場合は、個人再生・自己破産の手続きを検討しましょう。個人再生・自己破産の手続きが開始された時点で、差し押さえは中止されます。
5. 借りてから数回しか返済していない
数回しか返済していない場合は、任意整理に応じてもらえない可能性があります。債権者がお金を貸し付ける目的は、利息で利益を得るためです。
利息をほとんど支払っていない場合、任意整理に応じると債権者にとって損失につながります。任意整理ではなく、自己破産や個人再生の手続きを検討し、裁判所の手続きで借金を免除または減額しましょう。
取引期間が短く任意整理できない場合、返済を継続し実績を積んでから依頼する検討も必要です。返済が困難な場合は、早めに対処しましょう。弁護士や司法書士に相談してみることも有効です。
6. 債権者が和解に応じない
任意整理は、債権者の同意がなければ成立しません。債権者は任意整理に応じる義務はなく、和解に応じない場合もあります。理由は以下の7つです。
- 債権者が中小の金融機関である場合
- 債権者と弁護士・司法書士との関係が悪い場合
- 借りてから間もない場合
- 借金の金額が多額過ぎる場合
- 低利息の借金の場合
- 担保を提供している借金の場合
- 債権者からすでに裁判所の手続きを申し立てられている場合
任意整理は、弁護士や司法書士が債権者との交渉で成立します。交渉力や経験が重要です。弁護士や司法書士によっては、任意整理に応じてもらえる可能性もあります。1度断られた場合でもあきらめず、複数の弁護士や司法書士に相談するといいでしょう。
任意整理ができない場合の3つの対処法
任意整理ができない場合は、別の方法で借金を減額したり免除する方法があります。主な対処方法は以下の3つです。
- 自己破産・個人再生を検討する
- 返済実績を積んだ後に任意整理を依頼する
- 別の弁護士や司法書士に依頼する
自己破産・個人再生を検討する
自己破産と個人再生はともに、裁判所に申し立てを起こします。自己破産は、借金を免除してもらう方法です。個人再生は、借金の一部を減額してもらい、残りを分割払いします。
自己破産のメリットは、借金がなくなる点です。デメリットは財産を失ったり、資格制限があります。個人再生は、財産を失わないメリットがあります。デメリットは利用要件が厳しく、手続きが複雑な点です。
自己破産や個人再生は、選択する方法によりデメリットがことなるため、注意が必要です。
返済実績を積んだ後に任意整理を依頼する
任意整理は債権者の同意が必要であり、信用が重要です。債権者に信用されるためには、返済実績を積むことが効果的です。返済実績とは、借り入れてから一定期間以上返済を継続していることを指します。返済を継続することで、債権者は債務者の返済意思や能力を認めてもらえます。
返済実績を積むためには、返済を欠かさないことはもちろん、債権者と返済計画や事情を話し合い、前提条件を整理することが大切です。
返済実績を積んだ後に任意整理を依頼する場合は、専門家に相談して適切なタイミングや方法の見極め方も必要です。
別の弁護士や司法書士に依頼する
債権者との交渉は、弁護士や司法書士のスキルや経験、人間関係などにより大きく変わります。別の弁護士や司法書士に依頼することで、任意整理に応じてもらえる可能性もあります。
弁護士や司法書士に依頼する場合は、複数の事務所に相談しましょう。任意整理を依頼する前に費用や期間、成功率などを確認することも重要です。「任意整理できない」と言われた理由や事情も、正直に伝えます。
まとめ
任意整理は、裁判所を通さずに債権者と直接交渉して、返済条件を緩和する手続きです。返済額の減額や返済期間の短縮などメリットもありますがデメリットもあります。借金の内容によっては、任意整理が利用できない場合もあるため注意が必要です。
任意整理は、債権者と債務者の直接交渉により決定するため交渉力で決まります。自分で行うこともできますが、経験豊富な専門家に依頼することも検討しましょう。専門家を詳しく知らない方には、比較ビズがおすすめです。
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1984年京都市生まれ。不動産・相続・会社の「登記」に必要な手続きを代理する専門家であり、若手ならではのフットワークの軽さと様々な職業経験で培った対応力を持つ法務大臣認定司法書士。自身が法律知識ゼロで資格学習を開始した経験から法律の適用や用語の難しさを理解しており、平易でわかりやすい説明を心がけており評価を得ている。

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任意整理をする際には利息制限法を超えた利息を支払っていた過去があるなどの、いわゆる「過払い金返還請求」ができるような場合は特に注意が必要です。
専門家を通さずに任意整理の手続きをする場合は、ご自身で債権者と相談し、「将来利息をカットする」「毎月の分割返済額を減らしてもらう」というように有利な条件に変更してもらえるように交渉していくことになります。交渉が成立した場合には通常、当該内容以外に「債権債務関係なし」という文言が入った書類を作成することが多いです。
この「債権債務なし」という文言が入った契約書があると、契約書に記載されていること以外の権利の主張ができないということになり、過去の過払い金に対する返還請求などが行えなくなる可能性が高いです。
債権者からすれば交渉事に法律の素人が出てきていると考え、なるべき自社に損失が少なくなるようにたくみに誘導してくるでしょう。
司法書士や弁護士のような専門家を通した場合は、債権者との取引履歴をもとに引き直し計算といわれる利息制限法で計算しなおす作業を行います。過払いがあった場合にはその分を差し引きし、現在債務を確定させたうえで「月○○万円を○○か月支払う」といったように、任意整理の手続きに際して、過払い金の清算も同時に行うことが通常です。
専門家を通さないことによって交渉が成立しないという場合だけでなく、交渉が成立した場合であっても減らした支出以上の損失が発生しているという可能性も大いにありますので、ご自身で手続きを行うつもりであっても専門家への相談は最低限おこなっておくことをお勧めいたします。