任意整理とは?メリットやデメリット・手続きの流れを詳しく解説

こしだ司法書士事務所
監修者
こしだ司法書士事務所 司法書士 越田一希
最終更新日:2023年07月25日
任意整理とは?メリットやデメリット・手続きの流れを詳しく解説
この記事で解決できるお悩み
  • 任意整理のメリットやデメリットは?
  • 任意整理とは何?
  • 任意整理に必要な手続きは?

借金が返済できないときに役立つ任意整理について解説します。任意整理とは、債権者と交渉して借金の返済条件を変更する手続きです。

本記事では、任意整理の概要からメリットやデメリットまで説明しています。任意整理は借金の額を減額できる制度ですが、借入先が必ず応じてくれるとは限りません。

最後まで読めば、任意整理に必要な手続きや発生する費用がわかります。ぜひ参考にしてください。

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任意整理とは

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任意整理とは、消費者金融やクレジットカード会社などの債権者と交渉を行い、今後の返済計画を見直す手続きの1つです。主に将来利息や遅延損害金のカットの交渉が行われ、再度設定した返済条件を元に借金完済が進められます。

利息制限法の上限金利を超えた利息を払っていた場合、引き直し計算をすることで借金を減額できることもあるでしょう。

任意整理は裁判所に頼らず行なえるため、他の債務整理と比べると比較的簡単で早く終わる手続きです。返済条件の見直しだけではなく、督促や取り立てが止まる、事故情報の登録期間が短い、手続きする借入先を選べるなどのメリットもあります。

任意整理の対象となる借金の種類

任意整理は、消費者金融やクレジットカード会社など貸金業者からの借金が対象です。高利息で返済が難しくなることが多いため、任意整理での返済条件の緩和が利用されます。

任意整理は公共料金や税金、養育費などの借金には適用できません。法的に優先される債務に対しては、減額交渉が認められないためです。

任意整理は保証人付きの借金にも適用できます。保証人は一括返済を迫られることがあるため、適用することで保証人に迷惑がかかる可能性があることを覚えておきましょう。

任意整理で得られる4つのメリット

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任意整理には、以下4つのメリットがあります。

  • 元金のみになって返済負担が減る
  • 手続きはそれほど難しくない
  • 一部の債権者に対してのみ任意整理できる
  • 資産を手放すことなく借金の減額ができる

1. 元金のみになって返済負担が減る

任意整理では、将来利息や遅延損害金がカットされ、毎月の返済負担が減る可能性があります。たとえば、100万円を年20%の利息で10年間返済する場合、毎月約1万5000円かかります。任意整理で利息カットの交渉に成功した場合、毎月約8,000円の返済負担を減額可能です。

任意整理では、債権者との和解契約に基づいて分割払いで返済します。支払った額だけ借金残高が減るため、返済の進捗がわかりやすくなります。将来利息や遅延損害金が発生しないため、返済計画が崩れる心配もありません。任意整理により返済条件の和解ができれば、借金が元金のみになって返済負担が減るメリットがあります。

2. 手続きはそれほど難しくない

任意整理は裁判所に頼らずに行うことができるため、手続きはそれほど難しくありません。平均的には3カ月から6カ月で手続きが終了します。

自己破産や個人再生と比べ、必要書類が非常に少なく複雑な手続きも必要ありません。弁護士や司法書士に依頼することで、債権者との交渉や書類作成などを代行してもらうこともできます。

任意整理を開始すると督促や取り立てが止まり、精神的なストレスが軽減される点も大きなメリットです。

3. 一部の債権者に対して任意整理できる

任意整理では、一部の債務だけを対象にすることも可能であり「一部整理 」と呼びます。一部整理のメリットは、ブラックリスト入りの影響が小さくなること 、返済能力がある債務はそのまま返済して信用力を保てることです。

デメリットは、対象外の債務は返済方法の緩和がされないこと 、対象外の債務者から督促や取立てを受ける可能性があることです。一部整理を行う場合は、以下のポイントを意識しましょう。

  • 高利息で返済が困難なものや過払い金が発生しているものなど、負担の大きいものを選ぶこと
  • 一部整理をしない債務は、低利息で返済が可能なものや信用情報に影響を与えたくないものなど、負担の小さいものや重要なものを選ぶこと
  • 一部整理をする債務としない債務のバランスを考えること。一部整理をする債務が多すぎると、対象外の債務者から不信感や反感を持たれる可能性がある
  • 一部整理をしない債務が多すぎると、返済負担が軽減されない可能性がある

4. 資産を手放すことなく借金の減額ができる

任意整理では「一部整理 」と呼ばれる、一部の債務だけを対象にする方法があります。自己破産では、自宅や車などの資産を手放すことが求められますが、任意整理では求められません。

自己資産の整理を求められないからと資産を残すことで、債権者に不利益を与える場合は、売却して返済に充てることが望ましいでしょう。

任意整理で発生する4つのデメリット

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任意整理は、メリットだけではなくデメリットもあります。任意整理をすると、以下のデメリットが発生します。

  • ブラックリストに載ってしまう
  • 負担は減っても返済は続く
  • 和解できないケースもある
  • 費用がかかる

1. ブラックリストに載ってしまう

任意整理を行うと、信用情報機関に登録されているブラックリストに載ってしまいます。ブラックリストに載ると、クレジットカードやローンの利用ができません。

2. 負担は減っても返済は続く

任意整理では、負担が減ったただけで元金の返済は続きます。リスケすることで1回の返済額が減る代わりに、返済期間が長くなります。

任意整理は借金を一気に解決する方法ではありません。返済能力や生活水準に見合った計画を立てる必要があります。

3. 和解できないケースもある

任意整理は、すべての借入先が応じてくれるとは限りません。債権者は自分の利益を守るために、和解交渉を拒否したり、条件を飲まなかったりします。

特に過払い金が発生している場合や、債権者が多数いる場合は、個人での交渉が難しくなります。弁護士や司法書士の力を借りるか、他の方法を検討しましょう。

4. 費用がかかる

任意整理は自分で行うこともできますが、思うような結果が得られず最終的に専門家に依頼するケースがあります。専門家費用の発生は、新たな費用負担の増加です。

専門家費用は借金の額や債権者の数によって異なりますが、一般的に数万円から数十万円かかります。任意整理にかかる印紙代や郵送費も対象です。発生した費用は、自分で負担する必要があります。

 

任意整理にかかる費用

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任意整理にかかる費用は、主に以下の6つの項目で構成されます。

  • 法律相談料
  • 着手金
  • 基本報酬
  • 減額報酬
  • 過払い金報酬

上記の費用は、弁護士や司法書士に依頼する場合に発生する費用です。自分で任意整理を行う場合、費用はかかりませんが手続きが複雑で時間や労力がかかります。

費用は各事務所が独自に設定しているため、事務所によって異なります。依頼する前に見積もりを取って比較しましょう。

任意整理にかかる費用相場は、以下のとおりです。

内容費用備考
法律相談料弁護士や司法書士に相談する際に発生する費用0〜5,000円(30分につき)無料相談を行っている事務所も多い
着手金弁護士や司法書士が依頼を受けて手続きを開始する際に発生する費用2〜5万円(1社につき)着手金無料や分割払い可能な事務所もある
基本報酬弁護士や司法書士が債権者と交渉して和解が成立した際に発生する費用(成功報酬)2〜5万円(1社につき)
減額報酬元金を減額した金額の一定割合として発生する費用(成功報酬)元金を減額した金額の10%程度
過払い金報酬過払い金を回収した金額の一定割合として発生する費用(成功報酬)回収した過払い金の額の10〜25%
返済代行料弁護士や司法書士が債権者への返済を代行する際に発生する費用1,000円程度(1社につき)

任意整理の流れ

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任意整理をする場合、弁護士や司法書士は債権者との交渉や和解書の作成などを代行してくれます。任意整理にかかる費用は、以下の項目で構成されます。

  • 相談・任意整理手続きの説明
  • 債権調査
  • 取引履歴の開示
  • 和解交渉・和解契約
  • 返済開始
  • 返済代行料

1. 相談・任意整理手続きの説明

弁護士や司法書士に自分の借金状況や返済能力を相談します。任意整理のメリットやデメリット、費用や期間などを詳しい説明を受けます。任意整理を依頼する場合は委任状を作成し、弁護士や司法書士に受任してもらいましょう。

2. 債権調査

弁護士や司法書士が債権者に対して債権確認通知書を送付し、借金の残額や利息、過払い金などを調査します。債権者から返信がくるまでに約1カ月かかります。債権者から返信がこない場合は再度催促しましょう。

3. 取引履歴の開示

債権者から返信がきたら、取引履歴を開示してもらいます。取引履歴には借入日や返済日、利息や遅延損害金などの詳細が記載されています。取引履歴をもとに利息制限法に基づいて引き直し計算を行い、過払い金があるかどうかを判断しましょう。

4. 和解交渉・和解契約

弁護士や司法書士が債権者と交渉し、将来利息や遅延損害金のカット、返済期間の延長などを求めます。債権者が応じる場合は和解契約書を作成し、双方で署名捺印しましょう。和解契約書には新たな返済条件や過払い金の返還額などが記載されます。

5. 返済開始

和解契約書に基づいて分割払いで返済を開始します。返済方法は自分で債権者に振込送金するか、弁護士や司法書士を介して送金するかを選択します。返済を滞納すると和解が破棄され、元の利息や遅延損害金が復活するおそれがあり注意が必要です。返済計画を守ることを意識しましょう。

まとめ

任意整理とは、消費者金融やクレジットカードなどの貸金業者からの借金を減額する方法です。利息や遅延損害金をカットして元金のみになり、返済負担が軽くなります。裁判所をとおさずに債権者と直接交渉するため、手続きは簡単で早く終わるでしょう。

任意整理には債権者の協力が必要で、費用は弁護士や司法書士に依頼する場合に発生します。事務所によって異なるため、見積もりを取って比較することが重要です。

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監修者のコメント
こしだ司法書士事務所
司法書士 越田一希

1984年京都市生まれ。不動産・相続・会社の「登記」に必要な手続きを代理する専門家であり、若手ならではのフットワークの軽さと様々な職業経験で培った対応力を持つ法務大臣認定司法書士。自身が法律知識ゼロで資格学習を開始した経験から法律の適用や用語の難しさを理解しており、平易でわかりやすい説明を心がけており評価を得ている。

任意整理を選択する際にはメリット・デメリットを知ったうえで、他の債務整理手段との比較をすることが必要となります。
各債務整理手続きにはそれぞれ「選択したほうが良いと思われるケース」というものがありますので、簡単にですが任意整理について考えてみましょう。

まず、
・元金だけなら3年から5年で返済できること
そもそも3〜5年の期間内に元金の返済ができない資力の状態であれば、債権者との交渉のテーブルに立つこともできません。自己の財産状況からご判断ください。

次に
・債務整理したことを他人に知られたくない
個人再生や自己破産の場合とは違い任意整理をしても官報公告への掲載はされませんので、債務整理をしたことを第三者が知る手段はほぼありません。(信用情報機関へ事故情報が登録されますので、一部金融機関などは把握することになります。)

最後に
・家や車、保証人に影響を及ぼしたくない
住宅ローンや自動車ローン、保証人がついている債権を任意整理の対象から外すことができますので、その場合は家や自動車を回収されたり保証人に迷惑をかけるといった事を避けられます。

全てを満たしている場合は債務整理の中でも「任意整理」を選択したほうがよいと考えられるでしょう。

しかし、「整理対象から一部の債権を除外することによって?の条件を満たせなくなる」などご自身の資力によっても大きく状況は異なります。様々な観点からしっかりとシミュレートする必要がありますので、安易に判断するのではなく、まずは専門家への相談をご検討ください。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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