合同会社の設立の流れ・手順【起業を考えてる方必見】
会社を立ち上げるにあたって、合同会社という形態をとるのも一つの方法です。株式会社と比較して簡単な手続きで起業できるので注目されています。ここでは設立手順合同会社設立流れについてシンプルに紹介します。これから起業しようと思っているのなら参考にしてみてください。
会社の基本事項を決める
最初に行うのは、会社の基本項目を決めることです。決定すべき内容について、以下にまとめました。
登記の申請には、書面申請のほか、マイナンバーカードをお持ちの場合は、オンライン申請も可能です。法務局での閲覧のほか、インターネットで調べることも可能です。
商号
会社の名前を決めます。この時重要なポイントが2つあります。
まずはすでに自分たちの考えている社名を使っているところがないかチェックしましょう。これは法務局に行けば閲覧可能です。
あと「合同会社」という名称をどこかにつけます。位置は最初もしくは最後につける決まりになっています。
事業目的
どんなビジネスを行うかも最初の段階で決めます。事業目的として明記した以外のビジネスはできません。
事業目的の変更は後々できます。ただしその際には費用が掛かってしまうので、将来を見据えてどうするか決めておきましょう。
所在地
定款作成や登記を申請するにあたって必要な情報です。別に「○-○-○」のような略号でも問題はないです。
資本金
資本金額をいくらにするかも最初の段階で決めます。複数の人が出し合うのであれば、誰がいくら出すのかも決めておきましょう。
資本金と関連するのが、社員構成についてです。代表社員と業務執行社員を決めます。
代表社員とは、代表取締役のような役割だと考えましょう。代表社員は1人でも複数でも構わない、業務執行社員全員が代表社員という形式もとれます。
事業年度
事業年度とは、決算期を何月にするかということです。一般的には年度末の3月とします。
しかしもし3月末だと仕事が忙しくなるというのなら、別の閑散期に設定しても構いません。決算作業は手間がかかるので、繁忙期と一緒にしないのがおすすめです。
定款の作成
定款とは、会社の憲法のようなもので基本的なルールを決めた書類です。株式会社と比較して、手間が少なくて済みます。
株式会社の場合、公証役場による認証が必須です。一方合同会社だと、公証役場の認証は不必要です。
ただしチェックが入らないということは、自分で確認しなければなりません。もし不備があれば、手続きをやり直さないといけないので注意しましょう。
定款を作成する際、記載必須の項目がありますので気をつけましょう。その項目とは以下の通りです。
- 事業目的
- 商号
- 本店所在地
- 社員の氏名と住所
- 社員全員の有限責任
- 出資者それぞれの出資金額
定款の書式については厳密な決まりはないです。しかし一般的にはA4サイズの用紙で作成します。
出資金の払い込み
定款で定められた資本金を払い込みます。登記手続きの際に、払い込みが完了していることを証明する書類が必要です。
振り込みをする際、それぞれの名前が明記されるために振込手続きを行います。もしまとめてしまうと各名義が記録として残りません。
払い込み証明のために通帳のコピーを取っておきましょう。表紙と裏面、入金記録の箇所をそれぞれコピーしておきます。
登記書類の作成
合同会社設立登記申請書を作成します。この時記載内容が決められているので、不備のないように注意しましょう。
記載内容は以下の通りです。
- 商号
- 本店所在地
- 登記の事由
- 登記すべき事項
- 資本金額
- 印紙代
- 納付書類
- 申請年月日
- 申請人情報
- 登記すべき事項につき官庁の許可を要するときは、許可書の到達した年月日
- 登録免許税の額
- 登記所の表示
記載そのものは定款に書かれていることをそのまま書き写すだけです。
ただしもし不備やミスがあると、登記の受付が却下されます。この用紙は法務局で保管されている登記簿ファイルに登録され、謄本などでも利用されます。
登記書類を提出する
登記に必要な書類を作成できれば、法務局で手続きをします。本社の所在地を管轄する法務局で受け付けています。
法務局で収入印紙を販売しているので、こちらで購入しましょう。法務局では書類に不備がないかチェックしてくれるので、問題ないといわれたら印紙を購入するといいです。
登記申請の完了予定日は、法務局のほか、法務局のHPでも確認できます。もしこの日までに何も連絡がなければ、登記手続きは完了します。
関係部署への手続きを済ませる
登記手続きが完了したら、今度は税務署や官公署に届け出の手続きを済ませます。中には提出期限が決められているものもありますから、速やかに完了させておきましょう。
税務署
税務署にいくつか書類を提出しなければなりません。主な書類として、以下のようなものがあります。
- 法人設立届出書
- 給与支払事務所等の開設届出書
- 青色申告の承認申請書
- 源泉徴収税の納期の特例の承認に関する申請書
法人設立届出書はどのような合同会社でも必須です。残り2つについては必須ではないです。
しかし給与支払い等の開設届出書は提出が望ましいと税務署も見解を出しています。従業員を雇う場合は必須でとなります。
青色申告は通常の白色申告と比較して控除額が大きいため、節税効果が期待できるので提出しておいた方がいいです。
都道府県税事務所や市町村役場
都道府県税事務所や市町村役場に、法人設立届出書を提出しなければなりません。もし東京23区内で設立する予定であれば、市町村民税も都税事務所で一括にて納税できる特例があります。
日本年金機構
合同会社を設立したら、日本年金機構で社会保険加入手続きをします。この場合、必要な書類は以下の通りです。
- 健康保険・厚生年金保険新規適用届
- 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得書
- 被扶養者届 (被保険者に被扶養者がいる場合など)
もし従業員を雇用するのであれば、雇用保険や労働保険の手続きをしなければなりません。またビジネスのタイプによっては、許認可が必要なケースもありますから忘れることなく手続きを進めておきましょう。
まとめ
このように合同会社を設立するためには、いくつかの段階を踏む必要があります。株式会社と比較すると簡潔ではありますが、それでも自分ですべて行うとなると大変です。
もし自分でやるのは難しそう、本業に注力したければ、専門家に依頼する方法もあります。手続き期間を短縮できますし、ミスの発生も減りますから検討する価値はあるでしょう。
なお弊社が運営しているビジネスマッチングサービス『比較ビズ』では会社設立のサポートや経営サポートを行ってくれる専門家(税理士やコンサルなど)が多数登録しています。
一括で複数の事務所に会社設立の相談が可能です。会社設立をスムーズに進めるための手段として使ってみてはいかがでしょうか。
市役所退職後、行政書士として個人開業。相続、遺言作成支援、成年後見制度利用支援、福祉サービス提供のための法人設立、障害福祉サービス事業所指定申請業務など、福祉・介護分野の業務を中心に受注。また、福祉の専門性を上げるため、社会福祉士の資格も取得する。これまでの行政経験や社会福祉士の資格を活かし、相談員として主に障害者支援(障害福祉サービス利用支援、相談業務など)や医療機関での医療福祉相談業務にも従事する。

株式会社など、他の法人と比べると手軽に設立できるイメージのある「合同会社」ですが、法務局への設立の申請には、申請書のほか、さまざまな添付書類が必要になります。
登記の申請には、書面申請のほか、オンライン申請もあります。添付書類の一部が不要になるなど、メリットがありますので、マイナンバーカードをお持ちの場合は、オンライン申請も検討されることをお勧めします。
また、業務内容によっては、行政の許認可が必要なものもありますので、登記に必要な期間だけでなく、許認可に必要な期間も考慮に入れましょう。資金については、資本金や登録免許税などの設立時に必要なものほか、法人税などの設立後にかかる税金などもあります。
設立後の安定した経営のため、専門家に相談しながら進めることも検討されてはいかがでしょうか。