相続登記で委任状が必要なケースは?作り方や司法書士へ依頼する際の費用を解説

こしだ司法書士事務所
監修者
こしだ司法書士事務所 司法書士 越田一希
最終更新日:2024年05月21日
相続登記で委任状が必要なケースは?作り方や司法書士へ依頼する際の費用を解説
この記事で解決できるお悩み
  • 相続登記の委任状の書き方は?
  • 委任状作成時の注意点は?
  • 司法書士に委任状作成を依頼する際の費用は?

「相続登記で委任状が必要なケースがわからない...」とお悩みの相続人は必見です。

相続登記で、自分以外の誰かに登記手続きの代理を依頼する場合は、委任状が必要です。法定代理人が登記手続きを行う場合は、委任状は必要ありません。司法書士に代理を依頼することで、必要書類の収集から委任状の作成まで手続きを丸投げできるため便利です。

本記事では、相続登記で委任状が必要なケースや委任状の作り方・おすすめの手続き方法を解説します。記事を読み終わった頃には、相続登記の委任状の書き方や司法書士に依頼した際の費用がわかり、相続登記をスムーズに進められるでしょう。

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自分以外の人間が登記手続きを行う場合は委任状が必要

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相続登記の手続きを自分以外の人間が行う場合は、委任状が必要です。委任状とは、代理人による申請が本人の意思に基づくものであることを証明する書類を指します。何かしらの理由で本人が手続きを行えない場合に、代理人が提出することが一般的です。

相続登記の手続き以外にも、住民票や戸籍謄本などの書類申請の際に使用します。相続登記の手続きで委任状が必要なケースは、以下のとおりです。

  • 代理人が法務局で登記手続きを行う場合
  • 相続人の代表者が手続きを行う場合

代理人が法務局で登記手続きを行う場合

相続人ではなく、代理人が法務局で登記手続きを行う場合に委任状が必要です。基本的に相続登記の手続きは、誰でも代理人を務められます。

登記手続きの代理人を行う際に報酬をもらえる人は、司法書士と弁護士のみです。司法書士や弁護士が代理人を務める場合も、委任状は必要になります。

相続人の代表者が手続きを行う場合

相続人が複数人いる場合に代表者が登記手続きを行う際は、委任状が必要です。手続きを行う代表者以外の相続人全員の委任状が必要になります。

相続人であれば委任状なしで登記手続きを行えますが、他にも相続人がいる場合は例外です。司法書士・弁護士が代理人を務める場合は、相続人全員の委任状が必要になります。

法定代理人が登記手続きを行う場合は委任状が不要

相続人以外の人間でも法定代理人が登記手続きを行う場合は、委任状は必要ありません。法定代理人とは、本人に代わって身分上・財産上の監督・保護・教育を内容とする権利義務を有する方です。

本人が18歳未満の場合の親権者・未成年後見人・成年後見人が該当します。法定代理人は法律で定められた代理人のため、委任状がなくても本人の代わりに手続きが可能です。

相続登記の委任状の作り方

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相続登記の手続きを代理人に委任する場合、相続人自身が委任状を作成し、署名・捺印したうえで、代理人に渡す必要があります。作り方の手順は、以下のとおりです。

  1. 必要書類を確認する
  2. 委任者と代理人を確定する
  3. 委任内容を明確にする
  4. 相続登記の目的を記載する
  5. 相続登記の原因を記載する
  6. 相続人の情報を記載する
  7. 相続した不動産の情報を記載する
  8. 補足内容を記載する
  9. 委任者と代理人が署名・押印する
  10. 法務局に提出する

1. 必要書類を確認する

相続登記の委任状を作成する前に、相続人の戸籍謄本や相続税申告書・相続財産の登記事項証明書など、必要な書類を収集します。相続登記の委任状テンプレートは、法務局公式HPからダウンロードできます。

2. 委任者と代理人を確定する

相続登記の委任状には、委任者と代理人の情報が必要です。委任者は相続人であり、代理人は相続手続きを代行する人物を指します。代理人は、弁護士や司法書士・行政書士など、相続手続きを専門に行う資格を持った者であることが望ましいでしょう。

3. 委任内容を明確にする

相続登記の委任状には、委任者が代理人に依頼する内容を明確に記載します。不動産の相続登記の場合、所有権移転登記や名義変更登記・抵当権抹消登記など、登記内容を明確にしましょう。

4. 相続登記の目的を記載する

相続登記の目的は、相続人の所有権を明確にすることです。委任状の目的は、相続人が所有する不動産を正確に登記することに関連するよう記載します。

5. 相続登記の原因を記載する

相続登記は、相続人が相続人であることを証明するために行います。相続の理由(遺言による相続、法定相続など)を記載しましょう。

6. 相続人の情報を記載する

相続人の情報は、氏名や住所・生年月日などを記載します。相続人の全員分を正確に記載しましょう。

7. 相続した不動産の情報を記載する

相続した不動産の情報は所有者の氏名や住所・不動産の所在地・登記簿の番号などを記載します。不動産情報を記載することにより、相続人が所有する不動産が明確になります。相続した不動産の種類ごとに必要な情報は、以下のとおりです。

相続した不動産が土地の場合 ・所在地
・地積
・用途地域
・土地の形状
・地目
・その他の特記事項
相続した不動産が建物の場合 ・所在地
・地積
・建物の種類
・建築面積
・建物の構造
・階数
・建物の築年数
・その他の特記事項
相続した不動産がマンションの1室である場合 ・所在地
・間取り
・面積
・所在階
・建物の名称
・管理組合名
・管理費用
・その他の特記事項

8. 補足内容を記載する

補足内容を記載することで、委任状の内容をより詳細に設定できます。補足内容は、以下の情報の記載が可能です。

  • 原本還付請求および受領に関する一切の件
  • 復代理人選任に関する一切の件
  • 登記に係る登録免許税の還付金を受領する件
  • オンライン申請の補正および取り下げに関する一切の件

相続登記を申請する際に、登記申請のみではなく、登記申請に付随する手続きも必要になります。どの手続きまでを委任するのかを明確にしなければなりません。

たとえば原本還付請求とは、原本とコピーを一緒に提出して書類の原本を返してもらうことです。「返却された原本の受取も委任します」と同じ内容が記載されています。

9. 委任者と代理人が署名・押印する

委任者と代理人が委任状に同意したら、相続登記の委任状に署名し、印鑑を押印します。署名・押印は、原則として委任者本人が行います。

10. 法務局に提出する

委任状が完成したら、法務局に提出します。提出する際は、必要な書類や手数料などを確認しておきましょう。

委任状を作成する際の5つの注意点

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委任状を作成する際の注意点は、以下の5つが挙げられます。

  1. 委任者と代理人の情報を正確に記載する
  2. 白紙委任状は避ける
  3. 誤字・脱字がある場合は訂正印を使用する
  4. 認印を使用できる
  5. 許可なく委任状を作成すると無効になる

委任状に記載される内容は、正確で明確なものでなければなりません。間違った情報を記載したものや無許可の委任状では、委任状の役割を果たせなくなります。

1. 委任者と代理人の情報を正確に記載する

委任状には、委任者と代理人の氏名・住所・生年月日・印鑑などの情報を正確に記載する必要があります。誤った情報を記載すると、手続きが遅れたり、無効となる可能性があります。

2. 白紙委任状は避ける

白紙委任状は、本来の意図とは異なる内容に書き換えられる危険性があるため避けましょう。白紙委任状とは、委任者が事前に署名・印鑑を押しておき、代理人が後から任意の内容を書き込む形式の委任状です。

白紙委任状の場合、代理人が自由に書き込めるため、誤った情報を記載される可能性があります。委任状を作成する際は、かならず任意の内容が明確に記載されたものを使用してください。

3. 誤字・脱字がある場合は訂正印を使用する

委任状に誤字・脱字がある場合は、訂正印を使用して修正する必要があります。複数箇所に誤字・脱字がある場合や大幅な修正が必要な場合は、新たに書き直すことが望ましいです。訂正印を使用する際は、訂正箇所を明確に示し、委任者と代理人の署名・印鑑が必要です。

4. 認印を使用できる

委任状で使用する印鑑は、認印の使用が可能です。司法書士に依頼する場合、相続人の1人に代理申請を委任する場合のどちらでも変わりはありません。必ずしも実印ではなくてもいいため覚えておきましょう。実印を使用する場合は、印鑑証明書が必要になります。

5. 許可なく委任状を作成すると無効になる

相続人本人の許可なく委任状を作成すると、無効になる可能性があります。本人の意思に基づかない委任状は無効になるためです。

病気や怪我などで字が書けない場合は、本人以外の代筆が認められています。代筆する場合は、代筆しなければならない理由を記載し、委任者が委任事項を承知したうえで押印すると無効になりません。

相続登記を怠るとどうなるのか

相続登記を怠ると、以下の問題が発生する可能性があります。

  • 不動産の所有者が明確にならず、売却や贈与ができない
  • 相続税の未納が発生する可能性がある
  • 遺産分割ができず、相続人間での財産の分割が困難になる
  • 不動産管理ができず、無断侵入や不法占拠の可能性がある

2023年4月1日より相続登記が義務化され、相続人は3年以内に手続きを行う必要があります。相続に関する手続きは、遺産分割や相続税申告・不動産の売却・贈与などに影響を与える重要なものです。違反した場合、10万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

相続登記の代理は司法書士に依頼がおすすめ

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相続登記の代理は、司法書士に依頼することがおすすめです。相続登記に必要な書類の収集や登記申請書の作成・委任状の作成など、時間や手間がかかります。司法書士に依頼することで、相続人調査や遺産分割協議書の作成など、相続登記に関わるすべての手続きの代行が可能です。

相続登記は相続を知ってから3年以内に行うことが義務付けられました。放置すると、10万円以下の罰金が課されるため、面倒な手続きを司法書士に任せると便利です。

司法書士の報酬は、6万〜10万円が相場となります。相続登記の手続きが必要な場合は、司法書士への依頼を検討しましょう。

まとめ

相続登記で、本人以外の他人が手続きを行う場合に委任状が必要になります。法定代理人が手続きをする場合は、委任状を用意する必要はありません。委任状は委任者の承諾のもと、正確な情報を記載する必要があります。

相続登記は相続の有無を知ってから3年以内に行うことが義務付けられました。相続人の確認をしたり必要書類を集めたりと面倒な手続きが多いため、不安な場合は司法書士に代理を依頼するといいでしょう。

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監修者のコメント
こしだ司法書士事務所
司法書士 越田一希

1984年京都市生まれ。不動産・相続・会社の「登記」に必要な手続きを代理する専門家であり、若手ならではのフットワークの軽さと様々な職業経験で培った対応力を持つ法務大臣認定司法書士。自身が法律知識ゼロで資格学習を開始した経験から法律の適用や用語の難しさを理解しており、平易でわかりやすい説明を心がけており評価を得ている。

令和6年4月1日から相続登記が義務化されるということ自体が未だ周知されきっていない気もしますが、その相続登記義務化に伴い、罰則の適用対象となるのは令和6年4月1日以降に相続が発生したものに限らないという点にもご注意ください。

令和6年10月1日に死亡した方の相続登記を令和9年10月1日までに行わなければならないというのはもちろん、例えば平成30年10月1日に亡くなられた方の相続登記を放置している場合も、法改正の適用の日から3年後である令和9年4月1日までに相続登記を行わなければならないということであり、当然放置すれば罰則の適用対象となります。

兄弟相続や2次3次相続が発生している場合などのように、相続関係が複雑な場合は相続人の調査・戸籍等書類の収集にも時間がかかります。また相続人が大人数になった場合は「遺産分割協議」が整わないといったトラブルが発生する事もあります。

いざという時に慌てることのないよう、放置している相続登記がないかお早めにに確認をしてみてください。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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