相続登記の委任状が必要になる場合とは?作成手順や注意点3つも徹底解説

こしだ司法書士事務所
監修者
こしだ司法書士事務所 司法書士 越田一希
最終更新日:2023年05月18日
相続登記の委任状が必要になる場合とは?作成手順や注意点3つも徹底解説
この記事で解決できるお悩み
  • 相続登記の委任状が必要になるパターンは?
  • 委任状の作成手順と注意点は?
  • 相続登記代行の費用の相場は?

「相続手続きが必要だが、委任状を作成していいのかわからない…」という方必見!

この記事では相続手続きの代理を検討している方に向けて、委任状が必要なパターンや作成方法について解説します。最後まで読めば、委任状を作成する際の注意点もわかります。

相続登記の委任状は、海外在住や高齢で手続きが困難な場合や相続に関する知識が不足している場合に必要になる重要な書類です。相続登記の委任状を外注する際の費用相場も紹介しているため、遠方に住んでいて手続きが難しい方もぜひ参考にしてください。

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相続登記の委任状が必要になるパターン3つ

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相続登記は、遺産分割や相続人の確定など、相続手続きの中でも重要な手続きの1つです。ここでは、相続登記の委任状が必要になるパターンを解説します。

  1. 相続人が海外在住で手続きが困難な場合
  2. 相続人が高齢で手続きが困難な場合
  3. 相続人が相続に関する知識が不足している場合

1. 相続人が海外在住で手続きが困難な場合

相続人が海外在住である場合、相続登記の手続きが困難になることがあります。そのため、相続人の中で代表者を決め、その代表者に相続登記の手続きを委任することが一般的です。

代表者も海外在住である場合、手続きが進められないことがあります。その場合は、日本国内の委任者に相続登記の手続きを委任しましょう。相続人は委任状を作成し、日本国内の信頼できる第三者にその委任状を送付します。

2. 相続人が高齢で手続きが困難な場合

相続人が高齢である場合、手続きが困難になることがあります。この場合、相続人が代理人を選任し、相続登記の手続きを委任できます。代理人には、家族や信頼できる第三者が選ばれることが一般的です。

相続人が高齢であっても、自己責任で代理人を選任できますが、認知症や精神疾患などの問題がある場合は、家庭裁判所へ成年後見制度の申請が必要です。

3. 相続人が相続に関する知識が不足している場合

相続に関する知識が不足している相続人がいる場合は、手続きが進められないことがあります。この場合は、相続人が専門家に相談することがおすすめです。専門家には、相続に詳しい弁護士や司法書士、税理士などがいます。

相続人が専門家に相談することで、相続手続きの進め方や手続きに必要な書類、手数料などを教えてもらえます。相続人が代理人を選任し、相続登記の手続きを委任することも可能です。

相続登記の委任状の作成手順

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相続登記の手続きを代理人に委任する場合、相続人自身が委任状を作成し、署名・捺印したうえで、代理人に渡す必要があります。ここでは、相続登記の委任状の作成手順を詳しく解説します。

  1. 必要書類を確認する
  2. 委任者と代理人を確定する
  3. 委任内容を明確にする
  4. 相続登記の目的を記載する
  5. 相続登記の原因を記載する
  6. 相続人の情報を記載する
  7. 相続した不動産の情報を記載する
  8. 補足内容を記載する
  9. 委任者と代理人が署名・押印する
  10. 法務局に提出する

1. 必要書類を確認する

相続登記の委任状を作成する前に、相続人の戸籍謄本や相続税申告書、相続財産の登記事項証明書など、必要な書類を収集し準備します。相続登記の委任状テンプレートは、法務局公式HPからダウンロードできます。

2. 委任者と代理人を確定する

相続登記の委任状には、委任者と代理人の情報が必要です。委任者は相続人であり、代理人は相続手続きを代行する人物です。代理人は、弁護士や司法書士、行政書士など、相続手続きを専門に行う資格を持った者であることが望ましいでしょう。

3. 委任内容を明確にする

相続登記の委任状には、委任者が代理人に依頼する内容を明確に記載します。不動産の相続登記の場合、所有権移転登記や名義変更登記、抵当権抹消登記など、登記内容を明確にしましょう。

4. 相続登記の目的を記載する

相続登記の目的は、相続人の所有権を明確にすることです。ここでは、委任状の目的として、相続人が所有する不動産を正確に登記することに関連するよう記載します。

5. 相続登記の原因を記載する

相続登記の目的は、相続人が相続人であることを証明するためです。ここでは、相続の理由(たとえば、遺言による相続、法定相続など)を記載します。

6. 相続人の情報を記載する

相続人の情報は、氏名や住所、生年月日などを記載します。相続人の全員分を正確に記載しましょう。

7. 相続した不動産の情報を記載する

相続した不動産の情報は、所有者の氏名や住所、不動産の所在地、登記簿の番号などを記載します。これにより、相続人が所有する不動産が明確になります。
以下は、相続した不動産の種類ごとに必要な情報です。

相続した不動産が土地の場合 ・所在地
・地積
・用途地域
・土地の形状
・地目
・その他の特記事項
相続した不動産が建物の場合 ・所在地
・地積
・建物の種類
・建築面積
・建物の構造
・階数
・建物の築年数
・その他の特記事項
相続した不動産がマンションの1室である場合 ・所在地
・間取り
・面積
・所在階
・建物の名称
・管理組合名
・管理費用
・その他の特記事項

8. 補足内容を記載する

補足内容を記載することで、委任状の内容をより詳細に設定できます。この段階では、以下の情報を記載できます。

  • 原本還付請求および受領に関する一切の件
  • 復代理人選任に関する一切の件
  • 登記に係る登録免許税の還付金を受領する件
  • オンライン申請の補正および取り下げに関する一切の件

9. 委任者と代理人が署名・押印する

委任者と代理人が委任状に同意したら、相続登記の委任状を署名し、印鑑を押印します。署名・押印は、原則として委任者本人がする必要があります。

10. 法務局に提出する

委任状が完成したら、法務局に提出します。提出する際は、必要な書類や手数料などを確認しておきましょう。

委任状を作成する際の注意点3つ

委任状に記載される内容は、正確で明確なものでなければなりません。ここでは、委任状を作成する際の注意点を3つ紹介します。

  1. 委任者と代理人の情報を正確に記載する
  2. 白紙委任状は避ける
  3. 誤字や脱字があった場合は訂正印を使用する

1. 委任者と代理人の情報を正確に記載する

委任状には、委任者と代理人の氏名、住所、生年月日、印鑑などの情報を正確に記載する必要があります。誤った情報を記載すると、手続きが遅れたり、無効となる可能性があります。

2. 白紙委任状は避ける

白紙委任状とは、委任者が事前に署名・印鑑を押しておき、代理人が後から任意の内容を書き込む形式の委任状のことです。

白紙委任状は、代理人が自由に書き込むことができるため、本来の意図とは異なる内容に書き換えられる危険性があります。そのため、委任状を作成する際は、かならず任意の内容が明確に記載されたものの使用が望ましいです。

3. 誤字や脱字があった場合は訂正印を使用する

委任状に誤字や脱字があった場合は、訂正印を使用して修正する必要があります。複数箇所に誤字や脱字がある場合や大幅な修正が必要な場合は、新たに書き直すことが望ましいです。

訂正印を使用する際は、訂正箇所を明確に示し、委任者と代理人の署名・印鑑が必要です。

相続登記を怠るとどうなるのか

相続登記を怠ると、以下の問題が発生する可能性があります。

  • 不動産の所有者が明確にならず、売却や贈与ができない
  • 相続税の未納が発生する可能性がある
  • 遺産分割ができず、相続人間での財産の分割が困難になる
  • 不動産管理ができず、無断侵入や不法占拠の可能性がある

2023年4月1日より相続登記が義務化され、相続人は3年以内に手続きを行う必要があります。相続に関する手続きは、遺産分割や相続税申告、不動産の売却や贈与などに影響を与える重要なものです。違反した場合、10万円以下の罰金が科せられることがあります。

相続登記の委任状を外注する際の費用相場

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相続登記の手続きを代行してもらう場合、気になるのは司法書士への外注費用です。所有権移転登記の場合、費用は「登録免許税」と「司法書士報酬」の2つで構成されます。

以下の表は、相続登記の委任状を司法書士へ外注する際の費用相場です。

土地・建物それぞれの評価額が1,000万円の場合 自力で相続登記する費用 司法書士に依頼する費用
登録免許税 80,000円 80,000円
司法書士報酬 0円 60,000円〜110,000円
合計 80,000円 140,000円〜190,000円

登録免許税は誰が手続きしてもかかる費用で、相続の場合、土地・建物それぞれの評価額の0.4%です。司法書士への外注費は6万円からと高く感じる方も多いでしょう。しかし、自分で必要書類を揃える負担軽減に応じて価格調整してくれる司法書士もいます。

まとめ

相続登記の委任状は、海外在住や高齢で手続きが困難な場合や相続に関する知識が不足している場合に必要になる重要な書類です。相続手続きに関する知識が不足している場合や代理人に委任する際のトラブルが不安な場合は、比較ビズの利用をおすすめします。

比較ビズでを利用すると、必要な情報を入力するだけで、相続登記に強い司法書士や弁護士をすぐに探せます。手続きに時間がかかることもなく、信頼できる専門家を見つけられるため、ぜひ利用してみてください。

監修者のコメント
こしだ司法書士事務所
司法書士 越田一希

1984年京都市生まれ。不動産・相続・会社の「登記」に必要な手続きを代理する専門家であり、若手ならではのフットワークの軽さと様々な職業経験で培った対応力を持つ法務大臣認定司法書士。自身が法律知識ゼロで資格学習を開始した経験から法律の適用や用語の難しさを理解しており、平易でわかりやすい説明を心がけており評価を得ている。

令和6年4月1日から相続登記が義務化されるということ自体が未だ周知されきっていない気もしますが、その相続登記義務化に伴い、罰則の適用対象となるのは令和6年4月1日以降に相続が発生したものに限らないという点にもご注意ください。

令和6年10月1日に死亡した方の相続登記を令和9年10月1日までに行わなければならないというのはもちろん、例えば平成30年10月1日に亡くなられた方の相続登記を放置している場合も、法改正の適用の日から3年後である令和9年4月1日までに相続登記を行わなければならないということであり、当然放置すれば罰則の適用対象となります。

兄弟相続や2次3次相続が発生している場合などのように、相続関係が複雑な場合は相続人の調査・戸籍等書類の収集にも時間がかかります。また相続人が大人数になった場合は「遺産分割協議」が整わないといったトラブルが発生する事もあります。

いざという時に慌てることのないよう、放置している相続登記がないかお早めにに確認をしてみてください。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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