任意整理をするとクレジットカードはどうなる?手続き前後の注意点を紹介

こしだ司法書士事務所
監修者
こしだ司法書士事務所 司法書士 越田一希
最終更新日:2023年05月01日
任意整理をするとクレジットカードはどうなる?手続き前後の注意点を紹介
この記事で解決できるお悩み
  • 任意整理をするとクレジットカードは使えなくなるの?
  • 任意整理をするとクレジットカードの発行ができなくなる?
  • 任意整理をした後、クレジットカード以外の後払い方法は?

クレジットカードの任意整理を事前準備なしに行うのはおすすめできません。十分な知識のもと行うようにしましょう。

この記事では、クレジットカードの任意整理を行うとおこる影響、必要な事前準備について解説します。

任意整理後、クレジットカードの代わりとして使える支払方法も紹介するので「苦しい経済状況をどうにかしたい」とお考えの方は、参考にしてください。

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クレジットカードを任意整理するメリット

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任意整理とは、債権者と債務者の間で話し合いをして借金を減らす仕組みです。次のようなことが行われます。

  • 利息や手数料の減額ができる
  • 返済期間の見直しができる

利息や手数料の減額ができる

クレジットカードを任意整理すると、利息や手数料を減額できる可能性があります。任意整理は、債権者との話し合いです。債権者であるカード会社に返済が厳しいことを伝え、利息や手数料の減額を交渉します。

返済期間の見直しができる

カード会社との話し合いで、返済期間の見直しができる可能性も。利息や手数料を減らしても支払いが厳しい場合は、返済期間を延ばして月々の支払額を減らすこともできます。

クレジットカードの任意整理はショッピングリボ枠にも適用可能

クレジットカードの任意整理は、キャッシングだけでなくショッピングリボ枠にも適用されます。リボ払いとは、月額一定の金額にする代わりに利息がつく支払方式。任意整理で利息をカットすることで、月々の支払額を減らすことができます。

支払期間を延ばすと月々の支払額がさらに減り、より支払いやすくなります。

キャッシング枠のみの任意整理は不可

クレジットカードでキャッシング枠を使っていた場合、キャッシング枠だけの任意整理はできません。

任意整理はクレジットカード全体が対象となるため、キャッシング枠とショッピング枠両方に適用されます。したがって、キャッシングやショッピング枠だけを任意整理の対象にすることはできません。

キャッシングの返済が厳しくなり任意整理した場合でも、ショッピング枠を含めたクレジットカード全体の利用ができなくなることを覚えておきましょう。

クレジットカードを任意整理することで起こる5つの影響

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クレジットカードを任意整理することで、日常生活にも少なからず影響が出ます。

具体的な影響は、次の5つです。

  1. 任意整理したクレジットカードは即日使えなくなる
  2. 付帯しているETCカードや家族カードも使えなくなる
  3. 個人信用情報機関に事故情報が掲載される
  4. 貯まったポイントが失効する
  5. 借金の元本は減額されない

1. 任意整理したクレジットカードは即日使えなくなる

任意整理の意向をカード会社が知った時点で、クレジットカードは即日解約となります。即日解約となるタイミングは、次のとおりです。

弁護士や司法書士に依頼している場合 カード会社が受任通知を受けたとき
自分で手続している場合 任意整理の交渉を申し出た段階
任意整理の対象ではないクレジットカードはどうなる?

任意整理対象外のクレジットカードは、個人信用情報機関に任意整理の事実が掲載されたことをカード会社が知った時点で使えなくなります。

カード会社が掲載を知るタイミングは2つ。契約更新とクレジットカード会社が不定期に行う与信審査(途上与信)です。

2. 付帯しているETCカードや家族カードも使えなくなる

クレジットカードが即日解約になると同時に、クレジットカードに付帯しているETCカードや家族カードも使えなくなります。

クレジットカードは、ETCカードや家族カードの「親カード」です。親カードが使えなくなることで、付帯するカードも使えなくなります。

3. 個人信用情報機関に事故情報が掲載される

クレジットカードを任意整理すると、個人信用情報機関に事故情報が掲載されます。事故情報とは、債務の支払いが予定日に行われなかった情報です。任意整理や自己破産といった債務整理の他、支払いの大幅な遅延も含まれます。

新規のカードやローン契約の際は、個人信用情報が照会されます。事故情報が掲載されていると「支払能力がない人」とみなされ、新規契約ができなくなるのです。

4. 貯まったポイントが失効する

クレジットカードの解約と同時に、貯まっていたポイントも失効します。「いつまでにポイント失効します」という通知はありません。ポイントと景品の交換を申請中の場合、申請が却下される可能性もあります。

5. 借金の元本は減額されない

任意整理で減額できるのは手数料と利息です。借金の元本は減額されません。お金を貸した債権者の財産を守るため、借金の元本額は据え置かれます。

任意整理でクレジットカードが使えなくなる前にすべきこと3選

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任意整理の対象となるクレジットカードは即日解約。対象外のクレジットカードも、いずれ使えなくなります。

カードの解約による不利益を避けるには、以下の準備をしておくと安心です。

  1. 支払方法をクレジットカード以外に変える
  2. 貯まったポイントを使い切る
  3. 家族カードが使えなくなることを伝える

1. 支払方法をクレジットカード以外に変える

クレジットカードが解約されると、カードで行っていた支払ができなくなります。任意整理前にクレジットカード払いから口座振替やコンビニ払いなどに変更し、確実に支払いできるようにしておきましょう。

2. 貯まったポイントを使い切る

クレジットカードが解約になると、貯まっていたポイントも同時に失効します。貯まったポイントは、換金するだけでなく利用料の支払いに充当できる場合があります。

貯まったポイントは先に使い切り、残ったポイントをゼロに近づけてから解約するのが理想です。

3. 家族カードが使えなくなることを伝える

自分名義でカードを契約している場合、家族カードも同時に解約されます。

本人カードと同じく家族カードでの支払いも変更しないと、家族カードの持ち主にも不利益が発生してしまいます。家族カードが使えなくなることは、必ず家族に伝えましょう。

任意整理後にクレジットカードの代わりとなる4つの決済手段

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クレジットカード決済が使えない場合、代わりとなるサービスは次の4種類です。

  1. デビットカード
  2. プリペイドカード
  3. 家族名義のクレジットカード
  4. PayPal

1. デビットカード

デビットカードは、使った金額を銀行口座から引き落とす仕組みです。対応店でデビットカードを提示すると、使った金額が銀行口座から即時引き落としとなり、支払いが完了します。

デビットカード発行時の審査は不要。銀行口座があれば発行可能です。

2. プリペイドカード

プリペイドカードは、事前にお金をチャージしておくことでクレジットカードの代わりとして使えます。デビットカード同様、審査は不要です。

代表的なプリペイドカードには、 三井住友カードのプリペイドカードライフカードのVプリカなどがあります。

3. 家族名義のクレジットカード

家族が許可してくれるなら、家族カードを発行してもらう方法も。何にお金を使ったのか家族に知られてしまいうとはいえ、クレジットカードが使えると便利です。

任意整理をした以上、家族からの信用を失っている可能性もあります。お願いしても家族カードを作ってもらえないことは、覚悟しておきましょう。

4. PayPal(ペイパル)

PayPalは、インターネット上の決済サービスです。クレジットカードや銀行口座情報を登録することで、PayPal上で支払いを完結できます。PayPalを使えば、相手に口座番号やクレジットカード情報を教える必要がありません。

PayPalに登録できるのは、次の6行です。

  • みずほ銀行
  • 三井住友銀行
  • 三菱UFJ銀行
  • ゆうちょ銀行
  • りそな銀行
  • 埼玉りそな銀行

参照:銀行口座の登録方法(個人):PayPal

任意整理後5年間は新規のクレジットカード発行ができない

任意整理をすると、債務整理をした事実が5年間「事故情報」として掲載されます。クレジットカードは信用取引です。 事故情報が掲載されている間は「支払能力がない人」と判断され、クレジットカードの発行ができなくなります。

事故情報の掲載は個人信用情報機関への照会で確認できる

事故情報が残ったままクレジットカードを申込むと、審査に落ちてしまいます。審査落ちの事実は、事故情報として掲載。掲載されてから半年間は、新規の契約ができなくなります。

審査落ちを防ぐためには、事前の事故情報照会が必須です。事故情報は、個人信用情報機関への開示請求で照会できます。個人信用情報機関は次の3社です。利用するカード会社により、使用する個人信用情報機関が違います。

  • CIC(割賦販売法・貸金業法指定信用情報機関)
  • JICC(日本信用情報機構)
  • KSC(全国銀行個人信用情報センター)

情報開示請求の方法は、こちらの記事を参考にしてください。

任意整理後にクレジットカードを作るときに注意したい5つのこと

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任意整理をして事故情報が掲載されたことで、カード会社から「支払いができない人」と認識されています。この先「支払能力が回復した人」としてクレジットカードを作るには、次のような注意が必要です。

  1. 掲載された事故情報が消えたことを確認する
  2. 任意整理していないカード会社を選ぶ
  3. 複数申し込みせず1社ずつ申し込む
  4. 限度額が低いクレジットカードを選ぶ
  5. 支払いの実績を積んでから申し込む

1. 掲載された事故情報が消えたことを確認する

新たにクレジットカードを作るときは、事故情報の確認が必須です。事故情報があるうちは、審査に落ちるため新規のカードやローン契約ができません。審査に落ちた事実は事故情報に追記されるため、さらに契約が不利になります。

新たにクレジットカードを作るときは、個人信用情報機関に照会し、事故情報が消えていることをしっかり確認しましょう。

2. 任意整理していないカード会社を選ぶ

任意整理後は、任意整理の履歴がない会社に新たに申し込んだほうが、クレジットカードの審査に通る確率が上がります。

任意整理をした事実は、内部のブラックリストで記録されているケースがほとんど。任意整理をした事実が残り続けるため、同じ会社への再度の申し込みはまず受けつけてもらえないでしょう。

新規にクレジットカードを作る場合は、任意整理をした以外のカード会社を選ぶほうが確実です。

3. 複数申し込みせず1社ずつ申し込む

クレジットカードの申込履歴も、個人信用情報機関に登録されます。

一度に複数のカード会社に申し込むと、「経済状況が悪いからすぐカードが欲しいのでは?」と疑われてしまいます。

カード会社に疑われると、審査落ちの確率が上昇します。任意整理後に確実にクレジットカードを発行するには、複数ではなく1社ずつ申し込みましょう。

4. 限度額が低いクレジットカードを選ぶ

クレジットカードは、限度額が高いほど「確実にお金を払ってくれる」という信用が必要です。高額でも確実に支払えるかどうかを見るため、限度額が高いほど審査が厳しくなる傾向があります。

限度額が低くなるにつれて、比較的審査が通りやすい傾向です。任意整理後は、限度額が低めのクレジットカードに申し込むようにしましょう。

5. 支払の実績を積んでから申し込む

個人信用情報機関には、期日までに支払いを済ませた履歴も残ります。期日にきちんと支払うことで、「後払いができる人」という実績が貯まっていくのです。クレジットカードだけでなく、携帯電話料金の支払いも実績となります。

実績を積むことで徐々に信頼が回復しクレジットカードの契約もしやすくなっていくでしょう。

まとめ

任意整理をすると、月々の返済が楽になる代わりにクレジットカードがしばらく使えなくなります。 クレジットカードが使えなくなるのは数年。任意整理の支払期間とほぼ同じです。任意整理をするかどうかは、メリットとデメリットをよく比較して検討しましょう。

任意整理で確実に債務を減らしたい場合は、専門家への依頼がおすすめです。弊社の「比較ビズ」では、登録している複数の専門家に一括で相談や見積もりができます。

専門家へは、債務整理後のクレジットカードの契約についての相談もできます。債務整理やその後のフォローを専門家に依頼したい場合は、「比較ビズ」の無料相談を検討してみてください。

監修者のコメント
こしだ司法書士事務所
司法書士 越田一希

1984年京都市生まれ。不動産・相続・会社の「登記」に必要な手続きを代理する専門家であり、若手ならではのフットワークの軽さと様々な職業経験で培った対応力を持つ法務大臣認定司法書士。自身が法律知識ゼロで資格学習を開始した経験から法律の適用や用語の難しさを理解しており、平易でわかりやすい説明を心がけており評価を得ている。

信用情報機関への事故情報の記載は5〜10年の経過により消滅します。

しかしその間はクレジットカード以外にも、住宅や自動車などのローン審査や賃貸住宅の入居審査等にも影響が出ます。またスマホの分割購入の申し込みが通らないといった事案も発生します。

また任意整理を行ったクレジットカードに付帯して家族カードが発行されている場合にも注意が必要です。クレジットカードの家族会員が任意整理をする分には主会員の信用情報は悪化しておりませんのでそのまま継続して使用することができます(任意整理することで家族の信用を失い取り上げられる可能性はありますが…)。

しかし、クレジットカードの主会員が任意整理する場合は、発行されている家族会員用のカードも停止されてしまいます。その結果、公共料金や税金などの支払いが停止しまったり、高速道路でETCが作動しないといった事態にならないようにも注意する必要があります。

任意整理をご検討中の方は、ご自身の現在の状況において影響が及ぶ範囲をしっかり確認することが必要です。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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