PCT国際出願とは?費用・手数料を徹底解説

更新日:2020年12月04日 発注カテゴリ: 特許出願
PCT国際出願とは?費用・手数料を徹底解説

国際的に特許を出願する際に便利なのがPCT国際出願です。しかし、その存在は知っていても、具体的にどういうものなのかがわからず、どんなメリットやデメリットがあるのかを知らない人は多いです。これからPCT国際出願をする予定があったり、将来的に必要だと感じていたりするなら、その特徴や全体の流れについてチェックしておきましょう。

PCT国際出願とは

新しい技術を発明した際に、その技術を保護してくれるのが特許権です。しかし、この特許権は基本的に日本だけで有効なものになります。世界を対象にした場合、各国へ特許の出願が必要になります。

世界には196の国があります。仮にそれぞれの国に対して特許の出願をすることになったら、その手間は大変な量になります。そこで重要な役割を持つのが、PCT国際出願なのです。

PCT国際出願は国際特許出願とも呼ばれており、世界共通での特許出願になります。しかもその手続きは、世界知的所有期間(WIPO)に対して行う単一の出願手続きによって、全世界共通で出願日の確保を宣言できます。

厳密に言えばPCT加盟国(153か国)に対して行うものですが、特許権が必要になる主要な国は網羅しているので、PCT国際出願でほぼ世界中の国を網羅できると言っても過言ではありません。

PCT国際出願は特許協力条約によって手続きの一本化規定が定められています。この特許協力条約のことを「PCT=Patent Cooperation Treaty」と呼ぶことから、PCT国際出願と呼ばれているのです。

ここで注意したいのは、PCT国際出願によって世界各国でいっせいに特許を取得できるわけではありません。あくまでも出願日の確保を宣言できるものなので、そこから各国での手続きが必要になります。

特許の取得までできないとは言え、出願日の宣言は大きな意味があります。特許の出願をすれば優先権が発生するので、後から他者が同じ内容の発明を出願しようとしても排除できるのです。

足並みを揃えた出願日の宣言は、それだけでも重要な意味があります。Aという国で特許の出願をして、それを知った他者が他の国で先に出願することを防げるようになるのです。

特許の出願は早い者勝ちなところがあるので、できる限り多くの国へ同時に出願日の宣言をできることは重要な意味を持ちます。もちろん実際に出願するためにはクリアしなければならない条件もありますし、メリットばかりとは言えないところもあるので注意してください。

PCT国際出願のメリット

PCT国際出願には、様々なメリットがあります。まず、最大の特徴が特許出願のための手続きをわかりやすくできることです。

国が変われば同じタイプの手続きも様式が変わってきます。それらを調べて準備を整えるのはとても大変です。しかし、PCT国際出願では時刻の特許庁に文書を提出するだけで済みます。特許出願はスピード勝負なところもあるので、シンプルにして迅速にできることは大きなメリットになるのです。

次のメリットは、その発明を評価するための調査結果を知ることができる点になります。

PCT国際出願では、出願した発明の先行技術があるのかを国際機関が調査してくれます。そして、出願人はその結果を特許審査官から得られるのです。ほかにどんな技術があるのかを自分たちで調べるのは大変ですが、専門機関による調査結果を得て、その結果を基に手続きを進められるようになるのは大きなメリットと言えます。

最後は、PCT国際出願をすることで、実際の出願までに原則30か月の猶予期間が得られる点です。

海外で特許の出願をする際には、各国用の翻訳文を作成したり、どの国で権利を取得するのかを選定したりする作業が必要です。PCT国際出願をすれば、その作業をするために30か月の期間が得られます。それだけの期間があるなら、余裕を持って作業を進められるので、これも重要なメリットと言えるでしょう。

  • 外国への出願手続きをわかりやすくできる
  • 国際調査の結果から優位に特許取得を進められるようになる
  • 原則として30か月の猶予期間が得られるので余裕を持って手続きができる
この3点のメリットを得られるだけでも、PCT国際出願には大きなメリットがあるとわかります。ただし、メリットだけではなくデメリットと呼べる部分もあるので、それぞれの特徴を知っておきましょう。

PCT国際出願のデメリット

いくつものメリットがあるPCT国際出願ですが、大きなものではないにしてもデメリットはあります。

PCT国際出願では、PCT加盟国すべてを対象にした手続きができます。そのため、費用が余分にかかってしまうこともあるのです。

特許の内容によっては、特定の国を対象にするだけで良い場合もあります。例えばそれが1国や2国だけの場合、PCT国際出願をした方がコストは高くなります。最初からある程度のコストを盛り込んで考えるにしても、できるだけ安く済ませたいと考えているなら、これはPCT国際出願のデメリットになるのです。

次に、PCT国際出願はPCT加盟国を対象にしたものなので、非解明国は対象にならない点に注意してください。大抵の国を網羅しているとは言え、全てではありません。代表的な例で言えば、台湾はPCT非加盟国なので、特許出願に関しては個別の手続きが必要です。

PCT加盟国はかなりの数があるので、それらを網羅するのは大変ですが、そこでミスをしてしまうと大きなトラブルになる可能性があるので、注意しましょう。当たり前のことと言えるかもしれませんが、このことを忘れてしまう可能性はデメリットのひとつとして数えられます。

  • 費用が余分にかかるケースがある
  • PCT非加盟国への個別対処

この2つが、PCT国際出願をする際のデメリットと言える要素です。メリットに比べれば大きな問題にならないことばかりですが、見落としてしまって良いものとは言えないので、これからPCT国際出願をするなら覚えておきましょう。

PCT国際出願と直接出願の違い

海外へ特許の出願をする際の方法として、PCT国際出願と直接出願の2種類があります。この2つにはどのような違いがあるのかをチェックしてみましょう。

前提として、PCT国際出願をしない場合は、パリルート外国特許出願手続という方法を利用することになります。これは特許出願と製品発表の際に、重要な意味を持つものです。

海外へ特許出願をする際には、まず国内出願をする必要があります。これはPCT国際出願でも直接出願でも共通のことです。そして、国内出願をしてから実際に製品を発表するまでの期間が1年以内だったら、日本へ出願した日に外国にも出願したと扱ってもらえる仕組みがあり、それがパリ優先権になります。このパリ優先権を利用することから、パリルート外国特許出願手続と呼ばれているのです。

このパリ優先権を使わない場合、日本で特許出願をしてから製品を発表し、海外で特許登録が済むまでの間は特許権が発生しません。外国で特許権を得られるまで、無防備な状態が続いてしまいます。そのため、直接出願をする場合は、基本的にパリルート外国特許出願手続を利用するわけです。

まずPCT国際出願の場合です。

  • 1.国内出願
  • 2.PCT出願(1年以内)
  • 3.国内移行(2.5年以内)

直接出願の場合はこのようになります。

  • 1.国内出願
  • 2.各国出願(1年以内・翻訳作業含む)

単純に行程の数だけ見ると直接出願の方が良いように見えますが、PCT国際出願は特許をそれぞれの国へ移行する国内移行作業に2.5年という猶予があります。それだけの期間があれば、翻訳作業などもやりやすく、ゆとりを持って作業ができるのです。

それに対して、直接出願の場合は各国出願の猶予が1年以内となっています。しかも、PCT国際出願に比べて半分以下の期間で、翻訳作業なども行う必要があるのです。

例えば、これが1か国や2か国くらいの話なら、翻訳作業なども含めてそれほど大きな違いにはなりません。しかし、より多くの国に対してと出願する場合は、猶予の長さが大きな違いになります。

単純な行程の違いだけで考えるのではなく、全体を見てどちらが良いのかを判断しましょう。

PCT国際出願の費用・手数料

PCT国際出願のための費用について、シンプルに金額だけを出すと、190,900円になります。約20万円です。

この内訳は、送付手数料が10,000円で調査手数料が70,000円、そして国際出願手数料は143,200円となっているのですが、オンライン出願を活用すれば32,300円の減額となります。このため、オンライン出願を利用しない場合は、約23万円だと考えてください。

このほかに、書類が30枚を超えるたびに1枚1,600円が発生するなど、それぞれの出願内容によって変わってくるところはあるので、あくまでも目安として考えておきましょう。

ちなみに、予備審査を請求する場合は、予備審査手数用26,000円と取扱手数料21,500円が発生するので、約5万円の増額になると考えてください。英語で国際出願を行う際は予備審査手数料が58,000円になるなど、こちらもケースバイケースで金額が変わります。

各国への国内移行では別途費用が発生するので注意しましょう。

国内移行にかかる費用は、それぞれの国によって違います。特許庁による国際調査報告を作成した出願では審査請求料が83,000円となり、加えて請求項数×2,400円が発生します。さらに、国内手数料として14,000円も必要なので注意しましょう。

各項目を見てみると、PCT国際出願には様々なお金がかかると分かります。手数料も侮れないので、特許出願はとにかく色々なところで費用が発生すると考えてください。また、特許事務所へ依頼する場合は、その特許事務所に対する手数料も発生するところにも注意してください。

PCT国際出願の流れ

PCT国際出願の流れを大まかにまとめると、5つの行程になります。場合によっては4つでも良いのですが、万全を期すことも踏まえてて5つとしています。

  • 1.出願書類を提出
  • 2.国際調査の結果を受け取る
  • 3.出願した内容が国際公開される
  • 4.国際予備審査を請求(必要に応じて)
  • 5.国内移行手続

最初の出願書類提出ですが、この段階でオンライン出願を利用すると減額になります。手続は特許庁提供の出願ソフトを使うので、あとは認定要件を満たしているのかがポイントです。オンライン出願での減額も決して小さな金額ではないので、積極的に活用していきましょう。

出願をすると、国際調査機関から調査結果が送られてきます。これらは国際調査報告(ISR)と国際調査期間の見解書(WOSA)の2つで構成されたものです。

その後、WIPO国際事務局が優先日から18か月経過した時点で出願を公開します。国際公開はWIPO国際事務局サイト内にあるパテントスコープから入手・閲覧が可能です。

次は国内移行手続なのですが、必要ならこの段階で国際予備審査を受けられます。これは国際調査機関の見解書を元に明細書を補正することができ、さらに補正後の特許性についても判断してもらえます。もちろんお金はかかりますが、国内移行をスムーズかつ確実に進めたいなら活用したい仕組みです。どの段階にも言えますが、スムーズに進めたいなら万全の状態で手続をできるようにしましょう

最後に、どの国で特許を取得するのかを決めて、国内移行の手続を行えば完了です。手続の期限は優先日から30か月以内となっています。翻訳文を提出、手数料を納付、国内書面の提出を各国に対して行うわけです。

簡単にまとめたものでも、これだけの手続と注意点があるので大変に見えます。特許権は、それだけ重要なもので慎重に取り扱う必要があるのです。

まとめ

PCT国際出願は、国内だけではなく海外もターゲットに入れた特許出願を確実に進められる方法です。出願する国の数が少なければ直接出願の方が良い場合もありますが、目安としては3か国以上に出願するならPCT国際出願の方が良いと覚えておきましょう。もちろん実際にコストを計算した結果、例外が生じることもあるので参考程度に考えておいてください。

これだけの作業を全く知らない状態から進めようとしたら、とても苦労します。審査自体に通るかどうかという問題もあるので、不安な場合は専門家へ依頼することをおすすめします。

PCT国際出願に強い特許事務所はどこなのか、その場合の手数料はどれだけ違うのかを知りたい場合は、比較ビズを活用すると良いです。サービスに登録している特許事務所は安心して依頼できるところですし、見積もりの請求などもまとめてできるので、特許事務所探しをするときにはとても役立ちます。

通常の手続以上に手数料は発生しますが、確実にPCT国際出願を進められる方法があるメリットは手数料以上の安心感があります。海外を相手にする以上、専門家のサポートはとても助かるので、ぜひ検討してみてください。

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