源泉徴収・源泉所得税とは?フリーランスへの報酬と従業員の年末調整について

更新日:2020年09月24日 発注カテゴリ: 税理士・公認会計士
源泉徴収・源泉所得税とは?フリーランスへの報酬と従業員の年末調整について

経営者などの雇用主が必ず知っておく必要がある「源泉徴収」。この源泉徴収を従業員と個人事業主(フリーランス)に対して行う場合で、それぞれの税額や注意点をまとめました。業務委託契約で仕事を依頼したが、それは源泉徴収の義務があるのか、源泉徴収を行うと、自分と相手でどんなメリット/デメリットがあるのか、その辺りを中心に解説していきたいと思います。

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源泉徴収とは

お金を貰う(所得が発生する)と、税金(所得税)がかかります。

メルカリ等で副業をして一定の所得に達すると確定申告が必要なように、税金が引かれていない状態の所得税は自分で申告する(確定申告)必要があります。ただ、所得が発生する度に申告するのは非常に面倒で、国側としても申告漏れによる税収減の可能性があります。

そのため報酬によっては「支払いをする前に予め税金分を差し引いてね(源泉徴収してね)」というケースがあり、一番有名なのがサラリーマンへの給与となります。給与は源泉徴収してから支払をする必要があります。

源泉徴収は基本的に「個人(個人事業主)」に報酬を支払う際に必要になり、法人の場合は一部例外を除き、必要ありません。個人に支払う際に源泉徴収する必要がある報酬は、主に以下の報酬となります。

  • 原稿料、講演料、デザイン料など
  • 弁護士や税理士、社労士への報酬
  • 宴会においてのホステスへの報酬
  • プロ選手や芸能人に支払う報酬

No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは

個人にセミナーの登壇に出てもらったり、名刺をデザインしてもらったり、商品のキャッチコピーを考えてもらったりして、報酬を支払う場合は、必ず源泉徴収してから報酬を渡す必要があります。その他に士業に支払う報酬や、ホステス、芸能人に支払う報酬も源泉徴収が必要となります。

この源泉徴収をする側(支払い側)を「源泉徴収義務者」と呼び、報酬を支払う際に税額を計算し、翌月10日までに税務署へ納付する必要があります。この納付する税金のことを「源泉所得税」または「源泉徴収税」と呼びます。

「源泉徴収義務者」は法人だけでなく、個人が従業員を雇ったり、個人が個人に講演料を支払ったりするケースも含まれます。ただ、「常時2人以下の家事使用人(家政婦やヘルパー)のみに給与を支払っている」「誰かに給与を支払っておらず、税理士報酬などの料金だけを支払っている」ケースでは、源泉徴収をする必要がありません。

例えばサラリーマンが副業で稼いだお金を確定申告するために、税理士へ報酬を支払うケースは源泉徴収の必要がありません。

用語の整理

所得税とは

・自分で納める(確定申告をする)必要のある税金
・自分自身の手間がかかり面倒/国側としても申告漏れのリスクがある

源泉所得税とは

・支払い側が代わりに納める必要のある税金
・報酬を受け取る側は嬉しいが、支払い側は計算や納税が面倒

源泉徴収した金額の納付

源泉徴収した税金は、翌月10日までに税務署へ納める必要があり、その際に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を一緒に提出します。(税務署へ訪問せずとも、e-Taxで申請することも可能です)

従業員が常に10人未満の会社は、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を事前に提出しておくことにより、半年に1度の納付が可能となります。1月〜6月に徴収した場合は7月が、7月〜12月に徴収した場合は1月が納付期限となります。

納付先は銀行・ゆうちょ銀行の窓口、所轄の税務署の窓口、ダイレクト納付(e-Tax)、コンビニ納付などで支払うことができます。納付書は、所轄の税務署の窓口で入手するか、郵送をしてもらうか、となります。

給与所得以外の源泉徴収に関して

経営者視点で、給与所得以外の源泉徴収が発生するケースとしては、主にフリーランス(個人事業主)に業務を依頼した際のケースとなります。

フリーランスに依頼した業務が「原稿料、講演料、デザイン料」に該当する場合は源泉徴収する必要があり、該当しない場合は源泉徴収する必要がありません。

「キャッチコピーや記事作成をライターに依頼」「ホームページデザインをWebデザイナーに依頼」「名刺をDTPデザイナーに依頼」このような業務での報酬は、全て源泉徴収の対象となります。反対に開発系は対象とならないため、コーディングやプログラミング開発は、源泉徴収する必要がありません。

お金と源泉徴収の流れ

Aさん(法人)は Bさん(個人)に50万円の支払いをし、Bさん(個人)はCさん(個人)に27万円の支払いをした場合の源泉徴収額。

登場人物 受取額 支払額 源泉徴収額(10%)
Aさん(法人) 0 Bに50万 5万
Bさん(個人) 45万 Cに30万 3万
Cさん(個人) 27万 0

Aさん(法人)はBさん(個人)のために5万円を源泉徴収し、Bさん(個人)はCさん(個人)のために3万円を源泉徴収する流れになります。

BさんとCさんは、個人事業主なので、自分で1年間の経費を計算して確定申告することにより、支払い主側が源泉徴収した金額の一部を取り戻せる場合があります。これは事業運営にかかかった必要経費や控除などを考慮して、正しい所得税額で計算し直すことにより、払い過ぎた税金が還付される場合があるためです。(サラリーマンが会社に年末調整をしてもらって還付されるのと同じロジックです)

給与所得以外の源泉徴収の税額に関して

報酬の種類によって違いますが、原則は下記の税額となります。

報酬額 税額
100万円以下 報酬額×10.21%
100万円以上 (報酬額 − 100万円)× 20.42% + 100万円 × 10.21%

100万円以上の場合ですが、例えば150万の報酬額の場合、50万円の部分に20.42%の税額がかかり、100万円の部分には10.1%の税額がかかる、という意味になります。

ちなみに%の小数点以下は復興特別所得税で2038年に終了するため、それ以後に生じた所得については徴収されなくなります。

給与所得者の源泉徴収に関して

「給与所得者の源泉徴収」とは従業員(パートやバイト含む)からの源泉徴収のことです。雇用主側は給与を支払う前に、源泉徴収(所得税を徴収)しておくことが義務付けられています。

源泉徴収の計算は、国税庁の「給与所得の源泉徴収税額表」「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を利用して、給与所得や扶養親族の数などに応じた源泉徴収税額を計算します。

・給与所得の源泉徴収税額表(令和2年分)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2019/data/01-07.pdf

・賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和2年分)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2019/data/15-16.pdf

給与の源泉徴収に関して

給与の支払時の源泉徴収税額を計算する「給与所得の源泉徴収税額表」では、従業員を「甲」か「乙」で分類した上で、社会保険料控除後の給与に応じて税額が決まります。

「甲」は扶養控除等申請書の提出がある従業員で、提出がない場合は「乙」の欄を確認します。ただ「乙」の場合でも「従たる給与についての扶養控除等申告書」が提出されている場合は、扶養親族1人につき1,610円を控除できます。

各従業員の状況によって税額が異なるため、どんな「控除」が適用されるかを知る必要があります。そのために従業員を雇用したら「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出してもらいます。この申告書では「控除対象配偶者の有無」「扶養親族の有無」「従たる給与に該当するか否か」を確認できます。

賞与の源泉徴収に関して

賞与(ボーナス)の源泉徴収は「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を利用して算出します。

(社保控除後の)前月給与と、扶養親族の人数によって、税額が変わります。そのためボーナス支給月の前月に残業してお金を稼いでしまうと、源泉徴収額の税率が上がってしまうことになります。

退職金の源泉徴収に関して

退職金の源泉徴収は給与と賞与のようにシンプルではなく、少し複雑です。従業員が「退職所得の受給に関する申告書」を既に企業に提出しているか、によって税額が変わります。提出していない場合は一律20.42%の源泉徴収税となります。

申告書を提出している場合は「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額の計算方法」を利用して計算します。退職金の所得税額の計算は「分離課税」となっていて、通常の給与等の金額とは分けて課税されます。

年末調整に関して

従業員に支払う給料は源泉徴収して支払うのですが、その年の昇給や扶養人数の変動を考慮していないため、源泉所得税が上下する可能性があります。基本的に源泉徴収は少し多めに徴収しています。この徴収し過ぎた所得税を年末に計算し直し、従業員に還付する処理を「年末調整」と言います。

年末調整は雇用主側(会社側)で義務化されていますが、もし「年末調整」が無かった場合、従業員が自分で確定申告をして、払い過ぎた税金を取り戻す必要があり、毎年とても面倒な作業をする必要があります。会社がこの作業を代行してくれている、と捉えておくと良いでしょう。会社から渡される年末調整の控えは、確定申告書の控え、と同じといっても過言ではありません。

年末調整の流れ

11月〜12月に従業員に対して、家族内の扶養人数の変更を申告する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」、保険料の控除と配偶者の特別控除を申告する「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」、住宅ローンの控除を申告する「住宅借入金等特別控除申告書」などを記載してもらい、回収する必要があります。また転職者がいる場合は前職の源泉徴収票を回収しなければなりません。

それらの申告書を元に会社側で、各従業員に1年間に支払った給与・賞与等の総額を計算し、給与所得特別控除額・所得特別控除を差し引いたりして、所得税額を確定させます。

そして年間の源泉徴収した(大雑把な)税額と、本来の正しい所得税額の差分を求め、従業員に還付または徴収する流れになります。多くの会社では12月の給与に反映されます。

年末調整の計算が終わった後、本来の正しい所得税の金額を以下の提出書類に記入します。

  • 扶養控除等(異動)申告書
  • 保険料控除申告書
  • 配偶者特別控除申告書
  • 源泉徴収簿
  • 住宅借入金等特別控除申告書

これらの書類は毎年11月頃に税務署から送付されるので、1月末までに書類を作成して税務署や市区町村に提出する必要があります。

源泉徴収する場合のメリット/デメリット

基本的に従業員への給与は必須になり、外注先が個人の場合に仕事の種類によって、源泉徴収が必須か任意か、と判断されます。任意の条件の場合で源泉徴収をした場合の企業と個人(個人事業主)でのメリットとデメリットをまとめます。

企業側

企業側のメリットは特になし。デメリットは源泉徴収した分の納税手続きが必要で、年末に支払調書の発行する必要があり、手間と管理コストがかかる。

個人側

個人側のデメリットは特になし。メリットは代わりに所得税の納税手続きをしてくれるため、自分で確定申告をする必要性がない。(ただ確定申告しないと税金を支払い過ぎている状態となる)

総括

源泉徴収を従業員または個人事業主(フリーランス)に行う経営者の目線で、解説していきました。経営者側からすれば、義務ではない源泉徴収はなるべく避けたい、というのが本音でしょう。比較ビズでは社労士や税理士が多数登録しています。労務や会計周りで不明なことがありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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