フリーランスの源泉徴収を解説!対象の8つの報酬・料金や計算方法を解説
- フリーランスで源泉徴収される報酬・料金は?
- フリーランスの源泉徴収額の計算方法は?
- フリーランスが源泉徴収義務者になった場合の納付方法は?
「フリーランスにおける源泉徴収の仕組みや計算方法がよくわからない…」という方必見!
この記事では、フリーランスで活動している個人事業主に向けて、源泉徴収の仕組みや源泉徴収が必要な報酬について解説します。
最後まで読めば、フリーランスと源泉徴収の関係についての理解が深まります。
源泉徴収の注意点についても解説するため、不安がある方はぜひ参考にしてください。
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源泉徴収とは報酬から税金を差し引き国に納付する制度
源泉徴収とは、給与や報酬から国に納めるべき税金を差し引いて、支払いをおこなう制度のことです。
事業者には給与所得者に対して源泉徴収をおこなうことが義務付けられており、会社員の方は確定申告が不要になるメリットがあります。
フリーランスの場合は自分で確定申告する必要があるため、クライアントから送付される源泉徴収票の確認が必要です。
2020年から確定申告時の源泉徴収票の「添付」は不要に
2019年に施行された税制改正により、2020年以降の確定申告では確定申告書への源泉徴収票の添付が不要になりました。
2019年の税制改正以降、確定申告書や年末調整などの書類への印鑑押印も原則不要とされており、国税手続きの簡素化・ペーパーレス化が進められてます。
源泉徴収票には給与所得や退職所得だけではなく、公的年金の源泉徴収票も含まれているため、年金受給者の方の手続き簡素化も期待されています。
確定申告書類の作成に源泉徴収票は必須
確定申告時の源泉徴収票の「添付」は不要になりましたが、書類作成に源泉徴収書は必須です。確定申告書を作成する際は、源泉徴収票に記載された金額を転記する必要があります。
フリーランスや個人事業主で活動する際は、自分で確定申告する必要があるため、源泉徴収票を必ず保管しておきましょう。
フリーランスが源泉徴収される対象となる8つの報酬・料金
フリーランスが源泉徴収される対象となる8つの報酬や料金は、以下のとおりです。
- 原稿料・講演料・デザイン料など
- 弁護士や公認会計士など特定の有資格者に支払う報酬・料金
- 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
- プロスポーツ選手やモデルなどに支払う報酬・料金
- 映画・芸能・テレビ出演者や芸能プロダクション経営者に支払う報酬・料金
- ホステスやコンパニオンに支払う報酬・料金
- 役務の提供を契約することにより一時的に支払う契約金
- 広告宣伝のための賞金
フリーランスの方が受注する仕事で源泉徴収の対象となるものは数多くあるため、自身の業務範囲が源泉徴収の対象になるか確認しましょう。
1. 原稿料・講演料・デザイン料など
フリーランスの方が受注する仕事の中で源泉徴収される代表的な報酬が「原稿料」「講演料」「デザイン料」などです。
国税庁が発表している「源泉徴収のあらまし」にある「報酬・料金の源泉徴収事務」には、どのような仕事が源泉徴収の対象となるか詳しく書かれています。
原稿料は執筆だけではなく校閲も対象になり、脚本や校正、脚色や翻訳、速記なども源泉徴収の対象です。
2. 弁護士や公認会計士など特定の有資格者に支払う報酬・料金
弁護士や司法書士、公認会計士などの「士業」として働いている方への報酬も源泉徴収の対象です。
弁護士の場合は「弁護料」司法書士の場合は「登記申請代行費用」など、さまざまな名目での支払いがありますが、すべてに源泉徴収の必要があります。
3. 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬にも源泉徴収が必要です。社会保険診療報酬支払基金の概要は、以下のとおりです。
保険医療機関による診療費の請求が適当かどうかを審査し、健康保険組合から保険医療機関への支払いを仲介する特別民間法人。
社会保険診療報酬支払基金を活用する際は、源泉徴収が必要なことを理解しておきましょう。
4. プロスポーツ選手やモデルなどに支払う報酬・料金
プロスポーツ選手やモデルもフリーランスにあたるため、支払われる報酬には源泉徴収が必要です。
プロスポーツ選手には野球選手やサッカー選手をはじめ、プロレスラーやプロボウラー、プロe-sportsプレイヤーの方々が該当します。
5. 芸能人や芸能プロダクション経営者に支払う報酬・料金
芸能人や芸能プロダクション経営者に支払う報酬・料金にも、源泉徴収が必要です。
フリーランスで活動する芸能人だけではなく、芸能プロダクションに報酬を支払う場合にも源泉徴収が必要になるため注意しましょう。
6. ホステスやコンパニオンに支払う報酬・料金
店に所属しておらずフリーランスとしてホステスやコンパニオンで活用している方は報酬も源泉徴収されます。
ナイトクラブやバーなどでの接客はもちろんのこと、ホテルや旅館でのパーティーで接客する場合も同様です。
報奨金や衣装代、深夜帰宅するためのタクシー代も源泉徴収の対象となるため注意しましょう。
7. 役務の提供を契約することにより一時的に支払う契約金
プロ野球選手やホステスなどの、個人と専属契約を結ぶ際の一時的に支払う契約金には源泉徴収が必要です。
契約金は給与所得ではないため、いかなる場合でも源泉徴収が必要になるため注意しましょう。
8. 広告宣伝のための賞金
フリーランスとは異なりますが、テレビ番組の賞金や競馬の騎手や馬主に払う賞金に関しても、源泉徴収が必要です。
くじ引きの当選者を旅行に招待する場合は、原則として賞金には含まれません。旅行に代わって現金や物品を選べる場合は、金品の価額が賞金の額となり源泉徴収が必要になります。
フリーランスの源泉徴収額の計算方法
フリーランスの源泉徴収額の計算方法は、以下の条件によって変わります。
- 1回の支払いが100万円以下のケース
- 1回の支払いが100万円を超えるケース
自分がどちらのケースに当てはまるのかを把握して、適切な計算をおこないましょう。
1回の支払いが100万円以下のケースにおける源泉徴収額の計算方法
1回の支払いが100万円以下のケースにおける源泉徴収額の計算方法は、以下のとおりです。
源泉徴収額=報酬額×10.21%
税率10.21%のうち、所得税額が10%、0.21%が復興特別所得税です。
復興特別所得税とは「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」で制定された、源泉所得税を徴収する際にあわせて源泉徴収される税です。
フリーランスとして100万円の報酬を得た場合の源泉徴収額の計算方法は、以下のとおりです。
源泉徴収額=100万円×10.21%=102,100円
適切な計算方法と税の種類を理解して、自分にかかる源泉所得税額を把握しましょう。
1回の支払いが100万円を超えるケースにおける源泉徴収額の計算方法
1回の支払いが100万円を超えるケースにおける源泉徴収額の計算方法は、以下のとおりです。
源泉徴収額=(報酬−100万円)×20.42%+102,100円
税率20.42%のうち、所得税額が20%、0.42%が復興特別所得税です。100万円を超える場合は税率が2倍になります。フリーランスとして200万円の報酬を得た場合の源泉徴収額の計算方法は、以下のとおりです。
源泉徴収額=(150万-100万円)×20.42%+102,100円=204,200円
100万円を1円でも超える場合は計算方法が変わるため注意しましょう。
フリーランスが源泉徴収される際の3つの注意点
フリーランスが源泉徴収される際の注意点は、以下の3つです。
- クライアント側で源泉徴収しているか
- 報酬額と源泉徴収額が正しく計算されているか
- 請求書に報酬と消費税を分けて明示されているか
フリーランスが源泉徴収される際の注意点を把握しておくことで、確定申告の際にミスをおこさないようにしましょう。
1. クライアント側で源泉徴収しているか
仕事を発注したクライアント側で源泉徴収されているかを確認しましょう。クライアントが個人事業主の場合、源泉徴収しないケースも少なくありません。
源泉徴収がされていない場合は、自分で源泉徴収額を計算して確定申告の準備を進めましょう。
仕事を受ける前にクライアントから源泉徴収作業の有無を確認し、源泉徴収をしてもらうようにクライアントに交渉する手段もあります。
2. 報酬額と源泉徴収額が正しく計算されているか
仕事を発注したクライアント側から源泉徴収票が送付された際は、報酬額と源泉徴収額が正しく計算されているかを確認しましょう。
確定申告では、自分でこれまでの納付額を確認して所得額を記載しなければなりません。
報酬額と源泉徴収額を確認しておくことで、確定申告の際に所得税を二重で納付しないようにしましょう。
3. 請求書に報酬と消費税を分けて明示されているか
請求書を確認する際は、報酬と消費税を分けて明示されているかを必ず確認しましょう。税込表示の場合、消費税込みの金額が源泉徴収の対象として差し支えありません。
請求書に報酬と消費税に分けて明示されている場合、消費税額を除いた分の所得が源泉徴収の対象になります。
請求書に「220,000円(税込)」と記されていた場合、源泉徴収の対象は税込価格となるため、源泉徴収額は以下になります。
220,000円×10.21%=22,462円
請求書に「請求額200,000円、消費税20,000円」と記されている場合、源泉徴収の対象は報酬額のみで消費税を含めなくてもいいため、源泉徴収額は以下になります。
200,000円×10.21%=20,420円
上記の例のように同じ金額でも税込表示か税別表示かにより源泉徴収の対象金額が変わるため、源泉徴収額に差が生じます。生じた手取りの差額は、確定申告をする際に清算されるため注意しましょう。
フリーランスが源泉徴収義務者になるのは「人を雇用して給与を支払う場合」
フリーランスでも「人を雇用して給与を支払う場合」は、源泉徴収義務者になります。
基本的に、フリーランスとして働く方が、フリーランスや個人事業主に業務を依頼しても源泉徴収の義務は発生しません。人を雇用して給与を支払うフリーランスは、源泉報酬の対象となる報酬の支払いに対して、源泉徴収の義務を負います。
事業や活動を法人化した際も源泉徴収義務が発生します。源泉徴収義務者の立場に該当する場合は、必ず源泉徴収をおこないましょう。
源泉徴収票の納付方法
源泉徴収票は、税務署に用意されている「報酬・料金の所得税徴収高計算書」を使用して金融機関か税務署に納付しましょう。
書類を直接提出するだけではなく、e-Taxを活用してインターネットからの提出も可能です。直接提出する場合、PDFで作成した書類を光ディスクに保存して提出できます。
自分の都合にあわせてやりやすい方法を採用して、源泉徴収票を提出しましょう。
源泉徴収票の納付期限
源泉徴収票の納付期限は、原則として源泉徴収をした翌月の10日までです。従業員が10名未満の場合のみ、年2回にまとめて納税することも許可されています。
毎月の納税が面倒な方は「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出して、年2回の納税に変更しましょう。
まとめ
本記事では、フリーランスにおける源泉徴収の仕組みや計算方法を紹介するとともに、対象となる8つの報酬や源泉徴収票の納付方法を解説しました。
フリーランスとして活動するうえで、余計な所得税を納めないためにも、源泉徴収の仕組みを深く理解する必要があります。ミスなく税金を納めるために確定申告時は税理士に頼るのも1つの方法です。
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札幌市を中心に活動する税理士。アパレル業界から未経験で税理士業界に飛び込む。その後、個人事務所、資産税系コンサルティングファームで経験を積み独立。税理士の仕事で重要なことはお客様とのコミュニケーションであるという考えから対話を重視している。中小企業の経営支援、スタートアップ支援、相続業務を得意としている。
対象となる報酬や料金は、業種によって源泉徴収税額の計算方法が異なります。
・司法書士や土地家屋調査士の場合は支払金額から1万円を控除した金額に10.21%を乗じた金額。
・ホステス等の場合は支払金額から一定の控除額を控除した残額に10.21%を乗じた金額。
・ライターやデザイナーなど原稿料や講演料を対価とする職種は支払金額に10.21%を乗じた金額。ただし同一人に対し支払う金額が1回につき100万円を超える場合はその超える部分については20.42%です。
報酬を受け取る人の旅費や交通費を報酬の支払者が負担する場合があるかと思いますが、これらは原則的に報酬に含まれ源泉徴収の対象です。ただし報酬の支払者が直接ホテルや旅行会社に支払った場合は報酬に含めなくてもよいことになっています。
源泉徴収税額は所得税の前払いという性質があり、確定申告の際に計算された所得税から控除されます。控除しきれなかった場合は還付されますので正しく確定申告を行いましょう。
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もしも今現在、
- どの税理士に依頼したらいいかわからない
- 自社の業界に詳しい税理士・会計士を探したい
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