ダブルトランザクションによるメリットとは?倉庫業務効率化の方法も紹介
- ダブルトランザクションとは?
- ダブルトランザクションのメリットとは?
- 倉庫業務を効率化する方法とは?
ダブルトランザクションとは、倉庫内の作業スペースを2つに分割することです。スペースをピッキングエリアとストックエリアに分け、作業内容を明確化します。ダブルトランザクションによって、どのようなメリットが得られるでしょうか。
この記事では、ダブルトランザクションの概要やメリットなどについて解説しています。「倉庫内のスペースを有効活用して、保管効率と作業効率を上げたい」と考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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ダブルトランザクションとは2つのエリアに分けて作業をおこなう手法
ダブルトランザクションとは、倉庫内のスペースをピッキングエリアとストックエリアにわけて運用する管理方法です。ピッキング作業の効率化や保管スペースの有効活用が目的です。
ピッキングエリアでは保管している製品を最小限に抑え、ピッキング作業に集中しやすい環境を整備します。ストックエリアでは出荷頻度の低い製品を保管する場として活用するため、必要最低限の回数しか作業はおこないません。
ダブルトランザクションへの理解を深めるためにも、「ピッキングエリア」と「ストックエリア」の役割について把握しましょう。
ピッキングエリア
ピッキング作業とは、倉庫内に保管されている製品を注文書に記載された個数分だけ集める作業を指します。出荷時間が決まっているため、作業の正確性とスピードが必要です。
ダブルトランザクションを導入した場合、ピッキングエリアはフリーロケーションの役割を担います。
フリーロケーションとは、製品のジャンルや関連性を問わず好きな場所に保管する方法です。専用ソフトやハンディターミナルと連携すると、簡単に製品を集められます。
ピッキングエリアにはすぐに出荷する製品しか置かないので、作業スペースを広く確保できます。
ストックエリア
ストックエリアはパレットやケースなど、大きな荷姿で製品を保管しておく場所を指します。ダブルトランザクションを導入した場合、ストックエリアでの作業頻度が大幅に減るのが特徴です。
ロットが大きい製品の出荷対応、ピッキングエリアの在庫補充だけに作業内容が限定されます。作業頻度が減る一方で、在庫補充のタイミングは非常に重要です。
ダブルトランザクションを実施した場合、ストックエリアは固定ロケーションの役割を担います。固定ロケーションとは、商品を常に同じ場所で保管する方法です。
現場従業員が保管場所を覚えやすく、管理しやすい点がメリットとして挙げられます。
ダブルトランザクションの仕組み
ダブルトランザクションは以下3つのステップを踏み、運用します。
- スペースの分割方法を決める
- ピッキングエリアとストックエリアに分類する
- ピッキングエリアから製品の在庫を補充する
2と3については上記で触れたので、ここでは1についてのみ述べます。
倉庫内スペースを分割する際、縦配置と横配置の2種類から選択します。倉庫の広さや扱う製品によってどちらにするか決めましょう。以下からそれぞれの特徴をみていきます。
- 縦配置
スペースを有効的に活用できる反面、製品が破損するリスクがあるため、安全面に注意しましょう。パレットラックやフォークリフトなど、高いところに保管した製品を取り出すツールも必要です。
- 横配置
倉庫の保管スペースが広ければ、比較的導入しやすいです。平面的なレイアウトのため、高所作業用ツールは必要ありません。
ダブルトランザクションによる2つのメリット
ダブルトランザクションによって得られるメリットは以下の2つです。
- ピッキングの作業効率が高まる
- 保管スペースを多く確保できる
内容をそれぞれ詳しくみていきましょう。
ピッキングの作業効率が高まる
ピッキングエリアには、製品を保管しておくスペースを設けません。保管スペースをなくすことで通路や作業スペースを広く確保でき、ピッキング作業が進めやすくなるのが大きなメリットです。
ダブルトランザクションによって、「ピッキングしない製品が大量に山積みされている」状態もなくせます。
製品の在庫補充はストックエリアからおこなうため、倉庫内を歩き回る必要がありません。商品を集める際の歩行距離が短縮され、ピッキングに集中して取り組めます。
保管スペースを多く確保できる
ダブルトランザクションにより、ストックエリアでの作業内容が限定されます。ストックエリアでは、大きいロットの出荷作業とピッキングエリアの在庫補充のみおこないます。
作業内容の限定によって、通路幅の狭小化と保管スペースを確保できる点が大きなメリットです。保管スペースを多く確保でき、保管効率向上と管理コスト削減を図れます。
ダブルトランザクションによる2つのデメリット
ここまでダブルトランザクションのメリットについて解説してきました。ダブルトランザクションは、ピッキングの作業効率や倉庫の保管効率を高められる点がメリットです。
しかし、デメリットがないわけではありません。以下2点がダブルトランザクションによって生じるデメリットです。
- ピッキングエリアの在庫が無くなる前に補充が必要
- 大型商品を扱う倉庫や出荷量が多い倉庫には不向き
在庫補充のタイミングが遅れると、様々な悪影響が生じます。また、大型商品を扱う倉庫にダブルトランザクションは不向きです。
ピッキングエリアの在庫が無くなる前に補充が必要
ダブルトランザクションを導入する場合、在庫補助のタイミングが非常に重要です。ピッキングエリアでの在庫がなくなる前に補充が終わっていないと、欠品や作業遅延を招く可能性が高くなります。
無駄な待ち時間の発生や作業効率低下を防ぐためには、スムーズな情報共有が重要です。入出庫や出荷予測や状況を把握できれば、素早く在庫補充をしておけます。
当日出荷する製品は午前中までにピッキングエリアに集めておくのも、事故や作業遅延を防ぐ1つの方法です。
大型商品を扱う倉庫や出荷量が多い倉庫には不向き
大型家電や家具など、移動させにくい大型商品をメインに扱っている場合、ダブルトランザクションの導入は避けましょう。ピッキングエリアへの移動に多くの時間と手間がかかるためです。
ダブルトランザクションは、一人でも簡単に移動できるサイズや重量の製品を扱っている倉庫に適しています。1回の注文で出荷する量が多い場合も、ダブルトランザクションの導入は避けてください。
パレットやケースなど、入荷時の荷姿を維持したまま出荷する方が効率的です。小型製品と1オーダーの出荷量が少ない場合、ダブルトランザクションの導入を検討しましょう。
倉庫業務が抱える4つの課題
ダブルトランザクションはピッキングや在庫管理の効率化が期待できますが、倉庫業務が直面している課題は多く、抜本的な対策が急務の状況です。
ダブルトランザクションの実施だけでは、倉庫業務が抱える課題の抜本的な解決は難しいでしょう。以下4点が倉庫業務が直面している課題です。
- 頻繁にミスが発生
- 慢性的な人手不足
- 扱う製品数の増加
- 棚卸し作業に多くの手間が発生
課題の内容を一つひとつ確認していきましょう。
頻繁にミスが発生
倉庫業務に十分な人員を割けないと負担が大きくなり、業務の正確性が低下します。目の前の仕事を処理するだけで精一杯の状況となり、ミスの発生有無を確認する余裕がありません。
相互チェック体制も機能不全に陥っており、ミスの早期発見も難しい状況です。頻繁にミスが起きると顧客からの信頼を失い、今後の企業経営に多大な悪影響を及ぼします。
現場従業員のモチベーション低下も避けられません。即戦力人材の採用や業務プロセスのデジタル化など、作業環境が改善されない限り、業務効率低下や離職率増加を招きます。
慢性的な人手不足
ECサイトのニーズ拡大に伴い、倉庫業務をはじめ物流機能の重要性も高まっていますが、人員供給が追い付いていない状況です。
慢性的な人手不足によって一人ひとりが多くの作業をこなさなければならず、作業効率や成果物の質は高まりません。
倉庫での作業は、以下の内容を一定水準以上理解する必要があります。
- 在庫状況の把握
- 商品格納場所
- 顧客別の指定梱包方法
- 商品を扱う上での注意点
- 道具の保管場所
- 作業のタイミング
倉庫業務は上記のように覚える内容が多く、新人が一人で作業をこなせるようになるには多くの時間が必要です。結果、ベテラン従業員に多大な負荷がかかり、業務の属人化や業務効率低下が発生しやすくなります。
扱う製品数の増加
倉庫内で取扱う品目が増加すると管理方法が複雑化し、トラブルの発生リスクが高まります。企業によって指定する管理方法は異なるため、個々の要望に合わせた管理を実施しなければなりません。
Excelや伝票管理だと最新の動向を反映した情報共有ができず、出荷ミスや発注漏れが発生しやすくなります。最悪の場合は賞味期限切れの商品出荷や売れ筋商品の長期欠品を招き、顧客からの信頼喪失は避けられません。
複数の倉庫を持っている場合、拠点ごとにルールや管理方法が異なると、無駄なやりとりが増えます。コミュニケーションコスト削減のため、管理方法を統一することが重要です。
棚卸し作業に多くの手間が発生
倉庫に保管している製品は企業の資産であり、定期的な棚卸作業が欠かせません。Excelで作成した在庫情報を基に棚卸作業を進めていた場合、多くのデメリットが発生します。
Excelの場合、情報のタイムラグや入力ミスが発生する可能性があるため、棚卸に多くの時間を要します。Excelは在庫管理システムや倉庫管理システムと異なり、短時間で多くのデータを正確に処理するのは難しいからです。
データと現物の数量が不一致だった場合、データ入力を間違えた箇所を見つけなければなりません。修正作業にも多くの時間を要し、他の業務進捗に多大な遅れを及ぼします。
倉庫業務を効率化する3つの方法
ここまで倉庫業務が抱える課題をみてきました。「ダブルトランザクションだけでは課題を解決できない」と考えている方も、少なくないでしょう。
業務の正確性向上や人員不足解消に向け、倉庫業務を効率化する方法を3つ紹介します。
- 倉庫管理システムの導入
- 在庫管理システムの導入
- 物流アウトソーシングの利用
自社の業態や課題に合った方法を選択することが重要です。
倉庫管理システムの導入
倉庫管理システムとは、製品が倉庫に入荷してから出庫するまでの流れを管理するシステムです。製品の流れだけでなく、人員配置や設備の稼働状況も管理できます。
以下の5つのような内容を管理できます。
- 入荷予定の製品名や入荷数
- 倉庫内に保存してある製品の位置や数量
- 製品の出荷予定数や過去の実績
- 作業動線管理や棚卸報告書の作成
- 各種伝票やラベル発行
倉庫業務に必要な情報のデータ化や自動化によって、現場作業に迷いを与えません。作業の効率性と正確性を高いレベルで両立可能です。
倉庫管理システムを導入するメリットは、倉庫業務の標準化です。業務の標準化によって、効果的な人材育成や業務の属人化解消も実現できます。
ロケーション管理によって変更内容をすぐに反映し、無駄な時間の削減やスペースの有効活用を実現できる点も魅力です。
在庫管理システムの導入
在庫管理システムは保管場所や製品別に、常に最新の在庫状況を反映するシステムです。導入するメリットは、在庫管理作業の効率化とコスト削減を実現できる点です。
「どの製品が、どの場所に、いくつ保管されているか」をシステム上ですぐに把握できるため、発注作業の正確性と効率性を共に高められます。
適正在庫の維持によって、管理スペースを必要以上に確保する必要もありません。管理の手間や無駄な費用の発生を避けられる点も魅力です。
機能の種類 | 主な内容や特徴 | 期待される効果 |
---|---|---|
在庫一覧 | ・製品や保管場所ごとに在庫数を可視化 ・ロット番号での管理 ・ピッキングや出庫予定製品のデータ検索 |
・在庫管理の負担軽減 ・適正在庫の実現 ・作業の正確性と効率性の向上 |
入出庫管理 | ・入出庫予定の製品を検品 ・バーコードが付随したラベルの自動発行 ・伝票発行 |
・業務の標準化 ・作業効率化 |
検品 | ハンディターミナルで品目や数量チェックを完結 | ・業務の標準化 ・作業効率化 ・ミスの削減 |
返品 | ・返品された製品の出荷履歴や在庫情報の修正 ・入力作業のみで返品データを管理 |
・イレギュラー作業への対応 ・データ修正作業の工数削減 ・トラブル回避 |
棚卸 | ・在庫データと実際の保管数量の正誤を判断 ・一斉棚卸 ・循環棚卸 |
・棚卸の効率化 |
在庫分析 | ・入出庫データや在庫データの分析 ・在庫回転率の分析 ・発注数量の自動分析 |
・商品の売上を可視化 ・顧客の販売状況可視化 ・適正在庫の維持 |
データ抽出 | 保存されているデータの抽出 | ・在庫状況のスムーズな共有 ・グラフや表を社内資料に活用 |
マスター管理 | ・担当者や仕入れ先、顧客情報の管理 ・製品の保管場所や在庫区分の管理 |
・情報の一元管理 ・管理コスト削減 |
参照:ITトレンド
物流アウトソーシングを利用
物流アウトソーシングとは入出庫や在庫管理など、物流業務全般を外部企業に委託できるサービスです。以下の業務内容を委託できます。
作業内容 | |
---|---|
入荷・入庫・棚入れ | ・納品された製品をパレットや棚に格納 ・バーコードの貼付け |
検品・セット組 | ・製品名や数量が納品書通りなのか確認 ・賞味期限や消費期限の確認 ・汚れや破損がないかを確認 |
在庫管理 | ・在庫データと製品保管数量の一致を常に実施 ・保管場所の選定 ・タグやラベルの確認 |
帳票発行 | ・送り状や納品書、伝票の発行 ・ピッキングリスト作成 |
ピッキング・梱包 | ・注文や配送依頼を受けた商品の取り出し ・顧客別に指定された方法での梱包 |
出荷 | ・輸送会社の手配 ・集荷や持ち込みの手配 ・出荷データを輸送会社へ通知 ・顧客に送り状番号を連絡 |
返品処理 | ・返品された商品の保管 ・要望に応じて再度出庫処理 ・検品が必要な場合や賞味期限がある場合は返還 |
棚卸 | ・棚卸作業の代行 |
物流アウトソーシングを利用するメリットは、コスト削減です。倉庫管理費や梱包資材費など、固定費用を大幅に削減できます。
業務量の増減に応じて従業員数を調整する必要もありません。これまで倉庫業務に配置していた人員を営業や商品企画など、売上に直結するコア業務へ配置することもできます。
豊富なノウハウや実務経験を持つプロに依頼することで、業務品質を高められる点もメリット。丁寧な梱包やピッキングによって綺麗な状態で商品を納入でき、顧客ロイヤリティが高まります。
まとめ
今回の記事では以下4点について述べてきました。
- ダブルトランザクションの概要
- ダブルトランザクションのメリット・デメリット
- 倉庫業務が抱える課題
- 倉庫業務を効率化する方法
ピッキング作業の効率化や保管スペースの有効活用を望める点が、ダブルトランザクションのメリットです。
反面、大型製品を扱う場合や1日の出荷量が多い倉庫には向いていません。慢性的な人手不足に伴う業務の属人化や作業負担増大の解消も難しいでしょう。
上記の課題解決に向けては、物流アウトソーシングを利用するのが有効です。豊富な実務経験やノウハウを持つスタッフが在籍しており、作業の正確性とスピードの向上が望めます。
「比較ビズ」を利用すれば、必要事項を入力する2分程度の手間で、自社に合った物流会社を探し出せます。複数の企業に無料で相談できる点も、嬉しいポイントです。物流アウトソーシングの利用を検討している方は是非ご利用ください。
もし倉庫のスペースを有効活用できていないと感じられ停るならば、ダブルトランザクションの導入を考えてみてはいかがでしょうか。ゾーニングすることで、作業の効率化が図れるだけでなく、限られたスペースをより有効に活用することができます。
どのような倉庫でもダブルトランザクションを導入すれば効率がアップするわけではないので、注意が必要です。特に補充作業がスムーズにできるかが重要です。
倉庫内のレイアウトをどうすれば良いか、ピッキングをどのタイミングで行ったら良いかなどスケジュールを管理することが大切になってきます。
比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。
もしも今現在、
- 3PL業者の選択基準が分からない
- 物流全体の効率化・コスト削減をしたい
- 3PLの費用相場がわからない
上記のようなお困りがありましたら、比較ビズへお気軽にご相談ください。比較ビズでは、複数の物流・運送会社に一括で見積もりができ、相場感や各社の特色を把握したうえで最適な企業を選定できます。見積もりしたからといって、必ずしも契約する必要はありません。まずはお気軽にご利用ください。