冷凍倉庫レンタル・保管料の費用相場は?料金の仕組みや業者選定のポイントを解説
- 冷凍倉庫レンタル・保管料の費用相場は?
- 冷凍倉庫レンタル・保管料の料金の仕組みは?
- 冷凍倉庫会社選定のポイントは?
冷凍倉庫レンタル・保管料は地域やエリアにより大きく異なります。正確な費用を知るためには、複数の冷凍倉庫会社から見積もりを取ることが大切です。
本記事では冷凍倉庫レンタル・保管料の費用相場や内訳を詳しく解説しています。最後まで読むと、おおよその予算感がわかり、見積もり金額が適正かを判断できるようになるでしょう。
「冷凍倉庫レンタル・保管料の費用相場が気になる」という方はぜひ参考にしてください。
冷凍倉庫とは?物流倉庫との違いは?
一般的には、商品などを貯蔵・保管しておく建物のことを「倉庫」と定義しています。その意味でいえば「冷凍倉庫」は、冷凍食品・商品などを冷凍したまま貯蔵・保管しておく建物だと思うかもしれません。それはある意味で間違ってはいませんが、現代の「冷凍倉庫」は単なる倉庫ではありません。
- 冷凍倉庫
冷凍したまま食品・商品を貯蔵・保管できる機能を持った「物流倉庫」
- 物流倉庫
商品の貯蔵・保管はもちろん、「入庫」「棚入れ」「在庫・商品管理」「ピッキング」「流通加工」「出荷」などの物流サービスを提供する倉庫施設
物流倉庫は、まさに物流の中心として、生産者と消費者の間に立つ役割を担っているのです。
冷凍倉庫の保管温度帯は?
冷凍倉庫はイコール物流倉庫だといえますが、物流倉庫が冷凍倉庫とイコールなわけではありません。さまざまな商品を取り扱う物流倉庫には、貯蔵・保管する商品の特性に応じて4つの区域があります。
- 常温
- 低温
- 冷蔵
- 冷凍
このうちの冷凍区域を冷凍倉庫と呼ぶのが一般的です。倉庫分類では、10℃以下で保管するすべての倉庫を「冷蔵倉庫」に区分していますが、−20℃以下のフローズン級(F級)と呼ばれる倉庫を、特に「冷凍倉庫」と呼ぶ場合が多いようです。
等級 | 保管温度帯 |
---|---|
C3級 | 10℃〜−2℃未満 |
C2級 | −2℃以下〜−10℃未満 |
C1級 | −10℃以下〜−20℃未満 |
F1級 | −20℃以下〜−30℃未満 |
F2級 | −30℃以下〜−40℃未満 |
F3級 | −40℃以下〜−50℃未満 |
F4級 | −50℃以下 |
冷凍倉庫をレンタル・活用するメリット
現代の冷凍倉庫は、入庫から食品・商品の在庫管理、ピッキング、出荷・配送まで、高度にシステム化された物流サービスを提供しています。
これを自社で賄うためには、倉庫を建設した上で効率的に物流業務を処理できるシステムを構築する必要があり、施設の維持費、人件費、光熱費も負担しなければなりません。
冷凍倉庫を活用すれば、こうした膨大な経費を「レンタル料」「保管料」に置き換え可能です。つまり、冷凍倉庫をレンタル・活用する最大のメリットは「商品保管・管理、物流に関連するコストダウン」が見込めることです。
また、入庫・検品・ピッキング・出荷といった、物流の一連の流れを委託できるため、自社リソースをコア業務に割り振ることによる業務効率化・生産性向上も実現できるでしょう。
冷凍倉庫レンタル・保管料の費用相場
倉庫本来の意味で考えれば、商品を貯蔵・保管していくの必要なスペースだけ、冷凍倉庫をレンタルすればいいと思うかもしれません。しかし上述したように、現代の冷凍倉庫は高度にシステム化された物流拠点です。
商品の保管料はもちろん、効率的なサービスを提供できるように細かく費用が分類されています。まずは、一般的な冷凍倉庫のサービス項目と、その費用相場を紹介しておきます。
サービス項目 | 費用相場 |
---|---|
システム利用料 | 20,000〜50,000円(月額) |
業務管理料 | 10,000〜50,000円(月額) |
倉庫保管料 | 3.000〜7,000円/坪(月額) |
入庫料 | 10〜30円/1個 |
デバンニング料 | 20,000〜35,000円 |
検品料 | 10〜30円/1個 |
出荷料(ピッキング料) | 10〜30円/1個 |
梱包料 | 150〜300円/1個 |
配送料 | 400〜1,000円/1個 |
冷凍倉庫ならではの「冷凍設備費」が必要
ここまでの費用相場は、レンタル・保管料を含めて物流倉庫とほとんど変わりません。ただし、食品・商品を冷凍のまま保管するための光熱費「冷凍設備費」が必要になるのは、冷凍倉庫ならではの特徴だといえるでしょう。
冷凍設備費に関しては、倉庫会社によっても、保管温度帯の等級によっても異なるケースがあるため、事前にしっかりと確認しておくのが重要です。
冷凍倉庫レンタル・保管料の仕組み:固定費
一般的な冷凍倉庫のサービス項目、およびその費用相場を紹介してきましたが、項目が多過ぎて、結局トータルでどの程度の費用がかかりそうなのか?イメージできない方も多いかもしれません。そんな方のために、冷凍倉庫レンタル・保管料の仕組みを分かりやすく解説してみましょう。冷凍倉庫を活用する際に必要な費用は基本的に、
- 固定費
- 変動費
に分類できます。このうちの「固定費」には、商品保管に必要な占有スペースに応じた保管料および、商品を管理するために必要な管理料が含まれ、占有スペースに変更が生じない限り毎月一定の料金を支払います。内訳の詳細は以下の通りです。
システム利用料
冷凍倉庫では、入庫・在庫管理・ピッキング・出荷まで、その時点での状況を瞬時に確認できる、高度な倉庫管理システム=WMS(Warehouse Management System)で商品を管理しています。このWMSの利用料金が「システム利用料」です。自社でシステム構築することなく、商品のステータスを確認できます。
業務管理料
冷凍倉庫内での商品管理に必要な手数料が「業務管理料」です。システム利用料とは別途で請求されるのが一般的ですが、物流倉庫会社によってはシステム利用料と合わせた「基本料」として請求されるケースもあります。
倉庫保管料
商品を保管するスペースに応じた賃貸料ともいえるのが「倉庫保管料」です。坪貸し、棚貸し、パレット貸しなど、物流倉庫会社によってスペースを提供する単位は異なりますが、利用単位を最小化することによって預け量に柔軟に対応できれば、準固定費として費用を最適化するのも可能でしょう。
冷凍倉庫レンタル・保管料の仕組み:変動費
倉庫保管料に関しては最適化の余地があるものの、基本的に毎月一定の料金がかかるのが「固定費」の特徴。これに対して、入庫・ピッキング・出荷など、冷凍倉庫内の商品移動数に応じてかかる費用が「変動費」です。内訳の詳細は以下の通りです。
入庫料・デバンニング料
商品の受入れ・仕分けなど、入庫時に必要な荷受料が「入庫料」です。コンテナ、宅配便など、入庫時の形態に応じて単価設定される場合が一般的です。
コンテナからフォークリフトで荷物を積み下ろす「デバンニング料」と分けて請求されるケースもありますが、入庫料として一括請求される場合も。小さな商品の場合はケースごと、段ボールごとに料金を設定する場合もあります。
検品料
入庫した商品は、検品した後にシステム入力・管理されます。この際に必要な費用が「検品料」です。商品管理に必須のバーコードがない場合はオプション対応となり、別途、追加費用が必要になる場合もあります。
出荷料(ピッキング料)
冷凍倉庫で保管する商品を出荷する際に必要な費用が「出荷料」です。クライアントの求めに応じ、対象商品を倉庫から取り出す(ピッキング)作業になるため、ピッキング料とも呼ばれます。出荷前の商品を対象に、オプションでアソート、値札付け、ラベル貼りなどの「流通加工」を依頼するのも可能です。
梱包料
ピッキングした商品を運送会社に引き渡すため、ダンボールなどの資材を使って商品を梱包する費用が「梱包料」です。商品の破損を防ぐ各種緩衝材、同梱される納品書・送り状などの費用は梱包料に含まれるのが一般的です。
配送料
梱包した商品を取引先、エンドユーザーへ届けるための費用が「配送料」です。一般的な宅配便が活用されるケースがほとんどであり、距離に応じた配送料がかかります。
離島の場合は、配送料が1,000円を超える場合もありますが、大量配送というスケールメリットを活かし、有利な配送契約を結んでいるのも冷凍倉庫ならではのポイント。運送会社と独自に契約するよりもリーズナブルです。
地域・エリアで異なる冷凍倉庫レンタル・保管料
冷凍倉庫をレンタルする際の費用相場がだいたいイメージできたのではないでしょうか?一方、冷凍倉庫の活用を検討する企業であれば、それなりの物量の商品を保管したいはずです。
ある程度の最適化が可能とはいえ、レンタル料の大きな部分を占める「保管料」は地価に大きく左右されます。地域・エリアによって異なる冷凍倉庫の保管料を把握しておくのも重要です。
地域・エリア | 保管料の費用相場(坪単価) |
---|---|
東京都世田谷区 | 6,000〜7.000円 |
東京都足立区・江戸川区 | 4,500〜5.500円 |
東京都町田市・八王子市 | 3,500〜4.000円 |
千葉エリア | 3,000〜4.000円 |
仙台市エリア | 2,800〜4.000円 |
近畿エリア | 3,700〜4.500円 |
中部エリア | 3,500〜4.000円 |
福岡エリア | 2,700〜3.500円 |
コールドチェーン構築に欠かせない冷凍倉庫
ここまで解説してきたように、物流倉庫の冷凍区域である冷凍倉庫は、生産者からエンドユーザーまで、冷凍・冷蔵食商品を素早く安全に届ける「コールドチェーン」の中心を担う存在であることがわかります。
冷凍商品のディストリビューターが物流拠点としてレンタルするにも、メーカーが倉庫・物流拠点としてレンタルするにも、冷凍倉庫の存在は非常に有効です。
ただし、コールドチェーンを構築するには「冷凍倉庫」まで冷凍商品を物流させる「チェーン」が必要です。特に、大量の冷凍商品を素早く安全に届けたいメーカーであれば、活用を検討したいのが「リーファーコンテナ」です。
冷凍倉庫と併用したいリーファーコンテナとは?
リーファーコンテナとは、温度管理の必要な荷物を運ぶため、冷却装置の搭載や特殊な加工が施されたコンテナのことです。
20℃〜−20℃までの温度管理が可能な一般タイプのほか、−60℃まで設定可能な冷凍専用低温タイプ、室内の酸素・二酸化炭素濃度の調節が可能なCAコンテナなどの種類があります。
リーファーコンテナに備え付けられた冷却装置は、外部電源を接続することで常に機能させることが可能。コンテナ内部は断熱材で囲われているため、積載量は多少制限されますが、一定の温度を保つのに効果的な構造を持つのが特徴です。
リーファーコンテナの活用法
リーファーコンテナは、20 / 40フィートともに国際規格に合致したサイズで製造されています。国内配送はもちろん、海外からの海上輸送にも貨物の積み替えを必要としないシームレスな対応が可能。グローバルに展開するコールドチェーン構築には欠かせない存在だといえます。
また、電源と置き場所さえ確保できれば、リーファーコンテナを一時倉庫として活用するのも可能。状況の変化にもフレキシブルに対応できるリーファーコンテナは、冷凍倉庫と併用することで、より柔軟性の高いコールドチェーンを構築するのに役立つのです。
冷凍倉庫会社選定のポイント
物流技術が進歩したとはいえ、冷凍のまま商品を寝かせておいたのではビジネスとして成立しません。生産者から消費者までのコールドチェーンをできる限り効率化し、商品を素早く現金化するためにも、自社のビジネスモデルに最適な冷凍倉庫会社を選定する必要があるでしょう。
それでは、冷凍倉庫会社を選ぶ際には、どのようなポイントを押さえておけばいいのか?簡単に紹介していきます。
立地とレンタル・保管料とのバランス
まずは自社のビジネスモデルを念頭に、レンタル・保管料とのバランスを見ながら冷凍倉庫の立地を決定していくべきでしょう。
上述したように、冷凍倉庫の保管料は地価に比例する傾向があります。レンタル料の多くを占める保管料を抑えるため、自社から遠く離れた地域・エリアの冷凍倉庫を選択したくなるかもしれません。
しかし、冷凍倉庫がコールドチェーン構築に非効率な場所に位置しているのでは、保管料を抑えられても配送料がかさんでしまう可能性があります。エンドユーザーに届けるのに時間がかかる、などの弊害も考えられるでしょう。
陸揚げした港から近い冷凍倉庫を選ぶなど、立地条件の善し悪しは一概にはいえませんが、保管料だけに注目するのではない全体のバランスを考慮するのが重要です。
正確で素早いレスポンス
さまざまな職種のスタッフが多数介在する物流は、ただでさえ人為的ミスが発生しやすい上、配送のキャンセルや変更なども頻繁に起こります。
こうした物流トラブルによる損失を少しでも軽減するには、状況の変化に正確かつ素早くレスポンスできる冷凍倉庫会社を選ぶ必要があります。自社専任の担当者をアサインしてしっかりケアしてくれるのか?などを検討基準にするといいかもしれません。
繁閑期に対応できる柔軟性
ECサイト運営なども含め、物流に携わる企業の方であれば、在庫量が常に一定ではないことはご存知でしょう。繁閑期に応じて変化する在庫量、あるいは業務拡大に応じて増加する在庫量に柔軟な対応が期待できるか?冷凍倉庫会社を選定する際のポイントです。
増加した在庫量に対応できないのであれば、別の冷凍倉庫を追加で探す、あるいは新たな冷凍倉庫に乗り替えなければなりません。これでは効率的なコールドチェーンだとはいえないでしょう。
在庫量に柔軟な対応ができる冷凍倉庫であれば、固定費である保管料を準変動費へと最適化するのも可能です。
冷凍倉庫の見学・確認がおすすめ
ここまでで、冷凍倉庫会社を選定する際のポイントをいくつか紹介しましたが、ホームページで得られる情報だけでは、こうした要素を正確に判断するのは困難です。実際に候補となる冷凍倉庫まで足を運び、見学させてもらいながら現場の状況を確認するのがおすすめです。
どんな立地なのか?現場のスタッフがどのように作業しているのか?倉庫のキャパシティはどの程度なのか?どんな情報よりも、自分の目で確認した方が正確な判断を下せます。
まとめ
物流技術が進歩してコールドチェーン構築が容易になった現代では、冷凍食品・商品の市場規模はますます拡大していくと予想されます。そんな成長産業であるコールドチェーンの中心を担うのが冷凍倉庫なのです。
ただし、本記事でも解説したように、単純にレンタル・保管料を選定基準にするのは得策ではありません。自社のビジネスモデルに合致した条件をさだめ、複数の候補から最適な冷凍倉庫会社を選定するのが重要です。
しかし、固定費・変動費を合わせて考える必要のある冷凍倉庫は、見積もり依頼の候補先を絞り込むことさえ難しいと感じる方がいるかもしれません。「比較ビズ」なら、必要事項を入力する2分程度の手間で、優良な冷凍倉庫会社をスピーディーに探せます。冷凍倉庫会社の選定に迷うようなことがあれば、是非利用してみてください。
国際輸送分野に8年間従事。東証上場の総合物流企業で、国際一貫輸送業務を中心に7年間携わる。通関士として航空貨物の通関業務も行う。またミャンマーへ6ヵ月間駐在し、現地の物流事情の調査や営業も経験する。その後大手自動車部品メーカーへ転職。現在は国内、海外工場間の国際輸送業務、及び貿易企画に従事する。北南米、中国、ベトナム、フィリピンの輸送を担当。日本と海外拠点間だけでなく、海外拠点同士の輸送管理も行っている。

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冷凍倉庫は常温倉庫と比較して業者が少なく、地域や用途を限定すると選択肢は限られてきます。その中でも、保管目的に沿ったさまざまな冷凍倉庫があります。
食品の場合、特に生鮮物は、においの付着や衛生面上の管理が問われるため、そうした部分を配慮できるのかが問われます。化学品であれば危険物に該当するケースもあり、その場合、危険品冷凍倉庫でしか保管することができません。
また、保管後は客先へ納めることが多いので、入庫時の検品作業や製造日や製品ロットに基づいた在庫管理ができるのか、外箱不良品の詰め替えなど付帯業務にも対応しているのか、といった部分を事前に業者と相談することも客先からのクレームを防ぐ上で大切になります。
各地域の冷凍倉庫の業者については、日本冷蔵倉庫協会HP内の地域別事業所会員名簿にて調べることができます。保管サービスに加えて、倉庫の立地条件も大切になります。
海上輸入品であれば輸入港から保管先の倉庫までリーファーコンテナで冷凍(冷蔵)輸送を行う必要がありますが、コンテナでの輸送はトラックでの輸送よりも割高になるため、港周辺の冷凍倉庫で保管するほうがコスト面ではよいでしょう。