古民家のリフォーム・リノベーションにかかる費用相場とは?

- 古民家リフォーム・リノベーションのメリットとデメリット
- 古民家リフォーム・リノベーションの費用相場と補助金
- 古民家リフォーム・リノベーション業者の選び方
しっかりとした作りの古民家は、時代を超えて魅力的な家で、しっかりと管理をすればずっと長く持つ優れた建築物です。そのため、たとえ築100年以上経っているようなものでも、リフォームもしくはリノベーションをすれば、快適で安全な家へと生まれ変わります。
そんな魅力的な古民家に興味を抱いている方も多いでしょう。現代の生活スタイルに合ったもの、耐震性など安全基準をクリアしたものにするためには、いろいろな工事が必要となりますので、まずは古民家リフォームには何をしないといけないのか、ぜひこの記事でチェックしてください。
古民家のリフォーム・リノベーションの工事内容
古民家の状態で異なる
古民家と一口に言っても、その状態は家によって大きく異なります。基礎も柱もしっかりとした状態であれば、それほど大きな工事は不要で、壁や屋根のリフォーム、設備の導入などで済みます。しかし、基礎が悪い状態であれば、より深い工事が必要となってきます。
コストが掛かる部分
耐震補強工事と基礎工事を合わせて行うと、それなりに費用も期間もかかりますので、しっかりとリフォーム計画を練って慎重に検討する必要があります。また、柱が腐食しているなど、構造体の部分にダメージがある場合は、それごと交換することが多いため、やはり費用がかかってきます。
一部分のみのリフォーム
一方で、柱や梁がしっかりしていて基礎もそれほど問題ないようであれば、壁などの張り替え、キッチンやトイレの設備を入れ替えるだけで済みます。もしくは、生活しやすいように、トイレやキッチンだけをリフォームするという手もあります。
予算に応じて、小さな部分だけでもリフォームしていくことも可能ですので、資金がないからと悩む必要はありません。少しずつ快適な家へと改装していくという手段も採れるのです。
古民家リフォーム・リノベーションのメリットは3つ
まずはじめに、古民家リフォームのメリットを3つご紹介します。
日本家屋の保存
現代の住宅にはない、日本古来の家屋の姿を活かしてのリフォーム。日本家屋をこよなく愛する人にとっては、至極のリフォームと言えます。吹き抜け、土間、縁側など、日本家屋の趣を残しながらのリフォームはとても人気があります。
資源の保護に
日本家屋で使われている木材は、ヒノキやケヤキが多く使われています。これらの木材はとても強度が強いものです。
ヒノキで1,200年、ケヤキは800年の寿命があり、家屋の品質といった面ではとても上質なものです。これらの木材も現在では手に入れることが困難かつ高価であることから、資源の保護の観点から日本家屋のリフォームが推奨されています。
税金の軽減
築年数によって固定資産税の税額が決まります。そのため、リフォームによる日本家屋の延命は、税金の軽減(節税)にとても効果的です。
一方で、築年数の古い日本家屋は増築許可が下りないケースもあるので、詳しくは関係自治体に問い合わせる必要があります。
古民家リフォーム・リノベーションのデメリットは3つ
続いて、古民家リフォームのデメリットを3つご紹介します。
耐震性の不安
日本家屋は、気候風土に合わせて風通しの良い作りとなっています。これは、一方で機密性が弱いというデメリットがあります。
そのため、夏は涼しく快適に過ごすことができても、冬は暖房などのコストがかさんでしまいます。そのため、断熱材の導入などをリフォーム予算に組み込むことを考えたほうがよいケースもあります。
予想よりも費用がかかる
古い家ですから、周到な計画を立ててリフォームに臨んだとしても、それ以上にリフォーム費用がかさんでしまうケースが多々あります。
特に、希少価値のある木材が使われていることで、素材を重視しすぎると予算オーバーになってしまうこともあるでしょう。予想以上に劣化している部分があり、さらにバリアフリーなど現在に即した工事も必要になります。
古民家のリフォーム・リノベーションにかかる費用相場
古民家リフォームのメリット・デメリットを解説しました。この記事を読んでいる方で一番気になるのは、古民家リフォームの費用相場ではないでしょうか。ここではリフォーム内容ごとの費用相場について解説しましょう。
リフォーム内容と相場
リフォームの内容と費用相場は以下の通りとなります。
耐震工事
古民家は、現在の耐震基準には当然達していません。そのため大規模な耐震工事が必要になります。基礎や土台といったものに手を加えなくてはいけないので、2,000万円程度の費用がかかると考えられます。
屋根の葺き替え工事
どのような建物であっても屋根の劣化は早く、定期的なリフォームが必要となります。ガルバリウム鋼板などの耐久性の高い葺き替え工事となると、こちらも2,000万円程度の費用がかかるでしょう。
全体的なリフォーム
耐震工事、屋根の葺き替え工事はセットで行ったほうがよく、その場合では2,000万円から3,000万円、あるいはそれ以上のリフォーム費用が予想されます。
リフォーム費用がかさむ理由
一般的な住宅よりもリフォーム費用がかさむのは、古い日本家屋に対応できるリフォーム業者でなければならない点にあります。
古民家リフォームに即した知識と経験が必要ですし、ある程度のスペックも求められるので、高品質な材料が求められます。
また、古民家リフォーム・リノベーションがニッチな市場であることから、コスト高になる傾向にあるのも仕方のないところです。
古民家のリフォーム・リノベーションで費用を抑えるコツ
古民家リフォームで費用を抑えるポイントをいくつかご紹介します。いくつか妥協点を作っておくと古民家リフォームに対するハードルが低くなるでしょう。
古民家の良さを引き立てる
これは、既存利用ということです。古民家の好さを引き立て、なおかつ既存利用の割合を増やすことでリフォーム費用を抑えます。何もかもリフォームしてしまうと住みやすさは向上しますが、その分、古民家としての魅力が薄れてしまいます。
古民家の良さを楽しむという視点でリフォームの範囲を限定することで、結果的に費用を抑えることが可能です。
サッシへ変更
必要なところは躊躇無く変更してもいいでしょう。我慢ではなく快適性の追求も必要です。
引き戸などはサッシにすることで耐久性をあげることができ、結果的にリフォーム費用を抑えることに貢献してくれます。
水回りも
ユニットバスや水洗トイレの変更は費用がかかりがちと思われますが、これも長い目で見ると設備の劣化を抑えることにつながります。また、衛生面でもこちらのほうがいいでしょう。
屋根瓦について
日本家屋であることから、瓦にはこだわりたいところです。瓦にも費用に幅があり、品質にこだわらなければ安く抑えることができます。
古民家のリフォーム・リノベーションで活用したい補助金
古民家リフォームはとにかく費用がかかります。そのため、補助金なども積極的に活用したいものです。ここでは主な制度を解説します。
自治体の補助金
住んでいる自治体によりますが、補助金がもらえるケースもあります。補助金ですから、返済の必要はありません。確認して積極的に活用したいものです。自治体によっては100万円以上の補助を受けられるケースもあります。
ただし、目的がはっきりしているものに限ります。例えば、耐震補強などがそうです。
次世代住宅ポイント
名前の通り、次世代につなげるリフォーム(断熱・耐震・バリアフリー等)を行った場合、次世代住宅ポイントがもらえる場合があります。
項目としては、断熱等ですが、目的が「環境」「安全・安心」「健康長寿・高齢者対応」「子育て支援、働き方改革」などに通じるものでしたら、ポイントが発行されます。
基本的に、古民家リフォームの場合はいずれかに合致するでしょう。
リフォーム減税(投資)
目的が「耐震」「バリアフリー」「省エネ」「同居対応」などのリフォームを行う場合、工事費用の10%が所得税額から控除される制度です。
リフォーム減税(ローン)
「バリアフリー」「省エネ」「同居対応」などのリフォームを行った場合、工事費用の年末時のローン残高の2%あるいは1%が5年間にわたって、所得税額より控除されます。
住宅ローン減税
住宅ローンを利用してリフォームをした場合、所得税額から控除される制度です。適用を受けるためには、所得・工事費用・築年数など様々な要件があるので確認が必要です。
古民家リフォーム・リノベーション業者で失敗しない選び方
古民家リフォーム・リノベーション業者の選び方をご紹介します。古民家リフォームは、知識と経験が求められるので、業者選びは慎重に行いたいものです。
積極的な業者
古民家リフォームに積極的な業者は、それだけリフォームに自信を持っている業者です。任せても安心でしょう。
地元の業者
古民家はその土地に合わせた形で作られています。そのため、その土地の気候に詳しい業者がおすすめです。つまりは地場のリフォーム業者です。湿気・乾燥といったその土地の環境に合わせたリフォームを提案してくれるでしょう。
慣れている
結果的には古民家リフォームに慣れている業者…これに尽きます。それに合わせて、耐震・断熱・湿気・シロアリ対策をしっかりしてくれる業者を選ぶようにしましょう。
補助金に詳しい
リフォームの補助金や減税に詳しい業者がおすすめです。補助金や減税についての手続きは、自分で行わなければならないのですが、アドバイスをしてくれるだけでも心強いものです。
有資格者が在籍
「古民家鑑定士」や「耐震診断士」といった有資格者のいるリフォーム業者だと心強いでしょう。
相見積もりを取る
複数の業者から相見積もりを取るのも有効です。金額を比較することができるため、依頼したいリフォームの費用相場を掴むことができます。
相場が分かれば、著しく費用が高い業者や費用が安い業者に依頼しないですみます。自社の予算に合ったリフォーム業者を探すこともできるでしょう。
まとめ
相見積もりを取る場合は、複数のリフォーム業者にコンタクトを取らなくてはいけません。1社1社に足を運んで相談する作業は、かなりの労力になることでしょう。
その点、弊社が運営しているリフォームを検討している方とリフォーム業者をマッチングさせる『比較ビズ』なら、カンタンにリフォームの相見積もりを取ることができます。
こちらの場合は、ネット上で申し込むだけで、地場あるいはその地区を担当するリフォーム業者がこぞって見積もりを提出してくれます。
『比較ビズ』であれば、費用など気になるリフォーム業者をピックアップして交渉すればいいので、リフォーム業者選びという最初のとっかかりがかなり楽になります。
リフォームを検討している方は、自分に合ったリフォーム業者をカンタンに探すツールとして『比較ビズ』を一度使ってみてはいかがでしょうか。

京都市出身。同志社大学法学部を卒業後、京都工芸繊維大学造形工学科へ編入学。2000年「ローバー都市建築事務所」設立。京都工芸繊維大学大学院建築設計学 前期博士課程修了。設計実績 約500件。2006〜2018年 毎日新聞京都版 朝刊「きょうと空間創生術」第1回〜第274回執筆掲載。京町家再生・古民家再生から、大規模商業施設まで、幅広く多方面にて様々な設計を行う。京都の伝統的な建築と現代的建築を融合させる手法を特徴に、先人が育んできた生活の知恵や幸せに暮らす方法を調和的にアレンジし提供する。
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古民家をリフォームする際は、経験・見識の豊富な専門家のアドバイスを受けることが肝要です。というのも、現代の住宅とは違い、先人の知恵・地域の風土を積み重ねながら、古民家は工夫を重ねながら築造されていますので、その工法にあった、適切な改修内容が必要となるからです。
古民家の改修工事には、現代住宅のリフォームとは少し異なる、独自のノウハウが必要になることが殆どであり、また、次世代につなぐという観点からも、きちんとした補強改修を施しておく必要があります。
古民家の持つ、ぬくもりのある空間をうまく活用しながら、老朽化している部分を補強し、耐震性の向上を図る必要があります。あわせて、現代の技術を活用しながら、快適で過ごしやすい居住空間の構築を目指していくこととなります。