断熱リフォームの費用相場はいくら？利用できる補助金・減税措置も解説！

断熱リフォームの種類と費用相場

断熱リフォームにかかる費用は、種類ごとに異なります。種類別にかかる費用相場を、それぞれまとめました。

1. 床の断熱リフォーム：30万円〜120万円

床の断熱リフォームの費用は工法や床面積によって異なり、相場は30万円～120万円です。床下に断熱材を充填すると底冷えを軽減できるため、冬の寒さ対策として高い効果が期待できます。床の断熱リフォームで用いられる工法は、主に以下の2種類です。

工法別の1平方メートルあたりにかかる費用相場は次のとおりです。

床下から断熱材を充填する工法は、簡単に床下へ潜れる戸建てでよく用いられます。工期が短く、費用も抑えられるのが特徴です。

床下を張り替える工法は、床下に潜れないマンションや断熱性の低い床材を使っている戸建てで採用されます。床材の張り替えが発生する分、費用が高くなりやすいです。

2. 天井の断熱リフォーム：20万円〜90万円

天井の断熱リフォーム費用相場は、工法によって20万円～90万円と幅があります。天井に断熱材を充填するため、夏は屋根から熱が伝わりにくく、冬は屋根へ熱が逃げにくくなるのが特徴です。床の断熱リフォームと同様に2種類の工法があります。

工法別の1平方メートルあたりにかかる費用相場は、次のとおりです。

屋根裏に入って断熱材を充填する工法は、作業量が少ないため費用が安く工期も短く済みます。天井を剥がして張り直す工法は、工期が2週間～1カ月ほどになり、費用も高額になりやすいです。

3. 壁の断熱リフォーム：90万円〜500万円

壁の断熱リフォームは、大規模な工事になることが多いため、費用相場は90万円～500万円です。壁は面積が大きく工期が長い分、人件費も高くなります。壁の断熱リフォームには内張り断熱と外張り断熱があり、それぞれの違いは以下のとおりです。

壁の断熱リフォームでは、使用する断熱材の価格によっても費用が大きく変動します。壁の内部に水道管や電線が埋め込まれている場合には、工事が複雑になり費用が高額になる可能性もあるでしょう。

4. 外壁塗装の断熱リフォーム：80万円〜120万円

外壁塗装による断熱リフォームの費用相場は、80万円～120万円です。外壁に熱伝導率の低い塗料を塗ることで、暑さ・寒さ両方の対策に効果が期待できます。

よく似た塗料に遮熱塗料がありますが、遮熱塗料は光を反射して熱の発生を抑える塗料であるため、冬の保温は行えません。 外壁塗装の断熱リフォームでは、塗料の価格が費用のかなりの部分を占めます。よく用いられる断熱塗料の特徴と費用相場は以下のとおりです。

5. 窓の断熱リフォーム：5万年〜15万円

窓の断熱リフォームは比較的低価格で行える断熱工事で、費用相場は5万円～15万円です。窓は家のなかで最も熱が出入りしやすい場所であるため、夏の暑さ・冬の寒さのどちらにも効果があります。よく行われる窓の断熱リフォームは以下の3つです。

それぞれの費用相場は以下のとおりです。

窓やサッシの交換では、もともとあったガラスやサッシの処分費用がかかるものの、全体的にリーズナブルな価格でリフォームを行えます。特定の部屋や窓だけを交換することも可能なため、断熱リフォームを行う際はまず検討してみるといいでしょう。

断熱リフォームの費用を抑える方法4つ

断熱リフォームの費用を抑える方法は、以下の4つです。

1. 解体工事なしでリフォームする

断熱リフォームの費用を抑える重要なポイントの1つは、解体工事なしでリフォームを行うことです。既存の壁や床を壊して断熱材を入れる方法は、工期が長くなり、廃材処理費用もかさむため、コストが高くなる傾向があります。

床や天井の断熱リフォームの場合、解体工事をせずに断熱材の充填が可能です。費用を抑えたいのであれば、リフォーム業者に解体工事なしでリフォームできないか相談してみましょう。

2. 内窓の設置を検討する

窓の断熱リフォームを考えている場合、内窓の設置を検討することで費用を抑えられます。窓の断熱リフォームでは、ガラスやサッシの交換が行われるため、費用が高額になりやすいです。

内窓は取り付けるだけで工事が完了するため、工程が少なく、断熱効果が高い特徴があります。ただし、以下のデメリットもあるため注意してください。

メリットとデメリットをよく考慮して、内窓を設置するか決めることが重要です。

3. 部分断熱を採用する

家全体を断熱リフォームするのは理想的ですが、費用の面では大きな負担になることもあります。しかし、部分断熱を採用すると、工事にかかる費用を軽減可能です。

たとえば、寝室やリビングなど長時間過ごす部屋だけを重点的に断熱すると、コストを抑えながらも快適性を高められます。ヒートショック予防が目的であれば、脱衣所・お風呂・トイレなどを優先しましょう。

4. 相見積もりを取る

リフォーム費用を抑えるためには、複数の業者から相見積もりを取ることが非常に重要です。同じ内容の工事でも、施工会社によって価格や提案内容に大きな差が出ることは珍しくありません。

相見積もりを取ると、費用の相場を把握できるだけではなく、材料や施工方法の提案を比較検討することもできます。

ただし、相見積もりを取って1番安い業者が最もいいとは限りません。手抜き工事をしたり粗悪な材料を使ったりしているおそれもあるため、見積もりの詳細をしっかり確認しましょう。

断熱リフォームで使える補助金・減税制度4つ

断熱リフォームで使える補助金や減税制度は、以下の4つです。

1. 既存住宅における断熱リフォーム支援事業

既存住宅における断熱リフォーム支援事業は、環境省が設置している補助金です。既存の住宅において、省エネ効果が期待できる断熱材を用いた断熱リフォームに対して支給されます。補助率や補助額は以下のとおりです。

断熱リフォームだけではなく、家庭用蓄電システムや熱交換型換気設備などにも補助金が支給されるため、上手に活用しましょう。

2. 子育てグリーン住宅支援事業

子育てグリーン住宅支援事業は「ZEH基準の水準を大きく上回る省エネ住宅」の導入や、既存住宅の省エネ改修に対する支援を行う事業です。リフォームの補助対象には、断熱リフォームも含まれています。

子育てグリーン住宅支援事業の補助を受ける場合、以下の工事が必要です。

補助率や補助額は、施工する工事の数によって異なります。それぞれを以下の表にまとめました。

対象工事を1つしか実施しない場合は、補助金が支給されないため注意してください。

3. 先進的窓リノベ2025事業

先進的窓リノベ2025事業は、既存住宅の省エネ化を図り、エネルギー費用負担の軽減および住まいの快適性の向上を目的とした事業です。名称のとおり、開口部の断熱改修（リフォーム）が補助対象として指定されています。補助対象工事は、以下のとおりです。

補助額は、設置する製品の大きさや住宅の建て方などによって異なります。上限は1戸あたり200万円です。

4. 省エネ改修に係る所得税額の特別控除

省エネ改修に係る所得税額の特別控除は、国土交通省が設定している減税措置です。自分が住んでいる住宅において、断熱リフォームを行った場合、工事費用の250万円までの10%と250万円を超える部分の5%が所得税から控除されます。対象となるのは以下の工事です。

控除を受けるためには、床面積が登記簿上で50平方メートルあることや、合計所得金額が2,000万円以下であることなど細かい要件があります。自身が対象となるか、すべての要件をよく確認してください。

断熱リフォームのメリット4つ

断熱リフォームのメリットは、以下の4つです。

1. 光熱費を節約できる

断熱性能の低い住宅では、外の暑さや寒さが室内に伝わりやすく、エアコンや暖房器具を頻繁に稼働させなければなりません。しかし、壁・床・天井・窓などに適切な断熱材を導入すると、外気の影響を最小限に抑えられるため、室温を一定に保ちやすいです。

夏は冷房が効きやすく、冬は暖房が逃げにくくなるため、冷暖房の使用時間や設定温度を抑えられます。長期的に見れば、光熱費を大きく節約できるでしょう。

2. 健康的な生活につなげられる

冬、断熱性の低い住宅では部屋ごとの温度差が大きく、トイレや浴室に移動した際の急激な寒暖差がヒートショックの原因となる場合があります。断熱をしっかり行うと、室内全体の温度差が小さくなり、高齢者や小さな子どもの体への負担も軽減できるでしょう。

断熱性の向上は、結露の抑制にも効果的です。結露が減ることで、カビ・ダニの繁殖リスクが減り、アレルギーやぜんそくなどの症状をもつ方も安心して過ごせる空間を維持しやすくなります。

3. ストレスを軽減できる

家の中で「暑い」「寒い」と感じる瞬間が多いと、無意識のうちにストレスが溜まってしまいます。特に朝起きたときや帰宅時に室温が極端に低かったり、エアコンの効きが悪かったりすると、不快感が募り、生活の満足度にも影響をおよぼすでしょう。

断熱リフォームで快適な温熱環境が保たれるようになると、日常の小さなストレスが減り、心地よく過ごせる時間が増えます。

4. 建物の劣化を防げる

建物の寿命を延ばすためにも、断熱リフォームは重要です。湿度の高い地域では、結露によるダメージが建物内部に影響をおよぼす場合があります。天井や壁の内部で発生した結露が木材や断熱材に浸透し、腐食・カビの原因となることも少なくありません。

断熱性を高めると、内部結露の発生を抑え、建材の状態を良好に保てます。温度差による膨張・収縮の影響も軽減されることで、建物のひび割れや劣化の進行を抑える効果も期待できるでしょう。

断熱リフォームをする際の注意点4つ

断熱リフォームをする際の注意点は、以下の4つです。

1. 気密性を重視する

断熱性能を高めるためには、断熱材の性能だけではなく「気密性」も同じくらい重要です。どんなに高性能な断熱材を使っても、隙間風が入る状態では本来の効果を発揮できません。

特に窓のサッシまわりや配管のすき間、建物の接合部などから空気が出入りすると、快適性や省エネ効果を大きく損ないます。

高い気密性のある工事をするためには、熟練した技術が必要です。実績が豊富で高い評価を得ている業者であれば、ていねいな施工が期待できるでしょう。

2. 内断熱と外断熱の違いに注意する

断熱リフォームの工法には「内断熱」と「外断熱」の2種類あります。内断熱は建物の内側に断熱材を施工する方法で、比較的費用を抑えやすく工期も短めです。ただし、外断熱と比べると気密性に不安が残ります。

一方、外断熱は建物全体を断熱材で包み込むため、断熱効果が高く建物も長持ちしやすいです。しかし、壁が厚くなり換気がしにくくなります。

それぞれにメリットとデメリットがあるため、住宅の構造・予算・施工のしやすさなどを考慮して、どちらを選ぶかを判断することが重要です。

3. 断熱リフォームの優先順位を把握しておく

断熱リフォームは優先順位を付けることも重要です。断熱リフォームにはさまざまな種類があるため、通常すべての工事を1度には行えません。優先順位の高い工事から行っていくのが賢い方法です。

一般的には、窓→天井→床→壁の順番に優先順位が高くなります。窓の断熱リフォームは低価格で行えて補助金も設定されているため、検討しやすいでしょう。

4. アフターサポートや保証を確認する

断熱リフォームの施工後に不具合や効果の実感が得られなかった場合、どのような対応が受けられるかも重要なポイントです。

信頼できる業者であれば、施工内容に応じた保証期間や定期点検、万が一のアフターサポート体制が整っているでしょう。契約前に、保証内容・期間・対応範囲をしっかり確認し、不安を残さないようにしておくことが大切です。

まとめ

断熱リフォームの費用相場は、工事の場所に応じて変化します。窓の断熱リフォームは比較的費用を抑えられる一方、壁の工事はやや高額になるため注意してください。断熱リフォームに対しては補助金や税制優遇も設定されているため、賢く活用しながら快適な住宅を手に入れましょう。

比較ビズでは、断熱リフォームに強い建設・建築会社を日本全国から探せます。2分程度の入力で利用できるため、断熱リフォームを検討している方はぜひ1度お試しください。

監修者のコメント

タクトホームコンサルティングサービス

代表 亀田 融

一級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士、インテリアコーディネーター、JSHI公認ホームインスペクター、日本不動産仲裁機構ADR調停人、明治大学工学部建築学科卒業後、東証一部上場企業グループの不動産・建設会社の建築部門に33年間勤務。注文住宅、賃貸マンション、官庁工事等の施工管理を12年間行った後に、住宅リフォーム事業を立ち上げ責任者となる。(最終役職：取締役)分譲マンションの専有部分、戸建住宅のリノベーションを中心に事業部全体で年間1,000件以上の工事を手掛ける。2015年10月よりホームインスペクション(建物調査・住宅診断)の専門会社を運営する傍ら、小規模リフォーム会社の顧問として活動中。

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我が国の省エネ基準は、先進国の中では最低の水準といわれています。特に築30年〜40年の住宅は、断熱性能を考慮されずに建築されたものが多くなっています。近年は断熱性能が高い住宅が増えていますが、それでも先進国の中では高断熱といえるレベルには及ばないものがほとんどです。

そのため断熱リフォームを行う方が増えていますが、ポイントを抑えておかなければ費用をかけた割に効果が実感できないということにもなりかねません。ひと口に断熱リフォームといっても様々な種類や方法があり、施工する部位によっても効果や費用相場が異なるので、事前に予算や目的を明確にしておくことが大切です。

また断熱リフォームを行う際に活用できる「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」、「次世代省エネ建材の実証支援事業」などの補助金制度や、地方自治体独自の補助金・助成金制度があるので、事前に確認しておくと良いでしょう。

そして断熱リフォームは外装や内装などのリフォームとは異なり、施工業者には多くの専門知識や技術力が求められるものです。中には「気流止め」や「Q値、UA値」といったことさえ知らない業者もいるので、断熱リフォームの施工実績が豊富な業者に依頼することが大切だと思います。

執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。