相続登記で司法書士の費用は誰が払う?相続時にかかる4つの費用を解説

こしだ司法書士事務所
監修者
こしだ司法書士事務所 司法書士 越田一希
最終更新日:2024年06月05日
相続登記で司法書士の費用は誰が払う?相続時にかかる4つの費用を解説
この記事で解決できるお悩み
  • 相続登記の司法書士費用は誰が払う?
  • 相続登記にかかる費用は?
  • 相続登記の費用を抑えるためには?

相続登記を司法書士に依頼する際、費用の支払いを巡りトラブルに発展するおそれもあります。相続登記は何度も経験することではないため、さまざまな疑問や不安を持つ方も多いでしょう。

この記事では、相続登記手続きにおける司法書士費用に関心を持つ方に向けて、司法書士費用の負担方法や責任者について詳しく解説します。

相続登記の費用を節約する方法も紹介しているため、記事を読み終える頃には自分に適した支払い方法やコスト削減のポイントが把握できるようになるでしょう。

「相続登記の司法書士費用は誰が払う?」「司法書士への費用を抑えたい」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

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相続登記とは相続した不動産の名義を変更する手続き

本を開いているビジネスマン

相続登記は、不動産の所有者が死亡した際に、不動産の登記名義を相続人のものに変更する手続きです。法務局が自動的に名義変更を行うわけではないため、相続者が「相続を原因とする所有権移転登記」を申請する必要があります。

登記簿の変更手数料は、不動産の価格に応じて決まり、登録免許税は相続した不動産の価格により異なります。

相続登記の司法書士費用を誰が払うかは法律で決まっていない

相続登記の司法書士費用を誰が払うかは法律で決まっていません。相続登記を司法書士に依頼する場合、登記に必要な書類の取得費用や登録免許税などの実費に加え、司法書士への報酬を支払う必要があります。

司法書士への支払い費用は、不動産を相続する人が代表して支払うケースと、相続しない人が支払うケースがあります。

  1. 不動産を相続する人が支払うケース
  2. 不動産を相続しない人が支払うケース

1. 不動産を相続する人が支払うケース

不動産を相続する人が代表して支払うケースには次の2つがあります。

  • 相続人が代表して支払う場合
  • 相続人全員で均等の額を支払う場合

相続人が代表して支払う場合

相続登記の司法書士費用は、一般的に不動産を相続する人が負担します。相続人である代表者の1人が不動産を相続する場合は全額を支払います。司法書士へ支払う費用の金額は、低額な場合の平均で3万円程度です。高額な場合は10万円を超え、全体的な相場は6万〜8万円です。

相続人全員で均等の額を支払う場合

複数の相続人がいる場合は、相続人全員で支払い費用を等分する場合があります。たとえば、相続した土地が農地で、相続人が農業をしないケースでは、農地は農家や農業参入者にしか売却できないため簡単に買い手が見つかりません。

固定資産税の負担を考慮した場合、1人の相続人が司法書士費用を支払うのではなく、相続人全員で支払い費用を等分する方法が適しているでしょう。相続登記の司法書士への依頼費用に関する法的な規定はないため、相続人同士で話し合い、負担割合を決めることが可能です。

2. 不動産を相続しない人が支払うケース

相続登記の司法書士費用を、不動産を相続しない人が負担するケースもあります。相続登記をしていない土地は、相続人全員の共有財産となるため、土地を相続していない状態でも、固定資産税の支払い義務が生じます。

固定資産税の納税通知書は、その年の1月1日時点の所有者に送られることが一般的です。所有者が死亡している場合は相続人全員が支払いの義務を負うことになるため、相続人同士が話し合い、配分を決めて納税します。

相続登記に支払う4つの費用とは

ポイント_虫眼鏡

相続登記を行う際に支払う費用は次の4つがあります。

  1. 登録免許税
  2. 戸籍謄本や登記簿謄本の取得費
  3. 交通費や郵送代
  4. 司法書士への報酬

1. 登録免許税

登録免許税は相続登記に不可欠な支払いであり、登記手続き時に支払います。登録免許税の税率と計算式は、以下のとおりです。

  税率 計算式
通常の場合 0.4% 固定資産税評価額×0.4%
定相続人以外の相続人に遺産を遺贈する場合 2.0% 固定資産税評価額×2.0%

相続登記では、相続人に対する登録免許税の支払いが義務付けられていますが、一定の条件に当てはまる場合、登録免許税が免税されるケースがあります。

登録免許税が免除されるのは以下2つのケースです。

  • 相続登記をする前に相続人が亡くなってしまった場合
  • 相続する土地の価額が100万円以下の場合

相続により不動産を取得した相続人が、相続登記をする前に亡くなってしまったケースや、相続する土地の価格が100万円以下の場合は非課税となることがあります。免税される期間は令和4年度の税制改正により、令和7年3月31日まで延長されています。

2. 戸籍謄本や登記簿謄本の取得費

相続登記には被相続人や相続人の戸籍謄本や不動産の登記簿謄本が必要です。司法書士は相続登記にあたり必要な書類を取得します。取得に関する費用は、必要な書類により異なります。

代表的な必要書類の取得費用は以下のとおりです。

  価格/1通
戸籍謄本・戸籍全部事項証明書 450円
戸籍抄本・戸籍個人事項証明書 450円
除籍謄本・除籍全部事項証明書 750円
改製原戸籍謄本 750円
戸籍の附票の写し 300円
住民票の写し 200円〜300円
印鑑証明書 200円〜300円
固定資産評価証明書 200円〜400円
登記簿謄本 600円

相続人すべての戸籍謄本や除籍謄本、改製原戸籍謄本などを取得するため、相続人が増えるほど費用が高額になります。

3. 交通費や郵送代

相続登記を司法書士に依頼する際、相続人が移動したときの交通費や書類の郵送代を負担する必要があります。遠方に住む相続人がいる場合は、相続に関する説明や必要書類の取得のために、実際に訪問したり、書類を郵送したりすることが考えられます。

4. 司法書士への報酬

司法書士に相続登記を依頼した場合、報酬を支払う必要があります。報酬額の相場は一般的に5万円〜15万円です。以前は規程により報酬額が定められていましたが、現在は司法書士が自由に設定できます。

不動産の所在地を管轄する法務局が複数ある場合や相続関係が複雑になる場合などは、司法書士への報酬額が追加や加算されることがあります。

司法書士報酬が加算されるケースは次のとおりです。

  • 不動産の数が一定数以上の場合
  • 不動産の価格が高額な場合
  • 法定相続人の数が多い場合
  • 遺産分割協議書の作成が必要な場合
  • 収集する戸籍の数が多い場合

司法書士へ相続登記を依頼する場合には、実績と報酬のバランスがいい司法書士へ依頼しましょう。

相続登記にかかる費用を節約する4つの方法

チェック

相続登記にかかる費用を節約する方法には次の4つがあります。

  1. 相続登記の手続きをすべて自分で行う
  2. 相続登記の手続きの一部を自分で行う
  3. 過去の相続で使用した書類を流用する
  4. 司法書士事務所の相見積もりをとる

1. 相続登記の手続きをすべて自分で行う

相続登記にかかるすべての手続きを自身で行うことで、司法書士への依頼費用を節約できます。自分で手続きを行う場合、司法書士への依頼報酬額5万〜15万円の節約ができるでしょう。

司法書士報酬分の費用を節約できるメリットはありますが、相続登記を自分で行うには大変な労力がかかります。手間をかけたくない場合や、緊急な場合は司法書士への依頼を検討しましょう。

2. 相続登記の手続きの一部を自分で行う

相続登記の手続きの一部を自分で行うことで、費用を節約することが可能です。司法書士の見積書は報酬部分と実費部分に分けられます。相続登記における主な実費は登記事項証明書や戸籍謄本などの取得費用、郵便代、登録免許税です。

たとえば、司法書士へ依頼した場合、戸籍謄本や住民票の取得に代行手数料が発生します。自分で必要書類を取得することで代行手数料分の費用は節約できます。自分でできる手続きは自身で行い、必要なところで専門家の支援を受けることで、費用の無駄を省けるでしょう。

3. 過去の相続で使用した書類を流用する

過去に使用した書類を有効活用することは、費用を削減する手段の1つです。過去に相続登記をした場合、原戸籍謄本や除籍謄本など内容が変わらない書類は流用できます。

原戸籍謄本は、被相続人の婚姻や離婚、養子縁組などに変動があったことが記載されている書類です。除籍謄本は、戸籍に記載されている全員が死亡や失踪宣告、婚姻などの理由で除籍したことを証明するための書類です。

以前の登記書類を再利用することで、新たな費用をかけずに手続きを進めることができます。

4. 司法書士事務所の相見積もりをとる

複数の司法書士事務所から見積もりを取ることは、費用を抑えるための手段です。報酬部分は司法書士により違います。相続登記費用を総額表示している事務所もあれば、遺産分割協議書作成、戸籍収集など項目を分けている事務所もあります。

異なる事務所の料金や提供されるサービスを比較することで、予算内で費用を効果的に管理できるでしょう。

相続登記は2024年4月1日から義務化されるため注意が必要

Business相談

相続登記は、2024年4月1日から法的に義務化されることが決定しています。新法では相続登記が必須となり、相続人が不動産相続を知った日から3年以内に登記を行わなければなりません。適切な理由なく登記を怠った場合、最大で10万円以下の過料が課せられます。

2024年4月の改正より前に発生した相続も対象です。改正の施行日である2024年4月1日から3年以内の相続登記が義務となります。「住所変更等の登記」に関しても2026年4月までに義務化される予定であるため、司法書士費用の負担や配分方法を早急に決めておきましょう。

まとめ

相続登記を司法書士に依頼する場合、登記に必要な書類の取得費用や登録免許税などの実費に加え、司法書士への報酬を支払う必要があります。誰が支払うかの法的な義務はありませんが、費用の支払いを巡りトラブルに発展するおそれもあるため、相続人全員が納得することが重要です。

依頼報酬額は司法書士により異なるため、比較検討することをおすすめします。「比較ビズ」では、必要事項を入力すると2分程度で、目的や用途にあわせた司法書士や税理士をスピーディーに探せます。ぜひ利用してみてください。

監修者のコメント
こしだ司法書士事務所
司法書士 越田一希

1984年京都市生まれ。不動産・相続・会社の「登記」に必要な手続きを代理する専門家であり、若手ならではのフットワークの軽さと様々な職業経験で培った対応力を持つ法務大臣認定司法書士。自身が法律知識ゼロで資格学習を開始した経験から法律の適用や用語の難しさを理解しており、平易でわかりやすい説明を心がけており評価を得ている。

相続登記にかかる手続きは、司法書士に頼らずにご自身で行ってもよいといえる登記手続きの一つです。

もちろん相続人が多かったり相続関係が複雑である場合、売却予定が決まっていて登記完成を急ぐ必要があるといった場合は、司法書士等の専門家に依頼することが必要だとは思われますが、亡くなった方の相続人が配偶者と子のみのような分かりやすい相続関係の場合はご自身で行ってみることを検討してもよいと言えるでしょう。

実際にご自身で手続きを進めていくと、相続登記に必要な戸籍謄本等の書類を揃えたり、申請書の様式を整えたりする中で細かな処理がわからないといった事も当然起こってくるとは思います。

しかし予約制にはなりますが、各法務局で1回30分程度の登記相談をすることが可能です。ある程度ご自身の時間に融通が利く方は挑戦してみて、やったうえで無理だと思った時は改めて司法書士に丸投げするぐらいの気持ちでよいのではないでしょうか。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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