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原状復帰と原状回復の違いとは?原状回復義務・原状復帰工事のポイントを解説!

最終更新日:2022年01月21日
原状復帰と原状回復の違いとは?原状回復義務・原状復帰工事のポイントを解説!
この記事で解決できるお悩み
  • 原状復帰と原状回復の違いはなに?
  • 賃貸物件・オフィスの退去時には原状復帰・原状回復が必要?
  • 借主としての原状復帰・原状回復の責任範囲は?

マンションなどの賃貸物件に居住する方、オフィス・テナントを賃貸契約している法人の方であれば気になっているはずです。

経験上、賃貸物件の退去時には原状復帰・原状回復という名目で修繕費の支払いが生じることは理解しているものの、法的な義務や仕組みはわからない、そもそも契約書に記載される原状復帰や原状回復の意味がわからないという方も少なくないからです。

そこで本記事では、原状復帰と原状回復という言葉の意味の違いを明らかにするとともに、法的に定められる原状回復義務とその範囲、原状復帰工事のポイントを解説!ムダな出費を抑えるための原状復帰・原状回復の基本がわかります。

原状回復とは原状に回復すること

賃貸契約における「原状回復」とは、賃借人(借主)が物件を借り受ける契約を結んだ時の状態、つまり元の状態(原点の状態)に物件を回復することです。

工場を建てるのに借り受けた土地を、更地(原っぱの状態)に戻して返却することから「原状」という言葉が使われるようになったといわれていますが、原点に戻すという意味で解した方が適当でしょう。

一般的に「原状回復」という言葉は、賃借契約書のなかで使われることが多く、元の状態に戻すこと、あるいは元の状態そのもののことを指す言葉だと考えられます。契約書で使われる言葉でもあることから、原状回復には法律用語としての意味合いもあるといえます。

原状復帰とは原状に復帰させること

一方、原状回復と似た言葉には原状復帰があります。賃貸契約における「原状復帰」とは、賃借人が物件を借り受ける契約を結んだ時の状態、つまり元の状態に物件を復帰させることです。

意味合いとしては原状回復とほぼ同じだと考えておけば間違いありませんが、原状回復が元の状態を指すことが多いのに対し、原状復帰は元の状態に戻す行為を指すことが多いと考えればいいかもしれません。

たとえば、原状回復のために「原状復帰工事をする」といった使い方が当てはまるでしょう。法律用語として原状復帰が使われるのに対し、原状回復が「建設用語」として使われると紹介されるのはこのためです。

賃貸契約では現状復帰・現状回復とはいわない

賃借契約書、あるいはWebメディアなどで、「原状復帰」「原状回復」の代わりに「現状復帰」「現状回復」という言葉が使われることがありますが、賃貸契約においては「現状」復帰・回復という言葉は原則として使われません。なぜなら、原状と原状という言葉の意味にには「時間軸に大きな違いがある」からです。

原状 元の状態(原点)・状況のこと
現状 現在の状態(今)・状況のこと

賃貸物件を現状回復・現状復帰させるとした場合、現在の状態に回復・復帰させるという意味になり、日本語として通じない言葉、あるいは「なにもしなくていい」という意味になってしまいます。

現状と記載されている賃借契約書の多くは、変換を間違えたままプリントされてしまったと考えるのが自然です。

賃貸物件・オフィス・テナントの原状回復にはトラブルが多い

賃貸物件に居住する方、オフィス・テナントを賃貸借する法人の方であれば、契約書の内容を確認するまでもなく、退出時の原状回復が必要だということは理解していることでしょう。

しかし、賃借契約のトラブルがもっとも起こりやすいのが「原状回復・原状復帰」に関連するものであることも現実です。これは、物件を借り受ける賃借人の原状回復に関する義務、および原状復帰に関する賃借人の責任範囲が法律で明確にされていなかったことが要因です。

つまり、原状回復・原状復帰に要する費用を、賃借人がどこまで負担すべきなのかがトラブルの主な要因になっていたといえるでしょう。こうした原状回復・原状復帰に関する争いは、裁判に持ち込まれることも少なくありませんでした。

賃借人の原状回復義務とは

多発する原状回復・原状復帰に関するトラブル例、それに対する裁判例を踏まえたうえで、国土交通省から公開されたのが「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」です。このなかで明らかにされている原状回復のルールが以下の3点です。

原状回復ルール 賃借人は賃借契約終了後の損傷に関して原状回復義務を負うこと
原状回復ルール 経年変化を含む通常摩耗・損傷に関しては原状回復義務を負わないこと
原状回復ルール 賃借人に故意・過失・善管注意違反がない損傷に関しては原状回復義務を負わないこと

参照元:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」

ただし、こうしたガイドラインを定めても法的拘束力がなければ意味がありません。これを踏まえたうえで、2017年の民法改正で施行されたのが「民法621条(賃借人の原状回復義務)」です。

賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた 賃借物の損耗並びに賃借物の経年の変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

出展:国民生活センター「賃借人の原状回復義務 / 敷金に関するルール」

改正後の民法621条では、「経年変化による通常摩耗・損傷」「故意・過失などのない損傷」を除き、賃借人に原状回復義務があることを明記しています。

敷金・保証金のルール

改正後の民法では、621条に付随する形で「敷金・保証金に関するルール」も明記されました。それが「民法622条の2」です。これによって、

  • 敷金が「賃借物件の返還時に返却されるもの」であること
  • オーナーは敷金から「未払い家賃や原状回復にかかる費用を差し引けるもの」

であることが明確になったのです。なお、敷金には「保証金」「権利金」などの名目のものも含まれます。

参考:国民生活センター「賃借人の原状回復義務 / 敷金に関するルール」

原状回復義務の責任範囲

ただし、民法621条によって下記に記載する点は賃借人の原状回復義務の責任外とされているため、これらを原状回復すための原状復帰工事費用は、賃借人に請求できないことになっています。

  • 経年変化による通常摩耗・損傷
  • 故意・過失などのない損傷

それでは、具体的にどのようなものが「経年変化による通常摩耗・損傷」にあたるのか?逆に「故意・過失による損傷」とはどのようなものなのか?一般的な見解例を紹介しておきましょう。

経年変化による通常摩耗・損傷の例 賃借人の故意・過失による損傷の例
家具・設備の設置による床・カーペットなどのへこみ、設置跡など 家具・設備などの設置・撤去の際に生じたキズなど
テレビや冷蔵庫などの設置で生じた壁面の黒ずみなど タバコ・線香などによって生じた壁紙の変色・匂いなど
地震などで破損したガラス・鏡 ペットの飼育で生じた壁・床の傷み・匂いなど
退去時の鍵交換など 不適切な使用で破損した設備など

オフィス・テナントの原状回復・原状復帰工事は注意が必要

賃借人の原状回復義務・範囲、および敷金・保証金に関する定義・ルールが明確になったことで、近年では入居時に支払った敷金が戻ってきやすくなったといわれています。

ただし、アパート・マンションなどの住居用物件と異なり、賃貸オフィス・テナント退去時の現状回復・原状復帰工事には注意が必要です。

これは、物件規模が比較的大きくなりがちなこと、退去時の原状回復が大掛かりになりがちなことを要因に、オフィス・テナントの原状復帰工事費用が高額になる傾向にあるからです。以下から簡単に解説していきましょう。

原状回復の工事業者が指定されている場合が多い

法人向けにオフィス・テナントを貸し出している物件では、退去時の原状回復を担当する工事業者が指定されている場合がほとんどです。オーナーから手渡された原状復帰工事の見積書があまりにも高額で、退去を諦めてしまうという法人も少なくないといわれています。

それではなぜ、工事業者が指定されていると原状復帰工事見積もりが高額になるのか?大きくは「工事範囲が曖昧なまま見積もりが作成されている」「多重下請構造になっている」などが考えられます。

原状復帰工事の範囲が曖昧

民法やガイドラインで定められているとはいえ、一般的な賃借人が見積書だけで「原状復帰工事の全体像」を把握することは困難です。これを逆手に、原状復帰工事の範囲を曖昧にしたまま、高額な見積もりを提出する工事業者が少なくないのが現実です。具体的には、

  • 賃借契約の範囲外となる「共用スペース」の工事費用も含まれてしまっている
  • 一部のみ補修が必要な床・壁などを「全面的に交換する」工事費用が含まれてしまっている
  • 本来は賃借人の責任外であるはずの「経年劣化による通常摩耗・損傷」も工事費用に含まれてしまっている

などが考えられます。

多重下請構造になりがち

賃貸オフィス・テナントのオーナーの方であれば、物件を建設する際のつながりを重視して、建築時のハウスメーカーやゼネコンを指定工事業者にするパターンも少なくないでしょう。

こうした一次請けのハウスメーカー・ゼネコンは、原状復帰工事を二次請け・三次請け業者に任せることが珍しくありません。結果的に、多重下請構造のそれぞれの段階でマージンが上乗せされることになり、原状復帰工事の見積もり総額が膨らんでしまう傾向にあります。

仮に工事範囲が適正に収まっていたとしても、二次請けで20〜30%、一次請けで20〜30%のマージンが乗れば、適正とはいえない見積額になるのは当然です。

原状回復・原状復帰工事のポイント

それでは、賃貸オフィス・テナントから退去する際に、原状回復義務を果たしながら、原状復帰工事を適正に収めるためにはどうすべきなのか?以下から、担当者の方なら知っておきたい、原状回復・原状復帰工事のヒントとなる注意ポイントを紹介していきましょう。

原状回復・原状復帰工事は自社で手配する

まず大前提となるのは、原状回復を自社でコントロールすること、つまり、原状復帰工事の依頼先選定を含め、工事を自社で手配できるようにしておくことです。

ただし上述したように、賃貸オフィス・テナントの場合は、現状回復・原状復帰に関連する工事業者が指定されているパターンがほとんどです。入居時に原状回復に関する契約条項をしっかり確認し、工事業者が指定されているようであれば、オーナーと事前交渉しておくことが肝心です。

すでに入居したあとで工事業者が指定されていることに気付いた場合は、将来の退去時にトラブルに発展しないよう、時間をかけてオーナーとじっくり交渉を進める必要もあるでしょう。

原状回復の実績豊富な工事会社をピックアップ

オフィス・テナント退去・移転の計画が持ち上がった場合は、早めに行動することが鉄則。原状復帰工事に関しては、原状回復の実績を重視して候補先をピックアップしていくことになります。

退去するだけでなく、オフィス・テナントの移転もしなければならないのなら、原状回復と同時に移転先のオフィス・テナント工事も任せられるのが理想でしょう。

原状復帰工事に特化した工事業者のほかに、施工も含めたオフィスデザイン・店舗デザイン会社なども候補にしていくといいでしょう。原状回復と移転先の施工を一社にまとめられれば、退去から移転までのスケジュールもスムーズに決定できるでしょう。

3〜4社の候補先から見積もりを取る

自社ニーズに対応できそうな工事業者をピックアップしたなかから、候補を3〜4社程度に絞り込み、それぞれに現状復帰工事の見積もりを依頼します。複数の候補先から同じ条件で見積書を取ることにより、各工事業者の提案力、対応力、そして費用を比較できるからです。

また、候補先は多過ぎても少な過ぎてもよくありません。依頼先を比較検討するための材料として、少なくとも3社程度の見積もりは必要でしょう。当然のことですが、現地調査もせずに見積書を提出するような工事業者は、候補先から除外した方が無難です。

見積書の内容もチェック

工事業者から提出された見積書は、金額だけではなく内容もしっかりチェックしておくことがポイント。どうしても総額にばかり目が行ってしまいがちですが、重要なのは「原状復帰工事の内容がわかる」ような見積書か?ということです。

具体的には、工事内容ごとに項目が分けられているか、工事費・材料費などが明細として明記されているか、といったことが基本的なチェックポイントです。間違っても「工事一式」などという見積書は信用してはいけません。

もちろん、見積書の内容に不明点があれば、積極的に担当者に聞いてみましょう。理路整然と金額の理由を答えられるなら安心でしょう。工事業者の対応力、担当者のコミュニケーション能力をチェックするのにも役立ちます。

まとめ

原状復帰や原状回復の意味がわからない、法的な義務や仕組みもわからないという方に向け、本記事では、原状復帰と原状回復という言葉の意味の違いを明らかにするとともに、法的に定められる原状回復義務とその範囲、原状復帰工事のポイントを解説してきました。

民法改正で原状回復・敷金の定義が明確にされたことにより、常識的に暮らしている方であれば原状復帰工事で敷金が返ってこない、あるいは追加請求されるということは少なくなりました。

ただし、原状復帰工事が大掛かりになりがちなオフィス・テナントでは、まだまだトラブルが生じやすいことも事実。原状回復とはなにか?正確に把握し、自分自身で退去時の原状回復をコントロールすることが重要です。

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