店舗デザイン設計の料金相場と業者の選び方【2023年版】
- 店舗内装・設計の相場情報が知りたい
- 店舗デザイン・オフィス内装会社の選び方のポイントとは
店舗内装・設計の相場情報をまとめました。店舗デザイン・オフィス内装会社に依頼した際の費用や、契約中の会社の費用が適正か知りたい、という方必見です。また無料で多くのに見積もりを取ることで、より正確な料金体系を把握することができます。
店舗デザイン設計とは
店舗デザイン設計とは、店内の雰囲気や什器などを考えデザインすることです。デザインした後、店舗の広さに合わせて家具の配置やレイアウトを決定し、それらを図面に落とし込んでいきます。店舗デザイン設計を担当するのは、主に設計士(デザイナー)です。
店舗の新規開業やリニューアルを行う方は店舗デザインを考えなければいけません。しかし、店舗のデザインを具体的に決めるには、まず店舗デザインとは何かを理解しておく必要があります。
店舗デザインは依頼主と設計士が行う
店舗デザインを行う際、はじめに依頼主と設計士が打ち合わせをし、設計士は依頼主が考えている店舗内装のイメージを形にしていきます。
設計士はデザインを考え図面を作りますが、図面を元に工事を行う工程では施工会社にバトンタッチします。
混同されやすいのですが、設計士と建築家は全く違うものです。設計士は内装設計を担当しとくに資格も必要ありませんが、建築家は建物そのものの設計を行うため、二級建築士・一級建築士などの資格(建物の種類によって変動があります)が必須です。
店舗施工とは
店舗施工とは、設計時に作成された設計図・設計書等に基づき、工作物を作り上げていくサービスです。 業者や依頼内容によって異なりますが、設計と施工を別の業者に発注する場合と一括してひとつの業者に発注する場合があります。
店舗デザイン設計料金は何で決まる?
店舗デザイン設計の料金は「施工費全体に占める割合」と「デザインする箇所の面積」の2つから決めるのが一般的です。それぞれ解説していきます。
総施工費からデザイン設計料が算出されるケース
総施工費からにデザイン設計量が算出される場合、一般的な費用相場は総施工費の10%〜15%になります。施工まで一貫して請け負う業者でこの算出方法が使われることが多いです。
内外装の工事や電気・ガスのインフラ整備など施工費の総額を見積もった後にそこから一定割合でデザイン設計料を割り出します。
面積からデザイン設計料が算出されるケース
デザイン設計のみを行う業者で、面積からデザイン設計料を算出する方法がよく使われています。面積からデザイン設計料を算出する場合、基本的に坪単価で料金を算出し、一般的な費用相場は1坪あたり3〜10万円です。
店舗の業態によって費用が変わり、一般的に小売店は安く、給排水設備を必要とする飲食店で高くなる傾向があります。
店舗施工料金は何で決まる?
次に店舗施工料金について解説していきます。施工料金は必要となる工事の種類によって料金が変わります。下記のように、業態によって必要な工事が変わることを押さえて予算を検討しましょう。
施工料金に含まれるもの
店舗施工料金に含まれるものとして、下記にそれぞれの例を箇条書きでまとめたのでご覧ください。
「仮設工事」「建具・ガラス工事」「塗装工事」「内装仕上工事」など 「電気工事」「防災工事」「空調工事」「水道工事」など
施工料金は物件や業態で変わる
施工料金も設計費と同様に店舗の業態や大きさによって決まります。ガスや水道工事など必要な工事が多くなる飲食店では料金が高くなり、内装工事や空調工事に留まるアパレルや小売店で料金は安くなります。
前の店舗の内装や設備をそのまま引き継ぐことができる居抜き物件を利用すれば、必要となる工事が少なくなり、施工料金を安くできます。施工料金を安く抑えたい方は居抜き物件の利用を検討しましょう。
物件別で見る店舗デザイン設計と施工料金の相場
物件別で見る店舗デザイン設計と施工料金の相場について解説します。店舗の業態以外に物件タイプによっても施工料金が変わってくるので、物件タイプについてきちんと理解しておきましょう。
下記の通り、主に3つの物件タイプに分かれます。それぞれ解説していきましょう。
- 居抜き物件の小売店
- 居抜き物件で全面改装の美容室
- スケルトン物件の飲食店
居抜き物件の小売店
居抜き物件とは、前のテナントの設備やそのまま引き継いだ物件のことです。大掛かりな給排水設備が必要ない小売店では、居抜き物件を利用すれば必要な工事を抑えることができます。
物件の状態が良ければ内外装の工事をせずにインテリア家具をそのまま利用できるのがメリットです。
料金相場
居抜き物件で小売店を開く際、広さを8〜12坪と想定した場合、デザイン設計料金は20〜30万円前後、施工料金は200〜300万円前後になります。
居抜き物件で全面改装の美容室
美容室などの顧客が長い時間滞在する店舗では、リピートに繋げるために快適な空間である必要があります。そのため状態が悪い居抜き物件では全面改装をすることも珍しくありません。
また、顧客が快適に過ごせる空間であるとともに、店のコンセプトに合った店舗づくりにすることが大切です。
料金相場
居抜き物件を全面改装して美容室をオープンする際、広さを15〜20坪と想定すると、デザイン設計料金は40〜60万円前後、施工料金は400〜600万円前後になります。
スケルトン物件の飲食店
スケルトン物件とは天井、内装、外装が何もない、建物と骨組みだけの物件のことです。1から全てを設計する必要があるため当然費用が高くなります。
スケルトン物件を利用して飲食店を開く場合、保健所へ営業許可の申請をしなくてはならず、開業するまでに手間と時間が掛かることを覚悟しておきましょう。
料金相場
スケルトン物件で飲食店をオープンする際、広さを20〜30坪と想定すると、デザイン設計料金は120〜180万円前後、施工料金は1200〜1800万円前後になります。
設計と施工を別の業者に発注するメリット・デメリット
では、設計と施工を別の業者に発注するメリット・デメリットを見ていきましょう。
設計と施工を別の業者に発注するメリット
設計と施工を別の業者に発注する場合のメリットは、下記の通り主に3つあります。それぞれ解説していきましょう。
- 施工業者に対してお客様視点でのアドバイスができる
- 予算の関係でデザインの質が落ちることがない
- 設計と施工で異なる業者に発注できる
施工業者に対してお客様視点でのアドバイスができる
店舗設計業者では、店舗デザインを設計する前に依頼者とデザインについて打ち合わせを行います。打ち合わせの際、お客様視点で的確なアドバイスをしてくれるでしょう。
一方、店舗設計と施工を一貫して行う業者では工期の見積もりや工事の説明も行うため、デザインについて密な打ち合わせは行いません。デザインについて専門的なアドバイスを貰いたいなら設計と施工を別の業者に依頼しましょう。
予算の関係でデザインの質が落ちることがない
デザイン設計と施工の両方を行う業者は、総施工費から一定の割合でデザイン設計費用を割り出すため、予算を低く設定していると、施工する範囲が狭まりそれに影響してデザインの質が落ちてしまいます。予算に関係なく質の高いデザインを提案して貰いたいなら、店舗設計業者に依頼しましょう。
設計と施工で異なる業者に発注できる
設計と施工を別々にすると、それぞれ業者を比較できるので費用を抑えた最適な組み合わせで発注できます。比較する際は費用だけでなく、得意なデザインや今までの施工実績など業者の特徴も確認しておきましょう。
設計と施工を別の業者に発注するデメリット
では、反対に設計と施工を別の業者に発注する場合のデメリットについて見ていきましょう。下記の通り大きく2つあります。それぞれ解説していきましょう。
- 施工費用が割高になる
- 工期が長くなりすぐオープンできない
施工費用が割高になる
設計業者と施工業者を別々する場合、施工費用が割高になってしまうのがデメリットです。設計業者は実際に施工をするわけではないので、予算を気にしてデザインを設計していません。
設計業者は質の高いデザインを設計してくれますが、設計書を元に施工を行うと費用が高くなってしまいます。その点、施工も行う業者の方が予算の範囲でデザインを設計してくれるでしょう。
工期が長くなりすぐオープンできない
工期が長くなる点も施工業者と設計業者を別々にするデメリットです。業者を別々にすると、デザイン設計をしてもらった後に施工業者を探さなくてはいけません。
施工業者も複数あると比較する時間が掛かってしまいます。またその際、設計意図を伝達する期間も必要になってくるでしょう。そのため、すぐに店舗をオープンしたい場合は設計と施工を一貫して行う業者に発注するのがオススメです。
設計と施工を一括してひとつの業者に発注するメリット・デメリット
では、設計と施工を一括してひとつの業者に発注するメリット・デメリットを見ていきましょう。
設計と施工を一括してひとつの業者に発注するメリット
今度は設計と施工を一括してひとつの業者に発注する場合のメリットは、下記の通り主に3つあります。それぞれ解説していきましょう。
- 設計と施工を同時に契約できるので手間がかからない
- 設計段階で施工の見積もりも可能なので工期が短縮できる
- 全工程が一社なので密なコミュニケーションを取りやすい
設計と施工を同時に契約できるので手間がかからない
設計と施工を一括発注するメリットに手間がかからない点が挙げられます。担当が一貫して同じなので、別々に発注したケースとは違い、設計意図をいちいち説明する必要がありません。また、デザイン設計後に新たに施工業者を探す手間もなくなります。
設計段階で施工の見積もりも可能なので工期が短縮できる
設計段階で施工の見積もりができる点も一括発注のメリットです。施工の段階になると現場スタッフのスケジュール調整などが必要になり、すぐに工事に取り掛かることはできません。設計と施工を別々の業者に発注すると業者探しの時間も追加されるので尚更時間が掛かってしまいます。
その点、一括発注なら設計段階で施工の見積もりができるのでスムーズに施工に取り掛かることができます。
全工程が一社なので密なコミュニケーションを取りやすい
全行程が一社なので密なコミュニケーションが取りやすい点もメリットになります。デザインから施工まで一つの業者と何度も打ち合わせをすることになるので、信頼関係が築かれていくでしょう。
信頼関係が築かれることで、より密なコミュニケーションをとることができるので、依頼者のイメージを業者により深く理解してもらえ、仕上がりが期待できます。
設計と施工を一括してひとつの業者に発注するデメリット
設計と施工を一括発注する場合のデメリットとして、デザインに拘れない点が挙げられます。一括発注には上記で挙げたメリットがあり魅力ですが、デザインに拘りたい方には向いていません。
絶対にデザインしてもらいたい業者がいる場合や、デザインの評判が良い業者を利用したい場合には別々に発注しましょう。
一般的な店舗設計・施工を依頼する流れ
では、一般的な店舗設計・施工を依頼する流れについて見ていきましょう。下記の通り、主に7つの工程があります。それぞれ解説していきましょう。
- 企画立案
- 基本設計
- 実施設計
- 確認申請
- 施工業者の選定・工事請負契約(設計と施工を別の業者に発注する場合)
- 工事監理
- 竣工・引渡し
ヾ覯萠案
法令や現場チェック、要望のヒアリングなどを行い全体計画を作成します。
基本設計
企画立案時のヒアリングを基に予算や設備・構造などの見直しを行い、最後に基本設計図書として内容をまとめます。
実施設計
基本設計をベースにより詳細な図面を作成します。ここで各種仕上げや仕様も決定していきます。
こ稜Э柔
建設に関する法的基準の確認を受けるため、各行政機関へ申請します。
セ楾業者の選定・工事請負契約(設計と施工を別の業者に発注する場合)
施工業者を選定し、見積りをとります。設計事務所は見積りのチェックや設計見直しを行います。
工事監理
図面通りに施工されているかや、進捗状況などを随時確認してお客様へ報告します。
Ы弭・引渡し
工事終了後に、審査機関や設計事務所、お客様の検査を受けて、問題無ければ竣工・引渡しとなります。
設計・施工業者を選ぶポイント
設計・施工業者を選ぶには「御社が何を重要とされているか?」で選ぶポイントが変わってきます。下記の通り、主に4つの抑えるべきポイントがあります。それぞれ解説していきましょう。
- 信頼
- 設計・施工に関するノウハウや実績
- 特色
- サポート体制
信頼
最も重要なのが、信頼できる会社なのかという事です。これまでその会社がどんな設計や施工をしてきたかという設計・施工実績や、ホームページ等に掲載されているお客様の声を参考にしたり、見積もり内容をすべて明確に説明してくれて、こちらが安心して発注できる会社なのかという点も大切です。
設計・施工に関するノウハウや実績
設計・施工実績は、その会社がどのような仕事をしてきたのかという事がわかるのでとても参考になります。 これまでどのような業種、規模、デザイン等を多く手掛けてきたのか参考になるので、条件に合った業者を選ぶ基準になります。
特色
設計・施工業者によって「実績が豊富」「短納期で工事」「低価格で工事」などさまざまな特色があります。 御社が何を設計・施工業者に期待したいか?で変わってきます。
サポート体制
全工程を通して、最適なアドバイスをしてくれて、もしトラブルのあった際には、適切な対処をしてくれるかというサポート体制も重要なポイントになってきます。
まとめ
本記事では店舗を新規オープンしたい方に向けて、店舗設計・施工の費用相場や選ぶ際のポイントを解説。合わせて設計と施工を行う業者を分けて発注する場合と、一括発注する場合についてそれぞれメリット・デメリットを解説しました。自分の理想とする店舗を開くためには、本記事で解説したことに踏まえ、信頼できる業者に発注することが大切です。
その際、それぞれの業者について費用の他に特徴や実績も合わせて確認しましょう。費用が安いという理由だけで業者を選んでしまうと、こちらが期待している提案や手厚いサポートを受けらえず、後悔することになりかねません。
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1996年生 福島県いわき出身 インテリアデザイン専門学校卒業。デザイン事務所、不動産会社のリノベ事業部で経験を積み、2021年に独立。デザインを通して、オフィステナントの入居率UPや空室対策を提案。顧客の要望に合わせたオフィスレイアウト、リノベーション工事を請け負う。
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業者によって、提案は様々です。デザイン会社へお願いするとCGパースや模型で提案してくれるのでよりイメージが付きやすく、出来上がってからの差異が少ないですが、費用は割高になるケースが多いです。逆に工務店などでは、図面のみでの説明になるケースも多いのでイメージが付きにくいかもしれません。
設計と施工を一括にすることによって、担当者とも密にコミニュケーションも取れ、隠蔽配管など床や壁が出来上がってしまってからでは見えなくなってしまう箇所も把握できるので後のアフターサービスや対応がスムーズになります。
記事にもある通り、金額だけで判断してしまうと結果的に追加で費用が発生してしまい逆に割高になる可能があるので、優先順位をつけて費用のかけるところとかけないところのメリハリを持って自分の理想の店舗作りあげましょう。