ロゴにも著作権が発生する?利用時と作成依頼時の注意点を解説

最終更新日:2023年10月02日
ロゴにも著作権が発生する?利用時と作成依頼時の注意点を解説
この記事で解決できるお悩み
  • ロゴに著作権は発生する?
  • ロゴの作成・利用で著作権侵害となるケースは?
  • ロゴの作成依頼時のポイントは?

商品やWebサイトなどに掲載されるロゴには、著作権が認められる場合があります。個人事業主の方が新しい事業やサービスを立ち上げるにあたって、ロゴの作成を検討することもあるでしょう。

その過程で「著作権」への配慮を怠ると、せっかく作ったロゴが著作権侵害で使えなくなったり、損害賠償を求められたりする可能性があるので注意が必要です。反対に、作成したロゴが他者によって勝手に使われてしまうケースも想定できます。

本記事ではロゴの作成を検討している方に向けて、ロゴに著作権は発生するのか・トラブルを防ぐために何を注意すべきかについて解説します。

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ロゴの作成・利用時は著作権と商標権に注意

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ロゴの作成・利用時には、著作権と商標権について配慮する必要があります。まずは、著作権・商標権とはそもそも何か知っておくことが重要です。

ロゴ制作に関係する内容に焦点を当てて、それぞれの概要について理解しておきましょう。

著作権とは

著作権とは、著作物(作品)を作った人が持つ権利のことを指します。商品やモノに限らず、アイディアやデザインのような学術・芸術などの創作物にも、製作者(著作者)に権利が発生する点が特徴です。

著作権は文化を守り発展させるための権利という意味合いが強く、産業を守るための産業財産権(特許権・実用新案権など)とは特徴が異なります。一般的な製品は特許出願や商標登録などをしないと権利が発生しません。対して、著作権は作品を作った時点で出願の有無に関わらず発生するため、トラブルが発生しやすくなっています。

商標権とは

商標権とは、企業や事業者が自社の事業・商品・サービスを他社のものと区別するための商標(標識やマーク)を守る権利のことを指します。

著作権は出願を行わなくても権利が発生する一方で、商標権は特許庁へ申請し審査を経て、商標登録を行う必要があります。「著作権が自然に発生するから商標権の申請は不要では?」と思われるかもしれませんが、すべてのロゴに必ず著作権が発生するわけではないのです。

せっかく作ったロゴを第三者によって勝手に使用されることを防ぐためにも、著作権だけでなく商標権も持つように意識しましょう。

ロゴに著作権が発生するケース

ロゴが以下の要件を満たしている場合は「著作物」として認められます。

  1. 思想または感情が表れていること
  2. 著作者の個性が表れていること
  3. 著作者によって表現されたものであること
  4. 文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するものであること

ロゴはデザイナーによるアイデアや独創性が表現された創作物であり、基本的にはこの要件に合致しますが、すべてのロゴに著作権が必ず発生するとは言い切れません。

著作権が発生しにくいロゴは?

ロゴといっても、その形態はさまざまです。その中でも、大きく以下の3パターンに分けることができます。

  1. 文字列だけで構成されるロゴ
  2. 絵柄のみのロゴ
  3. 文字列と絵柄を組み合わせたロゴ

この中で、1の「文字列だけで構成されるロゴ」については著作物として認められない可能性が高いです。有名な事例として、ビール会社のアルファベットだけで構成されたロゴには創作性がなく、著作物として認められないという判決が過去に下されています。

ロゴが著作物として認められるかはケースバイケースであり、自己判断するのが難しい場合が多いです。ロゴは基本的に著作権が発生するものだとして扱うべきでしょう。

著作権侵害となる判断基準

著作権侵害となる判断基準

著作権侵害となる際の判断基準は、上記4点があげられます。具体的な例は以下の通りです。著作者の許可を得ずに以下の行為をしてしまうと、著作権侵害とみなされます。

  • ロゴ全体や一部を無断で利用する
  • ロゴ全体や一部を無断で複製する
  • ロゴの色やデザインを無断で改変する
  • Webサイト掲載用に作成したロゴを他の用途で利用する(名刺やパンフレットへの記載など)

ロゴを外注して完成品を受け取った後だとしても、ロゴの著作権が外注先やデザイナーにある場合は、ロゴを自由に使うことができません。何らかの形で著作権を侵害すると、作品の使用は差し止められ、最悪の場合裁判に発展してしまいイメージダウンを引き起こす恐れがあります。

ロゴが完成した後は権利のことを軽視しがちですが、場合によっては思わぬトラブルを招く恐れがあるので注意しましょう。

ロゴの作成依頼をする際の重要なポイント

ロゴの作成依頼をする際に重要なポイント

ロゴの作成を外注依頼する際は、上記の4つのポイントに注意しましょう。

著作権を譲渡してもらう

ロゴが完成した際、著作権はデザイナーに発生します。外部へ委託する場合は、ロゴの引渡しと併せて著作権も譲渡してもらうようにしましょう。

ロゴの発注を行う際は「デザイナー(著作者)から使用許諾を受け取る」か「著作権そのものをデザイナーから譲渡してもらう」かを決める必要があります。使用許諾を受け取るだけだと、ロゴを利用するたびにデザイナーからの許可が必要となり、自由に使えなくなってしまうのです。

ロゴの複製やデザイン変更もデザイナーの許可なしにはできません。ロゴの商標登録を行い自分が商標権を持っていたとしても同様です。ロゴ利用における自由度を高め、著作権侵害などのトラブルを避けるためにも、著作権は譲渡してもらうことが重要です。

譲渡を拒否された場合を想定しておく

前述の通り、ロゴと併せて著作権も譲渡してもらうことが重要ですが、デザイナーから譲渡を断られたり、別料金を請求されたりする場合もあります。断られた場合の対応についても事前に想定しておきましょう。以下は拒否された際の対策の一例です。

  • 一時的に自由利用できるライセンス契約を締結する
  • 権利を限定して譲渡してもらう(複製権や翻案権のみなど)

複製権はロゴをコピーできる権利、翻案権は変更・加工ができる権利です。後々トラブルにならないよう、正式に発注を行う前に協議を重ねて互いに納得のいく契約を行いましょう。

商標登録を行う

作成したロゴは必ず商標登録を行いましょう。商標登録を行うことで独占的にロゴが利用でき、他社からの無断利用を防げます。類似したロゴの使用も禁じられますので、よく似たロゴやフェイク商品を作られてしまっても、すぐに差し止め処置を行える点もメリットです。

商標登録は、特許庁に出願して行うものであり、数万円程度のコスト(印紙代)でできます。文字だけのロゴといった著作権が発生しないロゴも存在するため、悪意ある第三者に利用されてしまう事態も想定し、商標登録を利用すると良いでしょう。

完成したロゴの類似物がないか確認する

完成したロゴは、他に類似物がないか・他人の著作権を侵害していないかを確かめることが大切です。ロゴを外注した場合でも、ロゴの作成者が他者のロゴや著作物を真似て作っている可能性が考えられます。そうと知らずに完成したロゴをすぐ使ってしまい、知らぬうちに大きなトラブルに発生してしまうこともあり得るのです。

ロゴの作成者が外部であっても、著作権を侵害したという事実に伴うイメージダウンや損害賠償請求などは、自分に向けられてしまいます。完成したロゴはGoogleや画像検索サイトを利用して、類似したロゴ・画像がないかを確認するようにしましょう。

著作権を侵害してしまった場合はどうなる?

万が一著作権を侵害してしまうと、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金又はその両方が罰則として課されます。また、法人が著作権を侵害した場合は3億円以下の罰金となります。しかし、それ以上に大きいデメリットは、自分・自社のイメージダウンであるといえるでしょう。

著作権侵害を起こしてしまうことで、少なからず社会的信用を損なう可能性があります。取引先やクライアントからの信頼を失ってしまい、以後の業務の受発注にも影響が出てしまいかねません。

著作権侵害によるペナルティは決して軽いものではありません。知らぬ間に侵害していることにならないよう、十分に注意しましょう。

まとめ

ロゴに発生する著作権や商標権を軽視してしまい、後々トラブルが生じてしまうケースは少なくありません。また、ロゴが著作物として認められるケースや著作権侵害となってしまうケースはさまざまなものが想定でき、自己判断が難しいものも存在します。

「比較ビズ」では、権利関係をしっかりと扱うロゴ制作会社や専門家・商標登録手続きを代行してくれるプロなどを一括で比較できます。こうした比較サイトを利用して、トラブルを未然に防ぐ対策をとることがおすすめです。

監修者のコメント
弁護士法人英明法律事務所・知財セクション
弁理士 平木 健氏

関西学院大学商学部出身。2007年12月弁理士登録。1999年より大阪市内の特許事務所にて知財業務の経験を積み、2018年4月弁護士法人英明法律事務所へ合流し、所内に知的財産権を専門に扱う部門を設立した。特許・実用新案(機械等の分野など)・意匠・商標の権利化業務に従事する。クライアントとのコミュニケーションを通じて適切な権利取得を心掛ける。

ロゴなどのデザイン制作を業者や個人デザイナーへ依頼した場合に争いとなることのひとつに、「権利の帰属」問題があります。デザイン制作者は、「デザインを売ること」と「著作権を売ること」とは別問題と考えていることを、発注者は十分に理解する必要があります。また、理解しなければ、今日では良いデザインを得ることはできないと言った方がよいでしょう。

「お金を払って買ったのだから、発注者に権利が帰属するのは当然である」と、有体物と同じように考える人が多くいた時代もありました。これが、デザイナーの地位が上がらない、デザインのレベルが向上しない理由のひとつだと考えられてきました。

ところが、日本の著作物を違法に複製した海賊版が海外から流入するなど著作権被害が広まるにつれ、法改正も進み、日本国内でも著作権に対する意識が高まることとなった結果、ようやく著作者の権利も尊重されるようになってきました。

今日では、著作権の帰属はもちろんのこと、利用態様や成果物に対する保証条項など細かく取り決められることが当たり前の時代となり、契約の締結に際しても、専門家を交えて交渉にあたることが多くなってきたようです。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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