本店移転登記にかかる費用は?内訳・申請方法や手続きの手順5つを解説
- 本店移転登記にかかる費用は?
- 登記申請方法はなにがある?
- 本店移転登記における注意点はなに?
「本店移転登記をしなければいけないが費用がよくわからない…」という方必見!
この記事では、本店移転の登記をする必要がある方に向けて、費用や登記申請方法を解説。
最後まで読めば、本店移転登記にかかる費用目安がわかり、自社にあった登記申請方法を選べるようになります。
本店移転登記の手順や注意点についても解説するため、登記申請に不安がある方はぜひ参考にしてください。
本店移転登記にかかる費用は5万円〜12万円
本店移転登記にかかる費用は5万円〜12万円で「同一市内または同一法務局管轄内」か「異なる法務局管轄への移転」かにより、かなり費用が異なります。
本店移転登記を自分でおこなう場合は登記に関わる費用のみですが、司法書士に依頼する場合は依頼報酬の費用も追加で必要です。
依頼報酬は司法書士により異なるため、予算と受けたいサービスを照らしあわせて依頼先を選びましょう。
本店移転登記にかかる費用の内訳
本店移転登記にかかる費用の内訳は、以下の表のとおりです。
登録免許税 | 3万円〜7万円 |
---|---|
実費 | 600円〜3000円 |
司法書士報酬 | 25,000円〜50,000円 |
司法書士報酬額は司法書士により異なりますが、登録免許税は移転状況によって事前にわかるため、事前にどれくらいの費用がかかるかを把握しておきましょう。
登録免許税 : 3万円〜7万円
登録免許税は3万円〜7万円の費用がかかります。「同一市内での移転・同一法務局管轄内への移転」か「異なる法務局管轄への移転」かにより大きく価格が変わります。各条件の登録免許税の費用は、以下のとおりです。
同一市内での移転・同一法務局管轄内への移転 | 30,000円 |
---|---|
異なる法務局管轄への移転 | 60,000円 |
代表取締役の住所も同時に変更がある場合 | 登録免許税+10,000円 |
本店移転と同時に代表取締役の住所も変更がある場合は、登録免許税に+10,000円かかるため、住所変更がある場合は最大70,000円の費用がかかります。
実費 : 600円〜3000円
本店移転登記をする際に、登録免許税のほかに必要な費用は実費です。実費の費用は600円〜3,000円で、具体的な内訳は以下のとおりです。
会社謄本取得代 | 登記前:400円 |
---|---|
会社謄本取得代 | 登記後:600円 |
郵便・通信費(管轄内) | 2,040円 |
郵便・通信費(管轄外) | 2,590円 |
会社謄本取得代は、登記前の方が登記後より安く抑えられるため、些細な金額の差ではありますが費用を抑えたい方は登記前に会社謄本を取得しておきましょう。
司法書士報酬 : 25,000円〜50,000円
本店移転登記の手続きは司法書士に依頼することができます。司法書士への報酬は、依頼先により異なりますが費用相場は25,000円〜50,000円となります。
司法書士への報酬に関しても「同一市内での移転・同一法務局管轄内への移転」か「異なる法務局管轄への移転」かにより価格が変動します。それぞれの費用相場は以下のとおりです。
同一市内での移転・同一法務局管轄内への移転 | 25,000円〜35,000円 |
---|---|
異なる法務局管轄への移転 | 35,000円〜50,000円 |
本店移転登記の費用を抑えたい場合は、登録免許税が固定価格であることから司法書士への報酬額を抑えるしかありません。本店移転登記の依頼を考えていて費用を抑えたい場合は、予算にあった依頼先を選びましょう。
本店移転登記の4つの申請方法
店移転登記には以下の4つの申請方法があります。
- 自社で申請する
- オンライン申請する
- 司法書士に依頼する
- オンラインサービスで申請する
申請手続きに特別な資格を必要としない本店移転登記は、自社で手続きする以外にも複数の申請方法があります。自社のニーズにあわせた方法を選択するために、それぞれの登記申請方法の特徴を把握しておきましょう。
自社で申請する
本店移転登記は、自ら法務局の窓口へ行き手続きを進め、必要書類を郵送することで本社移転登記を申請できます。
本店移転登記で必須の「登録免許税」「実費」はかかりますが、費用を抑えながら登記申請できる点がメリットです。
必要書類の作成や申請手続きをすべて自社でやる必要があるため、手間と時間がかかってしまいます。本店移転登記に関する手続きの経験・知識があり費用を抑えたい場合は、自社で手続きを進める方法がおすすめです。
オンライン申請する
法務省が公式で取り入れているオンライン申請により本店移転登記の手続きを自社でおこなえます。
法務省のホームページから「申請用総合ソフト」をダウンロードし申請手続きを進めれば本店移転登記ができます。窓口での手続きや郵送に比べ簡単に手続きができる点がメリットです。
オンライン申請を利用する場合は電子証明書が必要であるため、窓口での手続きに比べて必要な準備が少し増える点がデメリットです。電子証明書を取得していない企業向けに「QRコード付き書面申請書」をオンラインで作成するサービスも用意されています。
司法書士に依頼する
本店移転登記は自社でおこなわずに司法書士に手続きの代行依頼ができます。登記関連・法律事務のスペシャリストである司法書士に依頼することにより、本店移転登記をミスなくスムーズに済ませられます。
依頼費用は司法書士により異なるため、自社の予算と見積り結果を照らしあわせて、自社のニーズにあった依頼先を選びましょう。
費用をかけてでも手間をかけずに本店移転登記の手続きを進めたい方は、司法書士に申請代行を依頼するのがおすすめです。
オンラインサービスで申請する
本店移転登記に必要な書類をオンラインサービスを活用することで自動作成し、窓口・郵送により登記手続きを進められます。
オンラインサービスの費用は各種によって異なりますが、およそ10,000円ほどが相場であるため、司法書士への依頼に比べてかなり手軽に利用できます。
書類の作成はサポートがありますが、実際の手続きは自社でおこなう必要があるため、書類の作成のみのサポートが欲しい場合におすすめです。
本店移転登記の5つの手順
本店移転登記は、以下の5つの手順で進めましょう。
- 定款の確認
- 株主総会(社員総会)の開催・決議
- 取締役会(業務執行社員会)の開催・決議
- 本店移転・必要書類の作成
- 本店移転登記申請
本店移転登記は、法務局に向かい手続きをおこなうだけではなく書類作成や書類作成にあたる情報の整理など、さまざまな手順があります。正しい手順を把握して適切な準備をすすめましょう。
1. 定款の確認
本店移転登記をおこなう際は、まず定款で本店所在地をどのように規定しているか確認しましょう。
定款に記載されている本店所在地が「最小行政区間」か「所在場所」のどちらで記されているかの確認が必須です。
「定款で最小行政区画を規定しており」「同一市区町村に本社移転する」場合のみ、株主総会はおこなう必要がありません。
2. 株主総会(社員総会)の開催・決議
現在の法務局が管轄する同一市区町村に本社移転する場合を除き、株主総会(社員総会)の開催・決議をおこないましょう。
株式会社の場合、発行済株式総数の過半数を保有する株主が出席する「特別決議」が必要です。株主総会で変更する定款に「移転先の本社所在場所」も規定した場合、次のステップである「取締役会」を開催する必要はありません。
株主総会の開催・決議の際は、登記手続き時に必要な「株主総会議事録」を作成しましょう。
3. 取締役会(業務執行社員会)の開催・決議
現在の法務局が管轄する同一市区町村に本社移転する場合、株式会社であれば「取締役会」を開催し、本社の移転先・移転日を決議しましょう。合同会社であれば「業務執行社員会」を開催しましょう。
取締役会を置かない株式会社であれば取締役の決定が必要です。取締役会の開催・決議の際は、登記手続き時に必要な「取締役会議事録」を作成しましょう。
4. 本店移転・必要書類の作成
株主総会・取締役会の承認を得たのちに、本店の移動をおこないましょう。移動する際は、本店移転登記に必要な書類を事前に作成する必要があります。
本店移転登記申請書は法務局のホームページからダウンロードできますが、オンライン申請、QRコード申請なども可能です。
法務局の管轄内で本店移転するのであれば1枚、管轄外の法務局の管轄住所に移転するのであれば2枚の申請書を作成しましょう。
5. 本店移転登記申請
本店移転に関する必要書類が揃った時点で、法務局へ本社移転登記申請をしましょう。本店移転登記申請は、株主総会で定款変更が決議されてから2週間以内に済ませなければなりません。
現在とは別の管轄住所に移転する場合は、移転先の法務局ではなく現在の法務局へ申請する必要があります。
自社に合った申請方法を選んで、ミスのないように本店移転登記申請をおこないましょう。
本店移転登記申請における3つの注意点
本店移転登記申請における注意点は、以下の3点です。
- 代表取締役の住所変更がある場合は追加料金がかかる
- 定款の変更が必要になる場合もある
- 本店移転登記に強い司法書士を選ぶ
本店移転登記申請は複雑な手順をふむためミスが起きやすい傾向があります。注意点を事前に把握しておくことで適切な準備を進めましょう。
代表取締役の住所変更がある場合は追加料金がかかる
本店移転登記にともなって代表取締役の住所変更がある場合、代表取締役の住所変更登記が必要になります。
資本金1億円までの会社であれば「登録免許税が1万円」が、資本金が1億円を超える会社であれば「登録免許税が3万円」が追加で必要な費用です。
本店移転にともなって引っ越しを考えている代表取締役の方は、追加料金がかかることを把握して予算に組み込んでおきましょう。
定款の変更が必要になる場合もある
定款には「本店所在地の最小行政区画(市および特別区)」が記載されていますが、番地まで指定されている際は定款を変更しましょう。
定款記載の本店所在地が「東京都港区」の場合、港区内での移転であれば定款の変更は不要です。
2週間以上定款の変更を忘れていた場合は、過料の対象になる可能性があるため必ず変更手続きをおこないましょう。
本店移転登記申請に強い司法書士を選ぶ
本店移転登記では条件ごとに必要な準備や予算が異なるため、時間と手間がかかります。司法書士に依頼することで、本店移転登記の手続きを代行してもらえます。
司法書士によって作業スピードや費用が異なるため、自身のニーズに最適な司法書士を選んで本店移転登記申請の手続きを依頼しましょう。
弊社が運営しているマッチングサイト『比較ビズ』では本店移転登記申請に強い司法書士が多数登録しています。どのようなサービスを受けたいか、費用はどれくらいで考えているかなどをWeb上の相談フォームに入力することで一括で複数の司法書士に相談することが可能です。
まとめ
本店移転登記の費用内訳・手続き・申請の手順を具体的に解説してきました。近年、登記手続きを簡単に済ませられるよう、申請のオンライン化や簡略化が推進されています。
本店移転登記は法律やさまざまなルールが絡むため、自身での手続きに不安を感じる方は、前もって司法書士に相談しながら準備を進めることがおすすめです。
「比較ビズ」の場合、必要事項を入力する2分程度で、本店移転登記申請に強い司法書士をスピーディに探せます。司法書士の選定に迷うことがあれば、ぜひ利用してみてください。
1984年京都市生まれ。不動産・相続・会社の「登記」に必要な手続きを代理する専門家であり、若手ならではのフットワークの軽さと様々な職業経験で培った対応力を持つ法務大臣認定司法書士。自身が法律知識ゼロで資格学習を開始した経験から法律の適用や用語の難しさを理解しており、平易でわかりやすい説明を心がけており評価を得ている。
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登記簿上「本店所在地」と記載されている住所地から、本店を移転させた場合に必要となるのが本店移転登記です。
本店所在地の記載は「東京都杉並区○○1丁目1番1号比較ビズマンション301号」などのように記載されています。しかし、法律上記載が求められているのは「1丁目1番1号」まででありマンション名の記載以降は任意とされています。
こだわりがあってという事でなければ、個人的には番地までの記載でとどめておかれることをお勧めします。
例えば、
・同マンション内で301号室より条件のいい502号室に移転した
・マンションのオーナー変更によりマンション名に変更があった
・マンション名の記載を間違えていた
といった場合にも本店移転の登記手続きが必要となるということです。
また、不動産を扱った業種で会社名での不動産登記をがされている物件を所有している場合は、上記の場合不動産ごとに「所有権登記名義人本店移転登記」を行う必要があり、専門家報酬や登録免許税がそのたびに必要になるという事です。
司法書士などの専門家が依頼を受けた場合は、こういった内容を踏まえて、無駄な費用や手間が発生しにくいように過不足なく登記内容をご提案していくことになりますので、身近な専門家へまずはご相談ください。