エレベーターに限ったことではありませんが、設備・機械を使い続ければ経年劣化・摩耗が生じるのは当たり前でしょう。その際に「修繕」「リニューアル」「改修工事」といった言葉が使われます。
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費用相場 |
| エレベーター1基あたり |
1,200万円〜1,500万円 |
エレベーターリニューアル・改修工事の費用相場は、なぜこれほどまでに幅広いのか?ステップを踏みながら解説していきます。
エレベーターの耐用年数
エレベーターは「どのくらいの使用に耐えられる」のでしょうか?下記がおおよその目安になります。
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年数 |
減価償却基準
(国税庁による法定償却耐用年数) |
17年 |
| 長期修繕計画ガイドライン(国土交通省) |
15年目で修繕、30年目で交換 |
| エレベーターメーカーが公表する耐用年数 |
20年〜25年 |
ライフサイクル指針の耐用年数
(建築・設備維持保全推進協会) |
20年〜25年 |
耐用年数に注意する理由は、年数が高いほど設備としてのエレベーターに経年劣化・摩耗が生じて、故障と自己のリスクが高まるためです。
エレベーターには大きく2種類があります。
定期点検・修繕をキチンと実施していれば、どの方式のエレベーターでも20年〜25年程度の耐用年数が保証されるでしょう。
ロープ式エレベーター
ロープ式エレベーターは、さらに2種類に分類されます。
近年のマンションで主流になっているのは「つるべ式」です。エレベーターの「カゴ」にロープの一端と、もう一端を「釣合おもり」に締結して、巻上モーターで昇降速度を制御するタイプです。
従来は、エレベーター上部に巻上モーターを収納する機械室が必要でしたが、機械室が不要なルームレスタイプが登場しました。低層から高層まで、ほとんどのマンション・オフィスビルで採用される主流のエレベーター方式になっています。
油圧式エレベーター
油圧式エレベーターも、さらに2種類に分類されます。
いずれの場合も、作動油を活用した油圧ジャッキでエレベーターを昇降させるのが特徴です。機械室を必要としないため設置の自由度が高く、低層マンションを中心に採用されてきたエレベーター方式です。
ただし、以下のデメリットがあるため、次第に使われなくなりました。
- 高層マンションに対応できない
- 消費電力が多い
- エレベーターの速度が遅い
また、廃油に関連する環境問題もあったため近年では、あまり利用されていません。
油圧式を生産・販売するメーカーも順次なくなるためリニューアル・改修工事を機に、ロープ式に交換するマンション・オフィスビルも多いでしょう。
エレベーターリニューアル・改修工事のタイミング
エレベーターの耐用年数や種類を紹介してきましたが、リニューアル・改修工事を実施するタイミングは、耐用年数を基準にするのが一般的です。
ただし、必ずしも耐用年数のみが基準になるわけではありません。以下からは、エレベーター交換時期の代表的なパターンを紹介しておきましょう。
耐用年数でのリニューアル・改修工事
エレベーターリニューアル・改修工事のタイミングとして、もっとも一般的なのが「耐用年数」を迎えた時期です。国税庁や国土交通省、メーカーが公表するエレベーター耐用年数はバラバラですが、20年〜25年程度がリニューアル・改修工事の目安だそうです。
一般的なマンションでは、12年周期での大規模修繕計画を立てています。2回目にあたる「24年目」にエレベーターリニューアル・改修工事が盛り込まれるケースがほとんどです。修繕計画の確実な実施に向けて、多くの管理組合が資金の積立をしています。
生産中止・パーツ供給終了のタイミングでリニューアル・改修工事
使用しているエレベーターが生産中止になったり、パーツ供給が終了してしまったりなどで、リニューアル・改修工事を前倒して実施するパターンです。
エレベーターが生産中止になっても、ある程度の期間(20年)の保守パーツ供給がメーカーに義務付けられています。しかし、設置のタイミングによっては「耐用年数前」に保守パーツがなくなってしまうでしょう。
トラブル発生時の修理や安全面からいっても、エレベーターリニューアル・改修工事が必要だといわざるを得ません。
エレベーターのトラブル・不調でリニューアル・改修工事
エレベーターにトラブル・不調が頻発してしまっている場合も、リニューアル・改修工事を前倒して実施するパターンのひとつです。
油圧式エレベーターを使用するマンションなら、省エネ・昇降速度の向上を兼ね、ロープ式エレベーターに交換するケースが多くなるでしょう。
適切なリニューアル・改修工事を選択する必要
ただし、生産中止のケースも合わせ、前倒しでリニューアル・改修工事を実施するには「資金が足りなくなる」場合もあります。交換時期・予算にあわせて、適切なリニューアル・改修工事を選択する必要が生じます。
エレベーターリニューアル・改修工事の方法・費用相場
費用・予算感の項目でも触れましたが、エレベーターリニューアル・改修工事には、いくつかの工事方法が存在します。大きく2つに分類できます。
| フル(全撤去)リニューアル |
エレベーターに関連するすべてを交換・改良する手法 |
| 部分リニューアル |
使えるものはそのままにして交換・改良を一部にとどめる手法 |
さらに、部分リニューアルは以下の2つに分類できるため、エレベーターリニューアル・改修工事の方法は、3種類が存在することになります。
| 準撤去リニューアル |
建物各階に固定される「三方枠」「敷居」など、一部だけを残して新しいエレベーターに交換する手法 |
| 制御リニューアル |
三方枠・敷居などに加え、エレベーターのカゴも残しながら、巻上モーター・制御盤などの制御系パーツ・部品を中心に交換・改良する手法 |
それぞれの工事方法を費用相場、工期とともに簡単に紹介していきます。
フル(全撤去)リニューアル工事の方法・費用相場・工期
文字通り、既存のエレベーターを部品にいたるまですべて撤去し、新しいエレベーターに交換する工事のことです。
| 費用相場 |
約1,200万円〜1,500万円 |
| 製作日数 |
約50日間〜120日間 |
| 工期(使えない期間) |
約25日〜40日 |
| 建築確認 |
必要 |
| メリット |
新品にリニューアルできる |
| デメリット |
工事費用が高額 |
1基あたりの費用相場は約1,200万円〜1,500万円と高額ですが、「新品のエレベーター」にリニューアルできるのが最大のメリットでしょう。一方、エレベーターの製作に約50日間〜120日間かかるうえ、約25日〜40日程度かかる工期の間、エレベーターを使用できなくなるでしょう。
エレベーターが複数台設置されているマンション・オフィスビルならともかく、1基しかない場合は住民との調整が必須です。引越しや配達などに制限が生じることも考えられます。
準撤去リニューアル工事の方法・費用相場・工期
部分リニューアルのうちのひとつに相当するエレベーターリニューアル・改修工事が「準撤去リニューアル工事」です。既存エレベーターのうち、建物各階に固定される「三方枠」「敷居」など、一部だけを残して新しいエレベーターに交換する工事です。
| 費用相場 |
約700万円〜1,000万円 |
| 製作日数 |
約50日間〜120日間 |
| 工期(使えない期間) |
約15日〜25日 |
| 建築確認 |
必要な場合が多い(要確認) |
| メリット |
比較的工期を短縮できる |
| デメリット |
パーツ調達に時間がかかる場合も |
1基あたりの費用相場は約700〜1,000万円程度と、全撤去リニューアルよりもコストを抑えられるのがメリットです。エレベーターの製作に約50日間〜120日間程度必要なのが変わらないものの、工期を約15日〜25日程度に圧縮できるのもポイントです。
ただし、既存エレベーターが古い場合はパーツ調達に時間がかかることも考えられます。
制御リニューアル工事の方法・費用相場・工期
部分リニューアルのうちのひとつで、もっとも手間・コストのかからないエレベーターリニューアル・改修工事が「制御リニューアル工事」です。
三方枠・敷居などに加え、エレベーターのカゴも残しながら、巻上モーター・制御盤などの制御系パーツ・部品を中心に交換・改良していく工事です。
| 費用相場 |
約400万円〜700万円 |
| 工期(使えない期間) |
約3日〜15日 |
| 建築確認 |
不要な場合が多い(要確認) |
| メリット |
工事費用を抑えられる |
| デメリット |
交換しない部分は別途改修計画が必要 |
1基あたりの費用相場を約400万円〜700万円程度に抑えられ、工期も約3〜15日前後に短縮できるのが大きなメリットです。リニューアル・改修工事の予算が少ない場合に、既存エレベーターの状態を考慮に入れながら工事できます。
ただし、交換しないパーツ・部品に関しては、改めてリニューアル・改修計画を策定する必要があるでしょう。
改修工事の施工会社はどこに依頼する?
日常的に使用しているエレベーターも設備・機械であるため、いつかはリニューアル・改修工事が必要になります。
マンション・オフィスビルの建築時に担当した施工業へ依頼するという方法がもっとも簡単です。ただし、エレベーターリニューアル・改修工事は長い工期が必要であるため、施工会社によって費用相場も変動します。
固定概念にとらわれず、幅広い視点で施工会社を選定するのがおすすめです。
メーカー系施工会社
日本には3大メーカーといわれる「三菱電機」「日立製作所」「東芝エレベーター」のほかに、さまざまなエレベーターメーカーが存在します。これらのメーカー系列のメンテナンス会社が「メーカー系施工会社」です。
メーカー系施工会社のメリット・デメリットを下記にまとめました。
| メリット |
自社エレベーターに関する知見・経験が豊富で、パーツ供給などに融通が利く |
| デメリット |
自社系列以外のエレベーター改修工事に対応していない |
また、油圧式エレベーターは生産が完了しているため、制御リニューアルには対応できません。油圧式のリニューアル・改修工事は、ロープ式への「撤去リニューアル工事」もしくは「準撤去リニューアル工事」のみに限定されます。
独立系施工会社
メーカーの垣根なく製品を扱え、エレベーター工事・メンテナンスに特化したサービスを提供しているのが「独立系施工会社」です。独立系施工会社のメリット・デメリットは、以下のとおりです。
| メリット |
既存エレベーターのメーカーに関わらず、リニューアル・改修工事全般を幅広く依頼できる |
| デメリット |
主要パーツ・保守パーツともにメーカーから仕入れるため、改修工事に取りかかるまでの準備期間が長めになる傾向がある |
独立系施工会社への依頼に不安を持つ方がいるかもしれませんが、独立系だから技術力に劣るというわけではありません。実績豊富な独立系施工会社は多数存在します。
よくある質問とその回答
まとめ
エレベーターの交換時期から工事の種類・方法、費用相場、工期まで、エレベーターリニューアル・改修工事に関する知っておきたい基礎知識を解説してきました。耐用年数の長いエレベーターといえども、リニューアル・改修工事が必要なタイミングは必ず訪れます。
なによりも重要なことは、交換時期が迫ってから慌てないための事前準備、そして適正な費用で工事を請け負ってくれる優良な施工会社を見つけておくことです。
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監修者のコメント
代表 向田 良二
住宅業界・設計事務所にて販売から設計・工事管理までを15年経験する。 2021年建築事務所RDAを設立。広い知見を活かした建築設計・調査・コンサルティングを 軸に活動中。
エレベーターの交換は法定耐用目安が20年以上となかなか検討するタイミングが少ない工種ですので検討機会が少ないですが、改修費が高額な面と検討方法次第では金額差や今後の保守管理、意匠性等が変わってきますので十分検討をお勧めします。
エレベーターを運用する上で製造メーカーや保守管理を依頼している会社があると思いますが、交換のタイミングで再検討すると保障などが良いものになったケースなどもあり、その点も検討メリットはあると思います。
記事にもある通り依頼するメーカーや施工店によって提案や改修方法が変わってきますので、複数の会社に相談をかけてみるのが無難かと思います。また、エレベーターの製作や工事にはかなり時間がかかりますので早めの改修計画の準備をお勧めします。
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