軒天の修理方法|軒天材の種類や工事の手順・工法ごとの修理費用を解説!

 SD住宅相談室
監修者
SD住宅相談室 花沢 雅樹
最終更新日:2023年10月02日
軒天の修理方法|軒天材の種類や工事の手順・工法ごとの修理費用を解説!
この記事で解決できるお悩み
  • 軒天を修理するにはどんな方法がある?手順は?
  • 修理に使う軒天材の種類は?なにを選べばいい?
  • 軒天修理の方法ごとにおおまかな費用を知りたい

一般的な住宅のほとんどに設置されている軒天(のきてん)。普段、あまり意識することのない設備ですが「軒天から雨漏りするようになってシミができている」「軒天の塗装が剥げてきている」のであれば修理が必要です。「でも、軒天の修理は具体的にどう進めればいい?」わからない方も多いはず。

そこで本記事では、軒天修理に使われる軒天材の種類・特徴や、工法・工事の手順、工法ごとの修理費用などを徹底解説!知っておきたい軒天修理のポイントも紹介していきます。

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軒天とは

軒天(のきてん)とは、住宅の外壁から屋根が突き出している軒先(のきさき)の裏側、軒下(のきした)から見た天井部分のこと。「軒裏」「軒裏天井」「軒天井」と呼ばれることもあります。

マンションなどのように屋根のない建物には軒天がなく、近年では軒先のない住宅も増えていますが、三角屋根の一軒家のほとんどには軒天が設置されています。

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出典:ニチハ株式会社「軒天」

  • 神社・仏閣などの場合

    軒天にあたる部分は、屋根を支えている「たる木」「桁(けた)」などがそのままむき出しになっています。

  • 一般的な住宅の場合

    軒天材・軒天ボードなどの板で軒裏をカバーする、あるいは外壁と同じモルタルで軒裏を塗ることがほとんどです。

軒天の役割

特に一軒家の場合は、軒天材で軒裏をカバーすることが一般的ですが、これは軒天に以下のような役割があるからです。

  • 雨風から外壁・屋根裏を守る、日差しよけ
  • 屋根への延焼を防ぐ

住宅が密集しがちな日本では、近隣で発生した火災が軒天を伝って屋根に延焼してしまうことがあります。軒裏を不燃系の軒天材でカバーすることにより、屋根への延焼を一定時間以上防ぐことが可能。

軒天があることで日差しよけにもなり、軒天材と外壁をシーリングすることによって、雨風から外壁・屋根裏を守る効果も得られます。

メンテナンスが必要

一方、風雨や紫外線にさらされる軒天は、当然のことながら時間とともに劣化します。軒天の劣化は雨漏り、それによる表面のシミ、塗装剥がれといった形で顕在化し、放っておけば軒天としての役割を果たさなくなってしまいます。劣化が目に見えてわかる場合はもちろんのこと、定期的な軒天の修理・メンテナンスは必須です。

軒天修理で使われる軒天材の種類

軒天の修理・メンテナンスは、軒裏をカバーしている軒天材の修理・メンテナンスとほぼイコール。ただし、軒天材には木材系 / 不燃材系を含むいくつかの種類があり、それぞれ特徴も単価も異なります。

適切に軒天を修理するためにも、素材となる軒天材を把握しておくことは重要。軒天材として主に使用される「ベニヤ / カラーベニヤ」「ケイカル板」「ガルバニウム鋼板 / アルミスパンドレル」を簡単に解説していきましょう。

  • ベニヤ / カラーベニヤ
  • ケイカル板(けい酸カルシウム板)
  • ガルバリウム鋼板 / アルミスパンドレル(金属系)
  • 有孔板 / 換気部材

ベニヤ / カラーベニヤ

通常のベニヤ板は、原木を「大根の桂むき」の要領で薄く剥いた板ですが、ここでいうベニヤは、繊維方向(木目)が1枚づつ直交するように、接着剤を使って複数枚貼り合わされた「ベニヤ合板」のこと。これに色の付いた化粧板などを貼って仕上げたものが「カラーベニヤ」です。

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出典:日新グループ「合板とは」

メリット

比較的築年数の古い住宅の軒天でベニヤ合板が利用されており、軽量で加工しやすく、単価も安いため、軒天の修理・メンテナンスなどでもよく使われる素材です。

デメリット

耐火性に乏しい木材系素材であるため、現在では新築住宅の軒天で利用されることはほとんどありません。ベニヤの軒天を修理する際も、地域・エリアによっては防火上の理由で使えない場合も。耐腐食性・耐水性・耐久性という面で不燃材系に見劣りするのも、木材系ならではのデメリットだといえるでしょう。

ケイカル板(けい酸カルシウム板)

けい酸カルシウム板の略称であるケイカル板とは、水酸化カルシウムと砂を使って成形された合板のこと。現在、主流として使われている不燃材系の軒天材であり、耐久性・耐水性・耐火性に優れていることが特徴です。

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出典:ニチハ株式会社「軒天」

メリット

厚さやカラー、木目調などの意匠バリエーションが豊富に取り揃えられており、住宅のデザイン・テイストに軒天をマッチさせやすいのも人気の理由。多くのケイカル板が防火性能の基準(軒裏準耐火構造)をクリアしているため、地域・エリアによる使用制限を受けにくく、軒天修理でもよく使われる軒天材だといえるでしょう。

デメリット

その分、ベニヤ / カラーベニヤに比べると、ケイカル板の単価は若干高め。厚さ・仕上げによっても単価は変動するため、ベニヤ / カラーベニアよりも価格帯も幅広くなる傾向があります。

ガルバリウム鋼板 / アルミスパンドレル(金属系)

アルミニウム・亜鉛合金メッキ鋼板である「ガルバリウム鋼板」、アルミニウムの押し出し合金である「アルミスパンドレル」など、いわゆる金属系といわれる素材を軒天に使う場合も少なくありません。

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出典:株式会社ミツイバウ・マテリアル「建築資材」

メリット

金属系とはいうものの、ガルバリウム鋼板 / アルミスパンドレルともにアルミニウムが素材となっているため、軽量かつ耐久性・耐火性に優れています。むしろ、ケイカル板やベニヤよりも軽量であるため、屋根に負担がかかりにくいメリットも得られます。

デメリット

ベニヤ / ケイカル板のように、加工が簡単ではないことも事実です。板金が必要になることも多く、一般的なリフォーム会社では直接対応できない場合も。本記事で紹介した3つの軒天材のなかでは、単価がもっとも高額です。

有孔板 / 換気部材

軒裏を軒天材でカバーする仕上げ方法は、雨風から外壁・屋根を守る、屋根裏への延焼を防ぐという効果が得られますが、反面、軒天を密閉することにより屋根裏が結露する、湿気がこもることも。こうしたデメリット面を解決するため、換気用の穴が開けられた「有孔板」、換気専用のパーツ「換気部材」などのオプションが用意されているケイカル板もあります。

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参照元:ニチハ株式会社「軒天」

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出典:大建工業株式会社「ダイライト軒天用換気部材」

屋根裏換気は、建築法などで義務付けられているものではないため、設置はあくまでも任意です。ただし、フラット35での住宅ローン、住宅性能表示制度を利用する場合には屋根裏換気が求められます。屋根裏の状態をよりよく保つためにも有効であるため、軒天修理を検討する際は、候補のひとつとして覚えておきたいオプションです。

軒天の修理方法・工法

軒天の基礎知識を含む概要、修理に使われる軒天材の種類・特徴を把握できたところで、軒天の修理方法・具体的な工法を解説していきましょう。軒天の傷み具合・状態は状況によって千差万別であるため、修理方法はケースバイケースですが、大きくは以下の3つに分けられます。

  • 軒天の再塗装
  • 不燃材の重ね貼り(カバー工法)
  • 軒天材の張り替え

3種類の工法を組み合わせて軒天修理される場合も少なくありません。むしろ、方角によって傷み方に差が出る可能性の大きい軒天の場合、場所ごとに適切な工法を組み合わせる方が自然。しっかり現地調査をしてくれ、適切な提案をしてくれる施工会社・リフォーム会社を見つけることがポイントです。

軒天の再塗装

塗装が剥がれているだけなど、軒天材の状態が比較的良好な場合は、再塗装による軒天修理・メンテナンスを実施します。軒天再塗装の手順・工程は「ケレン(清浄)」>「下塗り」>「上塗り」が基本。

湿気が溜まりやすく下地が腐食しやすい軒天の場合、古い塗膜が残っていると上塗りした塗膜が剥がれてしまうことがあります。このため、軒天の再塗装ではしっかりとしたケレンと、NAD塗料を使うことがポイント。結露水などの耐水性に優れ、釘を打っている箇所の錆止めも不要なNAD塗料を使うことによって工程の短縮が可能です。

不燃材の重ね貼り(カバー工法)

木材系軒天材が使用されていて、もとの素材が下地として再利用可能な状態のときに、上から不燃材系の軒天材を重ね貼りする修理方法(カバー工法)。ベニヤにケイカル板を重ね貼りする、あるいはベニヤの上からガルバリウム鋼板を重ね貼りするのが一般的です。

メリット

古い軒天材の撤去・処分が必要ないため、工程を抑えられる、比較的安価に修理できるなどのメリットがあり、新しい軒天材を使うため見栄えも新品同様です。

デメリット

下地として古い軒天材が残るため、屋根裏換気用の有孔板は使えません。換気用部材の取り付けは可能かもしれませんが、下地があることによって余分な加工費がかかってしまうことも考えられます。

軒天材の張り替え

古い軒天材の劣化が進んでいて再利用できない場合は、撤去・処分したうえで、新しい軒天材に張り替える修理方法が採用されます。軒天材の撤去・処分のほか、必要であれば軒裏の補修なども実施されるため、工程・費用はかかりますが、もっとも長持ちする軒天修理の方法だといえるでしょう。

軒天修理の手順・工程

  1. 足場設置 / 傷んだ軒天材の撤去
  2. 構造材のチェック / 補修
  3. 軒天材の取り付け
  4. シーリング処理 / 塗装

それでは、軒天の修理は具体的にどのような手順・工程で行われているのか?もっとも工数の多くなる「軒天材の張り替えによる修理」を例に解説していきましょう。

足場設置 / 傷んだ軒天材の撤去

まずは、作業場所を確保するための足場設置、そして、傷んだ軒天材の撤去が最初のステップです。軒天修理は、軒裏という住宅のなかでも高い位置での作業となるため、安全性確保のため足場の設置はほぼ必須。

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平屋で軽微な軒天修理であれば、脚立を利用した簡易的な足場で済む場合もありますが、二階建てがほとんどの日本住宅ではそうはいきません。作業中の粉じん等が近隣に影響を及ぼさないよう、シートを張って作業する場合もあります。

構造材のチェック / 補修

固定していたクギ・ネジなどを外して軒天材を撤去すると、たる木・桁などの屋根の構造材が見えるようになるため、状態をチェックして必要であれば補修します。

構造材の腐食などの状態チェックはもちろん、軒天材を固定する下地材もチェックされます。せっかく新しい軒天材に張り替えても、固定するための下地材の腐食が進んでいては意味がないからです。

軒天材の取り付け

構造材・下地材のチェック / 補修の完了後は、新しい軒天材を取り付けていきます。上述したように「ケイカル板」を中心に「ベニヤ / カラーベニヤ」「ガルバリウム鋼板 / アルミスパンドレル」などが軒天修理で利用されますが、「スラグ石膏板」「フレキシブルボード」などが使われる場合も。

スラグを石膏に配合して作られるスラグ石膏板は、より耐熱性・耐火性に優れる特徴を持ちますが、単価はケイカル板よりも高め。セメントを主原料にして作られるフレキシブルボードは、衝撃・湿気に強い特性を持つ素材ですが、単価はスラグ石膏板よりもさらに高価です。

シーリング処理 / 塗装

軒天材の取り付け後は、外壁や下地材との隙間など、雨が侵入しやすい箇所のシーリング処理や塗装仕上げをして修理を完了させます。カラーベニヤやケイカル板は基本的に塗装する必要はありませんが、住宅の雰囲気に合わせて塗装できるよう、無塗装のケイカル板を選ぶ方も少なくありません。

軒天修理の費用はいくらくらい?

ここまでの解説で、軒天の修理方法、工事の手順・工程などをおおまかに把握できたのではないでしょうか?それでは、軒天修理の費用は、実際いくらくらいかかるのでしょう。大前提として考慮に入れておきたいのが「足場の設置費用」です。

足場の設置費用は、1メートル単価が約1,000円前後だとされており、建物の外周に高さと単価を掛けることで総額を計算できます。具体的な足場設置費用は、30坪程度の一般的な住宅の場合、平屋であれば約10万円前後、2階建てであれば約15万円前後となるでしょう。

工法ごとのおおまかな軒天修理費用

つまり、軒天修理の費用総額は、足場の設置費用と軒天の修理費用を合計した金額です。修理に使う軒天材の種類によっても変動しますが、30屬慮天を「再塗装」「カバー工法」「軒天材の張り替え」した場合の、工法ごとのおおまかな費用相場を紹介しておきましょう。

目安となる修理単価 軒天の修理費用(30屐
再塗装 1,000円〜1,500円 30,000円〜45,000円
カバー工法(ケイカル板の重ね貼り) 5,000円〜6,000円 150,000円〜180,000円
ケイカル板への張り替え 7,000円〜8,000円 210,000円〜240,000円

知っておきたい軒天修理のポイント

最後に、軒天の修理方法、軒天材などの基礎知識のほかに、軒天修理を検討する際に知っておきたいポイントを紹介しておきましょう。

DIYでの軒天修理はおすすめできない

作業自体はケレン・下塗り・上塗りと単純なものではありますが、湿気が溜まりやすく下地が腐食しやすい軒天のケレンは、DIY程度の知識では充分な作業が見込めないからです。

また、平屋であれば脚立を使った作業が可能かもしれませんが、足場がしっかりしないまま下塗り・上塗りしても、ムラができて塗膜が安定しないことが考えられます。

結局、塗装のやり直しという事態になりかねないため、最初から専門家に任せた方が無難です。

外壁塗装や屋根の葺き替えと同時がおすすめ

軒天修理は、外壁塗装や屋根の葺き替えなど、足場の設置が必要なほかの修理・工事と同時に実施するのがおすすめです。この方法であれば、足場の設置費用が一度のみで済むため、トータルでの修理費用を抑えられます。

たしかに、一回の支出は大きくなりますが、軒天修理・外壁塗装・屋根の葺き替えすべてを自社対応できる施工会社であれば、修理費用自体も最適化できるはずです。

リフォーム会社を選ぶポイント

修理費用を最適化しながら、質の高い工事を実施してくれるリフォーム会社を選定するには、自社施工できる会社を複数ピックアップし、相見積もりを取ることがポイントです。

たとえば、ガルバリウム鋼板で軒天修理したい場合は板金作業が必要ですが、多くのリフォーム会社は自社で板金できないため、下請けに出すことが一般的。当然、間に1社入ることによってマージンが上乗せされます。

軒天修理に関するニーズを整理し、しっかり現地調査してくれる複数の施工会社から、最も適切な提案をしてくれる1社を選ぶのが鉄則です。

まとめ

軒天の修理についてわからない方に向け、軒天材の工法・工事の手順、修理費用などを解説するとともに、軒天修理のポイントも紹介してきました。

意外に傷みやすい軒天を確実に修理するためにも、実績豊富な施工会社・リフォーム会社に依頼することが重要です。その前提となる相見積もりの候補先を見つけるのは簡単ではありません。

そんなとき「比較ビズ」なら、必要事項を入力する2分程度の手間で、軒天修理に強い施工会社・リフォーム会社をスピーディーに探せます。どの施工会社に相談すべきなのか?迷うようなことがあれば、是非利用してみてください。

監修者のコメント
 SD住宅相談室
花沢 雅樹

宮城県の一級建築士事務所。建築物について調査・リフォーム設計・コンサルティングを行う。耐震性能、省エネ性能、劣化のしにくさ、維持管理のしやすさの観点にて、計画をされている設計内容を、図面や見積書のチェックなど、第三者視点にて中立な立場でアドバイスを行う。

軒天の修理は原則として既存と同じ材料にて行います。これは、軒天に防火性能が求められるため、建物の地域により使用できる材料が決まります。既存の軒天がベニヤ板の場合、塗装あるいは張り替えをしても耐久性に不安が残るためケイカル板に交換をおすすめします。

既存の状態が良く塗装を選択される場合は使用する塗料の種類を確認しましょう。各塗料メーカーでは軒天専用の塗料を販売していますので、それを使用することが良いと思います。

もし軒天に雨染みがある場合は、屋根や小屋裏に問題があるかもしれませんので、軒天の修理をする前にインスペクションを行い雨染みの原因を調査する必要があります。雨漏りが発見されたときは先に雨漏りの修理を行わないと、再び軒天の劣化が起こりますので注意が必要です。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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