耐震工事の費用相場はいくら?利用できる補助金や助成金を紹介!

ローバー都市建築事務所
監修者
ローバー都市建築事務所 一級建築士/インテリアコーディネーター/宅地建物取引士 野村正樹
最終更新日:2023年10月02日
耐震工事の費用相場はいくら?利用できる補助金や助成金を紹介!
この記事で解決できるお悩み
  • 耐震工事にかかる費用相場はどのくらい?
  • 部分的に耐震工事をしたら費用はどのくらいかかる?
  • 耐震工事が必要な家の特徴は?

耐震工事は高額になるケースが多いので、費用相場について知っておくことは重要です。木造住宅の場合は、最低でも100万円以上の費用がかかるので、どの程度まで工事するのかも重要なポイント。

この記事では、耐震工事や部分的な工事の費用相場について解説します。耐震工事に適用される補助金や融資制度、税制優遇も紹介するので、これから耐震工事を考えている方はぜひ参考にしてください。

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耐震工事の費用相場を解説【築年数別】

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耐震工事の費用相場は以下のとおりです。

築20年以下 100万円前後
築30年 120万円~150万円
築40年 150万円~200万円
築50年 180万円~250万円
築60年以上 230万円以上

費用相場は次の4つの要素によって大きく変化するので注意しましょう。

  • 築年数
  • 床面積
  • 耐震工事の内容
  • 劣化具合

とくに築年数は耐震工事の費用に大きな影響を与える要素なので、築年数別の相場を知っておくことが重要です。

築20年以下は100万円前後

築年数が比較的浅く、築20年以下の建物であれば耐震工事の費用は100万円前後です。比較的新しい建物なので、それほど劣化が進んでいないケースが多く、最小限の耐震工事で済みます。

さらに築20年以下の木造住宅の場合、2000年6月の建築基準法改正における最新の耐震基準を基に建築されているため、それほど多くの工事が必要ないこともポイント。相場よりも低コストで耐震工事が行えます。

築30年は120万円〜150万円

築20年以下の建物と比較すると劣化が進んでいるケースが多く、建物全体の耐震工事が必要なケースも少なくありません。築30年の建物は、1981年に行われた建築基準法に伴う新耐震基準を満たしているものの、2000年の最新の耐震基準に基づいてはいないので、工事量がやや多くなります。

築40年は150万円〜200万円

築40年の建物ではかなり劣化が進み、耐震性能が落ちていることが予想されます築30年の建物と同じく、新耐震基準を満たしている建物がほとんどですが、全体的な劣化に伴い耐震工事の規模が大きくなりがち。耐震工事の費用相場よりもコストがかかることがほとんどです。

築50年は180万円〜250万円

築50年の建物では、壁のひび割れや建物全体のゆがみが発生し、耐震基準が大きく落ちていることが少なくありません。加えて築50年の建物は、1981年の建築基準法改正以前に建てられ、新耐震基準を満たしていないため、耐震強度が低い点に注意。震度5強程度の地震でも倒壊してしまう恐れがあり、耐震工事にもかなりの費用がかかります。

築60年以上は230万円以上

建物の劣化具合、床面積、希望する工事内容によってはさらに費用がかかるでしょう。築60年以上の建物は、旧耐震基準以前、1950年から1971年に使われていた旧々耐震基準に沿って建てられており、耐震性能にかなり不安があります。耐震工事の規模が大きくなるため、費用も高くなるでしょう。

部分的な耐震工事の費用相場

部分的な耐震工事費用相場は下記のとおりです。

耐震金物の設置 約40万円
筋交いによる補強 約25万円
外壁の補強材 約50万円
耐震パネルの取付 約65万円

耐震金物の設置は約40万円

耐震金物を設置する場合には、約40万円前後の費用がかかると予想されます。耐震金物は、梁と柱、土台と柱などの接合部に取り付けて固定する金物です。耐震金物を設置する数が増えれば費用も大きくなる点に注意しましょう。

筋交いによる補強は約25万円

壁に筋交いを入れて補強する場合、1ヶ所につき25万円前後の費用がかかります。壁の面積が少ない、壁の配置が悪い家では、壁に筋交いを入れることで耐震性能がアップするのです。筋交いを設置しなければならない壁が多くなると、数百万円程度の費用がかかります。

外壁の補強材は約50万円

家の外壁は耐震性能に大きな影響を与えるため、既存の外壁に耐力壁を追加する工事も効果的です。1ヶ所につき50万円前後の費用がかかります。外壁材を撤去して耐力壁を追加する方法もありますが、壁を壊す分費用がかかる点に注意。ケースによっては外壁と基礎を同時に耐震工事することもあります。

耐震パネルの取付は約65万円

外壁材を撤去し、内部に耐震パネルを施工する耐震工事は、1ヶ所につき65万円前後が費用相場です。耐震パネルを設置すると、壁が面として地震の力を受け止められるため耐震性能が向上します。耐震パネルは設置しやすく、職人を必要としないため比較的安価に工事できるのが特徴の一つ。外壁を壊して耐力壁を追加する方法よりも費用を抑えられます。

耐震工事の種類と費用解説

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耐震補強の工事には、「耐震工事」のほかに「制震工事」「免震工事」の2種類があります。それぞれの種類によって費用が変わるので注意が必要です。

制震工事には追加費用がかかる

制震工事は、地震の揺れを制震装置によって吸収させる工事です。地震の揺れが建物に与える影響を最小限に抑え、地震が繰り返しても効果が薄れません。

制震工事では、50万円から100万円程の追加費用がかかるのがデメリット。ダンパーと呼ばれる、バネやゴムでできた衝撃を吸収する装置を設置する必要があるため、耐震工事よりもやや高額になります。

免震工事は高額な費用がかかる

免震工事は、地震の揺れを建物に伝えないようにする工事です。地盤と家の基礎の間にベアリングや柔らかいゴムを入れて、建物と地盤を絶縁し、地震の揺れが伝わらないようにします。

免震工事は地震に対する備えとして非常に効果的ですが、高額の工事費用がかかるのがデメリット。建物の構造や地盤によって工事できない場合もあるので注意が必要です。

耐震工事で利用できる補助金や助成金

耐震工事で利用できる補助金や助成金

耐震工事の費用は、100万円以上と高額になるケースが多いために、補助金や助成金を利用することがおすすめです。耐震工事で利用できる補助金や助成金には上記の3つがあります。

自治体の補助金・助成金

耐震工事では、自治体から補助金や助成金が支給される可能性があります。すべての都道府県や市区町村で補助金・助成金が設置されているわけではないので注意が必要です。

たとえば、東京都中央区は昭和56年5月31日以前に着工した建物について工事費用の半分を補助。大阪府も昭和56年5月31日以前に建築され、今住んでいる建築物について40万円もしくは60万円の補助金申請が可能です。

住宅金融支援機構の融資制度

住宅金融支援機構の融資制度を活用することで、耐震工事の負担を減らせます。住宅金融支援機構は信頼感の高い、固定金利で返済額がわかりやすい点がメリットです。たとえば、最大1,500万円の融資が受けられるのが、リフォーム融資(耐震改修工事)。金利は0.93%から1.49%です。返済期間が最大20年なので、毎月の返済額を抑えられます。

税制優遇

耐震工事を実施すると、所得税や固定資産税の優遇措置が受けられます。市町村、建築士、指定確認検査機関又は登録住宅性能評価機関が発行する証明書の提出が必要です。所得税は最大25万円を上限として、耐震工事費用の10%が所得税額から控除。さらに家屋にかかる固定資産税は工事完了年の翌年度分が1/2に減額されます。

耐震工事が必要な4つのケース

耐震工事が必要な4つのケース

耐震工事が必要な家屋は、上記4つのケースです。

壁の面積が少ない家

壁の面積が少ない家は、耐震性能に不安があります。とくに1階部分の壁が少ない場合、地震によって加わる力を支えられず、倒壊してしまう恐れがあるのです。1階に車庫や倉庫がある家や大きな窓がある家は、耐震工事を行うことを検討しましょう。

軟弱な地盤に立っている家

家の耐震強度は、かなりの程度地盤に依存しています。軟弱地盤は、地震のエネルギーによって破壊しやすく、液状化や地盤沈下によって家屋が倒壊することも少なくありません。軟弱地盤に立っている家屋の場合、壁の厚みを増やしたり、耐震パネルを入れたりして壁の補強を行うべきです。

1981年以前に建てられた家

1981年以前に建てられた家も、耐震工事が必要な家屋です。1981年に建築基準法が改正され、新耐震基準が設定されました。この新耐震基準は現在でも使用されています。1981年以前に建築された家屋は、新耐震基準以前の旧耐震基準に沿って建てられており、十分な耐震性能を備えていない恐れがあるのです。

吹き抜けがある家

比較的新しい家であっても、吹き抜けがある場合には注意が必要です。吹き抜けがあると、壁や柱の数が少なくなるため耐震性能が落ちてしまう恐れがあります。

耐震工事の費用でよくある質問

耐震工事の費用について、よくある質問2つを紹介します。

  • 耐震工事とは?
  • 鉄筋コンクリートの耐震工事費用は?

耐震工事とは?

耐震工事とは、現在の住宅にできるだけ手を加えずに壁や柱、梁を補強する工事のことです。制震工事や免震工事よりも比較的短期間、低費用で行えるのがメリット。耐震工事の目的は地震によって建物が倒壊しないことを目的としているため、地震の被害をまったく受けないわけではありません。

鉄筋コンクリートの耐震工事費用は?

近年、鉄筋コンクリート造の家屋も増えてきました。鉄筋コンクリート造の耐震工事費用相場は、500万円から1,000万円前後です。鉄筋コンクリート造の家の場合、耐震工事と利便性を高めるリフォームを同時に行うことが多いため、やや費用が高額になります。

耐震工事の費用まとめ

耐震工事の費用は、以下のとおりです。

築20年以下 100万円前後
築30年 120万円~150万円
築40年 150万円~200万円
築50年 180万円~250万円
築60年以上 230万円以上

築年数に加え、耐震工事の種類、工事の箇所によって費用は大きく変わります。自治体の補助金や助成金、税制優遇などを上手に活用して、費用を抑えるようにしましょう。地震に備えて、安心して暮らせる家にすることが重要です。

「比較ビズ」では、耐震工事を得意とする建設会社や建築会社を比較して選べます。2分程度必要な情報を入力するだけで、全国各地の業者を比較できるのでとても便利です。耐震工事を依頼したい方は、ぜひ一度比較ビズを利用してみてください。

監修者のコメント
ローバー都市建築事務所
一級建築士/インテリアコーディネーター/宅地建物取引士 野村正樹

京都市出身。同志社大学法学部を卒業後、京都工芸繊維大学造形工学科へ編入学。2000年「ローバー都市建築事務所」設立。京都工芸繊維大学大学院建築設計学 前期博士課程修了。設計実績 約500件。2006〜2018年 毎日新聞京都版 朝刊「きょうと空間創生術」第1回〜第274回執筆掲載。京町家再生・古民家再生から、大規模商業施設まで、幅広く多方面にて様々な設計を行う。京都の伝統的な建築と現代的建築を融合させる手法を特徴に、先人が育んできた生活の知恵や幸せに暮らす方法を調和的にアレンジし提供する。

一般的に耐震補強工事は、家屋全体の改装を伴う大規模な改装工事となることが多く、そういった意味においても、事前にしっかりとした全体の調査・改修計画を行い、その場しのぎの場当たり的な工事となってしまわないよう注意が必要です。

老朽化した部分の改修はもとより、家屋全体のバランスを考えながら、適切に耐震壁等を配置することが重要です。特に、過去のリフォームにおいて柱や壁を取り除いた場合は、要注意です。耐震性能のことをあまり考えずに大規模リフォームを行った結果、耐震性能が低減してしまっている可能性もあります。また、各種補助金を活用しやすいことも、耐震工事の特長といるでしょう。

まずは、信頼のおける専門家にしっかりと相談しながら、改修計画を策定し、二人三脚のイメージで間違いの無い耐震工事を行っていただければと思います。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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