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雇用契約書の書き方|明示事項や注意点を解説!便利なテンプレートはある?

最終更新日:2022年03月25日
雇用契約書の書き方|明示事項や注意点を解説!便利なテンプレートはある?
この記事で解決できるお悩み
  • 雇用契約書の書き方は?必須事項や注意点を知りたい
  • そもそも雇用契約書は必要?労働条件通知書との違いや法的根拠を知りたい
  • 雇用契約書の取り扱いは?電子契約でも問題ない?

雇用契約書とは、従業員を雇い入れたときに事業主と労働者の間で交わす契約書のこと。労使間のトラブルを未然に防ぐためにも、整合性のとれた雇用契約書を用意しておく必要があります。しかし、起業したばかりで雇用契約書がない、あるいは雇用契約書はあるが、今のままでいいのかわからないという経営者・人事担当者の方であれば、上述したような悩みを抱えているでしょう。

そこで本記事では、記載しなければならない明示事項や、作成する際に注意しておくポイントも含めた雇用契約書の書き方を徹底解説!便利にアレンジして使える雇用契約書のテンプレートも紹介していきます。

雇用契約書とはなにか

雇用契約とは、労働者が事業主(使用者)の労働に従事し、その対価として事業主が労働者に報酬を支払うことを約束する契約のこと。「雇用契約書」は、事業主と労働者で締結した雇用契約の内容を書面にしたものです。

雇用契約書には決められたフォーマットというものはありませんが、まずは一般的な雇用契約書の例を紹介しておきましょう。

出典:Microsoft「楽しもうOffice 雇用契約書」

雇用契約書の作成・締結は義務ではない

ただし、雇用契約書の作成や書面での雇用契約締結が、労働法をはじめとした法律で義務付けられているわけではありません。雇用契約に限らず、契約は口約束でも成立するものとされているからです。

それでは雇用契約書は必要ないのかというと、そうではありません。口約束での「言った」「言わない」が労使トラブルに発展することを防ぐために、約束事を書面にまとめた証明書としての雇用契約書が必要です。

そのため、雇用契約書を2部作成し、それぞれに署名あるいは押印したものを事業主、労働者それぞれが1部ずつ保管することが一般的です。

雇用契約書と労働条件通知書の違い

一方、労働基準法第15条では、事業主(使用者)に対し「労働条件を明示した書面を雇い入れる労働者に交付する」ことを義務付けています。

この労働条件を明示した書面が「労働条件通知書」であり、交付されない場合は労働基準法第120条によって、使用者に30万円以下の罰金が課されます。以下は、厚生労働省が公開している一般向け労働条件通知書のフォーマットです。

出典:厚生労働省「労働条件通知書(一般労働者用;常用、有期雇用型)」

労働条件通知書は、あくまでも「労働条件を明示するための通知書」です。契約書である雇用契約書と異なり、署名や押印は必要とされません。雇用契約書と労働条件通知書の違いは以下の通りです。

  雇用契約書 労働条件通知書
目的 雇用契約を証明するため 労働条件を通知するため
方法 2部作成して署名または押印し、使用者・労働者それぞれが保管 使用者が労働者に交付
法律上の扱い 作成の義務なし 作成・交付の義務あり
未作成・未交付の罰則 なし あり(30万円以下の罰金)

雇用契約書兼労働条件通知書が一般的

雇用契約書、労働条件通知書には上述したような違いがあるのは事実ですが、フォーマット・テンプレートをご覧いただければ、それぞれの内容がほぼ同じであることがおわかりでしょう。

つまり、一般的に「雇用契約書」といった場合は、雇用契約書兼労働条件通知書であることがほとんどです。いずれにしても労働条件通知書を書面で交付する義務があるのなら、雇用契約の証明書としての雇用契約書を兼ねてしまった方が得策というわけです。

雇用形態にかかわらず雇用契約書は必要

「パートタイム・アルバイトの従業員しか雇用していないから、雇用契約書はいらないのでは?」そう考える事業主の方がいるかもしれませんが、それは間違いです。なぜなら、労働条件通知書は雇用形態を問わずに従業員に書面で通知しなければならないからです。

パートタイム・アルバイトなどの短時間労働者であっても、1名でも従業員を雇用する事業所であれば労働条件通知書の交付が必須。労働条件通知書を兼ねる雇用契約書は、従業員を雇用するすべての事業所に必要な契約文書だといってもいいでしょう。

雇用契約書に記載する明示事項

それでは雇用契約書に記載すべき明示事項とはどのようなものでしょうか?労働条件通知書は、労働基準法第15条1項によって「明記しなければならない明示事項」が定められています。つまり雇用契約書には、労働基準法第15条1項に従った以下の事項を明示する必要があります。

  1. 雇用契約期間
  2. 就業場所
  3. 業務の内容
  4. 就業時間(始業・終業時間)
  5. 休憩時間
  6. 所定時間外労働の有無
  7. 休日
  8. 休暇
  9. 賃金・手当に関する事項(昇給に関しては除く)
  10. 退職に関する事項
  11. 保険制度に関する事項
  12. 退職手当に関する事項
  13. 退職手当以外に臨時で支払われる賃金・賞与に関する事項
  14. 労働者が負担する食費・用品その他に関する事項
  15. 安全・衛星に関する事項
  16. 職業訓練に関する事項
  17. 災害補償・業務外の傷病扶助に関する事項
  18. 表彰・制裁に関する事項
  19. 休職に関する事項

このうち、(1)から(10)までは、書面で交付・通知しなければならない必須の明示事項となり、絶対的明示事項と呼ばれる場合もあります。

一方、(11)から(19)までは、事業所に該当する定めがある場合、労働者への通知が必要とされる明示事項ですが、書面での交付・通知は義務付けられていません。これを相対的明示事項と呼ぶ場合があります。

参照元:厚生労働省「よくある質問」

雇用契約書と労働基準法の関係

法律で作成が義務付けられていない雇用契約書ですが、実は労働基準法とは深い関係性があります。たとえば、雇用契約書で1週間の労働時間を45時間と定めても、労働基準法の労働時間は40時間を上限としているため、雇用契約書に効力があるとは認められません。

これは民法よりも優先されることもある請負契約書とは異なる、雇用契約書ならではの特徴です。また、労働契約法第13条によって、就業規則を下回る条件の雇用契約書も認められません。

つまり、雇用契約書は必須の明示事項を記載するだけではなく、労働基準法や就業規則との整合性を取りながら作成する必要があるのです。

雇用契約書の書き方・記載例

労働条件通知書との違いや関係、労働基準法をはじめとした法律との関係を含む雇用契約書の基本をおさらいしたところで、具体的な雇用契約書の書き方を記載例とともに解説していきましょう。

本記事では労働条件通知書を兼ねた雇用契約書を念頭に、書面での交付・通知が必要な明示事項に絞って解説していきます。

雇用契約書に記載する入社日に関しては、労働者と合意した日付となることが基本ですが、手続き関係をシンプルにするためにも、入社日を1日付にする企業が多いようです。

(1)雇用契約期間

正社員などで雇用期間に定めがない場合は「期間の定めなし」のみで問題ありませんが、有期雇用の場合は「2022/3/1〜2022/8/31」のように期間を明示する、あるいは「入社後6か月」と記載します。

また、正式入社までの間に試用期間を持たせたいというパターンも考えられますが、試用期間中に正式採用するかを判断したいのであれば、まず試用期間のみの有期雇用契約を締結し、採用決定後に正式な雇用契約を改めて締結することがおすすめ。これは無期雇用契約の場合、試用期間のみを有期雇用にするというわけにはいかないからです。

(2)就業場所

入社後の就業場所を記載します。事業所が1か所しかない場合はその場所を、複数の拠点がある場合は実際に終業する場所を明示します。

  • 記載例:「本社 営業部」
  • 記載例:「大阪営業所 営業部」

(3)業務の内容

入社後に従事する業務の内容を記載します。複数の業務を兼任してもらう場合は、すべての業務を記載することが基本ですが、柔軟性を持たせるために大まかな内容にとどめておく場合が多いようです。

  • 記載例:「営業業務」「マーケティング業務」

(4)就業時間(始業・終業時間)

入社後の始業・終業時刻を含む終業時間を記載します。従業員の就業時間が固定されているのであれば、その時刻を記載するだけですが、変則的な労働時間制を採用する場合はルールも合わせて記載します。

  • 記載例:「フレックスタイム制:始業および終業の時刻は労働者に委ねる。(フレックスタイムとコアタイムを記載)」
  • 記載例:「事業場外みなし労働制(始業・終業時刻を記載)」
  • 記載例:「裁量労働制:9:00〜17:00を基本に労働者の決定に委ねる。」

就業時点転換に関する事項(交替制の場合のみ)

労働者を2組以上に分けて交替で勤務させる「交替制」を採用する企業の場合、終業時点転換に関するルール・就業時間を記載します。勤務パターン・交替期日・交替順序などを明示する必要がありますが、厚生労働省で公開されている「労働条件通知書テンプレート」が参考になります。

参照元:厚生労働省「労働条件通知書(一般労働者用;常用、有期雇用型)」

(5)休憩時間

就業時間中に与えられる休憩時間を記載します。具体的な時刻を明示する必要はありませんが、労働基準法第34条で「労働時間が6時間超え8時間以下の場合は最低45分、8時間超えの場合は最低60分の休憩」を与えなければなりません。

  • 記載例:「45分」

(6)所定時間外労働の有無

雇用契約書で明示した就業時間を超える「所定時間外労働の可能性の有無」を記載します。ただし、1日8時間、1週間40時間を超えて労働者を働かせる場合は、労使の合意に基づいた「36協定」の締結が必要です。

  • 記載例:「所定時間外労働 有り」
  • 記載例:「所定時間外労働 無し」

(7)休日

労働者の休日に関する事項を記載します。休日が固定されている場合は曜日・該当する日を、交替で休日を取得するなど不定期になる場合は週あたり、または月あたりの休日数を明示します。

  • 記載例:「土・日・祝日、年末年始(12月29〜1月3日)」
  • 記載例:「週2日、月8日」
  • 記載例:「年間休日110日」

(8)休暇

労働者が取得できる有給休暇などに関する事項を記載します。パートタイム・アルバイトであっても所定労働時間の8割を満たしていれば、有給休暇を与えなければなりません。

  • 記載例:「雇入れの日から6か月継続勤務した場合、有給休暇を10日間付与。以降は労働基準法に準じて付与する

参照元:厚生労働省「有給休暇ハンドブック」

(9)賃金・手当に関する事項

決定した賃金、支払方法、締め日、支払日など、賃金に関する事項を記載します。通勤手当や住宅手当などを支給する場合は、その金額や支払方法も明時します。

また、明示事項でも紹介したように「昇給に関する事項」を記載する必要はありませんが、社内規定などがあるのであれば追記しておくことがおすすめです。

  • 記載例

    「基本給:250,000円」

    「通勤手当:全額支給」

    「所定時間外・休日・深夜労働の割増賃金率:所定時間外(25%)休日(30%)深夜(25%)」

    「賃金の締め日:毎月月末」

    「賃金の支払日:翌月10日」

    「賃金の支払方法:銀行振込」

(10)退職に関する事項

定年の有無・年齢、定年後再雇用制度、自己都合退職の手続きなど、退職に関する事項を記載します。

  • 記載例:「定年制:有り(満60歳)」
  • 記載例:「定年後再雇用制度:有り」
  • 記載例:「自己都合退職の場合、退職の30日前までに退職届を提出すること」

(11)保険制度に関する事項

必須の明示事項ではありませんが、社会保険・労働保険に関する事項も記載しておきましょう。パートタイム・アルバイトなど、社会保険への加入に該当しない条件がある場合は、それも規定しに従って明示します。

  • 記載例:「健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険」

雇用契約書の書き方で注意したいポイント

すでに解説したように、雇用契約書は労働条件通知書を兼ねている場合がほとんど。しかし、「正社員」「パートタイム・アルバイト」「契約社員」などの雇用形態に応じて労働条件は異なります。

つまり、雇用契約書では労働者の雇用形態に応じて書き方に注意しておきたいポイントがあります。以下から雇用形態ごとに解説していきましょう。

正社員は転勤・職種変更の有無を明示する

ある程度の規模の企業になると、従業員の育成や最適配置のために転勤・職種変更を命ずることがありますが、転勤・職種変更の可能性があるのなら雇用契約書にもあらかじめ明示しておくことが重要です。

近年では、転勤・職種変更の命令を不服とした従業員が、訴訟に持ち込むなどのトラブルに発展するケースも増えており、労使トラブルを未然に防ぐためにも雇用契約書への明示は必須だといえます。

  • 記載例:「本社所在地以外の仙台、大阪、福岡営業所、もしくは新設の営業所への転勤を命じる場合があり、従業員はこれに従わなければならない」
  • 記載例:「業務内容は適性を見て異動・変更を命じる場合があり、従業員はこれに従わなければならない」

パートタイム・アルバイトは追加の4項目を明示する

パートタイム・アルバイトなどの短時間労働者と雇用契約書を締結する際は、必須の明示事項のほかに、パートタイム有期雇用労働法によって追加の4項目を書面にて明示しなければならない決まりになっています。以下の4項目の有無、あるのであればその詳細を忘れずに明示するようにしてください。

  • 退職手当に関する事項
  • 昇給に関する事項
  • 臨時手当・賞与に関する事項
  • 雇用管理の改善に関する事項に係る相談窓口

契約社員は契約更新の有無を明示する

契約社員など、有期雇用を前提としながらも契約の更新・延長の可能性がある場合は、上述の4項目に加え、さらに契約期間および、契約更新の有無、更新の条件などを雇用契約書で明示する必要があります。

  • 記載例:「契約更新の有無(自動的に更新する、更新する場合がある、契約の更新はしない)」
  • 記載例:「契約更新の判断基準(勤務成績、従事する業務の状況、能力、会社の経営状態など)」

雇用契約書の取り扱いに関するよくあるFAQ

ここまでで、雇用契約書の基本・書き方を解説してきましたが、作成するばかりではなく、雇用契約書をどう扱ったらいいのか?さまざまな場面で悩んでしまう方も多いでしょう。そこで以下からは、雇用契約書の取り扱いに良くある疑問に、FAQ方式でお答えしていきます。

雇用契約書を作成・締結するのはいつ?

雇用が内定した時点から入社日当日まで、雇用契約書を明示・締結するタイミングは企業によってさまざまです。実際、雇用契約書をいつまでに締結しなければならないという決まりはありませんが、雇用契約書が労働条件通知書を兼ねていることを忘れてはいけません。

なぜなら、労働者が雇用契約に合意するためには「労働条件を理解・把握」しておく必要があるからです。つまり、内定が出る前の面接の時点で、雇用契約書はほぼできあがっていることが理想で、そのうえで内定と同時に雇用契約書の締結に移るという流れが望ましいでしょう。

間違っても面接で説明した労働条件と雇用契約書の内容が異なる、といったことがあってはいけません。

雇用契約書の内容が変更になったら?

一度締結した雇用契約書の内容を変更するためには、使用者である事業主と労働者、双方の合意が必要です。これは労働契約法第8条によって定められた原則であり、正社員から契約社員に変更になる、勤務地が変更になるなど、労働者が不利益を被らないための措置だともいえます。

もちろん、賃金が昇給した場合、契約社員から正社員に変更になるなど、労働者にとって有利な労働条件になる場合でも双方の合意が必要。いずれのケースであっても、変更になった労働条件を明示した雇用契約書を新たに作成・締結する必要があります。

雇用契約書は原本保存が必要?期間は?

雇用契約書は、労働基準法第109条によって原本による保存が求められます。保存期間は従業員の退職後、亡くなった場合はその翌日から5年間です。

雇用契約書は電子交付できる?

雇用契約書は原則として書面での契約締結が求められますが、電子契約・交付も可能です。労働条件通知書に関しては「労働者が希望する」場合に限り、メールやメッセージサービスへのPDF添付も認められています。

電子契約での雇用契約締結は真実性の確保などが必要

ただし、雇用契約の締結についてはタイムスタンプによる真実性の確保などが必要になるため、自社単独で運営することはややハードルが高いかもしれません。コストはかかりますが、電子契約サービスなどを活用することで、こうした課題も解決可能です。

雇用契約書の作成に便利なテンプレートはある?

インターネットには、雇用契約書のテンプレートを無償・有償で提供するさまざまなサイトが存在します。一例として、本記事でも引用させていただいている「Microsoft」のサイト、そして「bizocean」のサイトを紹介しておきましょう。

Microsoft「楽しもうOffice」

bizocean(ビズオーシャン)

まとめ

雇用契約書の書き方がわからない、具体的な明示事項がわからないという方に向け、本記事では、記載しなければならない明示事項や、作成する際に注意しておくポイントも含めた雇用契約書の書き方を解説してきました。

雇用契約書の書き方自体は、明示事項を理解してしまえばそう難しいことではありません。しかし、明示事項を網羅することよりも、労働法・労働基準法などの法律や、自社の就業規則との整合性を持たせることが重要であり、大変な作業でもあります。自社でチェックを重ねたものの不明点がある、自社で雇用契約書を作るのが難しいといった場合は、専門家の協力を仰ぐことがおすすめです。

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