雇用契約書の書き方を徹底解説!作成時の注意点とは?

最終更新日:2024年01月11日
ドラフト労務管理事務所
監修者
代表社会保険労務士 鈴木圭史
雇用契約書の書き方を徹底解説!作成時の注意点とは?
この記事で解決できるお悩み
  • 雇用契約書とは?
  • 雇用契約書の書き方は?
  • 雇用契約書作成時の注意点は?

「雇用契約書の書き方が知りたい」「作成時に注意すべき点はある?」とお悩みの経営者や人事担当者、必見です。雇用契約書は労使間の合意を示す重要な書類であるため、作成するのが望ましいといえます。

この記事では、雇用契約書の書き方と作成時の注意点を解説します。記事を読み終わる頃には、雇用契約書をスムーズに作成できるでしょう。雇用形態ごとに書き方を解説するため、ぜひ参考にしてください。

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雇用契約書とは雇用契約に合意したことを示す書類

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雇用契約とは、事業主と労働者が雇用契約に合意したことを示す書類です。雇用契約書の作成や締結は、法律上の義務ではありませんが、労働者とのトラブルを回避するために作成する企業がほとんどといえます。

雇用契約書に正式な様式はないものの、記載すべき事項は法律(労働基準法施行規則 第5条)で定められているため、必ず含めましょう。

雇用契約書の重要性

雇用契約書は、作成しなくても違法ではありませんが、従業員とのトラブルを回避するために非常に重要です。雇用契約書を締結しなかった場合、事業主と労働者との間に労働条件に関する認識の相違が発生するおそれがあります。

雇用契約書がない状態では従業員が安心して働くことができません。加えて従業員との間にトラブルが発生した場合、従業員の主張が一方的に認められることも考えられます。労働者だけではなく、事業主や会社を守るうえでも、雇用契約書は非常に重要な書類です。

雇用契約書の書き方:正社員の場合

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雇用契約書の書き方・記載すべき事項は以下のとおりです。

  1. 雇用契約の期間
  2. 就業場所・業務変更の範囲
  3. 業務内容
  4. 始業と終業の時刻
  5. 残業の有無
  6. 休憩時間
  7. 休日や休暇
  8. 勤務交代に関する事項
  9. 賃金に関する事項
  10. 退職に関する事項

いずれも従業員が知らなければならない情報であるため、雇用契約書や労働条件通知書に明確に記載することが必要です。

1. 雇用契約の期間

雇用契約書では、雇用契約の期間を記載しなければなりません。無期雇用と有期雇用がありますが、正社員はほとんどの場合無期雇用です。

有期雇用の場合は、雇用契約を結ぶ期間を明記しましょう。

2. 就業場所・業務変更の範囲

雇用契約書には、就業場所と業務変更の範囲を記載します。「厚生労働省の通達」によると、これまでは雇用直後の就業場所を明記することが求められていました。

2024年4月から「すべての労働者に対して将来関わり得る就業場所・業務変更の範囲を明示すること」とルールが変更になっています。詳しくは厚生労働省のホームページにある「令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます」を参考にしてください。

3. 業務内容

雇用契約書で、従業員が従事する業務内容を知らせます。業務が複数ある場合は、すべてを網羅しなければなりません。2024年4月から業務変更の範囲の記載も必要になるため、慎重に雇用契約書を作成しましょう。

業務内容が具体的すぎると、業務を変更できる範囲が限られることがあります。働く可能性がある部署や大まかな内容を記載しましょう。

4. 始業と終業の時刻

始業時間・終業時間も、雇用契約書に記載しなければならない項目の1つです。勤務時間が明確ではないと従業員は不安になるでしょう。

始業時間・終業時間が季節によって変わる業種の場合、その点も雇用契約書に記載すべきです。とくに労働時間の長さは、法定労働時間の範囲内になっているか確認しなければなりません。厚生労働省の「最低賃金額以上かどうかを確認する方法」も参考にしながら、雇用契約書を作成しましょう。

5. 残業の有無

雇用契約書では、残業の有無を記載することで従業員とのトラブルを未然に防げます。残業がない場合、その旨を雇用契約書で明示しましょう。

残業がある場合「1日あたり何時間」と具体的な記載は不要ですが、どの程度の残業が予想されるか知らせることで従業員への信頼度を高められます。時間外労働協定(36協定)が結ばれている場合は、その点も記載することがおすすめです。

6. 休憩時間

始業時間・終業時間、残業の有無とともに、休憩時間の長さも雇用契約書に記載しましょう。雇用主は原則、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければなりません。

労働基準法に定められた時間を超える休憩時間を与えることも、もちろん可能です。どの時間帯を休憩時間とするのか、どの程度の長さの休憩時間か雇用契約書に記載することで、誤解や認識の違いがなくなります。

7. 休日や休暇

雇用契約書には、休日や休暇の決まりも記載するのが一般的です。法律が定める法定休日と企業が定める所定休日があり、どちらも明記しなければなりません。

決まった曜日が休日の場合はその曜日、不定期の場合はいつが休日になるか従業員が理解できるように記載します。年間休日日数や有給休暇に関する決まりを書くとトラブルを未然に防げるでしょう。

8. 勤務交代に関する事項

業務内容や労働時間とも関係がありますが、勤務交代に関する情報も雇用契約書に記載するべきです。2交代制、3交代制など業種によって勤務交代の仕組みはさまざまでしょう。

従業員が入社してから知るのではなく入社前に説明しなければなりません。書面に残すことで、明確に説明したことを示せます。

9. 賃金に関する事項

雇用契約書のなかでもとくに重要なのが、賃金に関する事項です。基本給の金額と諸手当を明記します。厚生労働省の「最低賃金額以上かどうかを確認する方法」を見つつ、賃金が法律の要件を満たしているかチェックしましょう。

基本給のほかに、通勤手当や出張手当、役職手当など各種手当も説明が必要です。固定残業代を採用している場合でも、基本給と残業代がそれぞれいくらなのか明確に区別できなければなりません。

10. 退職に関する事項

退職は通常の退職のほかに辞職や解雇、定年、死亡とパターンが多様です。退職のケースに加え、退職の手続きや申し出の日など雇用契約書に記載すべき内容はかなり多くあります。

雇用契約書にすべてを書くのは難しいため、就業規則につなげる書き方がいいでしょう。「退職の手続きは就業規則に従う」と書き、就業規則で細かいルールを記載します。雇用契約書や就業規則に記載があったとしても、労働基準法で認められた労働者の退職予告の期間(2週間)を延ばすことはできません。

雇用契約書の書き方:パート・有期雇用労働者の場合

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パートや有期雇用労働者の雇用契約書は、以下のポイントを押さえる必要があります。

  1. 更新上限の有無と内容
  2. 無期転換申込期間
  3. 無期転換後の労働条件
  4. 退職金の有無
  5. 賞与支給の有無
  6. 昇給の有無
  7. 相談窓口

パートや有期雇用労働者も、現在では正社員のように保護されるケースが増えています。雇用契約書の書き方にも注意し、関連法規を順守した様式にすべきです。

1. 更新上限の有無と内容

2024年4月から、パートや有期雇用労働者に対する雇用契約書に更新上限の有無と内容を記載することが必要となります。たとえば、有期雇用労働者に対し最高4年間まで契約する、契約の更新は4回までとするなどと決めている場合、雇用契約書に明記しなければなりません。

加えて、契約時に示した更新上限を短縮したいケースでは、その理由を従業員に説明する義務も定められました。有期雇用労働者を守るために重要な改正です。

2. 無期転換申込期間

雇用契約書では、無期転換申込期間の明記も2024年4月から必要となります。同じ雇用主のもと、とある有期雇用労働者が通算5年を超えて更新を受けた場合、無期労働契約への転換が可能です。

これまでは従業員からの申請が必要でしたが、今後は雇用主側が無期労働契約を申請できることを知らせなければなりません。無期転換申込期間を雇用契約書に記すとともに、誰が無期労働契約への転換が可能になるのか適宜確認が必要です。

3. 無期転換後の労働条件

無期転換申込期間に加え、無期労働契約転換後の労働条件も雇用契約書で説明する必要があります。雇用契約書で提示し、無期転換申込権が発生するタイミングが来るたびに業務内容や賃金などの労働条件を提示しなければなりません。

たとえば、無期労働契約への転換時期が到来したものの、引き続き有期労働契約を結ぶ従業員もいます。次の契約更新の際には、再度無期労働契約への転換を希望するかを尋ね、労働条件を提示する必要があるでしょう。

4. 退職金の有無

パートや有期雇用労働者の雇用契約書では、退職金の有無を記載する必要があります。契約社員の場合、契約期間が短いため退職金が支給されないことも珍しくありません。

正社員の雇用契約書と異なり、パートや有期雇用労働者の雇用契約書には退職金の有無を記載すべきです。退職金がない場合もその旨を知らせなければなりません。

5. 賞与支給の有無

雇用契約書には、賞与支給の有無を記載しなければなりません。同一労働・同一賃金の原則により、賞与が従業員の貢献度に応じて支払われる場合は、パートや有期雇用労働者に対しても支払う必要があります。

正社員とパートや有期雇用労働者に業務内容の差がある場合、貢献度に応じて賞与に差があることは不合理ではありません。雇用契約書には、賞与が支給されるか、どの程度支給されるかを明示しましょう。

6. 昇給の有無

雇用契約書では、昇給の有無を記載することで労務トラブルを防げます。有期雇用契約における昇給とは、1つの契約期間内で賃金が上がることを指し、更新時に賃金が上がることは昇給とは見なされません。

パートや有期雇用労働者に対する雇用契約書では、昇給の有無を記載することが義務付けられています。1つの契約期間で昇給はないと規定することも可能です。

7. 相談窓口

パートや有期雇用労働者に対する雇用契約書は、相談窓口の記載もしなければなりません。相談窓口となる部署や担当者を明記しましょう。

パートや有期雇用労働者が必要に応じて業務に関する相談ができるよう、環境整備を行うことは企業に求められる役割の1つです。

雇用契約書作成時の注意点4つ

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雇用契約書を作成する際に注意すべき点として、以下の4つが挙げられます。

  1. 関連法規との整合性をとる
  2. 求人情報・面接時の説明との整合性をとる
  3. 内容変更の際は再度雇用契約書の締結が必要になる
  4. 雇用契約書は一定期間の保存が義務付けられている

いずれも雇用契約書の有効性を維持するために重要なポイントです。訴訟問題で雇用契約書が無効とされないためにも、十分注意しましょう。

1. 関連法規との整合性をとる

雇用契約書を作成する際、関連法規との整合性をとることが非常に重要です。従業員を守るための労働基準法、会社内のルールを定めた就業規則、労使間の労働協定など雇用契約書が満たすべき条件は少なくありません。

関連法規との整合性が取れていない場合、雇用契約書が無効になります。たとえば、労働基準法で定められている範囲を超える労働時間が記載された雇用契約書は無効と見なされるでしょう。作成時には、雇用契約書が有効と見なされるか厳しくチェックすべきです。

2. 求人情報・面接時の説明との整合性をとる

雇用契約書は、求人情報や面接時の説明と整合性が取れていなければなりません。求人情報に書かれている労働条件や面接時の説明と異なる内容の場合、大きな労務トラブルになるおそれがあります。

雇用契約書の内容が求人内容と大きく異なっていると、早期離職や訴訟のリスクも大きくなるでしょう。労務トラブルを防ぐため、雇用契約書の内容は慎重に検討しなければなりません。

3. 内容変更の際は再度雇用契約書の締結が必要になる

雇用契約書の内容を変更したい場合、雇用主が自由に変更できるわけではなく、改めて契約を締結しなければなりません。とくに賃金や労働時間が従業員に不利になる変更を加えるケースでは、労使間の合意が不可欠です。

当然ですが、変更の内容が労働基準法や就業規則よりも従業員に不利になる場合は、その変更は無効と見なされます。変更部分だけを抜き出し、覚書で雇用契約書を変更することも可能です。

4. 雇用契約書は一定期間の保存が義務付けられている

雇用契約書は最低5年間保存することが義務付けられています。従業員が5年未満で退職したとしても、雇用契約書は保存しなければなりません。

労働者の希望があれば、FAXや電子メールでの明示も可能ですが、いずれの場合も保存義務は残ります。雇用契約書を破棄してもいいかどうか、どれくらいの期間保管するべきか慎重に確認することが重要です。

まとめ

雇用契約書には、含めるべき事項が多くあるため、作成にかなり時間がかかることが予想されます。雇用契約書の書き方を把握することで、労務トラブルを未然に防げることを考えると、作成する方が会社にとって利益となるでしょう。弁護士や社労士にアドバイスを求めて雇用契約書の作成を依頼するのも1つの手です。

比較ビズは、労務トラブルに強い社労士を探すのに非常に適したWebサイトです。自分が設定した条件によって社労士を比較できるため、自社にあった人材を選べるでしょう。「雇用契約書の作成を依頼したい」「労働条件を変更したい」などのニーズがある経営者の方はぜひ比較ビズをご利用ください。

監修者の一言

労働条件通知書のサンプルはいろいろなサイトにありますが、厚生労働省のひな形を活用するのが汎用的で使いやすいように感じます。

労働条件通知書関連のご相談で改善のお願いが多いのが、パート・アルバイト等の非正規社員に交付するものです。正社員と同様の書式で対応している会社が多いですが、正社員のものは「相談窓口」という欄がないケースが多いです。

法令上、正社員は相談窓口の記述は必須ではありませんが、パートアルバイト等では必須となります。ここの違いを理解したうえで運営をを頂ければ幸いです。また、入社日の表記は法律上必須ではありませんが、経験上、表記すると管理上とても便利です。

この記事にあるように労働条件は明示することが最低限法令で求められることとなります。双方署名押印をして保管するものを雇用契約書と位置付けていますが、契約の認識に齟齬が生まれないようにするための仕組みです。

私たちの事務所は労働条件通知書(厚生労働省のひな形)を作成して空欄に労働者の署名を頂きコピーを会社保管とするという段取りを推奨しています。これも雇用契約書と言えるものですのでご一考ください。

ドラフト労務管理事務所
代表社会保険労務士 鈴木圭史
監修者

2000年に社会保険労務士資格を取得後、人材派遣会社の本店に入社し官庁対応や労務相談を主担当で約9年勤務。2007年には人材派遣会社の監査役に就任。独立後、2008年に大阪の玉造にドラフト労務管理事務所を設立。数々の企業向け官庁対応・労務相談に加え、派遣元責任者講習や職業紹介責任者講習講師や内部監査の代行業務など活動は多岐に渡る。外部セミナー講師を複数実施しており、かゆいところに手が届く現場に即した講義には定評がある。また、海事代理士として陸上のみならず海上労働者の労務相談も適時運営している。

比較ビズ編集部
執筆者
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