業務委託契約書はどんな時に必要？書き方やテンプレートなども

業務委託契約書の役割

業務委託契約とは、企業が社内の業務を外部のフリーランス等に委託する際に交わす契約のことです。社内の業務に関しては、雇用契約や派遣契約で自社の社員や派遣社員などと契約を結びますが、業務委託契約の場合、外部の人間と委任契約、準委任契約、請負契約などの形態で契約を結び、仕事を依頼します。

業務委託契約書とは、その契約内容を証明するための文書です。口頭のみでも契約は成立しますが、文書として残しておくことで、お互いの認識のずれや後に発生し得るトラブルを未然に防止するのに役立ちます。ですので、フリーランスに仕事を委託する場合は、必ず業務委託契約書を作成するようにしましょう。

業務委託契約書に記載しておきたい事項

業務委託契約書に決まった書き方はありませんが、以下に挙げる10の項目はなるべく盛り込んでおくことをおすすめします。

契約形態

業務委託の形態には、請負契約と委任契約の二つがあります。請負契約とは、ある成果に対して一定の報酬が発生するタイプの契約で、納期までに成果物を納品することによって契約完了となります。

委任契約とは、委任した業務そのものに報酬が発生するタイプの契約です。あらかじめ定められた時間や場所において、決められた業務を行うことで報酬が発生します。明確な成果物がない業務（システムの運用や保守など）では、この形態で契約が結ばれることが多いです。

業務内容

業務委託契約書には業務の内容を明確に定めておきます。そうでないと、双方に認識のずれが生じ、トラブルに発展する可能性があるからです。

フリーランスとの契約でよくあるのは、企業にとっては「求めていた成果物と納品された成果物が違っていた」など、仕事を受けるフリーランスにとっては「事前に合意した内容ではない業務を依頼された」「報酬を支払ってくれない」などのトラブルです。そういうことを避けるためにも、業務委託契約書に業務内容を明確に記しておく必要があります。

日々の成果が見えにくい業務もあります。保守点検やコンサルティング業務などがそれです。こういう業務の場合は、定期的に作業報告を行ったり、ミーティングによって進捗状況をチェックしたりなどの対策が必要です。そういうチェック体制が必要であれば、それについても業務委託契約書に記しておきます。

報酬

業務委託契約書がないばかりに報酬が支払われないというトラブルは、フリーランスの世界でよく見られます。企業としても余計なトラブルを防ぐために、報酬についてその金額、支払い方法、支払日などは、業務委託契約書に明示しておくべきでしょう。また、口座振込の場合にはその手数料の負担についても記しておくなど、できるだけ細かいところまで明記しておくと無難です。

経費

業務委託では、交通費や通信費などさまざまな経費が発生します。その経費をどちらが負担するのか、業務委託契約書に明記しておきましょう。

契約期間

業務委託契約書には、契約期間についても明記しておきます。また、契約を更新する場合、解除する場合についても事前に決めておきましょう。そうでないと、納期の遅れや契約不履行などのトラブルが起こり得ます。

なお、フリーランスに業務を委託する場合、再委託を禁止する項目を設けておくとよいでしょう。再委託とは、業務を委託した人がさらに第三者にその業務を委託することを言いますが、それを禁止していないと、余計なトラブルが発生するもとになります。

知的財産権

委託した業務で発生する成果物の知的財産権が、契約者双方のどちらに属するのかを決めておきます。たとえば、記事などをフリーランスのライターに発注した場合、その著作権はその記事を書いた段階ではそのフリーランサーのものです。

それをそのままにしておくのか、それとも納品した瞬間に著作権ごと譲渡してもらうのか、それを業務委託契約書において明らかにしておく必要があるのです。特に写真やイラストなどの場合、編集や二次利用の可否などまで具体的に決めておいた方がよいでしょう。

秘密保持の方法と範囲

秘密情報の保持する範囲と取り扱いの方法についても業務委託契約書に明記しておきます。情報漏洩など万一のトラブルが発生した時に、損害賠償をできるようにしておくための措置です。ただ、これについては業務委託契約書において定めるのではなく、秘密保持契約を別に結ぶのでもかまいません。

修正方法と期間

成果物に修正が必要な場合、その方法や期間を契約書内で指定しておきます。

損害賠償

損害賠償を請求する範囲と請求する場合の上限額を、業務委託契約書内に明記しておきます。個人のフリーランスでは賠償できる損害額にも限界がありますので、企業としては現実的なラインで決定する必要があります。

合意管轄

トラブルが発生して裁判で解決しようという時に、どこの裁判所で訴訟するのかをあらかじめ業務委託契約書内で定めておきます。

業務委託契約書の注意点

業務委託の形態には、先にも述べたように、請負契約と委任契約があります。そのどちらの契約にするかによって収入印紙の要・不要が異なるので、注意しておきましょう。

業務委託契約書のテンプレートを提供するサイト

業務委託契約書に盛り込むべき項目は上記のようにさまざまですので、一から作成するのは面倒な場合もあるでしょう。そういう時に便利な業務委託契約書のテンプレートを提供しているサイトをいくつか紹介します。

bizocean

こちらは、業務委託契約書だけでなく、さまざまなビジネス文書のテンプレートを無料で配布しているサイトです。無料でダウンロードするには会員登録が必要ですが、数万点もの文書のテンプレートを自由に利用できるので、登録しておいて損はありません。

無料の文例書式テンプレート集

こちらは、word形式での業務委託契約書のテンプレートがダウンロードできるサイトです。それ以外のビジネス文書のテンプレートも多く、検索しやすいのもおすすめポイントです。

ひな形ジャーナル

ランキング形式でさまざまな文章テンプレートを紹介しているサイトです。Macでも編集可能な形式なので、Macユーザーにはよいでしょう。

まとめ

フリーランスに業務を発注することが多くなった昨今ですが、同時にトラブルも数多く報告されています。そういうことのないように、どちらも納得して取引を行うために、業務委託契約書は必ず作成しておきましょう。その際は、上記の紹介したテンプレートもぜひ活用してください。

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