貸借対照表と損益計算書の違いとは?構成や作り方をわかりやすく解説

最終更新日:2023年10月27日
貸借対照表と損益計算書の違いとは?構成や作り方をわかりやすく解説
この記事で解決できるお悩み
  • 貸借対照表と損益計算書はどういうもの?
  • 貸借対照表と損益計算書の違いは?
  • 貸借対照表と損益計算書を見るときのポイントは?

貸借対照表は「ある時点の財産状況」を表し、損益計算書は「ある期間の経営成績」を表すものです。

この記事では、経営者や企業の経理担当者に向けて、貸借対照表と損益計算書のそれぞれの概要について解説します。

最後まで読むと、貸借対照表と損益計算書の違いがわかり、適切に作成・活用ができるでしょう。「自社の財政状況や経営状況を把握したい」経営者や経理担当の方はぜひ参考にしてください。

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貸借対照表と損益計算書の違い

貸借対照表は、ある時点の財産状況を表すものです。所有している資産や負債、純資産が記載されています。損益計算書は、ある期間の経営成績を表すものです。期間中の利益や損失がまとめて記載されています。

貸借対照表は資産や負債などを一覧化したもの、損益計算書は企業の成績表をイメージするとよいでしょう。どちらも業務上で必要なものですが、使用目的や記載されている内容は異なるものです。

貸借対照表とは「決算日時点の資産・負債・純資産を記す書類」

名称未設定のデザイン

貸借対照表はバランスシートとも言われており、決算日の時点で資産・負債・純利益がいくらあるのかを示しています。企業が保有している財産や、債務の具体的な金額が記載されている書類であるため、とても重要な内容です。

財産は現金や不動産だけではなく、ソフトウェアや法律の権利など、実体のない資産も含まれています。時間の経過に応じて返却義務がある負債や、自己資本の純資産なども細かく記されているため、企業の現状を理解できるでしょう。

貸借対照表の構成

貸借対照表は左右に分割されており、それぞれに記載できる項目が定められています。左側には所有している資産、右側には負債と純資産が記載される仕組みです。左側は借方、右側は貸方と呼ばれ、常に左右の金額合計は同じとなります。

仕訳の考え方

貸借対照表への転記は決算日当日です。そのため、日々の仕訳は総勘定元帳を利用します。左側の借方に記載されている資産は右側の貸方によって、手に入れた方法や出処などを表すことができ、毎日の金銭の動きを総勘定元帳に記すことが「仕訳」です。

たとえば店舗を土地代含み2,000万円で購入した場合、左側に資産である「建物」と「土地」が記載されます。右側には、一括で小切手払いの場合は「当座預金」すぐに支払えない場合は「買掛金」などと記載されます。

借方 貸方
建物 10,000,000 買掛金 20,000,000
土地 10,000,000  

貸借対照表の作り方

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貸借対照表の作成方法は以下のとおりです。

  1. 複式簿記を使って仕分けを行う
  2. 総勘定元帳を使って、取引を勘定科目に分けて転記する
  3. 試算表に借方・貸方の合計値と残高を記載する
  4. 試算表を見ながら貸借対照表を作成

貸借対照表は、Excelや専用の会計ソフトなどを使用するのがおすすめです。最近は専用の会計ソフトも取り扱われているため、スムーズに貸借対照表を作成できます。仕分けを毎日入力しているだけで、自動で試算表や総勘定元帳が完成できるものもあり、とても便利です。

損益計算書とは「会社の収益・経費・利益を記す書類」

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損益計算書は、ある期間中の企業収益・費用を記載した書類のことを言います。P/Lの名前で呼ばれることもあり、貸借対照表と同様に、企業に必要不可欠な書類です。損益計算書を作成することで、企業が利益を上げられたのかを明確に示すことができます。

利益を上げた額だけではなく、使った費用もダイレクトに表されるため、企業の成績表と認識されています。売上にどの程度費用がかかっているのかわかるため、企業戦略の見直しに役立つでしょう。

損益計算書の構成

損益計算書には、収益・費用・利益の3つが記されています。売上高や営業利益などはもちろん、営業外費用や法人税なども記載されており、最終的に売上高から費用を差し引きすることで、利益をいくら得られたのかがわかる仕組みです。

損益計算書において、利益は売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益・当期純利益の5つに分類されます。いずれも企業の経営によって、それぞれの利益をいくら得られたのかが、損益計算書によって可視化されるものです。

損益計算書の作り方

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損益計算書は、試算表の貸方と借方が同じ金額になることを確認後、作成します。

他の書類では売上と記載していた項目は「売上高」と記入します。仕入は前期間から繰り越した商品を「期首商品棚卸高」当期に仕入れた商品を「当期商品仕入高」とし、この2つをあわせて「売上原価」として表記する点に注意が必要です。

最初に売上高と売上原価を記載して、利益や費用を計算します。それぞれを合計して金額が残った場合は当期純利益、マイナスの場合は当期純損益として記載する仕組みです。

貸借対照表を見るときのポイント4つ

チェック

貸借対照表にはさまざまな項目が記載されています。貸借対照表を見る際には、以下4つのポイントを意識しましょう。

  • 自己資本比率
  • 流動比率
  • 当座比率
  • 固定比率

1. 自己資本比率

自己資本比率とは、総資本に対する自己資本の比率を表しています。自己資本は、株主から得た資本をはじめ、返済義務がない資本のことです。全体の総資本の中で自己資本が多いほど、経営は安定すると考えられており、50%以上が望ましいです。

自己資本比率が低く、返済義務のある資本ばかりが手元にある場合は、結果的に赤字になるリスクがあります。借入金による負債が多くなるおそれもあるため、不安定な経営になってしまうことが予測できるでしょう。自己資本比率=自己資本÷総資本×100で計算可能です。

2. 流動比率

流動比率は、流動負債に対する流動資産の比率を表しています。流動資産とは1年以内に現金化できる資産であり、流動負債は1年以内の支払い義務がある負債のことです。流動比率は、金銭の返済能力を表します。

流動比率が200%以上の場合は、資金が十分手元にある状態であるため、非常に安定しています。対して流動比率が100%以下の場合は、手元に資金が無く、経営状態が悪化するリスクが考えられるでしょう。流動比率=流動資産÷流動負債×100で計算可能です。

3. 当座比率

当座比率とは、流動資産に含まれている当座資産を表したものです。当座資産は現金や預金など、名前のとおり流動性がある資産のことを言います。流動比率と比較すると、棚卸資産を含めずに算出できるメリットがあり、資金の状況をより細かく確認したいときに便利です。

当座比率は、当座比率=当座資産÷流動負債×100で計算可能です。企業を経営していくうえで、資金繰りは非常に大きなポイントですが、当座比率が100%未満の場合は必要に応じて戦略を立て直す必要があるでしょう。

4. 固定比率

固定比率は、長期にわたって保有している予定の固定資産に対して、自己資本の比率を示しています。固定資産は本来、返済期限が無い自己資本として保有していることが理想といえるでしょう。いずれ返済しなければならない場合は、結果として手元から資本がなくなってしまいます。

固定比率が100%以下の場合は、企業として非常に安定していることが予測できます。固定比率を見ることで、長期的な展望があるかを確認できるため、必ずチェックしましょう。固定比率は、固定比率=固定資産÷自己資本×100で算出可能です。

損益計算書を見るときのポイント2つ

損益計算書は貸借対照表よりもシンプルな構成ですが、さまざまな項目が記載されている点は同様であるため、具体的な注目ポイントがわからなくなってしまいます。損益計算書を見る際には、以下2つのポイントに注目しましょう。

  • 当期純利益
  • 営業利益率

いずれも損益計算書において、とても重要なポイントです。以下では2点の概要を詳しく解説しているため、参考にしながら損益計算書をチェックしてみましょう。

1. 当期純利益

損益計算書における当期純利益は、各項目を計算した結果、最終的に利益が得られたのかを表しています。売上総利益があったとしても、当期純利益がマイナスになれば、企業にとっては赤字です。

当期純利益は借方、当期純損失は貸方に記載します。また、帳簿ではどちらもわかりやすいよう赤文字で記入します。借方に当期純利益の記載を確認することで、企業が黒字を出せたことがわかります。

2. 営業利益率

営業利益は、売上によって得られた利益から、販売費や管理費などのコストを引いて算出します。営業利益は企業の本業によるもうけとして考えられるため、非常に大切な要素です。金融機関へ融資の申し込みをする場合も、営業利益が重要であるとみなされています。

営業利益が高いと、本業の力で利益をしっかり出せていることが示されます。営業利益は、営業利益÷売上高×100で算出可能です。企業そのものの力を表すともいえる広告であるため、必ずチェックしましょう。

貸借対照表と損益計算書に関するよくある質問

貸借対照表と損益計算書は、複雑な仕組みや用語などが多いため、混乱する人が少なくありません。以下ではよくある質問を2点まとめているため、参考にしてみましょう。

  • 貸借対照表と損益計算書の関係は?
  • 個人事業主に貸借対照表と損益計算書は必要?

いずれも貸借対照表と損益計算書において、よくある質問です。多くの経営者や経理担当者がつまずくポイントともいえるため、本記事をおさらいする意味でチェックしておきましょう。

貸借対照表と損益計算書の関係は?

貸借対照表と損益計算書は、どちらも会計帳簿に必要不可欠なものです。企業活動において、資金や利益などの状況を明確に表しているものであり、いずれも決算書類として大切な役割があります。

貸借対照表は資産や負債、損益計算書は収益や費用などが記載されているため、内容は異なります。損益計算書において収益が増えた場合は、貸借対照表の資産も増加するため、深い関連性があるといえるでしょう。

個人事業主に貸借対照表と損益計算書は必要?

個人事業主の場合は、貸借対照表は必須ではありませんが、損益計算書はとても大切なものといえます。青色申告をする場合は、貸借対照表も必要になるため、必ず用意しておきましょう。

簡易帳簿で申請を行う場合は、損益計算書のみでも問題ありません。簡単に申請ができる白色申告か、最高65万円の控除を受けられる青色申告を利用するかによって、必要なものが異なることを覚えておきましょう。

まとめ

本記事では、以下の4点を解説しました。

  • 貸借対照表とは「決算日時点での資産・負債・純資産を記す書類」
  • 損益計算書とは「会社の収益・経費・利益を記す書類」
  • 貸借対照表のポイントは「比率」
  • 損益計算書のポイントは「利益」と「利益率」

貸借対照表や損益計算書は、企業の財産状況のすべてが記されているものです。自己資本比率では企業の「安全性」を、流動比率は企業の「短期支払い能力」を読み解くことができます。つまり貸借対照表や損益計算書から、企業が今後どのように経営方針を変えればいいのかが見えてきます。

貸借対照表や損益計算書の書き方・利用方法を理解し、よりよい企業経営に活用していきましょう。

比較ビズ編集部
執筆者

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