【必見】小売業における利益率の目安は?上げる方法と注意点2つを解説

株式会社BPBコンサルティング
監修者
株式会社BPBコンサルティング 代表者 小田島 晃汰
最終更新日:2024年02月19日
【必見】小売業における利益率の目安は?上げる方法と注意点2つを解説
この記事で解決できるお悩み
  • 小売業における利益率の目安はどれくらい?
  • 小売業の利益率を上げる方法は?
  • 小売業の利益率で注意することは?

「小売業を経営したい」「小売業の利益率を上げるポイントを知りたい」とお悩みの方必見です。

一般的な営業利益率は、10%前後ですが、小売業の営業利益率は8.1%です。小売業の利益率で注意することは、利益率が高すぎる場合は見直すこと、本来の価値よりも低すぎる価格設定にしないことが大切です。

この記事では、小売業の経営に興味がある方へ向けて、小売業の利益率の目安や利益率を上げるポイントを解説します。

この記事を読むと、小売業の経営を始める際の判断材料となるでしょう。

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小売業における営業利益率

利益率とは、売上高のうち利益がどれくらいかを示す割合で、企業の実力を示すものさしともいわれます。小売業における利益率は2種類あり「営業利益率」と次項で説明する「売上総利益率」があります。

営業利益率とは売上高から仕入れ値やロスのほか店舗の地代や家賃、社員・アルバイトの人件費、広告費などを差し引いて残った利益の割合のことです。売上高営業利益率とも呼ばれます。

企業(小売店)の収益性や経営管理の効率を示す指標として用いられるほか、企業(小売店)が本来持つ実力を測るものさしともいえる数値です。

営業利益率の目安

営業利益率の目安は一般的に10%前後といわれ、業種によりばらつきがあります。

総務省の実施した「2021 年(令和3年)個人企業経済調査」における各業種の年間営業利益率は以下のとおりです。

  • 飲食料品小売業:5.8%
  • 卸売業:8.7%
  • 衣料品・その他の小売業:11.7%
  • 卸売業、小売業:8.1%

小売業のなかでも、卸売業やアパレル、スーパー、飲食サービス業などの業種ではそれぞれ利益率が異なります。

利益率を確認する際、できるだけ自社に業種や業態、規模感が近い企業と比較しましょう。

参照:総務省「2021 年(令和3年)個人企業経済調査」

営業利益率の計算方法

営業利益率の計算方法を解説します。

計算方法

営業利益率=営業利益÷売上高×100

導き出された数値が高ければ、経営が順調である、低ければ利益を生み出せていないと判断できます。

小売業における売上総利益率

小売業におけるもう1つの利益率が、売上総利益率です。「粗利率」「粗利益率」とも呼ばれる数値で、売上高に占める売上総利益の割合を示しています。売上高から仕入れ値やロスなどの数値を引いた分の利益を割合として表すものです

売上総利益率は、企業の収益性を判断するための基本的な指標の1つで、取り扱う商品にどれだけの付加価値があるかを示します。

売上総利益率が高い場合、商品販売戦略が成功していると考えられ、収益性が高いと判断できるでしょう。低い場合は、商品の競争力が下落し安値で売らざるをえなかったり、原価が多くかかっていたりと、収益悪化のさまざまな可能性が考えられます。

売上総利益率の目安

売上総利益率の目安も営業利益率と同じように、業種により異なります。

2021年の経済産業省企業活動基本調査によると、2019年、2020年の製造業、卸売業、小売業の各売上総利益率は以下のとおりでした。

2019年 2020年
製造業 18.9% 19.2%
卸売業 11.8% 12.4%
小売業 28.2% 28.8%

上記の数値より高ければ、商品の付加価値が高く、低ければ付加価値が低いといえます。もちろん、企業の大きさや扱う商品により数値は上下するため、営業利益率同様に、自社に合った規模感を加味しながら比較するといいでしょう。

参照:2021年経済産業省企業活動基本調査(2020年年度実績)から売上高、売上原価、売上総利益の数値を引用し計算

売上総利益率の計算方法

売上総利益率の目安がわかったところで、営業利益率の計算方法を解説します。売上総利益率の計算式は以下のとおりです。

計算方法

売上高総利益率=売上総利益(売上高-売上原価)÷売上高×100

売上総利益とは、売上から売上原価を差し引いた金額を指します。売上原価とは売れた商品の仕入れ・製造にかかった費用のことです。

小売業において、商品の仕入れ価格=原価となるため、メーカーとの仕入れ値交渉が重要です。

小売業における利益率の目安は近い業種の他社を基準にする

営業利益率や売上総利益率の数値は業種によりさまざまです。それぞれの平均数値は以下のとおりです。

  • 営業利益率:一般的な水準は10%前後。2021年の調査では卸売業・小売業:8.1%
  • 売上総利益率:2019年、2020年の調査では、小売業:約28%

自分が手掛けたい小売業がどういうジャンルなのかを把握したうえで、自社に近い業態、規模感を基準に他社と比較するといいでしょう。

小売業の利益率を上げる方法

小売業で安定的に収益を上げるうえで知るべきポイントとなる、利益率の上げ方を解説します。利益率を上げる方法は、以下の5つです。

  1. 客単価を上げる工夫をする
  2. 適正な販売価格を設定する
  3. コストを下げる
  4. 在庫管理を徹底する
  5. 商品にポップをつける

1. 客単価を上げる工夫をする

客単価を上げる工夫をする方法は、関連商品を近くに置く、セット販売をする、などが考えられます。

一般的に、新規の顧客を獲得するよりも、既存顧客から得られる売上高を高めるほうが、利益性に寄与するとされています。小売業においても、来店した顧客に注目して、買い上げ点数を増やせるような対策をとるといいでしょう。

たとえば、お弁当コーナーのすぐ横にお味噌汁やサラダを陳列したり、3個セットで10%オフという提案をしたりする方法です。

目的の商品にあわせて買い上げ点数を増やす工夫やお得感を出しつつ点数を増やす工夫が挙げられます。

2. 適正な販売価格を設定する

利益率を上げる方法の2つめが、商品を適正価格で販売することです。販売価格が適正な価格より低い場合は、その分利益を下げることにつながるため、適正価格での販売が重要です。

販売価格を決める際は、競合店舗や同様の商品を販売するお店の価格を基準として算出しましょう。もちろん、商品の原価や経費を把握し、目標の利益率が確保できる設計とすることも重要です。

3. コストを下げる

利益率を上げる方法の3つめが、コスト削減を実施することです。コストが下がれば利益率の上昇に結びつきます。

営業するうえで費用の内訳を把握し、下げられるコストがないか検討しましょう。

仕入れ先を見直して仕入れ費用を抑えられないか、自動化を進めて人件費を下げられないか、などの対策が考えられます。ほかにも、家賃交渉をして賃料を下げてもらったり、広告をチラシからデジタル版へ変更したりして、下げられるコストの低減に努めましょう。

4. 在庫管理を徹底する

4つめの方法はコスト削減と同様の施策になりますが、在庫管理の徹底です。欠品は販売機会の損失につながり、過剰な商品在庫は商品ロスを引き起こし、売上を失うことになります。

在庫管理を徹底するためにも、売れ筋商品は余裕を持った発注を心掛け、売れ行きの悪い商品は発注を少なくする対応が大切です。季節商品であれば、気温により売上も変わるため、季節変動と売上変動の相関を見ましょう。

5. 商品にポップをつける

利益率を上げる方法の5つめが、商品にポップをつけることです。ポップとは、店員の代わりに商品を説明する販促ツールのことです。

ポップがあることで、商品が目立ちやすかったり、商品の魅力が効果的に伝わったりするため、顧客の購買意欲を高める効果が期待できるからです。

記載内容はいろいろありますが「人気No.1」「売上ランキングNo.1」など購買意欲をそそる内容のポップから「期間限定商品」「新商品」「セール商品」など商品の特徴を表したポップまで幅広くあります。

他のお店を参考にしながら、自社の商品に合ったポップを検討してみてもいいでしょう。

小売業の利益率に関する注意点

利益率を上げる方法を解説してきましたが、以下のような利益率には注意点があります。

  • 利益率が高すぎる場合は現状を見直す
  • 本来の価値よりも低すぎる価格設定にしない

利益率は高ければいいのではありません。どちらも会社の存続に関わる注意点のため、理解したうえで経営に役立てましょう。

1. 利益率が高すぎる場合は現状を見直す

利益率が高すぎる場合は以下のような要因が隠れている可能性があるため、現状の見直しが必要です。

  • 従業員への十分な還元ができていない
  • 商品の品質が悪い
  • ビジネスの成長にお金を使えていない

従業員への見返りが見合った金額ではない可能性が考えられます。見返りがないと感じて優秀な人材が会社を辞めないためにも、報酬で還元しましょう。

次に商品の品質が悪いパターンです。リピーターができなくなる、会社の評判が悪くなるなどの可能性があるため、ユーザー目線での改善を行いましょう。

最後に、ビジネスの成長にお金を使えていない可能性があります。新商品の開発、新規顧客の開拓、2店舗目の出店、web上での集客等、企業を成長させる機会として、未来の会社へ投資するようにしましょう。

2. 本来の価値よりも低すぎる価格設定にしない

本来の価値よりも低すぎる価格設定にしないことも注意点として挙げられます。ほかの手段と組みあわせて利益率を上げるほうが、無理のない経営が行えるからです。

実際、多くの日本企業は、商品やサービスの価格を本来の価値よりも低く設定している傾向です。無理な価格競争や商品の価値説明をうまくできないため、自社製品を安売りする結果となります。

商品を売りたいからと安さだけで勝負するのではなく、本来の価値に見合った価格設定をしましょう。コスト削減や在庫管理などの施策と組み合わせつつ、商品価値を落とさず利益率上昇を目指すのがベストです。

まとめ

小売業における利益率の目安や利益率を上げる方法、注意点を解説しました。

利益率は「営業利益率」と「売上総利益率」があります。業種や業態、規模感が近い企業と比較しましょう。

利益率を上げるためのコストの低下や訂正価格の設定、在庫管理は、どのような業態でも重要です。利益率の注意点も理解し、健全な小売店経営を目指しましょう。

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監修者のコメント
株式会社BPBコンサルティング
代表者 小田島 晃汰

慶應義塾大学卒業後、大手コンサルティングファームの戦略コンサルタントとして従事。その後、BPBコンサルティングを創業し、業界・テーマ限らず大手コンサル出身者や業界の知見者によって企業を支援する経営コンサルティング事業や、コンサル会社やシステム会社と事業会社のBtoBマッチングPF「コンサルシステム発注依頼.COM」を運営。

小売業では、人件費や土地にも費用が掛かり、利益率の管理は非常に難しいと思います。しかし最近は小売業者の悩みを解決するような様々なツールや仕組み、そして業界に知見のあるコンサルティング会社も存在し、経営者に寄り添った支援をしてもらえる時代になりました。

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比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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