整骨院を開業する際の流れとは?開業する際に必要な資格や届け出も徹底解説

最終更新日:2023年05月24日
整骨院を開業する際の流れとは?開業する際に必要な資格や届け出も徹底解説
この記事で解決できるお悩み
  • 整骨院を開業する際に必要な費用とは?
  • 整骨院を開業する際に必要な資格や届け出は?
  • 開業する際の流れとは?

「整骨院を開業したいが、開業方法や必要な届け出がわからない…」という方必見!

この記事では整骨院を開業しようとしている方に向けて、開業する際にかかる費用や資格、届け出について解説します。最後まで読めば、整骨院を開業する際の流れもわかります。

整骨院を開業するには、多くのステップを踏む必要があります。開業資金を調達する際に使える融資先も紹介しているため、開業資金を抑える方法を知りたい方はぜひ参考にしてください。

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整骨院を開業する際に必要な費用5つ

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整骨院の開業には、おおよそ700万〜1,100万円の資金が必要です。1人で経営する場合は、10坪程度のスペースでも問題ありませんが、一般的には18坪程度の広さが求められます。

開業資金は立地条件やこだわりにより大きく異なりますが、18坪の物件で月額賃料15万円の場合、資金の目安は以下のとおりです。

項目 単価
物件取得費用 15万円 / 月 105万〜195万円
内装工事費用 20万〜30万円 / 坪 360万〜540万円
治療器具 200万〜300万円 200万〜300万円
備品 20万〜30万円 20万〜30万円
広告宣伝費用 25万〜30万円 25万〜30万円
合計   710万〜1,095万円

1. 物件取得費用

物件取得費用は、店舗物件を契約するために必要な費用のことです。主な物件取得費用には、保証金(敷金)や礼金、仲介手数料、前家賃があります。

一般的に、店舗物件では賃貸住宅と比べて保証金(敷金)が高額に設定されている傾向です。賃貸住宅の場合は賃料の1〜3カ月分ですが、店舗物件では賃料の6〜10カ月分を保証金として支払います。

さらに、礼金と仲介手数料も賃料の約1カ月分が必要です。前家賃も負担する場合があり、物件の契約時に当月分(日割り)と翌月分の家賃を先払いします。

2. 内装工事費用

内装工事費用は、店舗物件内の内装工事に要する費用です。内装工事費用には、天井や壁、床、空調、電気、水道、トイレなどの工事が含まれ、その費用は600万円以上におよぶ場合があります。

整骨院の場合、バリアフリーな設計や施術のスムーズな動線を考慮した内装が求められる傾向があります。構造設備基準を満たす必要があるため、過去に整骨院の内装を手がけた経験があり、設備基準や整骨院の業務に理解のある業者に依頼すると安心です。

3. 治療器具

整骨院で使用される治療機器には、超音波治療器や低周波治療器、EMS機器などがあり、100万〜300万円かかる場合があります。

周辺の整骨院との差別化を図るため、他店にはない機器を導入することも有効です。治療機器によっては数百万円以上の費用がかかるため、開業初期は必要最低限に絞り、患者の需要に応じて機器の購入を検討しましょう。

機器を購入する代わりに、まずはレンタルオプションを検討し、患者のニーズを調査したうえで購入を検討する選択肢もあります。これにより、機器の効果や需要を確かめながら慎重に進められます。

4. 備品

備品は、診察台やソファー、いす、枕、シーツ、タオル、脱衣かご、スリッパ、打診器などです。これらの費用は20万〜30万円、品質にこだわると100万円以上かかる場合があります。

備品はこだわるほど、費用がかさんでしまうため、開業当初は費用をなるべく抑えておき、売上が安定してから徐々に備品をそろえていきましょう。

5. 広告宣伝費用

整骨院の開業の際は、集客のための広告宣伝費用を確保することも重要です。特に個人事業として独立開業する場合は、フランチャイズをはじめとする集客サポートを受けられないため、集客施策が将来の売上に大きな影響を与えます。

チラシやDM、地方紙やフリーペーパーなどを活用した広告宣伝は有効な手段です。ターゲット層によってはホームページの開設やSNSの活用も効果的です。広告宣伝費用を初期費用として確保するだけではなく、運営費としても予算に組み込みましょう。

整骨院を開業する際に必要な資格

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整骨院を開業するためには、柔道整復師の免許が必要です。受領委任を受けて保険適用にするためには施術管理者が必要となります。施術管理者は、柔道整復師免許のほかに以下の書類が必要です。

実務経験証明書 柔道整復師としての実務経験期間を証明する書類
〜2024年3月までの届け出の場合は2年間の経験期間、2024年4月以降であれば3年間の経験期間が必要
施術管理者研修修了証 公益財団法人柔道整復研修試験財団が開催する施術管理者研修を受講し修了したことを証明する書類
柔道整復師施術管理者の研修には、2万円の研修費用が発生

整骨院を開業する際に必要な届け出4つ

整骨院を開業する際は、特定の届け出が必要となります。ここでは、整骨院開業に関連する届け出4つを解説します。

  1. 開業届
  2. 受領委任届け出
  3. 労働保険・社会保険の加入
  4. 税金関係の届け出

1. 開業届

開業届とは、事業者が新たに事業を開始する際に、都道府県知事に対して届け出を行う手続きのことです。届け出には、事業者の名称や住所、事業の種類、開業日、事業場所などの情報が含まれます。

2. 受領委任届け出

整骨院は保険適用が基本なため、開業前に各保健機関に「受領委任届け出」を提出して診療報酬の請求準備を整えましょう。特に労災による施術が中心となるため、一般的には労働基準局への書類提出も必要です。

添付書類には「施術所開設届」も含まれるため、保健所への届け出とのスケジュール調整が重要となります。受領委任には従来の届出書類に加えて、実務経験期間証明書と施術管理者研修修了証の写しの添付も必要です。これらの書類を準備しておくことが求められます。

3. 労働保険・社会保険の加入

整骨院を開業する際に、従業員を雇用する場合は労働保険や社会保険の加入が必要です。これらの手続きは、各種保険の窓口で行えます。

4. 税金関係の届け出

整骨院を開業する際に必要な税金関係の届け出には、主に以下の書類が必要です。

  • 法人税・消費税の申告書
  • 所得税の申告書
  • 源泉徴収票
  • 事業税申告書

これらの税金関係の届け出は、申告期限を遵守して正確に行いましょう。複雑で負担が大きい場合は、税理士に相談して税金の計算や申告手続きを行うと安心です。

整骨院を開業する際の流れ

整骨院を開業する際は、一定の手続きや準備が必要です。ここからは、整骨院開業の一般的な流れを解説します。

  1. 開業計画の立案と準備
  2. 開業費に必要な認可を受ける
  3. 場所の選定と設計
  4. 設備や機器の調達
  5. 従業員の採用と研修
  6. マーケティング戦略の策定
  7. 診療開始

1. 開業計画の立案と準備

整骨院を開業する前に、ビジネスプランを作成しましょう。開業資金や場所の選定、従業員の採用、機器や資材の調達などが含まれます。

2. 開業費に必要な認可を受ける

次に、開業に必要な許可や登録を取得しましょう。具体的には、保健所や市役所、労働局などの公的機関に申請し、認可を受ける必要があります。

3. 場所の選定と設計

整骨院を開業するためには、適切な場所を選び、設計する必要があります。地域の需要に応じて、治療室や待合室、トレーニングルームなどを備えた施設を設計しましょう。

4. 設備や機器の調達

整骨院には、治療するために必要な設備や機器が必要です。必要な機器や設備をリストアップし、調達しましょう。

5. 従業員の採用と研修

整骨院を開業する際に、質の高いサービスを提供するために、スキルや経験を持った従業員を採用する場合もあります。従業員の研修やトレーニングも適切に行いましょう。

6. マーケティング戦略の策定

整骨院を開業する前は、地域の需要にあわせたマーケティング戦略を策定しましょう。広告やウェブサイトの制作、地元コミュニティでのプロモーションなどが含まれます。

7. 診療開始

整骨院を開業するために必要な手続きが完了し、準備が整ったら、診療を開始できます。開業後も、運営やサービスの改善を行いましょう。

整骨院の開業資金を抑えるためには

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整骨院の開業には多くの資金が必要ですが、開業資金を抑えるためにできることはあります。以下を参考にしてください。

1. 賃貸物件を選ぶ 賃貸物件を選択することで初期投資を減らせる
2. 中古機器を購入する 中古機器の購入で、開業資金を節約できる
中古品にはリスクがあるため、信頼できる業者から購入する
3. 必要最小限のスタッフを採用する 最初の段階では、必要最小限のスタッフを採用することで、開業資金を節約できる
ある程度患者数が増えたら、スタッフを増やす
4. 資金調達を検討 銀行融資や、国の支援制度など、資金調達の検討も必要
返済のリスクもあるため、利用する前には十分な検討をする

これらの方法を組み合わせながら、開業資金を抑える努力をすることが重要です。適切な設備や施術環境を提供するためには、十分な品質と機能を考慮することも忘れずに行いましょう。

整骨院の開業資金を調達する際に使える融資先2つ

整骨院の開業資金を調達する際は、融資先を選ぶことが重要です。ここでは、整骨院開業における融資先の選択肢2つを解説します。

  1. 銀行・信用金庫(民間融資)
  2. 日本政策金融公庫(公的融資)

1. 銀行・信用金庫(民間融資)

民間融資は、50万〜5,000万円の融資が可能であり、振り込みまでの期間も約1カ月と比較的短いメリットがあります。

信用調査結果により融資上限額が制限される場合が多く、審査が厳しいことも事実です。担保物件がない場合や融資実績がない場合は、希望額を融資してもらうことは簡単ではありません。

2. 日本政策金融公庫(公的融資)

日本政策金融公庫は、資金総額の10分の1以上の自己資金があれば借入可能な「新創業融資制度」や「無担保・無保証人制度」を整備しています。日本政策金融公庫は非営利団体であり、あらゆる起業者をサポートするため審査のハードルが比較的低いのがメリットです。

柔道整復師の活用実績も多く、整骨院開業においてもスムーズな審査が期待できるでしょう。公的融資も同様に、自己資金が極端に少ない場合は審査が難しくなります。融資総額の10分の3であれば、1,000万円の総額に対して約300万円の自己資金を用意する必要があります。

まとめ

整骨院を開業するには、多くのステップを踏む必要があります。診療科目の選択や資格の取得、施設の準備、必要な届出や申請書類の提出など、多岐にわたる手続きが必要です。これらの手続きは難解で、初めての方にはとても大変な作業になるでしょう。

届け出手続きや税金、経理に関することは行政書士や税理士などに相談すると負担を軽減でき、安心して作業を任せられるでしょう。比較ビズでは、整骨院を開業する際に詳しい優良な専門家を探せます。完全無料で、かつ必要事項を入力する数分で見つけられるため、ぜひ活用してみてください。

監修者のコメント
プロフェッショナルマネージャーグループ
代表 岩瀬 好史

大学卒業後、信用金庫で融資と営業を経験。リーマンショックの影響で融資先企業の業績が悪化する中、目の前で苦しむ企業を十分に支援できない自らの力不足を痛感。困っている企業の力になりたいと思い投資会社に転職し、中小企業の事業再生業務に従事。多くの再生案件に携わる中で現場の経営に関わりたいという思いが強くなり、副業で経営コンサルティング事業を開始。その後、視野を広げるために信用調査会社に転職し調査業務を行った後に独立。現在は経営者のパートナーとして、戦略立案・計画策定・資金調達・組織作り・人材育成・実行支援などを中心に、経営課題の解決を支援している。

2014年に約46,000か所あった整骨院・接骨院の施術所数は、2018年には約50,000か所と4年間で8.7%増加しました。また、2021年の柔道整復師の国家試験の合格者数は約3,000人と、一時期と比べ減少傾向ではあるものの今後も当面の間は施術所数が増加することが予想されます。

それに対して、2014年に5,580億あった柔道整復市場(保険適用分のみ)は、2018年に4,810億と4年間で13.8%縮小しました。その要因としては、整形外科やリハビリテーション科を持つ医療機関、鍼灸院、整体院、マッサージ店(リラクゼーションも含む)などとの競合が激化したことなどが挙げられます。

このような厳しい環境下で整骨院・接骨院の経営を成功させるポイントは、「地域一番店になれるかどうか」にかかっています。

整骨院・接骨院の商圏は、よほど有名でない限り都心部で半径500m、郊外で半径2〜3劼噺世錣譴討い泙后どんなに良い技術があったとしても商圏選びを間違えばうまく行きませんし、どんなに良い商圏を選んだとしても新たに参入してきた施術所に顧客を奪われてしまっては安定した経営を続けることはできません。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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