リーガルチェックとは?メリット・デメリット・依頼先・弁護士費用相場を解説!

弁護士
監修者
弁護士 杉本拓也
最終更新日:2023年10月02日
リーガルチェックとは?メリット・デメリット・依頼先・弁護士費用相場を解説!
この記事で解決できるお悩み
  • リーガルチェックが何か知りたい
  • 誰に依頼が出来るか知りたい
  • 相場費用が知りたい

せっかく作成した契約書なのに、その内容に不備や記載漏れがあってはトラブルの元です。もしトラブルに発展してしまっては、自社が大きな不利益を被ることもあります。そのため、契約書を作成したら、それを交付するより先に弁護士にリーガルチェックをお願いすることが大切です。

契約書の内容を明確にすることでトラブルを回避するのがリーガルチェックの大まかな目的ですが、ここでは、リーガルチェックという言葉を初めて聞いたという方のために、リーガルチェックの基本から詳しくお伝えします。

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リーガルチェックとは

リーガルチェックとは、作成した契約書の内容が、

  • 当事者の意図した内容が契約書に落とし込まれているか
  • 適用される法令に照らして適法な内容であるか
  • (重大な)法的なリスクがないか

を法律の専門家にチェックしてもらうことです。リーガルチェックの対象になるのは契約書だけではありませんが、頻繁に改正される民法の影響を受けやすく、不備や記載漏れによって損害を被る可能性がもっとも大きいのも契約書です。

一般的には法律のスペシャリストである弁護士に依頼することがほとんどですが、行政書士や司法書士がリーガルチェックに対応できる場合もあります。

リーガルチェックを弁護士に依頼するメリット

それでは、なぜリーガルチェックを弁護士に依頼する企業が多いのか?それは弁護士に依頼することで数々のメリットが得られるからにほかなりません。以下から、弁護士にリーガルチェックを依頼する具体的なメリットを紹介していきます。

適切なチェックを受けられる

内容が複雑になりがちな契約書をゼロから作成する企業はそれほど多くありません。テンプレートを活用しながら自社向けに契約書をアレンジしていくケースがほとんどであり、中小企業ともなれば、特にその傾向が強くなるでしょう。一度作成した契約書ひな形を、別の案件でも流用している企業もあるかもしれません。

しかし、テンプレートを流用した契約書、ひな形の使い回しは非常に危険です。テンプレートには必要最小限の条項しか記載されていない場合が多く、必ずしも自社ビジネスに適合した「有効な契約書」にはならないからです。

弁護士のリーガルチェックを受けた契約書なら、法的な観点からも有効性の高さを担保できます。リーガルチェックの済んだ契約書のみ利用可能といったルールを設けておけば、契約内容の実現性を高めることにもつながるでしょう。

契約書に起因するトラブルを事前に回避できる

契約書の記載内容を明確にして契約の有効性を高められれば、相手方との認識のズレに起因する契約トラブルを事前に回避可能にすることが出来ます。これが、弁護士にリーガルチェックを依頼する2つめのメリットです。

契約に関連するトラブルは金銭が絡むことがほとんどであるため、民事裁判にまで発展してしまうケースもああります。必ず勝てるとは限らない裁判では、多くの労力・コストが必要ですが、リーガルチェックしておくことによってこうしたリスクを最小化できます。

万一の場合でも、リーガルチェックから裁判まで、弁護士であれば一環した対応が可能な点もメリットです。

自社に不利な項目を事前に指摘してもらえる

自社が作成する契約書だけでなく、相手から提示される契約書についてもリーガルチェックは必須です。契約書を細部までしっかり確認せずに捺印してしまったがため、自社にとって不利な条件で契約してしまうというケースが中小企業にはよく見られます。

弁護士にリーガルチェックを依頼すれば、自社にとって不利な契約となってしまうところを事前に指摘してもらえます。

契約者双方のバランスを考えた契約書になる

自社が契約書を作成する場合、自社にとって利益となるようなことばかり考えるあまり、相手方に不利になる項目を盛り込んでしまうことがあります。

しかし、企業間の関係は信頼で成り立っていますから、自社に有利になるような項目ばかりでは、有効な関係を築くことはできません。リーガルチェックによって、契約者双方にとってバランスが取れた契約書が作れます。

弁護士と良い関係が築ける

まだ顧問弁護士がいないのなら、リーガルチェックをきっかけに懇意の弁護士を見つけてはいかがでしょうか。顧問弁護士なんて必要ないという中小企業でも、実際に弁護士がいると法的なことが相談しやすくなり、これまで以上のメリットを享受できるようになるでしょう。

リーガルチェックを弁護士に依頼するデメリット

リーガルチェックには多数のメリットがありますが、反面となるデメリットがないわけではありません。以下から簡単に解説していきます。

弁護士報酬がかかる

弁護士にリーガルチェックを依頼するのであれば、当然、弁護士報酬というコストが必要になります。これまで契約書のリーガルチェックをしてこなかった企業にとっては、大きなデメリットとして感じられるかもしれません。

ただし、メリット面でも紹介したように、契約書のリーガルチェックをしっかりと実施しておくことで、後々のトラブルの可能性を排除できることも事実でしょう。弁護士費用を惜しんで数千万円の損失が生じた、といった事態を考えれば、弁護士報酬は決して高いものではありません。

契約締結までに時間がかかる

契約書作成から締結までの間に、弁護士によるリーガルチェックが入るため、契約締結までに時間がかかってしまうというデメリットが考えられます。

ただし、これもあまり大きな問題だとはいえません。リーガルチェックにどのくらいの時間が必要なのを事前に確認し、ダウンタイムを念頭に入れながら早めに行動すればいいだけのことです。

リーガルチェックを怠ったために損害を被った事例

リーガルチェックを怠ったがために、時として大きな損害を被ることもあります。リーガルチェックで防ぐことができたはずなのに、それをしなかったために売買契約書の不備で自社に損害が発生した事例を紹介します。

契約条項の書き方のせいで裁判で不利な判決を受けた

平成23年に実際にあった裁判例です。(平成23年1月20日東京地方裁判所判決)この裁判では、土地の売買契約において、売主が買主に土地を引き渡した11か月後に土壌汚染が発見されたことで、その対応のために売主が損害賠償命令を受けることになりました。

商法第526条には、商人間の売買契約において、買主は目的物を受領した時にすぐにそれを検査しなければならないという決まりがあります。もしそれで瑕疵が見つかった時には、買主は売主に減額や契約解除などを要求できるという内容です。

電卓・金

参照元:商法|e-Gov法令検索

しかし、この法律には6か月という制限期間があります。6か月を過ぎてから訴えても、売主が応じる必要はありません。この裁判では、この6か月の制限が当てはまるのかどうかが争点となりました。

この事案では、契約書に次のような記載がありました。「土地の引き渡し後でも、土壌汚染や地中障害が見つかり、買主に損害が発生した場合は、売主の負担で対処しなければならない」といった内容です。また、「隠れた瑕疵が見つかった時は、民法の規定に従って、売主が費用を負担して対処しなければならない」という項目もありました。

実際に土壌汚染が発見されたのは、先述したように土地の引き渡しの11か月後ですから、売主は、商法第526条を盾に請求は認められないと主張しました。

ところが、買主は、契約書の上記の項目を指し、「これは商法第526条とは別に売主の責任を定めたものだから、今回のことでは6か月という制限期間は適用されない。だから、売主は、土地の引き渡しから11か月後に発見された土壌汚染の責任も負わなければならない」と主張したのです。

実際、裁判所は買主の訴えを認め、上記の契約条項を理由に今回の事案では商法第526条は適用されないと判断し、売主には土壌汚染の責任を負う必要があるとして1500万円の損害賠償を命じたのです。

リーガルチェックを行えば防げていた賠償

上の事案は、契約書の条項の書き方が悪かったために、売主が大きな損害を負わなければならなかったケースです。

実際にどの程度チェックを行ったのかはわかりませんが、専門家がしっかりリーガルチェックを行っていれば、商法第526条の適用により、1500万円もの巨額な賠償責任を負う必要はなかったでしょう。

「土地の引き渡し後でも、土地に瑕疵が見つかった時は売主が責任を負う」としたのは売主側ですから、おそらく商法第526条のことを契約書作成時に考慮していなかったと推測されます。

リーガルチェックを弁護士に依頼する

リーガルチェックを弁護士に依頼した場合、どのような手順になるのか一般的な流れをまとめました。

契約書の原案を提出する

弁護士にリーガルチェックを依頼したい旨を相談します。その後、契約書の原案を提出します。最初から持参して行かなくても、後からメールやFAXなどで送るのも可能。もちろん、納期や予算などで聞きたいことがあるなら、原案の提出の際に尋ねておくべきです。

スムーズにリーガルチェックを行ってもらうには、弁護士と同じ視点を共有することが必要です。意思疎通ができていないと、チェック完了までに時間がかかることもあります。最初の段階で契約内容はもちろん、企業の状況なども詳しく伝えておきましょう。

弁護士が問題のあるところをリストアップ

契約書の内容を弁護士がチェックして、問題となりそうな点、修正を要する点などをリストアップします。弁護士によっては、そのリストを見ながら、どんなところが問題で、どのように修正するとよいか説明してくれる人もいるでしょう。逆に、リストにすることもなく、詳しい説明のない弁護士もいるので注意してください。

問題点を修正して完成

弁護士の指摘に従って当該の問題点を修正、および、必要な項目を追記して契約書を完成させます。難しい契約なら、リーガルチェックだけでなく代理交渉まで依頼するのも手です。

リーガルチェックの弁護士費用

リーガルチェックの必要性・重要性を解説してきましたが、気になるのが弁護士費用ではないでしょうか。以下から、契約書の作成やリーガルチェックを依頼する場合の弁護士費用の相場を紹介します。

定型的な内容の場合

定型的な取引で契約条項も型通りの契約書の場合、リーガルチェックのみなら3万円〜5万円程度で請け負ってくれる弁護士がみつかるでしょう。アドバイスも込みとなるともう少し高くなり、契約書を作成してもらうには5〜10万円ほど予算を見ておきたいところです。

複雑な内容の取引で項目数も多い契約書の場合

定型的な取引ではなく、複雑な契約内容で記載する項目の数も多い契約書の場合、リーガルチェックだけで10〜20万円するのが相場です。

契約書を作成してもらう場合は、契約金額によって費用が変わります。安価な契約金額(300万円以下)なら10万円ほど、それ以上ならその金額に応じて相応の金額に設定されることが多いです。

顧問弁護士なら顧問料に含まれることも

顧問契約を結ぶ弁護士なら、日常の定型的な取引に用いる契約書のチェックに関してすでに顧問料に含まれていることがあります。別途料金が必要になる場合でも、あまり複雑でない契約書なら数万円程度でリーガルチェックや修正を行ってくれるでしょう。

リーガルチェックの依頼は弁護士がベストだが

リーガルチェックは法律のスペシャリストである弁護士に依頼することがベストではありますが、法律の専門家といえる士業には行政書士や、司法書士も存在します。ただし、すべての法律事務を担当できる弁護士に対し、行政書士や司法書士はできることに制限があることも事実。

たとえば、行政書士は許認可関連の書類作成や手続代行が主な担当業務ですが、契約書の原案作成や清書なども依頼できます。一方、行政書士のできることは契約内容が固まっている案件の原案作成・清書・リーガルチェックまで。裁判に発展した場合の代理人にもなれません。

司法書士であれば、140万円未満のトラブルに対応できるほか、民事訴訟の代理人を務めることもできますが、140万円を超える訴訟には対応できません報酬自体も弁護士・行政書士・司法書士でそれほど大きく変わらないため、自社ニーズにあわせて依頼先を検討する必要があるでしょう。

まとめ

本記事では、リーガルチェックとはなにか?メリット・デメリットを含めた基礎知識を解説するとともに、リーガルチェックを依頼できる専門家は?弁護士に依頼すべき?その場合の費用相場は?などのよくある疑問の回答も紹介してきました。

弁護士と顧問契約する企業、法務部の設置された企業でなければ、リーガルチェックを法律の専門家に依頼することはハードルが高いと感じてしまうかもしれません。しかし、本文内でも解説してきたように、後々のトラブルの芽を事前に摘める重要な企業法務がリーガルチェックです。ビジネスを順調に成長させていくためにも、リーガルチェックは必須の要素となりつつあるのです。

そんなとき「比較ビズ」なら、必要事項を入力する2分程度の手間で、リーガルチェックに強い法律の専門家をスピーディーに探せます。どの専門家に相談すべきなのか?迷うようなことがあれば、是非利用してみてください。

監修者のコメント
弁護士
杉本拓也

東京都豊島区の企業法務専門の弁護士。株式会社国際協力銀行及びメットライフ生命保険株式会社の元企業内弁護士。英文契約を含む契約書作成を中心とする法律顧問業務、及びM&A・事業承継業務を中心に取り扱う。IT・金融分野を中心に多様な規模、業種の顧問業務経験を活かし、クライアントに対して企業内弁護士の経験を活かした実践的な助言を行う。

最近では契約書のリーガルチェックを弁護士に依頼するということが中小企業や小規模事業者でも一般的になってきたように思いますが、まだリーガルチェックの必要性を認識されていない事業者さんもいらっしゃいます。

時々、ネットで探してきたひな型をそのまま使っているケースも見受けられますが、契約書は取引の実態に合わせてカスタマイズする必要がありますし、簡単な契約というのは一つとしてありません。また利用しているひな型が、利用する当事者に有利に作成されているとも限りません。

特に日常的に取引があり契約書を締結する機会のある事業者さんは、契約書の作成やチェックを定額制で対応してくれる顧問弁護士を見つけるのもよいでしょう。

なお、司法書士や行政書士でも契約書の作成や修正は一定程度対応可能ですが、弁護士の方がスキルが高く、かつ紛争対応は弁護士にしか対応できないため、将来の紛争防止を見据えた助言ができるのは弁護士が優れているといえるでしょう。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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