相続税の申告を税務署に相談する方法は?相談の仕方について徹底解説

青木征爾税理士事務所
監修者
青木征爾税理士事務所 税理士 青木征爾
最終更新日:2023年08月25日
相続税の申告を税務署に相談する方法は?相談の仕方について徹底解説
この記事で解決できるお悩み
  • 税務署に相続税の相談はできる?
  • 税務署に相続税の相談をする方法は?
  • 税務署に相談するメリットとデメリットを知りたい

相続税の申告を行う場合、税理士の申告代行を依頼できますが、費用を支払う必要があります。自分だけで相続税の申告を行えば、依頼料を支払う必要がなくなりますが、手続きのなかでわからない点が出てくることがあるでしょう。

税務署に相談すれば無料で一般的な相続税の知識から、個別のケースに基づく相談まで、さまざまなアドバイスを得ることが可能です。この記事では税務署に相続税の相談をする方法について解説します。

最後まで読めば、相続税の申告に悩んだときにうまく税務署を利用できるでしょう。相続税の申告手続きに不安のある方は、ぜひ参考にしてください。

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相続税の申告は税務署で無料相談できる

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相続税の手続きは複雑なため、相続税を支払う必要があるのか、支払わなければいけない場合はどのような書類が必要なのか、悩むことがあるでしょう。税理士に相談すると、アドバイスを得たり手続きを代行してもらったりできますが、料金を支払う必要があります。

相続税以外に支払いを増やしたくない場合、税務署に無料で相談が可能です。相談方法は「電話で相談する方法」と「税務署で直接相談する方法」の2種類があります。

電話で相談する方法

相続税の仕組みや申告手続きに関することなど、電話口で対応できる相談内容の場合は、税務署に電話で相談できます。

税務署に電話すると、自動音声案内が流れるため、案内に従って要件にあう番号を選択しましょう。以下の手順で番号選択をすると、国税庁の「電話相談センター」とつながり、相談項目の専門職員が対応します。

  1. 「税金に関する一般的なご質問・ご相談」の「1」を選択する
  2. 「譲渡所得・相続税・贈与税・財産評価」の「3」を選択する

個別の事情に関する相談は、電話口での解決が難しい可能性が高いため、基本的に受け付けていません。遺産分割協議や遺言書など、個別の事情に関する相談をしたい場合は、税務署に赴いて相談しましょう。

国税庁の電話相談センター

最寄りの税務署の電話番号を調べたい場合は、国税庁ホームページ内にある「税についての相談窓口」で確認できます。相続税に関する一般的な質問をしたい場合は、電話相談をすると税務署に行かずに解決できる可能性があるでしょう。

税務署に行って直接相談する方法

個別の事情に関する相談を行いたい場合や、申告書・根拠資料など、提出用書類の確認を頼みたい場合、税務署に赴き直接相談できます。

税務署で直接相談したい場合は、あらかじめ電話予約しておく必要があるため注意しましょう。予約せずに税務署に赴いても、相談できません。

税務署に相談の予約をする場合、電話相談と同じ電話番号に電話し、自動音声案内に従って要件にあう番号を選択します。

「税務署に御用の方」の「2」を選択すると、担当者につながるため、相談の予約が可能です。予約段階で相談内容をあらかじめ伝えておくと、実際に相談しに行ったとき、スムーズに相談できるでしょう。

税務署の相談は土日もできる?

税務署が開庁しているのは、平日の午前8時半〜午後5時です。土日祝は閉庁しているため、相談できません。電話相談ができる時間も、開庁している時間と同じです。税務署に相談する場合は、開庁している平日の午前8時半〜午後5時に行いましょう。

税務署に相続税の申告に関する相談をする前に

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相続税の申告に関して税務署に相談する前に、事前準備を行っておくと、スムーズに相談ができます。事実関係の整理をしたり、相続税の仕組みを予習したりしておきましょう。

事実関係を整理する

税務署の職員は、相談者の家庭の事情を把握していません。初対面の担当者にもすぐに理解できるよう、以下の情報を整理しましょう。

  • 誰が亡くなったのか
  • 相続人は何人いるか
  • 相続人と亡くなった方の続柄
  • どのような遺産がどの程度あるか

相続税の仕組みを予習する

相続税に関する相談へ行く前に「相続税」の仕組みを予習しておきましょう。たとえば、遺産総額が3,600万円以下(相続人1人だけの場合)の場合、基礎控除額に該当するため、相続税の申告は必要ありません。

相続税の申告が必要ないのに、税務署へ相続税に関する相談に行くのは、無駄足になります。相続税の課税対象になる遺産の種類や、遺産価値の評価方法、税額の計算の仕方など、事前に予習しておくことで円滑に相談できるでしょう。

どこの税務署に相談するべき?

相続税の申告書は、亡くなった方が居住する住所の管轄税務署にて移出する必要があります。しかし、相続税に関する相談は、どこの税務署に相談しても大丈夫です。自宅や職場の近くなど、赴きやすい税務署で相談するといいでしょう。

相続する遺産に「土地」があり、土地の評価を相談したい場合は、該当する土地がある場所を管轄する税務署に相談した方がいいです。

管轄する税務署を知りたい場合は、国税庁のホームページにある「国税局・税務署を調べる」で調べられます。

税務署から届く「お尋ね」とは?

相続を行うと、税務署に申告する前に税務署から「相続税についてのお尋ね」が届くことがあります。封書には「相続税の申告要否検討表」と「相続税確定申告書」が入っているため、すぐに確認しましょう。

「相続税についてのお尋ね」が税務署から届くのは、相続を行ってから6〜8カ月を過ぎた辺りです。亡くなった方の死亡届が役場に提出されると、死亡届の通知を受けた税務署が亡くなった方の財産を調べます。

相続税の納税義務があると見込まれる財産が、相続人に相続されている場合に送付されるものが「相続税についてのお尋ね」です。

届いたら迅速に回答すること

「お尋ね」が届いた場合、必要事項を記入して迅速に回答しましょう。すでに遺産総額を割り出し、相続税がかからないとわかっている場合でも、相続税の有無を検討したと証明するために、回答した方がいいです。

申告を準備している最中である場合、通知への回答は不要です。

税務署に相続税の申告を相談するデメリット

相続税の申告に関して税務署に相談する場合、料金がかからないメリットがあります。税務署に相談する場合、以下2つのデメリットもあるため、注意しましょう。

  • 節税に関するアドバイスをもらえない
  • 相談で得た回答が間違っている可能性がある

節税に関するアドバイスをもらえない

税務署に相談した場合、相続税の節税の仕方に関するアドバイスを受けられません。税務署が納税者からの相談に応じるのは、正しく納税をしてもらうことが目的のためです。

相談で得た回答が間違っている可能性がある

税務署への相談で得た回答は、間違っている可能性があります。間違った回答をもらっても、責任を取ってもらえないため注意しましょう。

税務署の職員は、税理士資格を持っていない人もいます。相談者は、担当者の知識や経験を知ることができず、担当者の指定もできません。新人の税務署職員による対応も多いため、回答が正確ではない可能性もあるでしょう。

税理士に相談するメリットは?

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税理士に相続税の相談をする場合、料金は必要ですが、以下3つのメリットが得られます。

  • 専門的な知識を元にアドバイスをもらえる
  • 相続税の節税に関するアドバイスをもらえる
  • 相続税申告の代行を依頼できる

専門的な知識を元にアドバイスをもらえる

税理士は、税務署の職員と異なり「税理士」の国家資格を取得している税金の専門家です。豊富な専門知識を元に、適切なアドバイスを受けられます。

相続税の節税に関するアドバイスをもらえる

税理士は、相談者のさまざまなケースを考慮して、控除や特例など適した節税方法を提案可能です。亡くなった方と相続人の続柄や、土地・不動産の相続など、ケースによって適用できる控除や特例は異なります。

控除や特例が適用できれば、支払う相続税の金額を大きく下げられるでしょう。

相続税申告の代行を依頼できる

相続税の申告手続きは、財産の計算をしたり書類を集めたりする必要があるため、とても時間がかかります。自分だけで申告手続きを行うのが難しい場合、税理士に申告手続きの代行を依頼することが可能です。費用は別途必要ですが、早く確実に申告手続きを行えます。

まとめ

税務署への相談は無料でできるメリットがありますが、相続額によっては税理士に申告代行を依頼した方が、スムーズに手続きできる場合があります。

節税対策に関しても、税理士に相談するとアドバイスをもらえるでしょう。遺産総額を考慮し、自身にとってメリットの高い相談先を選ぶことが大切です。

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監修者のコメント
青木征爾税理士事務所
税理士 青木征爾

札幌市を中心に活動する税理士。アパレル業界から未経験で税理士業界に飛び込む。その後、個人事務所、資産税系コンサルティングファームで経験を積み独立。税理士の仕事で重要なことはお客様とのコミュニケーションであるという考えから対話を重視している。中小企業の経営支援、スタートアップ支援、相続業務を得意としている。

ご自身で相続税の申告をする際にまず調べるべきことは相続税の申告が必要かどうかです。相続の計算をするうえで基礎控除額という遺産総額から控除することができる金額があります。

基礎控除額は3,000万円と600万円に法定相続人の数を乗じた金額の合計額です。遺産総額が基礎控除額以下である場合は相続税の申告が不要となります。

法定相続人とは被相続人に配偶者がいる場合は常に法定相続人となり、被相続人の直系卑属、直系尊属、兄弟姉妹の順に法定相続人となります。なお、相続の放棄があった場合はその放棄はなかったものとして扱います。

税務署へ相続税の相談をする場合には事前の準備をしっかりしましょう。相続人が何人いて被相続人とどのような関係性であるかを明らかにしておくと相談を受ける側の負担が軽くなります。先ほどご説明した法定相続人の数はもちろんですが誰が相続人なのかで法定相続分や相続税の2割加算などの課税上の取り扱いが変わります。

遺産についての資料も準備しておくとスムーズに相談できることでしょう。預金や有価証券などは相続発生日における金額や株数などがわかる資料が必要です。不動産に関しては権利関係がわかる全部事項証明書(いわゆる謄本)や固定資産税課税明細、地積測量図などがあれば財産評価がしやすくなることでしょう。

被相続人の葬式にかかった費用や債務があれば相続税の課税遺産から控除することができます。借入金などはもちろんですが未納の固定資産税や住民税なども控除対象となりますのでもれのないようにしましょう。

ご自身で相続税の申告をするため税務署への相談をする場合において、申告の仕方は教えてもらえるかと思いますが、節税のためにどうすればよいなどの情報は教えてもらうことは期待できません。ご自身で知識をつけたうえで相談に臨むことをおススメします。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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