相続定期預金の金利は高い?メリット・デメリットを徹底解説!

青木征爾税理士事務所
監修者
青木征爾税理士事務所 税理士 青木征爾
最終更新日:2024年05月21日
相続定期預金の金利は高い?メリット・デメリットを徹底解説!
この記事で解決できるお悩み
  • 相続定期預金とは?
  • 相続定期預金の金利はどのくらい?
  • 相続定期預金のメリット・デメリットは?

遺産を相続後、相続定期預金を利用する場合「金利はどのくらい?」「どのようなメリット・デメリットがあるの?」と考える方は少なくありません。相続定期預金は、一般的に他の定期預金よりも金利が高く、資産運用に適しています。

この記事では、金融機関別の相続定期預金の金利や、メリット・デメリットについて解説します。最後まで読めば、相続定期預金から実際に相続するまでの流れもわかるでしょう。

預貯金を相続した方は、ぜひ参考にしてください。

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相続定期預金とは相続財産を対象とした定期預金

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相続定期預金とは、相続財産を対象とした定期預金のことです。相続した現金や預金はもちろん、相続財産である不動産や株式などを売却して得た資金を預け入れることも可能です。一般的な定期預金と比較して、金利が高く、預入期間が短いことが大きな特徴でしょう。

相続定期預金は優遇金利が適用される

相続定期預金には、優遇金利が適用されます。一般的に普通預金よりも、定期預金の方が高い金利が設定されていますが、相続定期預金は通常の定期預金よりも金利が高いのが特徴です。

最初に設定した預入期間を過ぎると優遇金利が適用されない点に注意が必要です。預入期間は金融機関により異なるため、より多くの利益が出る金融商品を選ばなければなりません。

相続定期預金の預入期間

相続定期預金の預入期間は、金融機関により異なります。3カ月、6カ月、1年の金融商品が一般的です。3カ月の短い期間でも利息を得られるため、相続財産を有効に運用できる人気の商品です。

金融機関によっては、3年や5年の預入期間を設定している場合もあります。預入期間が長くなるほど満期で受け取れる利息が増える利点があります。

相続定期預金の金融機関別金利

相続定期預金の金利は、金融機関ごとにそれぞれ異なります。口座開設前には金利が何%なのかを比較検討することが重要です。

一般的に、預入期間が長いと受け取れる利息が多くなるため、金利を比較する際は預入期間も確認しましょう。すぐにまとまったお金が必要になる場合には短期間の商品、しばらく預けておいても問題ない場合には長期間の相続定期預金を選ぶのがおすすめです。

相続定期預金の金利を金融機関の種類ごとにまとめると以下のようになります。

メガバンク 相続定期預金の取り扱いはありません
一般的な定期預金の金利は、年率0.02%前後
地方銀行 年率0.1%〜0.6%が一般的
信用金庫 年率0.5%〜1.0%が一般的
労働金庫 預入期間1年で年率0.1%の上乗せ、預入期間が3年になると年率0.15%、5年で年率0.2%が一般的

相続定期預金の利息計算方法

相続定期預金で最大限の利益を得るためには、利息の計算方法を知らなければなりません。相続定期預金の利息は預入期間によっても異なるため、受け取った利息が予想よりも少ないと感じるおそれがあります。トラブルを防ぐために、利息計算方法を知ることは重要です。

500万円の相続財産を年率0.1%の相続定期預金に1年間預けた場合

たとえば、500万円の相続財産を年率0.1%の相続定期預金に1年間預けたとしましょう。

この場合、利息は500万円×0.1%=5,000円です。利子所得には国税15.315%と地方税5%が課税されるため、5,000円×(15.315%+5%)=1,015円が差し引かれます。受け取れる利息は5,000円-1,015円=3,985円となります。

500万円の相続財産を年率0.6%の相続定期預金に3カ月預けた場合

次に、500万円の相続財産を年率0.6%の相続定期預金に3カ月預けた場合を考えましょう。

0.6%は1年間預けた場合の金利であるため、3カ月の預入期間では、利息が4分の1になります。計算方法は、500万円×0.6%÷4=7,500円です。利子所得税が7,500円×(15.315%+5%)=1,523円かかるため、受け取れる利息は7,500円-1523円=5,977円となります。

2つの例で金利には6倍の差がありますが、受け取れる利息は1.5倍程度になる点に注意しましょう。

相続定期預金が適しているケース3つ

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相続定期預金が適しているのは、主に以下の3ケースです。

  • 遺産の使い道が決まっていないケース
  • 遺産を使って資産運用したいケース
  • 資産運用のリスクが怖いケース

常に相続定期預金が適しているわけではないため、自分が置かれている状況と定期預金のメリットをよく考慮しなければなりません。

遺産の使い道が決まっていないケース

遺産の使い道がまだ決まっていない場合、相続定期預金を利用するのは賢い方法です。相続した現金を普通預金に預けた場合の金利は一般的に0.001%から0.02%、定期預金は0.4%前後ですが、相続定期預金の場合は年率1%や店頭表示金利+0.2%などかなり高くなっています。

相続はしたものの、しばらく使う予定がない方は、優遇金利が適用される相続定期預金を利用して資産を増やせるでしょう。とりあえず3カ月だけ預ける、長期間の商品を選んでより多くの利息を受け取るなど複数の選択肢があります。

遺産を使って資産運用したいケース

遺産の一部もしくは全部を長期的に運用したいケースでは、相続定期預金が向いています。相続定期預金は預入期間が長ければ長いほど、高い金利が適用される場合が多いため、長期的な運用に向いている商品です。

定期預金は利息がある程度保証されており、投資商品と比べてリスクも少なく安定した運用ができ点がメリットです。複数の資産運用の1つとして検討する価値があります。

資産運用のリスクが怖いケース

資産運用のリスクを避けたい場合には、相続定期預金がおすすめです。相続定期預金は元本保証されているため、1,000万円までであれば元本割れのリスクはなく、元本と利息が保証されます。

大幅な利益を上げられるわけではないものの、相続定期預金で大きな損失を被るリスクはほとんどありません。インフレや円安により資産が目減りするおそれがある、預入期間中に解約する際は優遇金利が適用されなくなるなどのデメリットに注意しましょう。

相続定期預金のメリット3つ

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相続定期預金のメリットは、主に以下の3つです。

  1. 金利の優遇が受けられる
  2. 一定額までは元本が保証されている
  3. 預入期間が複数の選択肢から選べる

相続定期預金を検討している方は、これら3つのメリットをよく理解しておくことが重要です。

1. 金利の優遇が受けられる

相続定期預金最大のメリットは、金利の優遇が受けられる点です。相続定期預金は一般的な普通預金よりも金利が高いため、相続財産を運用するうえで有利です。受け取れる利息も一般的な普通預金・定期預金よりも多くなるため、長期間預けることで利益を上げられます。

不動産や株式などの相続財産を現金化する場合でも、相続定期預金を利用することで満期になったあとに、より多くの現金を手にできるでしょう。

2. 一定額までは元本が保証されている

相続定期預金は、一定額まで元本が保証されている安心感もメリットです。預金保険制度により、1,000万円であれば元本と利息が保証されます。

金融機関の倒産リスクをおそれている場合には、1つの金融機関の相続定期預金に預け入れる金額を1,000万円までにすることでほとんどリスクなしで遺産を運用できるでしょう。元本保証の金融商品は多くないため、低リスクの運用方法としておすすめです。

3. 預入期間が複数の選択肢から選べる

相続定期預金は預け期間を自由に設定できるメリットがあります。預入期間を柔軟に設定できるため、遺産を現金化する時期や方法にあわせられるでしょう。

たとえば、相続税の支払いに必要な現金が確保できるよう、預け期間を納付期日とあわせて設定可能です。満期後に金利の見直しをして、再度預け入れることができる金融機関もあります。

相続定期預金のデメリット3つ

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相続定期預金のデメリットは、主に以下の3つです。

  1. 途中解約すると金利優遇がなくなる
  2. 申込み手続きが複雑である
  3. 金利優遇期間が短い

相続定期預金を利用しようと考えている方は、メリットだけではなくデメリットも把握しておくことが必要です。

1. 途中解約すると金利優遇がなくなる

相続定期預金は、預け入れ期間中に途中解約すると金利の優遇が受けられません。急に現金が必要となり、予定よりも早く預金を解約しなければならない場合、相続定期預金のメリットがまったく受けられなくなるおそれがあります。

相続人が不慮の事故や病気により突然死亡した場合、相続定期預金の途中解約が必要になる場合もあるでしょう。途中解約のリスクがある場合には、期間を短くすることも検討できます。

2. 申込み手続きが複雑である

相続定期預金は申込み手続きが複雑というデメリットがあります。相続人が多数いる、相続額が多いなどのケースでは、必要な書類や手続きが膨大になることもあるでしょう。

適切な預け期間や金利の設定など、細かな条件や規定があり、金融機関によって条件が異なるため、事前にしっかりと調べておく必要があります。

3. 金利優遇期間が短い

相続定期預金は、金利優遇期間が短くなることがデメリットといえます。一般的に相続定期預金の金利優遇期間は、数カ月から1年の短期間であることがほとんどです。

通常の定期預金は数十年間にわたり普通預金よりも高い金利が適用されることを考えると、相続定期預金の金利優遇期間はかなり短いことがわかるでしょう。

相続定期預金の手続き方法

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相続定期預金の手続き方法は以下の4ステップで行います。

  1. 相続手続きを完了する
  2. 任意の金融機関で口座を開設する
  3. 相続した現金を入金する
  4. 必要書類を持って窓口で手続きする

相続人の数や預け入れる金額によっては、手続きが複雑になることもあるため注意しましょう。

1. 相続手続きを完了する

相続定期預金を始めるためには、まず相続手続きを完了しなければなりません。相続手続きを完了することで、自分が受け継ぐ財産を正確に把握し、必要に応じて相続税を納められるでしょう。

相続手続きが終わると、相続定期預金に預け入れられる正確な金額を把握できます。相続した現金をすべて相続定期預金にするのか、別の資産運用に使うのかを慎重に検討しましょう。

2. 任意の金融機関で口座を開設する

相続手続き終了後、任意の金融機関で相続定期預金のための口座を開設します。すでに口座を持っている金融機関で相続定期預金を始める場合、口座の新規開設が不要になるため、手続きは簡単になるでしょう。

新規に口座を開設する場合、どの金融機関を選ぶかが重要なポイントです。金利だけではなく、これから関係が続いていくか、他の金融商品は魅力的かなどのポイントを考慮しつつ、自分にあった金融機関を選びましょう。

3. 相続した現金を入金する

口座を開設後、相続した現金を入金します。前述のように1,000万円までは元本保証があることを覚えておきましょう。1,000万円以上預金することも可能ですが、万が一金融機関が破綻した場合に全額保証されないおそれがあります。

相続定期預金に預け入れた現金は、満期まで引き出すことができません。相続税の支払いや急な出費が発生しないか考えて預金額を決定しましょう。

4. 必要書類を持って窓口で手続きする

最後に必要書類を持って金融機関の窓口で手続きを行います。相続定期預金の必要書類は以下のとおりです。

  • 本人確認書類
  • 預金が相続したものであると証明できる書類
  • 本人が相続人であることを証明できる書類
  • 相続手続完了時期がわかる書類

具体的には遺産分割協議書や遺言書(公正証書遺言もしくは検認済のもの)、相続税の申告書、戸籍謄本の写しなどが必要です。金融機関によって求められる書類が若干異なるため、詳しくは利用する金融機関の窓口で尋ねましょう。

相続定期預金の注意点3つ

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相続定期預金を利用する際の注意点は以下の3つです。

  • 相続定期預金を利用できる期間は限られている
  • 電話・Webサイトからの申し込みはできない
  • 預入期間と金利の関係をよく理解しておく

相続定期預金の手続きをスムーズに行ううえで留意すべき注意点です。

相続定期預金を利用できる期間は限られている

相続定期預金はいつでも利用できるわけではなく、期間が限られています。多くの場合、相続手続き完了後1年以内です。かなり期間があるように思えますが、資産の運用法を考えている間に期限が過ぎていることもあり得ます。

相続定期預金はそろえるべき必要書類が多いのも注意すべきポイントです。検認済の遺言書の写しや遺産分割協議書の写しを用意するのに手間取ると、相続定期預金が利用できなくなるおそれがあります。

電話・Webサイトからの申し込みはできない

相続定期預金は、基本的に電話やWebサイトからの申し込みはできません。通常の定期預金は電話やWebサイトで手続きできることもありますが、相続定期預金は必ず窓口での手続きが必要です。

必要書類に不備があった場合、何度も金融機関の窓口を訪れなければならないこともあります。普段懇意にしている金融機関や、自宅から近くて通いやすい金融機関を選ぶのがいいでしょう。

預入期間と金利の関係をよく理解しておく

相続定期預金と金利の関係をよく理解しておくことが、賢く利用する重要なポイントです。通常、預入期間が短ければ適用される金利は高くなり、預入期間が長くなると低金利になります。

利息の計算は1年を365日とする日割り計算で行う点に注意が必要です。

たとえば、年率0.3%で3カ月と年率0.08%で1年間の商品に、それぞれ1,000万円を預け入れたとしましょう。利子所得税を考慮すると、3カ月商品の利息は5,977円、1年商品の利息は6,375円となります。金利の高さに惑わされず、預入期間との関係で商品を選ぶようにしましょう。

まとめ

相続定期預金は通常の定期預金よりも高い金利が設定されていることが多く、効果的な資産運用方法の1つです。預入期間が短いため、受け取れる利息をよく計算する必要があります。相続手続きを行ってからの申込みになることを考えると、早めに利用を検討するのがいいでしょう。

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監修者のコメント
青木征爾税理士事務所
税理士 青木征爾

札幌市を中心に活動する税理士。アパレル業界から未経験で税理士業界に飛び込む。その後、個人事務所、資産税系コンサルティングファームで経験を積み独立。税理士の仕事で重要なことはお客様とのコミュニケーションであるという考えから対話を重視している。中小企業の経営支援、スタートアップ支援、相続業務を得意としている。

金融機関から見て相続定期預金を取り扱う狙いは、富裕層の相続資金流出防止が目的です。日本では地方から都市部への個人資産の流入が顕著であり、被相続人から相続人へと移転した資産も都市部へ流出することが多いです。

この流出に歯止めをかけることが相続定期預金には期待されています。 資金の運用方法が決まっていない預金者にとっては相続定期預金はメリットが多いのではないでしょうか。

他の資産と違い元本割れの心配がなく、通常の定期預金よりも高い利率が設定されています。預入期間が短いもので3か月からと非常に短いものがあるということも特徴です。利率こそ高いですが預入期間が短いと受け取る利息も少なくなることに留意しましょう。

相続定期預金は預入期間中にその後の運用方法を検討するという利用方法に適しています。ただし、相続⼿続完了⽇・相続財産受取⽇のいずれかの⽇から1年以内でないと利用できない場合が多いので注意しましょう。
比較ビズ編集部
執筆者

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