事業主借は経費にできる?|事業主貸との違いや仕訳例も同時に解説

税理士
監修者
税理士 佐藤 憲亮
最終更新日:2023年03月31日
事業主借は経費にできる?|事業主貸との違いや仕訳例も同時に解説
この記事で解決できるお悩み
  • 事業主貸と事業主借の違いとは?
  • 経費にできるのはどっち?
  • 仕訳はどう記入すればいい?

個人事業主としてご自身で帳簿を記入している方の場合、勘定科目の意味をしっかりと理解しないといけません。

ここでは、「事業主貸(じぎょうぬしかし)」と「事業主借(じぎょうぬしかり)」の意味や仕訳例を解説していきます。この機会に確定申告をスムーズにできるよう準備を進めましょう。

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事業主勘定の「事業主借」「事業主貸」の違い

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事業を営んでいる方が帳簿づけする際には、事業のお金とプライベートのお金を明確に区別する必要があります。事業主貸と事業主借をはっきりと区別できるようにしておくことで、スムーズに帳簿づけや確定申告を進ませることが可能です。

ここからは、以下2つの勘定科目について詳しく解説していきます。

  • 事業主借と仕訳例
  • 事業主貸と仕訳例

事業主借とは

事業主借とは、事業とは関係のないプライベートのお金で必要経費を支払った場合に当てはまる勘定科目のことです。プライベート口座から事業用の口座にお金を移動させた場合も当てはまります。

具体的に以下のようなシチュエーションの場合は、事業主借へ仕訳しましょう。

  • 事務所までの電車定期代をプライベートの財布から現金で支払った
  • 事業用口座の残高が少なくなってきたため個人用の預貯金から補充した

事業主借の仕訳例

事業主から「借」りたという意味で覚えておくと、仕訳する時に迷わないでしょう。事業主借は貸方で処理をし、先ほどのシチュエーションの場合の仕訳処理は以下のとおりです。

【事務所までの電車定期代3万円を財布からプライベートの現金で支払った】

借方貸方
旅費交通費 30,000事業主借 30,000

【事業用口座の残高が少なくなってきたため、個人用の預貯金から10万円補充した】

借方貸方
普通預金 100,000事業主借 100,000

事業主貸とは

事業主貸は、事業用口座から事業には関係のない支出があった場合に当てはまる勘定科目です。個人事業主の場合は事業から得た利益が所得となり、そこから個人の生活費を支払っていきます。

具体的に以下のようなシチュエーションの場合は、事業主貸へ仕訳しましょう。

  • 事業用口座から今月の生活費として個人用口座に振り込んだ
  • 住民税と所得税を支払った

事業主貸の仕訳例

事業主から「貸」りたと解釈しておくことで迷わず仕訳できるでしょう。事業主貸は借方で処理をし、先ほどのシチュエーションの場合の仕訳処理は以下のとおりです。

【事業用口座から今月の生活費として10万円を個人用口座に振り込んだ】

借方貸方
事業主貸 100,000普通預金 100,000

【住民税と所得税の合計12万円の支払いをした】

借方貸方
事業主貸 120,000普通預金 120,000

事業主借は経費にできるのか?

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事業主借は事業主個人のお金で事業の経費を払った場合に当てはまるため、経費として計上することが可能です。

事業主貸の場合は経費計上することができません。事業主貸自体が、事業用の口座から経費にできない個人用の支出があった場合に使う勘定科目となるため、経費として当てはまらないのです。

確定申告で事業主勘定を処理する際の注意点

確定申告で事業主勘定を処理する際の注意点

個人事業用の会計ソフトを利用せず、個人で一から帳簿をつける場合は間違いのないように計算していきましょう。個人事業主の場合、1年に1回のペースで確定申告をする必要があります。青色申告で確定申告の手続きをする場合は、青色申告決算書を作成します。

混乱しやすい上記の2つのポイントを押さえて、作業をスムーズに進めていきましょう。

適切な家事按分で計算すること

家事按分とは、支出額が事業とプライベートの双方が混ざったものである場合に、事業分の割合のみを計算して経費とすることです。事務所兼自宅の家賃が一つの例として挙げられます。この場合は家賃の全額を経費として計上することはできません。

一般的に事務所兼自宅の家事按分は、部屋面積の何割を事業用として使っているかを計算し経費として計上します。家賃が10万円、かつ部屋面積の25%を仕事用として使っている場合、2万5千円を経費として申告することが可能です。

翌期首の元入金を繰越処理すること

確定申告を終えたら、翌年の帳簿の期首残高に今年度の期末残高の金額を移動させる繰越処理が必要です。今年度の損益と事業主勘定は、そのまま翌年度の元入金勘定へ移す決まりがあるためです。

翌期の元入金を計算する際には、以下の計算式を使って出しましょう。

翌期の元入金の計算式

翌期の元入金=その年の元入金+所得(青色申告特別控除前)−事業主借−事業主貸

まとめ

個人事業主は事業用とプライベート用に使うお金の区別を明確にすることが難しいです。今まで事業主貸になっていたけれど、実は経費として計上できるものはないかを再確認してみましょう。

個人事業主が決算書を作成する場合、事業主借と事業主貸は頻繁に利用する勘定科目です。間違えやすい項目でもあるため、この機会にしっかりと意味を理解しておくことで正しい帳簿づけに繋がります。

会計ソフトを活用したり税理士に依頼したりしたほうが正確な帳簿づけが可能です。『比較ビズ』を利用すれば、確定申告や決算申告を依頼できる税理士を無料かつカンタンに探せます。帳簿づけの工数を抑えたい方はぜひ活用してみてください。

監修者のコメント
税理士
佐藤 憲亮

京都市出身。 医療系特化事務所、税理士法人の社員税理士(役員)を経て、気軽に相談できる専門家として税務顧問業務をメインに活動。実務で得た知識や経験を活かし、税務記事や税務論文の執筆、ブログの運営をしている書くことが好きな税理士。大学卒業後、税理士事務所で14年の実務経験を積みながら、大学院で税法を学ぶ。2020年に税理士登録。2023年6月に京都市中京区にて独立。また、顧客企業の利益最大化を実現するため、バックオフィスの効率化や改善に力を入れており、経理代行及びコンサルの事業会社を設立。経理、財務、税務の支援を得意としている。

事業を行う場合は、個人で事業を行うか、法人を設立して事業を行うかのいずれかの方法をとることとなります。

個人事業の場合は、経済活動の全てが事業に関するものとは言い難く、プライベートな支出も混ざってきてしてしまいます。これに対して法人は、事業を行うことを目的に設立された団体であるため、基本的に法人の行う経済活動の全てが事業に関するものと考えることができます。

そのため、個人事業の会計処理を行う上では、事業部分と家事部分を明確に区分する必要があり、家事部分の支出は、事業主貸、事業主借という勘定科目で区分します。

また、法人は基本的に全ての取引が事業に関するものという前提はありますが、役員等のプライベートな支出があった場合は、当然に法人の費用にはなりませんし、個人的な支出は貸付金や借入金として処理することとなります。

個人であっても法人であってもプライベートな支出は経費、又は費用にはなりません。ただし、法人は事業を行うことを目的として設立された団体であるため、個人に比べ法人の方が、費用の範囲は広いと言えるでしょう。
比較ビズ編集部
執筆者

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