兼業農家は確定申告しなければならない?申告すべきケースと効果的な節税を解説!

税理士
監修者
税理士 佐藤 憲亮
最終更新日:2024年05月16日
兼業農家は確定申告しなければならない?申告すべきケースと効果的な節税を解説!
この記事で解決できるお悩み
  • 兼業農家が確定申告すべきケースとは?
  • 兼業農家が計上できる経費は?
  • 兼業農家が確定申告でできる節税対策は?

兼業農家の方は「所得がいくらになったら確定申告が必須?」「どうやって節税できる?」など気になることがあるでしょう。兼業農家の方は農業以外に収入源があるため、ケースによっては確定申告しなければなりません。

この記事では、兼業農家が確定申告しなければならないケースや計上できる経費、効果的な節税対策について解説します。最後まで読めば、兼業農家の確定申告についての理解が深まるでしょう。

兼業農家の方はぜひ参考にしてください。

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兼業農家が確定申告すべきケース3つ

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兼業農家が確定申告すべきなのは以下の3つのケースです。

  • 農業の所得が20万円を超えるケース
  • 給与所得が年末調整されていないケース
  • 給与所得との損益通算を考えているケース

確定申告を忘れていると、重いペナルティが課せられるおそれがあるため十分注意しましょう。

農業の所得が20万円を超えるケース

兼業農家で確定申告が必要となるのは、給与所得以外で農業での収入を含む所得が20万円を超えるケースです。会社からもらっている給与の他に、農業や他の収入が20万円を超える場合は、必ず確定申告をしましょう。

注意すべきなのは、兼業農家の収入ではなく、所得が20万円を超えているかという点です。「所得」は「収入-経費」で算出され、利益として手元に残った金額が20万円を超えているかが判断基準になります。兼業農家の収入が20万円を超えていても、経費を計上することで確定申告が不要になるケースもあるでしょう。

給与所得が年末調整されていないケース

給与所得が年末調整されていない兼業農家は、自分で確定申告しなければなりません。通常、給与所得者は会社が所得税を給料から天引きし、年末調整で正式に所得税額を確定します。天引きされた所得税額が本来納めるべき所得税額よりも多かった場合には、還付金を受け取れるでしょう。

何らかの理由で会社が年末調整してくれない場合、納めるべき所得税額が確定しません。そのまま放置していると未申告状態になるため、自分で給与所得と兼業農家としての所得を含めて確定申告すべきです。

給与所得との損益通算を考えているケース

給与所得との損益通算を考えている場合、確定申告が必要です。損益通算とは、ある所得の黒字と別の所得の赤字を相殺することです。全体の所得が圧縮されるため、所得税額が下がり大幅な節税が可能になります。

給与を支払っている会社は農業所得と損益通算しないため、確定申告によって納税者が所得を確定する必要があります。農業に使う機器を購入した、農業に使う土地を借りたなどのケースでは、確定申告して節税に役立てましょう。

兼業農家が確定申告の際に確認すべき収入4つ

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兼業農家が確定申告の際に確認すべき収入は、主に以下の4つです。

  • 農作物の販売
  • 家事消費
  • 事業消費
  • 雑収入

確定申告の際には、すべての収入や所得を把握しておく必要があるため、これら4つに該当する収入がないか確認しましょう。

農作物の販売

兼業農家の収入の1つは、農作物の販売によって得られるものです。農協やスーパーに卸して販売してもらう、軒先販売や直売所を利用して収入を得るなどのケースもあります。

複数の方法で農作物を販売している場合、販売方法ごとに売上金額を計算しておきましょう。

家事消費

兼業農家の収入と見なされるのが、家事消費です。家事消費とは、生産した農作物を自宅で消費した場合の金額のことです。自分の家の食事に使った農作物はもちろん、大量に他の人に贈与した分も含まれます。

農作物の販売ではないものの、収入と見なされて申告しなければならないため注意が必要です。

事業消費

兼業農家の収入には、事業消費が含まれます。事業消費とは、翌年の作付けに使う種いも加工する、生産した作物を家畜のえさにするなどの消費です。

農作物を給与として現物支給するケースでも、事業消費と見なされるでしょう。家事消費や事業消費は消費したときの価額を収入として申告しなければなりませんが、収穫時の価額あるいは出荷時の価額の平均額を使用することも可能です。

雑収入

兼業農家の確定申告では、雑収入も忘れてはなりません。雑収入とは、兼業農家の方が得る収入のうち、農作物の販売や家事消費、事業消費に該当しないものです。小作料、補助金、共済受取金などが該当します。

以下の受取金や交付金も含まれるため、自分が収入として得ているものがないか確認しましょう。

  • 小作料受取金
  • 農作業受託料受取金
  • 価格差補てん金
  • 直接支払交付金
  • 営農組合収入
  • 農地の賃借料
  • 農機具の販売料

兼業農家が確定申告の際に経費にできる支出10選

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兼業農家が確定申告の際に経費にできる支出には、以下のようなものが含まれます。

  • 雇人費
  • 賃借料
  • 種苗費
  • 租税公課
  • 素畜費
  • 飼料費
  • 農薬衛生費
  • 動力光熱費
  • 減価償却費
  • 農具費

経費を適切に計上することで、大きな節税が可能になることもあります。金額が小さくても漏れなく経費に含め、節税に役立てましょう。

雇人費

兼業農家の方が自分の家族以外の従業員を、常時あるいは臨時に雇用した場合、支払った賃金は「雇人費」として経費に計上できます。一般の会社の給与にあたる費用です。

賃借料

兼業農家が土地を借りて農業を営んでいる場合、賃借料を経費にできます。農作地のみならず、倉庫や農機具の賃借料、農業協同組合に支払う施設利用料なども経費と認められるでしょう。

種苗費

兼業農家の方が作付けをするために購入した種子や苗の費用は経費として申告します。

租税公課

農業を営むために購入した農地の固定資産税や不動産所得税、水路の建設や排水にかかる水利費も租税公課で経費になります。

素畜費

子ブタや子牛などの購入費や種付けのために費やした支出が経費です。

飼料費

牛や豚などを飼育に必要な餌の購入費用は経費に計上可能です。

農薬衛生費

害虫駆除のために購入した農薬の費用を指します。農薬だけではなく、家畜の病気を防ぐ家畜薬代も農薬衛生費です。

動力光熱費

兼業農家がビニールハウスの加湿に使用した電気・ガスなどの燃料費や、農業用機械に使ったガソリン代などが動力光熱費で経費と認められます。

減価償却費

使用可能期間が1年以上で取得価額が10万円以上の農機具や設備を購入した場合、確定申告する1年間分の償却費が経費となります。基本的には取得価額と国税庁ホームページにある「耐用年数表」を使い、計上する経費の金額を計算可能です。

青色申告している兼業農家の場合、取得価額が30万円未満の資産に限り、少額減価償却資産の特例を利用して一括で経費にできます。

農具費

価格が10万円未満の農具を購入した場合、購入費用をその年の経費として全額計上できます。

兼業農家が確定申告の際に行える節税対策4選

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兼業農家が確定申告の際に行える節税対策として、以下の4つが挙げられます。

  • 経費を漏れなく計上する
  • 農業収入が赤字の場合は損益通算する
  • 青色申告を行う
  • 税理士に相談する

確定申告で節税するのは時間と労力が必要ですが、利益を少しでも多く手元に残すため、いくつかの対策を試してみましょう。

経費を漏れなく計上する

兼業農家が行える節税対策に、経費を漏れなく計上することが挙げられます。経費をすべて計上することで所得額が下がり、所得税率や所得税額が下がる可能性があるでしょう。

領収書はすべて保管しておき、認められる範囲の経費はすべて計上しましょう。公共交通機関の利用料は領収書が発行されない場合もありますが、出金伝票を使って経費を証明できます。

自宅で農業に関する作業を行っている、農業に自家用車を使っているなどのケースでは、家事按分を利用するのも1つの手です。農業に使用している分の水道光熱費やガソリン代、通信料などは経費にできます。

農業収入が赤字の場合は損益通算する

農業収入が赤字の場合、他の所得と損益通算して節税できます。給与所得は赤字になることはないため、農業の赤字と相殺することで所得を圧縮可能です。

ある年の給与所得が800万円、農業での赤字が300万円だった場合

たとえば、ある年の給与所得が800万円、農業での赤字が300万円だったとしましょう。国税庁ホームページの「所得税の税率」によると、所得800万円に適用される税率は23%、控除額は636,000円であるため、所得税額は800万円×23%-636,000円=1,204,000円です。

損益通算後の所得額は800万円-300万円=500万円となり、所得税率20%、控除額427,500円が適用されます。所得税額は500万円×20%- 427,500円=572,500円で、大幅な節税になることがわかるでしょう。

青色申告を行う

兼業農家が行える節税対策として青色申告もあります。青色申告は、複式簿記の採用や青色申告決算書の提出、青色申告承認申請書による事前申請などの手間があるものの、税制上の優遇を受けられる申告方法です。

たとえば、最大65万円の青色申告特別控除、純損失の繰越し、所得税の繰戻還付、少額減価償却資産の特例が挙げられます。いずれも青色申告のみで認められた優遇措置であるため、可能であれば青色申告で確定申告を行いましょう。

税理士に相談する

兼業農家が効果的な節税をするため、税理士に相談する手もあります。税理士は最新の節税方法に通じている、税法のプロフェッショナルです。

税理士に節税の相談を行うことで、具体的な方法を教えてくれるのみならず確定申告の代行を依頼することも可能でしょう。煩雑な作業から解放され、正確な確定申告を行えるメリットがあります。

まとめ

兼業農家は、特定のケースに該当すると確定申告しなければなりません。農作物を販売していなくても、自家消費や事業消費など収入と見なされるものもあるため注意しましょう。青色申告や経費の計上、税理士への相談により、効果的な節税対策を講じることも重要です。

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監修者のコメント
税理士
佐藤 憲亮

京都市出身。 医療系特化事務所、税理士法人の社員税理士(役員)を経て、気軽に相談できる専門家として税務顧問業務をメインに活動。実務で得た知識や経験を活かし、税務記事や税務論文の執筆、ブログの運営をしている書くことが好きな税理士。大学卒業後、税理士事務所で14年の実務経験を積みながら、大学院で税法を学ぶ。2020年に税理士登録。2023年6月に京都市中京区にて独立。また、顧客企業の利益最大化を実現するため、バックオフィスの効率化や改善に力を入れており、経理代行及びコンサルの事業会社を設立。経理、財務、税務の支援を得意としている。

兼業農家として得た所得は、全てが自動的に事業所得になるのではなく、所得者の状況により、事業所得にあたるのか、雑所得にあたるのかの判断が必要です。

一般的には農業が事業的な規模で行われているのかにより判断を行いますが、その事業的規模であるかどうかの判断は、複数の観点から総合的に行う必要があります。

なお、総合的な判断を行う際は、下記項目を検討していく必要があり、これらをご自身の農業に当てはめ、事業所得になるのか雑所得になるのかを検討してみましょう。

・反復・継続・独立して行っているか
・有償性があるのか
・自己の計算と危険において行っているか
・その収入で生活をしているか等の生活状況
・社会通念上、事業として認識されているか
・帳簿書類などを適正に作成、保存しているか

細かい論点は他にもありますが、まずはこれらを用いて総合的に判断します。事業所得となる場合は青色申告等の特典を受けることができますが、副業的な小規模なものと判断できる場合は、雑所得として申告することになりますのでご注意ください。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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