【誰でも分かる】土地の相続、知っておきたい税金や分割手続きの話
故人に不動産があった場合、現金といった他の資産に比べて財産分与に関する取り決めがフクザツです。そこで「土地の相続税の計算方法」や「相続時に活用できる制度」「土地相続手続きでの注意点」などを分かりやすく解説いたしました。土地の相続について少しでも悩んでいるのであれば、基本知識を学ぶためにも確認しましょう。
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土地の評価額の計算方法
土地の評価は路線価を基に計算される「路線価方式」と固定資産税評価額を基に計算される「倍率方式」があります。
- 倍率方式
倍率方式は、土地の面する道路に路線価が付されていない場合の評価方法です。倍率方式における土地の価額は、固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算します。固定資産税評価額はその土地によって変わるので確認しましょう。
- 路線価方式
路線価とは、道路に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額のことで、千円単位で表されます。路線価をその土地に応じた補正率で補正した後に、その土地の面積を乗じて計算します。国税庁のホームページに路線価図が記載されているので確認しましょう。
参照元:【国税庁】路線価図・評価倍率表
相続税の計算方法
遺産総額から基礎控除額を控除した金額を法定相続分で按分し相続税の税率を合計したものが相続税の総額になります。相続税の総額を実際の相続割合で按分し各相続人の算出税額を計算します。
基礎控除額に関しては「3,000万円+600万円×(法定相続人の人数)」という算定方法が定められています。配偶者1人と子が2人いる場合には、3,000万円+3人×600万円で4,800万円となるわけです。
土地の価格から基礎控除額を差し引いた金額に応じて、相続税の課税割合は以下のように変化します。
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | − |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
相続手続きの流れ
相続手続きの流れとしては以下の4ステップが基本となります。
- 相続の内容をすべての相続人で話し合う
- 全員の署名が入った遺産分割協議書を作成する
- 相続登記の手続きを行う
- 相続税を納付する
相続税の納付は原則として10か月以内です。相続の分割に関して相続人の間で合意ができていない場合は、申告期限までに遺産分割協議が完了しない場合は未分割で申告、納付を行うことになります。この場合は分割協議が完了した際に再度申告が必要になります。
相続税に関する控除と特例
基礎控除の他に、相続税に関しては様々な控除や特例が準備されています。これらを利用することで、相続税の支払いによる負担を大きく軽減できるケースが少なくありません。
活用できる控除と特例(1)「配偶者の税額軽減」
これは、被相続人の配偶者が利用できる制度のこと。「法定相続分もしくは1億6,000万円のいずれか高いほうの金額を相続税の控除として申請できる」というもので、相続税の支払いによる配偶者への経済的負担をできるだけ小さくするために設けられた税制上の優遇措置となっています。
活用できる控除と特例(2)「未成年者控除」
相続者が成人に達していないに利用できる控除です。具体的な控除額は「(18歳-年齢)×10万円」という計算式で算出されます。
活用できる控除と特例(3)「障害者控除」
3〜6級の身体障害者手帳または2級、3級の精神障害者保健福祉手帳を持っている方は「障害者控除」が受けられます。特別障害者は身体障害者手帳1、2級、精神障害については1級が要件です。
一般障害者は「(85歳-相続時の年齢)×10万円」という計算式で控除額が決定されます。特別障害者はの控除額は1年につき20万円です。
相続した土地を売却する
また、相続する資産を相続人の間で公平に分割するため、売却して現金化することにしたという事例も多く見られています。
相続した土地を売却する際には次の4ステップを順番に進めていくことが必要です。
- 名義変更の登記手続きをする
- 不動産の売値を決定する
- 不動産会社を通じて販売を行う
- 購入者へ名義変更を行う
被相続人名義では売却できません。必ず登記が必要なため、最初のステップである相続登記は確実に行いましょう。
土地相続の注意点
土地やマンションなどの不動産は総じて資産価値が大きいため、相続に伴ってトラブルが発生するというのは珍しくありません。また、相続時の手続き方法が原因で、後になって揉め事になるというケースもあります。
相続トラブルのリスクを減らすための注意点として、「相続放棄」「分け方」および「共有を避ける」という3つのキーワードを覚えておきましょう。
相続放棄をする選択肢も考える
「有効活用できそうな土地ではない」という理由から、相続可能な不動産をだれも希望しないという状況が起こり得ます。そうしたケースでは、相続放棄の手続きを家庭裁判所で行うとよいでしょう。
ただし、相続開始から3か月の期限を経過してしまうと、相続放棄の手続きは一切できなくなってしまうので注意しましょう。
「分け方」について話し合う
現金とは異なり、土地は公平に分割することが難しい財産です。
ですから、後になってトラブルにならないよう、「分け方」についてすべての相続人の間でしっかりと話し合っておきましょう。
単純に分割が難しい場合は「代償分割」という方法もあります。土地を相続した人がそれ以外の人に代償として現金を支払うというものです。
合意事項に関しては法的効力のある文面にしておくことで、相続手続きを円滑にすすめることができるでしょう。
不動産の共有はしない
1つの不動産を複数の相続人で共有すると、賃貸や大規模改修などを行う際にはそれらの相続人にすべて確認をして了承を得なければならなくなります。
この手続きを怠ったために法律上のトラブルへと発展したというケースが珍しくありません。
また、共有をしていた相続者が亡くなり、別の相続者へと持ち分の分配が行われると、土地の所有権に関する管理が大変複雑になってしまいます。
こうした煩雑な状況を避けるためにも、土地相続をする際に「共有はしない」というのがおすすめです。
まとめ
土地の相続には名義の変更手続きだけでなく、税金の支払いなど非常に多くの要素が関係しています。ですから、1つ1つのステップをリストへ書き出して、順番に進めていくとよいでしょう。
とはいえ、相続人の数が多いなどの理由から遺産の配分決定に時間がかかってしまう事態も想定されます。
そうしたケースでは、役所への申請など法律に関する手続きを司法書士や税理士などの専門家に委ねることにより、申告漏れなどのリスクを回避することができるでしょう。
札幌市を中心に活動する税理士。アパレル業界から未経験で税理士業界に飛び込む。その後、個人事務所、資産税系コンサルティングファームで経験を積み独立。税理士の仕事で重要なことはお客様とのコミュニケーションであるという考えから対話を重視している。中小企業の経営支援、スタートアップ支援、相続業務を得意としている。
土地の評価方法は大きく分けて路線価方式と倍率方式があります。土地の評価額の概算を知りたい場合は、路線価方式については路線価に面積を乗じた金額で、倍率方式については固定資産税評価額に倍率を乗じて算出が可能です。
ご自身の保有されている土地が路線価地域か倍率地域かは国税庁のホームページで確認いただくことができます。
ただし、先ほどご説明した通り土地の評価には様々な要因が影響するため、目安程度に考えていただいた方がよろしいかと思います。詳しく知りたい方は税理士などの専門家に相談することをおススメします。
土地の相続について忘れてはいけないことは「小規模宅地等の特例」です。 この特例を使えば一定の土地についての評価額を減額することができます。 一定の要件を満たす事業用、居住用の宅地については評価額から80%、貸付用の宅地については評価額から50%の減額をそれぞれすることができます。
「小規模宅地等の特例」は取得者要件や面積要件が細かく定められていることに留意してください。相続税の申告書を提出することも適用要件になりますのでこの特例の適用により基礎控除額を下回ったとしても申告自体は必要になりますので注意しましょう。
相続税の計算おいて評価額を減額できるものは非常に少ないので、相続財産の中に土地がある場合は適用を受けられるか検討してみてはいかがでしょうか。生前から相続対策をすることにより相続税を抑えることができるかもしれません。
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