ニアショア開発とは?メリット・発注のポイント・オフショア開発との違いを解説!

株式会社GeNEE
監修者
株式会社GeNEE 代表取締役 日向野卓也
最終更新日:2023年03月23日
ニアショア開発とは?メリット・発注のポイント・オフショア開発との違いを解説!
この記事で解決できるお悩み
  • ニアショア開発とは?
  • ニアショア開発のメリット・デメリットとは?
  • オフショア開発との違いは?

ニアショア開発とは、近郊・近隣の企業にシステム開発案件をアウトソーシングすることです。

この記事ではニアショア開発の特徴やメリット・デメリットをオフショア開発と比較しながら解説します。

ニアショア開発を成功させるポイントについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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ニアショア開発とは:都市部の企業が地方の企業に依頼すること

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ニアショア(Nearshore)は、近海・近郊・近接などの意味を持つ英単語です。ニアショア開発とは近郊・近隣の企業にシステム開発案件をアウトソーシングすることです。

近郊・近隣とは北海道・東北・中部・九州など都市部ではないエリアに拠点を構えるシステム開発会社になります。

東京・神奈川・大阪など都市部のクライアント企業が、地方都市のシステム開発会社に案件を依頼することをニアショア開発と呼びます。

オフショア開発との違い

オフショア開発とは安価な人件費を求めて、海外(offshore)のシステムエンジニアを活用することです。

ニアショア開発とオフショア開発の主な特徴や違いは下記の表のとおりです。

  ニアショア開発 オフショア開発 一般的なシステム開発
特徴 地方都市の開発会社を活用 海外の開発チームを活用 都市部の開発会社を活用
開発コスト削減効果 中程度 高い 低い
コミュニケーション 中程度に容易 難しい 容易
管理のしやすさ 中程度に容易 難しい 容易
人材確保 中程度に容易 容易 難しい
リスク分散効果 中程度 高い 低い
為替変動・海外情勢リスク なし 高い なし

主に中国・ベトナム・インド・フィリピンなどの人件費が比較的安価なIT大国のシステムエンジニアを活用するのがオフショア開発の特徴です。

クライアントのニーズに応じて開発ラボを設けるのが一般的なオフショア開発の手法になります。

ニアショア開発の目的とは:コスト削減

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ニアショア開発の目的は、コスト削減です。都市部に比べて地方部は賃金が安いためです。ニアショア開発は、都市部のクライアントが地方の開発会社を活用します。

コスト削減を実現すると、新商品開発や顧客対応にコストを費やせます。顧客対応の品質が向上すると口コミが広がり、会社のイメージアップにつながります。

ニアショア開発のメリット3選

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ニアショア開発はアウトソーシング先・活用する人材の点で、オフショア開発と大きく異なります。

ここでは、ニアショア開発のメリットを3つ紹介します。

  • 開発コストを削減できる
  • エンジニアとのコミュニケーションが容易である
  • 為替変動リスクを回避できる

1. 開発コストを削減できる

ニアショア開発は、人件費が高騰する都市部の開発会社へアウトソーシングと比較して、システム開発コストを削減できます。

常駐型を含め、案件が集中する都市部でシステムエンジニアの確保が困難になる一方、比較的人材を確保しやすい点もニアショア開発のメリットです。

オフショア開発に比べてアウトソーシング先との物理的距離が近いため、移動コストもかかりません。トラブルが起こっても、すぐに対応できるのも利点です。

2. エンジニアとのコミュニケーションが容易である

ニアショア開発は国内で行うため、日本語でのコミュニケーション・意思疎通が容易になり、双方の認識にずれが生じにくいです。コミュニケーションが容易になると、アウトソーシング先への連絡や密なやり取りができます。

オフショア開発と比べ、ニアショア開発ではエンジニアと直接会って作業内容を確認できるため、認識のずれが起きにくいです。

エンジニアとのコミュニケーションが簡単にできるため、開発作業がスムーズになります。

3. 為替変動リスクを回避できる

国内のシステムエンジニアを活用するニアショア開発の場合、為替変動リスクに左右されません。

外国のエンジニアを活用する場合、為替の影響を受け、人件費が大きく変動する可能性があります。アベノミクスの影響で大きく円安が進んだ時期は、想像以上に人件費が膨らみました。

国内のエンジニアでは為替の影響を受けないため、急な人件費の増大はありません。

ニアショア開発のデメリット2選

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ニアショア開発のデメリットは下記の2つです。

  • 優秀なエンジニア確保が困難
  • 発注先の決定が困難

ニアショア開発のデメリットを詳しく解説します。

1. 優秀なエンジニア確保が困難

ニアショア開発は、優秀なエンジニアの確保が難しいです。優秀なエンジニアは、都市部に集まりやすい傾向があるためです。

優秀な人材ほど他の企業と契約している可能性が高いため、地方の優秀なエンジニアがなかなか見つからないケースもあるでしょう。

優秀なエンジニアの確保にはコストがかかります。スキルの高い優秀なエンジニアには、地方であっても単価が高いため、ニアショア開発のメリットであるコスト削減の効果が得られない可能性もあります。

2. 発注先の決定が困難

ニアショア開発は発注先の決定も難しいです。人気のある企業は他の大企業やシステム会社の案件を受注しており、スケジュールが空いていない可能性があります。

ニアショア開発をする際は、発注先を複数の地方や企業から考えなければなりません。

ニアショア開発を行う際は、発注先の候補として地方や企業を挙げておくといいでしょう。

オフショア開発のメリット3選

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オフショア開発は、ニアショア開発よりも大きなコスト削減効果が期待できます。ここでは、オフショア開発のメリットを3つ紹介します。

  • 優秀なエンジニアを確保できる
  • 人件費を削減できる
  • ラボ型開発を行える

1. 優秀なエンジニアを確保できる

国内はIT人材が不足していると言われており、優秀なエンジニアの確保が困難です。オフショア開発の拠点を持っている国は、IT技術者の育成に力を入れている場合が多いためです。

ITスキルを向上させる状況が整っているため、優秀なエンジニアが海外に多くいる可能性があります。

国内よりも海外でエンジニアを探した方が優秀なエンジニアを確保できるでしょう。

2. 人件費を削減できる

国によって人件費は異なりますが、中国やインド、ベトナムなどオフショア開発が盛んな国は、日本人に依頼するよりも人件費を抑えられます。

日本と比べたら人件費は安いですが、現地の給与と比較すると給料が高い場合があります。

高い給料をもらいながら仕事ができるため、スキルだけではなくモチベーションも高い人材が多いです。

3. ラボ型開発を行える

ラボ開発を行うと寄せ集めのメンバーではなくなるため、チームワークが強化されます。

チームワークがいいと計画方針の理解度が上がり、作業効率も上昇します。システム開発のスピードも早くなるでしょう。

短期的な仕事の場合はいいですが、長期的な計画でオフショア開発を行うときには、ラボ型開発で運用するのがおすすめです。

発注元と発注先の余計な連絡も必要なくなります。

オフショア開発のデメリット2選

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オフショア開発は、優秀なエンジニアの確保や人件費が抑えられるなどのメリットがありましたが、デメリットも存在しています。

ここでは、オフショア開発のデメリットを2つ紹介します。

  • 進捗管理が困難
  • エンジニアとのコミュニケーションが困難

1. 進捗管理が困難

オフショア開発は海外のエンジニアと連携するため、物理的な距離がネックになります。対面でのやりとりが少ない点や仕事に対する姿勢・価値観の違いにより、進捗が遅れるケースがあります。

仕事に対する姿勢や価値観にギャップがあるため進捗の報告をもらっても、遅延やトラブルが発生する可能性を考えておきましょう。

オンライン会議を活用しつつ、仕事に対する姿勢や価値観のギャップを埋める工夫が求められます。

2. エンジニアとのコミュニケーションが困難

言語・文化の違いのほかに時差の影響があるため、タイムリーかつスピーディーなコミュニケーションは困難です。

現地チームをまとめてプロジェクトをスムーズに進行させるには、クライアントとの間を取り持つ「ブリッジSE」の存在が重要となります。

現地責任者の育成が難しいのもオフショア開発のデメリットになります。言語の違いを超え、商取引を含む文化を理解してもらわなければ、設計どおりのシステムを開発するのは困難です。

ニアショア開発を成功させる3つの発注ポイント

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ニアショア開発とオフショア開発は、それぞれで異なる特徴やメリット・デメリットがあり、使い分けることが重要です。

ここでは、ニアショア開発を成功させる3つの発注ポイントを解説します。

  • 開発スタイルを決める
  • システム開発の優先順位を明確にする
  • システム開発の規模感を把握する

1. 開発スタイルを決める

ニアショア開発の開発会社の体制は大きく2つに分類できます。

1つ目は、地方に拠点を構え要件定義からプログラミングまで、システム受託開発を一括で請け負う企業です。

2つ目は、東京などの都市部本社のほか地方に拠点や開発ラボを設け、システム開発プロセスを分業する企業です。

開発会社の体制が異なれば、ニアショア開発のスタイルも変わります。

どちらのスタイルがいいのかは依頼内容にもよりますが、開発プロセスにある程度関与したい企業であれば、現場に足を運ぶ必要があります。

どのようなスタイルでニアショア開発を提供しているのか、会社の特徴を確認しておくのがおすすめです。

2. システム開発の優先順位を明確にする

ニアショア開発では、システム開発の優先順位を明確にする必要があります。コスト削減、システムエンジニアの確保、コミュニケーションなど会社によって優先順位が異なります。

コミュニケーションの取りやすいシステムエンジニアを確保する場合はニアショア開発の方が向いているでしょう。都市部への依頼に比べて一定のコスト削減効果も得られやすくなります。

優先順位の重点をどこに置くのかによって、採用すべき開発手法を選ばなければなりません。

3. システム開発の規模感を把握する

ニアショア開発は柔軟性に富んだ対応が可能でき、小規模のシステム開発でもコスト削減できます。コスト削減を優先事項とする場合でも、開発したいシステムの規模感を正確に把握し、適切な開発手法を選定することが重要です。

大きなコスト削減効果が期待できるオフショア開発の場合、小規模のシステム開発案件ではコストのメリットを活かしにくいです。オフショア開発は、多くのエンジニアを必要とする大規模システム開発に向いています。

システム開発の規模感を把握して、効率的に計画を進めていきましょう。

ニアショア開発に強い会社3選

ここまでニアショア開発の特徴やメリット・デメリットなどを解説しました。「ニアショア開発に強い会社を知りたい」と思っている方も多いのではないでしょうか。

ここでは、ニアショア開発に強い会社を3つ紹介します。

  • 株式会社インタラクティブ・コミュニケーション・デザイン
  • 株式会社ユリーカ
  • 株式会社エム・システム

1. 株式会社インタラクティブ・コミュニケーション・デザイン

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引用:株式会社インタラクティブ・コミュニケーション・デザイン

株式会社インタラクティブ・コミュニケーション・デザインは、オンサイト開発やニアショア開発、オフショア開発などのサービスを提供しています。

東京やと札幌などに拠点があり、札幌市にニアショア開発の拠点を置いています。豊富なノウハウと優秀な人材確保が可能です。

大規模商用グループウェアのiPhoneアプリや自動車教習所向けのeラーニングシステムなどの実績があります。

グループウェアとは、企業内のコミュニケーションを円滑にし、業務効率化するためのソフトウェアのことです。

システム開発の実績が豊富な会社を探している人におすすめです。

2. 株式会社ユリーカ

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引用:株式会社ユリーカ

株式会社ユリーカは、システム開発やニアショア開発、コンサルテーションサービスを中心として会社です。長野県塩尻市と大阪府大阪市にオフィスがあります。

ニアショア開発の「ナガノショア」というサービスに力を入れています。

ナガノショアは長年蓄積したノウハウがあり、小規模から大規模システムまで開発支援が可能です。

販売管理システムや財務会計システムなどの実機があります。

ニアショア開発の実績がある会社に依頼したい方におすすめです。

3. 株式会社エム・システム

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引用:株式会社エム・システム

株式会社エム・システムは、システム開発や自社パッケージ製品の開発・販売、ITコンサルティング事業を行っています。

東京都葛飾区と岩手県盛岡市に拠点を置いています。

株式会社エム・システムの特徴は、ニアショア開発の料金が安いことです。

ニアショア開発で通常の開発より30%もコストダウンが実現できるため、できるだけコストを抑えたい方におすすめです。

まとめ

ニアショア開発の特徴やメリット・デメリット、ニアショア開発を成功させるポイントを紹介しました。

ニアショア開発を採用したいと考えたとき「開発会社をどうやって探せばいいのかわからない」方も多いのではないでしょうか。

「比較ビズ」では、優良なシステム開発会社を簡単に探せます。複数の会社に無料で相談できる点もポイントです。システム開発会社の選定に迷う際は、ぜひ利用してみてください。

監修者のコメント
株式会社GeNEE
代表取締役 日向野卓也

東京工業大学環境・社会理工学院卒業。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了。MBA(経営学修士)取得。国内最大手SIerの株式会社NTTデータで大手法人領域(大手流通企業、大手小売企業)の事業開発、事業企画等の業務に従事。米国スタンフォード大学への研修留学を経て、システム/モバイルアプリ開発会社の株式会社GeNEEを創業。

リモートワークでの開発環境が整備されている開発会社も増えています。そのため、オンライン会議ツールやチャットツールでのコミュニケーションに抵抗がないようでしたら、地理的な条件は考慮せずに日本中から、より条件の合う開発会社を選定することが可能です。

コストメリットを意識する場合、ニアショア開発を選定するのも一つの手かと思いますが、会社の開発実績やインターネット上の第三者評価は必ず確認しましょう。関連分野についての実績があれば開発の成功確度が上がり、仕上がりの品質にも期待が持てるはずです。

一方、オフショア開発のコストメリットは魅力的ではありますが、コミュニケーションの取り方、円滑なやり取りができるかどうか、必ず確認が必要です。

企業の基幹システムや業務システムなど内部の処理やロジックが複雑化する場合や日本独自の制度や慣習、商取引が背景にある開発においては、より一層現場とのコミュニケーションが重要となってきますので、安直にコスト面から開発会社を選定してしまうと、後々大きな痛手を負う可能性があります。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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