会社の設立に必要な定款とは?便利なテンプレートも紹介

最終更新日:2024年03月21日
会社の設立に必要な定款とは?便利なテンプレートも紹介

会社設立において、必ずやらなければならないのが定款を作成することです。ただ、定款を作成するのには専門的な知識も必要ですので、作成しようと思ってもそう簡単に作成できないのがネックではないでしょうか。独力で一から作成するとなると、時間も手間も膨大にかかります。そこで、間違いがないよう、定款の作成について、記載すべき事項や注意点などを最初にチェックしておきましょう。

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定款の役割

定款とは、会社設立に絶対に必要な書類で、いわば会社の憲法とたとえることもできます。この定款をもとに、これから設立しようとする会社の原則が定まるのです。

「会社法」という法律では定款自治が定められており、その内容は会社を設立する人が自由に決めてよいことになっています。つまり、これからどのように会社を設立し、運営していくかを、定款において宣言するわけです。

なお、株式会社では、作成するだけでは定款の効力が認められません。必ず公証役場にいる公証人に作成した定款をチェックしてもらい、法律の規定通りに作成できていることを認証してもらう必要があります。

定款の記載事項

定款の書式自体に特に決まりはなく、比較的自由に書いてよいのですが、必ず記載しなければならない事項もいくつかあります。「絶対的記載事項」と言って、これに不足がある場合は定款として認められません。

また、記載があってもなくてもよい事項に「相対的記載事項」というのもあります。これがなくても定款の効力に影響は及びませんが、ここで事項として記載しておかないと効力が認められません。

もう一つ、「任意的記載事項」という項目もあります。記載がない場合でも定款の効力がなくなるわけでもなく、記載していない場合でもその事項自体が否定されるのではないのですが、定款に記載しているという事実によって、その事項を会社が重要視していることを表明するのに役立ちます。それぞれの記載事項について、以下で詳しく見ていきましょう。

絶対的記載事項

絶対的記載事項の一つとして、会社の名前、すなわち「商号」があります。それと、会社の所在地、住所も必要です。

もう一つ必要なのが、会社の事業目的です。会社というものは、定款で規定した事業内容以外の事業ができない決まりとなっています。そのため、定款を作る際、当初考えている事業はもちろんとして、将来的に展開する可能性の事業がある場合は、それらも記載しておくべきです。

絶対的記載事項には、会社設立の際の出資財産の金額、もしくは、その最低額もあります。出資財産額に制限はないので、1円でも10円でもここは構いません。

会社の発起人の名前も必要です。名前だけでなく、住所も記載する必要があります。この場合の氏名と住所は、その発起人本人の印鑑証明書に記載された内容と同一である必要があります。一言一句、番地等まで正確に記載するよう、注意が必要です。

もう一つ、絶対的記載事項として、発行可能な株式総数もあります。定款の認証時点では決めておかなくても大丈夫ですが、定款に記載がない場合は、会社を設立する時までに会社の発起人全員が同意して定款を変更し、定めておく必要があります。

相対的記載事項

金銭以外で出資する財産がある場合は、「現物出資」として記載しておきます。株式の譲渡の際に、会社の承認が必要とする場合は、株式の譲渡制限についても定めておく必要があります。

取締役会や監査役、会計参与などの機関を設置する場合も、定款に定めておきます。そのほか、取締役会の任期を延長したい場合や、株式会社の場合は決算公告の方法なども相対的記載事項です。これ以外にも多くの事項があります。

任意的記載事項

上記の絶対的記載事項と相対的記載事項のほかにも、定めておきたい事項がある場合は定款に定めておくことが、会社の本質から外れない、もしくは公序良俗に反しない場合に可能です。例を挙げるなら、決算期の期間や株式総会の開催時期などがそうです。

こうした項目は定款で定めなくても問題ないのですが、あえて定めることで、会社が重要視しているとの意思表明になります。

定款のテンプレートを提供するサイト

定款の記載事項についてはわかったところで、一から作成しろと言われてもなかなか難しいのではないでしょうか。各事項をどのように書けばよいのか、お手本がなければ難しいのが通常です。

そんな時に役立つのが、ネット上で手に入る定款のテンプレートです。ここでは利用しやすいテンプレートを掲載するサイトを紹介します。ただし、定款はテンプレートの項目をそのまま使うのではなく、設立したい会社の実情に合わせて、適切な形に編集して使うようにしましょう。

bizocean

こちらのサイトでは、定款などさまざまな文書のテンプレートが掲載されています。無料でダウンロードできますが、それには会員登録が必要です。ただ、一度会員登録しておけば、サイトに掲載されるあらゆるテンプレートが自由にダウンロードできるので、2回目以降は手間がかかりません。

参照:bizoceanサイト

ひな形ジャーナル

こちらのサイトでも、掲載されているテンプレートを無料でダウンロードできます。定款などのビジネス向け文書以外にもさまざまなテンプレートを提供しており、しかもWordやExcelなど多様な形式に対応しているので便利です。

定款作成する際の注意事項

定款の絶対的記載事項の一つに、事業目的があります。ここで定めた内容がその会社でどんな事業を行っているのか示すものですので、簡潔かつ具体的にイメージできることが大切です。以前は定款の事業目的として使用できる文言に制約があったのですが、今では違法な目的や非営利な目的などでなければ、基本的に認められる傾向があります。

注意したいのは、将来的な事業内容の変更も見据えておくべきことです。会社を設立する段階で、その目的は何か一つは決まっているでしょう。ただ、その後、その内容に変更が生じることもないとは限りません。

しかし、定款に定めておかなければ、別の事業やりたいと思った時にもできなくなってしまいます。ですので、可能性のあるものは事業目的として記載するべきでしょう。

だからといって、たくさん目的を書けばよいわけではありません。定款の事業目的は、金融機関で法人口座を開設する際などに審査対象になりますので、事業目的があまりたくさんあると審査落ちするリスクもあります。事業目的としては、3個から5個ぐらいが適切でしょう。

定款に記載した事業目的と実情が異なるとしても、特に罰則はありません。しかし、定款に記載していなければ、今後の取引において、取引先相手がそれを理由に取引の無効を訴えるリスクが生じます。そのリスクを軽減するためには、事業目的の末文に「前各号に付帯関連する一切の事業」などという文言を入れておくとよいでしょう。

まとめ

会社設立において、定款は重要な書類です。記載すべき項目は多岐にわたりますが、会社の憲法とも言える基本ルールですので、細部まで理解して丁寧に作成しましょう。

監修者のコメント
saku-RA司法書士法人

東京都大田区出身。2008年早稲田大学法学部卒業後、司法書士資格を取得。商業登記専門事務所、相続専門事務所、不動産専門事務所を経験し、2022年に独立。幅広い知識と経験を武器に、特に企業法務、事業承継支援を中心にサービスを提供している。

日本公証人連合会のホームページでは、スタートアップ支援の観点から「定款作成支援ツール」が公開されています。小規模でシンプルな形態の会社であれば、これを利用して定款を作成することも有益でしょう。

また、東京都と福岡県では「定款作成支援ツール」を使用した場合、48時間以内に定款認証を完了させる運用も始まっています。

webで公開されているひな形やツールを使って定款を作成するか、手間や時間をかけたくない場合は、最初から司法書士などの専門家に依頼するなど、ご自身の状況に合わせて比較検討してみましょう。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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