棚卸代行とは?依頼できること・メリット・棚卸代行業者の選定ポイントを解説!

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最終更新日:2023年10月02日
棚卸代行とは?依頼できること・メリット・棚卸代行業者の選定ポイントを解説!
この記事で解決できるお悩み
  • 棚卸の基礎について知りたい
  • 棚卸代行を活用するメリットとは?
  • 棚卸代行業者の費用相場は?

企業担当者の方であれば、棚卸代行サービスの活用を検討するにあたり、「手間がかかり、人員数の投入も必要な棚卸を効率化したい」「しかし、多くても年数回の棚卸の効率化は難しい」、といった悩みは多いでしょう。

本記事では、棚卸の基本をおさらいするとともに、依頼できること、活用するメリット・注意点、依頼から棚卸の流れまで、棚卸代行サービスの基礎知識を徹底解説!棚卸代行業者の選定ポイントや、おすすめの棚卸代行サービスも紹介していきます。

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棚卸代行とは実地棚卸の代行サービス

そもそも棚卸とは、決算前などのある一定時点で、自社が保有する商品・原材料などの「実在庫」総数を確認し、帳簿上の「理論在庫」総数との差分を修正・処理する「会計上必要な作業」です。

このうち、実在庫総数を確認する(カウントする)作業のことを「実地棚卸」といいますが、手間がかかり人員数の投入が必要な実地棚卸は、営業時間外や店舗を休業して実施することもある大変な作業。「棚卸代行」とは、この実地棚卸作業を代行してくれるサービスのことです。

それでは、棚卸代行サービスを利用するメリットはなにか?どのようなメニューがあって、どんなことを依頼できるのか?それを理解するために、まずは棚卸の基本を簡単におさらいしましょう。

棚卸の目的は?

棚卸の目的は「会社・事業所の正確な利益(業績)を把握するため」「税務申告のために正確な売上総利益を算出するため」です。

会社・事業所の業績を表す指標に「売上高」から「売上原価」を差し引いた「売上総利益」が挙げられます。正確な計算式は以下のものになります。

  • 売上総利益 = 売上高 -(期首棚卸高 + 当期仕入高 - 期末棚卸高)

そして棚卸の基本となるのは、帳簿棚卸(在庫管理システム)です。これは、倉庫や店舗の商品・原材料が入出荷するごとにそれぞれの個数を理論在庫として記録していく棚卸方法のこと。以下の記事で計算方法や仕訳について詳しく解説しています。

棚卸代行業者に依頼できる具体的なサービス

それでは、棚卸代行業者にはどのようなサービスを依頼できるのでしょうか?基本的には「代行」の名称がつく通り、実地棚卸の代行サービスがメインですが、さまざまな付帯サービスも提供しています。自社ニーズに応じて適切なサービスを利用できるよう、簡単に解説していきます。

  • 単品棚卸
  • 金額棚卸
  • 資産棚卸
  • 棚卸コンサルティング
  • ロスプリベンション

単品棚卸

「単品棚卸」とは、実地棚卸でカウントする商品・原材料(棚卸資産)のバーコードを読み取り、実在庫をシステムに記録していく棚卸方法のこと。理論在庫の記録された帳簿棚卸(在庫管理システム)と単品ごとのデータ照合をするために利用され、「あるはずなのにない資産」「ないはずなのにある資産」が一目でわかるのが特徴。原価法で棚卸資産を評価するための手法です。

原価法とは、棚卸資産の単品ごとの取得原価(仕入値)をもとに評価をしていく手法のこと。少量多品種を扱う企業・店舗で採用されており、売価が変更になっても原価を変更しないのが基本です。

金額棚卸

「金額棚卸」とは、実地棚卸でカウントする商品・原材料(棚卸資産)をカテゴリー・グループごとに分類し、それぞれの売価を入力してからカテゴリー・グループごとにカウントしていく棚卸方法のこと。多量多品種を扱うスーパーマーケット・コンビニエンスストアなど、売価還元法を採用する企業・店舗で使われる棚卸手法です。

売価還元法とは、棚卸資産を共通のカテゴリー・グループに分類し、それぞれの原価率を算出することで棚卸資産の金額を計算していく手法のこと。評価方法は原価法と同様ですが、先入先出で原価を評価していくため、仕入れ値が変更になっても管理しやすく、単品棚卸よりも手間を省けるのが特徴です。

資産棚卸

本記事では商品・原材料など、最終的に利益に転換する在庫(棚卸資産)棚卸を中心に解説していますが、確定申告・決算時には会社・事業所の備品を含めた資産も棚卸しなければなりません。事業所がひとつで規模が小さければ、資産台帳をもとに手作業で棚卸するのも可能ですが、規模の大きな法人ではそうもいきません。

「資産棚卸サービス」とは、会社資産の棚卸作業を代行してくれるサービスです。棚卸代行業者によっては、資産棚卸サービスに対応していない場合もあるため、ニーズがある場合はサービス内容をよくチェックする必要があります。

棚卸コンサルティング

実地棚卸サービスだけではなく、棚卸の合理化・効率化に関する「棚卸コンサルティングサービス」を提供する業者も少なくありません。たとえば、棚卸以前の「帳簿棚卸・在庫管理」に課題がある企業などは、棚卸コンサルティングを利用することで管理体制を整備・強化可能。自社の体制に不安のある企業・店舗の方は、棚卸コンサルティングで体制を強化してから、実地棚卸の代行サービスを利用するのがおすすめです。

ロスプリベンション

棚卸コンサルティングは、主に棚卸を実施するための環境・体制整備に関するアドバイスが中心となりますが、棚卸後のコンサルティングである「ロスプリベンション」などのサービスを提供する棚卸代行業者もあります。

ロスプリベンションとは、実地棚卸の結果として「あるはずのものがない」などの商品ロスがなぜ生じたのか?原因を特定するとともに、商品ロスをなくすための提案をしてくれるコンサルティングサービスのことです。棚卸のたびに「利益損失」となる大きな商品ロスが生じている、という企業・店舗におすすめです。

棚卸代行サービスの依頼から実地棚卸までの流れ

一般的な実地棚卸代行サービスを利用する場合の流れは以下の通りです。

依頼から実地棚卸までの流れ 概要 時期の目安
問い合わせ・打ち合わせ ニーズ・現状をもとに棚卸プランを話し合う 3か月前程度
現場の下見 代行業者が現場を確認してプラン内容・納品物を修正 3か月前程度
見積書・提案書の提出 修正した棚卸プランと見積書を提出 3か月前程度
システム開発 契約後、必要に応じて棚卸用のシステムを構築 2か月前程度
実施要綱の提出 当日の店内ルール・注意点などを作成して提出 2か月前程度
事前準備物の対応 店舗側でやること、巡撫するものを伝えて当日に備える 1か月前
実地棚卸

プラン・要綱に従って実施、完了後納品物を提出

 

棚卸代行サービスを利用するメリット

棚卸の基本を一通りおさらいしたところで、あらためて棚卸代行サービスを利用するメリットを紹介していきます。棚卸代行サービスの利用メリットは大きく以下の4つです。

  • 本業に集中できる
  • コスト削減・生産性向上の相乗効果
  • 棚卸作業の精度を高められる
  • 棚卸代行の利用で監査に有効な客観性を担保できる

本業に集中できる

営業時間外・店舗休業で実施する実地棚卸も大変な作業ですが、棚卸全体で見れば事前準備や事後処理などの作業負担も従業員に大きくのしかかります。棚卸作業全体をアウトソーシングできれば、棚卸に費やす従業員のリソースを本業に割り振れ、結果的に生産性を高められるメリットが得られるでしょう。

コスト削減・生産性向上の相乗効果

棚卸担当の方であれば「年に数回しか実施しない実地棚卸の効率化が難しい」ことはよくご存知のはず。一方で、棚卸のスペシャリストに作業を依頼できる「棚卸代行サービス」なら、慣れない自社従業員が作業するよりも圧倒的に高い効率性を期待でき、結果的に作業コスト削減を実現できるメリットが得られます。

24時間オープンの店舗であっても、棚卸代行サービスならば営業中の作業も可能なため、店舗を休業することによる機会損失も避けられます。必要な作業のコストを抑えながら、従業員を本業に集中させることによる生産性向上の相乗効果が得られます。

棚卸作業の精度を高められる

スペシャリストに作業を依頼できる棚卸代行サービスの効果はそれだけではありません。効率化と同時に正確性にも優れるため、棚卸作業でありがちな「カウントし忘れ」「カウント間違え」などを最小限にとどめた精度の高い棚卸作業を実現できます。

棚卸代行サービスなら、高い効率性によって棚卸作業のスピードが高まるだけでなく、精度の高さによる「棚卸作業のやり直し」などの不効率な作業を避けられるメリットが得られます。

棚卸代行の利用で監査に有効な客観性を担保できる

法人・事業所の活動においてコンプライアンスが重視される傾向にある現代では、棚卸に関しても客観性を求められる場合が少なくありません。株式上場を検討している法人であれば、会社の財務状況をステークホルダーに公開するためにも「実地棚卸」の客観性担保は課題のひとつです。

こうした場合にも、棚卸代行サービスの利用は非常に理にかなっているといえるでしょう。第三者の目で棚卸を実施する棚卸代行サービスは、監査にも有効な客観性を担保できるメリットがあるからです。

棚卸代行サービスを利用する際の注意点

棚卸代行サービスの利用には多くのメリットがありますが、利用するにあたっての注意点がないわけではありません。とにかく、大変な作業である棚卸の負担を軽減したい、そのために棚卸代行サービスを利用したい、というはやる気持ちがあっても、一度冷静に自社の体制を見直す必要があります。

帳簿棚卸・在庫管理の整備・実施が前提

棚卸を実施するときに毎回「実在庫と理論在庫が大幅に異なっている」問題が生じている場合があります。

この場合、棚卸代行サービスの利用を検討する以前に、在庫管理システムを導入する(使いやすいシステムに変更する)、オペレーションを徹底させるための従業員教育を徹底するなどの対策が必要です。倉庫の在庫管理がうまくいっていないようなら、3PL(サードパーティロジスティクス)の利用を検討するのも方法です。

依頼内容や業種・在庫の種類・規模で費用は変動する

棚卸代行サービスでは、小売業や製造業などの業種、在庫の種類や在庫数の規模に応じた単価を設定し、実地棚卸の点数に応じて費用が決まることが一般的です。

  • 棚卸代行サービスの費用 =(依頼側の業種・在庫状況に応じた単価)×(実地棚卸でのカウント数)

もちろん、これは「実地棚卸のみ」を依頼した場合の費用です。棚卸代行業者は、棚卸に関連するさまざまな付帯サービスも提供しており、これらのサービスを利用するのであれば当然「費用総額」は高くなります。

たとえば、帳簿棚卸・在庫管理がうまくいっていない企業であれば、実地棚卸の準備にかかる手間・作業が通常よりも多くなると考えられます。別料金として請求されることはなくても、それは「単価」に反映されることになるでしょう。こうしたさまざまな要因で、棚卸代行サービスの費用は大きく変動する可能性があるのです。

棚卸代行業者を選定する際のポイント

日本全国に対応できる棚卸代行業者はそれほど多くありませんが、地域密着型でサービスを提供する棚卸代行業者も少なからず存在します。それでは、自社のニーズに合致した優良な棚卸代行業者を選定するには、どのようなことに注意すればいいのか?以下から、ヒントとなるポイントをいくつか紹介していきます。

  • アウトソーシングの目的・依頼の範囲を明確にする
  • 棚卸代行業者の得意分野・業種を見極める
  • 3〜4社程度から見積もりを取って検討する

アウトソーシングの目的・依頼の範囲を明確にする

まずは、棚卸をアウトソーシングする目的、およびどのようなサービスを利用したいのか?依頼する範囲を明確にすることが大切です。

たとえば、棚卸機能のある在庫管理システムであれば、実地棚卸は「カウントするだけ」で完了します。在庫数の多くない企業であればそれだけで事足りてしまうでしょう。自社課題を見極めれば、そもそも棚卸代行サービスを必要としないこともあるからです。

棚卸代行業者の得意分野・業種を見極める

検討の結果、棚卸代行サービスが必要だと判断した場合、棚卸代行業者の得意分野・業種を見極めながら候補先を絞り込んでいくことがポイント。なぜなら、在庫棚卸と資産棚卸では勝手が異なることが多く、小売業と製造業ではカウントする棚卸資産が異なるからです。

棚卸代行業者の特徴を見極めて候補先を絞り込むためにも、アウトソーシングの目的と依頼範囲を明確にしておくことが重要です。

3〜4社程度から見積もりを取って検討する

ピックアップした候補先を自社ニーズに合致する3〜4社程度に絞り込み、それぞれから同じ条件で見積もりを取って比較検討しましょう。相見積もりをとることで、見積もり金額を比較できるだけでなく、各社の対応・提案も比較できるからです。

作業自体はシンプルな実地棚卸ですが、棚卸では事前準備・事後の修正・処理が重要です。効率的かつリーズナブルにサービスを提供してくれる代行会社の方が有益であるのは明らかでしょう。

おすすめの棚卸代行サービス2選

依頼するメリット、依頼できること、業者選定のポイントなど、知っておきたい棚卸代行サービスの基礎知識を理解できたところで、おすすめの棚卸代行業者を2社ほど紹介しておきます。/p>

株式会社エイジス(在庫棚卸・資産棚卸・コンサルティング)

1-6

出典:株式会社エイジス

株式会社エイジスは、千葉県千葉市に本社を構え、実地棚卸サービス・流通業周辺サービス事業を展開する棚卸代行業者です。小売店・スーパー・コンビニ向けの店舗棚卸から、メーカー・卸業向けの物流倉庫棚卸、書店・図書館向けの蔵書点検棚卸、資産棚卸まで、豊富なメニューを誇る日本を代表する一社。棚卸コンサルティングはもちろん、ロスプリベンションにも対応しています。

アセットインベントリー株式会社(在庫棚卸・資産棚卸・コンサルティング)

2-6

参照元:アセットインベントリー株式会社

アセットインベントリー株式会社は、千葉県柏市に本社を構え、棚卸代行サービスのほかに介護予防事業なども展開する棚卸代行業者です。小売・情報通信・官公庁・物流・製造・医療などを含む、さまざまな業界の実地棚卸に対応し、スーパー・コンビニ大手を含む30年、1,000社以上の豊富な実績を誇ります。資産棚卸はもちろん、コンサルティングサービスや棚卸機材のレンタルサービスも提供しています。

まとめ

棚卸の基本をおさらいするとともに、棚卸代行サービスに依頼できること、業者の選定ポイントなどを解説しました。

棚卸に関する課題は、代行サービスの利用だけでは解決できないこともあります。代行費用だけではなく、今後の業務効率化も視野に入れ、適切なアドバイスのできる棚卸代行業者を選定することが重要です。

そんなとき「比較ビズ」なら、必要事項を入力する2分程度の手間で、優良な棚卸代行業者をスピーディーに探せます。どの棚卸代行業者に相談すべきなのか?迷うようなことがあれば、是非利用してみてください。

監修者のコメント
みんなの貿易相談室
台田雄樹

国際輸送分野に8年間従事。東証上場の総合物流企業で、国際一貫輸送業務を中心に7年間携わる。通関士として航空貨物の通関業務も行う。またミャンマーへ6ヵ月間駐在し、現地の物流事情の調査や営業も経験する。その後大手自動車部品メーカーへ転職。現在は国内、海外工場間の国際輸送業務、及び貿易企画に従事する。北南米、中国、ベトナム、フィリピンの輸送を担当。日本と海外拠点間だけでなく、海外拠点同士の輸送管理も行っている。

棚卸代行で得られる最大のメリットは業務の負担軽減にあります。特に多品種、大量の在庫を抱える業者にとっては非常に棚卸し作業は手間となり、かなりの時間を要します。従業員の負担や人件費を考えると、代行依頼をするのは必要経費ともいえます。

業態によっては営業時間後に棚卸しを実施している企業もありますが、働き方改革が進む現代では、従業員を長時間拘束して実施するのは会社に対して不満を募らせる一要因にもなります。また、正確な棚卸を行うには、在庫管理の精度も高くなければなりません。

自社で在庫管理をするのであれば、エクセル上で管理するのか、倉庫管理システム(WMS)を活用するのか、取り扱う商品の種類や入出荷状況を踏まえて検討しましょう。保管を外注する場合は、外注先がどのような在庫管理システムを導入しているのか、貨物の取り扱いを依頼する前に確認しておきましょう。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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