外注費と混同しやすい3つの勘定科目は?仕訳例や給与に指摘されるケースを解説

竹中啓倫税理士事務所
監修者
竹中啓倫税理士事務所 税理士・米国税理士・認定心理士 竹中啓倫
最終更新日:2024年03月04日
外注費と混同しやすい3つの勘定科目は?仕訳例や給与に指摘されるケースを解説
この記事で解決できるお悩み
  • 「外注費」として仕訳するものは?
  • 外注費と混同しやすい勘定科目には何がある?
  • 税務調査で指摘された場合の影響は?

外注費とは業務を外部委託したときに発生する費用です。外注費は支払手数料や給与など他の勘定科目と混同されやすいため注意しましょう。正確に処理しなかった場合、源泉徴収や消費税の取り扱いを誤り、税務調査で指摘される可能性があります。

この記事では、経理担当者や個人事業主に向けて、適切な勘定科目や税務上の留意点を解説します。記事を読み終わる頃には、外注費の会計処理に関する不安を解消できているでしょう。

「法人と個人における外注費の適切な取り扱い方を知りたい」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

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外注費とは業務を外部委託したときに発生する費用

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外注費とは、企業や個人事業主が外部に業務を委託した際に生じる費用のことです。業務請負契約や業務委託契約を締結し、外部に仕事を発注した場合に外注費が発生します。

外注費として計上できるケースは、以下のとおりです。

  • コールセンターの業務を外部委託したときの費用
  • WEBサイトのデザインを依頼したときの費用
  • 事務所の警備や清掃を委託したときの費用
  • 経理業務の一部をアウトソーシングしたときの費用

上記の費用は、人材派遣費や支払手数料など別の勘定科目を使用することもあります。

外注費の計上方法と具体的な仕訳例

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外注費の計上方法と具体的な仕訳例を紹介します。

  • 法人に外注費を支払った場合
  • 個人に外注費を支払った場合

法人に外注費を支払った場合

法人に外注費を支払う場合、一般的に所得税の源泉徴収は不要です。源泉徴収とは、給与や報酬を支払う側が所定の金額を差し引き、報酬を受け取る者に代わり納税する制度です。外注費は確定申告の際「外注工賃」として仕分けます。

下記は、コールセンター業務を月額200万円で外部企業に委託した場合の事例です。

借方 貸方
外注費 2,000,000円 普通預金 2,000,000円

現金で200万円を支払った場合、借り方勘定に「外注賃 200万円」相手方である貸し方勘定に「普通預金 200万円」と処理します。

個人に外注費を支払った場合

個人事業主に外注費を支払った場合は、源泉徴収が発生します。外注費の支払金額によって源泉徴収税額の計算方法が異なります。源泉徴収した所得税は支払側が預かり、税務署に納めます。

支払金額が100万円以下 支払金額の10.21%を源泉徴収
支払金額が100万円以上 100万円を超過した分の20.42%と102,100円の合計を源泉徴収

参照:国税庁「No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき」

下記は、フリーランスのデザイナーに請負業務を月額50万円で委託した場合の事例です。

借方 貸方
外注費 500,000円 普通預金 448,950円
預り金 51,050円

参照:国税庁「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」

報酬が100万円未満のため源泉徴収税額は、デザイン料の50万円に税率10.21%を乗じた金額5万1,050円です。デザイナーへの支払い金額は、源泉徴収税額を差し引いた44万8,950円を支払います。

外注費と混同しやすい勘定科目

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外注費と混同しやすい勘定科目には次の3つがあります。

  1. 支払手数料
  2. 販売手数料
  3. 給与

1. 支払手数料

支払手数料は、税理士や弁護士などの専門家に仕事を依頼する際に生じる費用です。たとえば、顧問税理士や専門家のサービスを利用する際には外注費ではなく「支払手数料」として計上します。

「支払手数料」に該当する費用は、下記があります。

  • 税理士や弁護士への報酬
  • 仲介手数料
  • 登録手数料
  • 解約手数料
  • 証明書の発行手数料

専門性の高い業務は「支払報酬」の勘定科目を使用するケースもあります。「支払報酬」は「支払手数料」の一部であり、税理士や弁護士への支払いは源泉徴収の対象となります。

支払手数料 取引に関する手数料や報酬の総称
支払報酬 源泉徴収の対象となる業務に対する対価

個人事業主への支払いの場合は、源泉徴収の義務が生じるため、依頼先に確認しましょう。

2. 販売手数料

「販売手数料」は、販売代理店や仲介業者へ依頼し、商品の販促やプロモーションを行う場合の勘定科目です。売上に直接影響する経費のため、勘定科目は「販売促進費」で計上します。

たとえば、グッズの制作やサンプル配布の費用は、商品を直接的に宣伝する目的であるため「販売促進費」として計上されます。

代表的な「販売促進費」として以下のものが挙げられます。

  • グッズ製作費
  • キャンペーン
  • クーポン
  • サンプル配布
  • イベント開催

「販売促進費」と混同されやすい勘定科目に「広告宣伝費」があります。それぞれの特徴は下記のとおりです。

販売促進費 直接的な宣伝にかかる費用
広告宣伝費 情報媒体を使った間接的な宣伝にかかる費用

「広告宣伝費」は、情報媒体を使用した間接的な宣伝にかかる費用です。テレビCMやパンフレット制作代、ホームページ制作代などが該当します。

3. 給与

給与は、自社の従業員として業務を遂行していると判断された場合に該当します。外注費として計上されるべき業務が、従業員の業務とみなされる場合は、給与として処理されます。給与として認識された場合は、税金の対象や計算方法が変わり、追加の支払いが必要となるため注意が必要です。

外注費と給与の違いは以下の表のとおりです。

  外注費 給与
消費税の仕入税額控除 対象 対象外
源泉所得税 基本は対象外。対象となる報酬は限られている 対象
社会保険料加入義務 なし あり

外注費は一部の場合を除いて、発注側に源泉徴収の義務がありません。仕入税額控除を利用できるため、消費税を節税できる効果があります。

外注費が給与と指摘された場合の影響

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外注費が給与と指摘された場合に受ける影響として、次の3つが挙げられます。

  1. 源泉所得税の支払い
  2. 仕入消費税の支払い
  3. 延滞税や加算税の支払い

1. 源泉所得税の支払い

外注費が給与と見なされた場合、源泉所得税の徴収漏れが発生し、追徴課税が必要となります。たとえば、外注費として毎月支払っていた費用80万円が給与とみなされた場合、源泉所得税の徴収漏れは1カ月で8万1,680円です。

1年契約で支払っていた場合、合計98万160円を改めて納税することとなります。源泉所得税の支払い以外にも、社会保険料の支払い義務が発生するため、合計で支払う金額がさらに増えるでしょう。

2. 仕入消費税の支払い

外注費が給与として認められた後から源泉所得税を課税された場合、仕入税額控除の対象であった消費税の全額が否認されます。消費税の控除ができなくなり納税が必要です。

たとえば、税込500万円の外注費が給与として認められた場合、消費税額分の約45万円は控除の対象になりません。

計算式は下記のとおりです。

税込金額−(税込金額÷1.1)=消費税額

500万円−(500万円÷1.1)=45万4,545円

3. 延滞税や加算税の支払い

外注費が従業員の給与とみなされた場合、遅延や不足税金に関するペナルティが課せられます。後から外注費が給与として認められた場合は、下記の課税義務が発生します。

  1. 過少申告加算税
  2. 不納付加算税
  3. 延滞税

それぞれの内容をくわしく解説します。

1. 過少申告加算税

過少申告加算税は、確定申告において、申請した納税額が実際より少ない場合に課せられる加算税の一種です。

  追加税額50万円未満 追加税額50万円以上
事前通知後から税務調査までの期間 5% 10%
税務調査後 10% 15%

参照:国税通則法第六十五条

2. 不納付加算税

不納付加算税は、源泉所得税の納付が行われなかった場合に支払う加算税です。納期限を過ぎたあと自主的な納付をした場合は5%、税務署の指摘により納付した場合は10%の追加納付が必要です。

税務署の事前通知前 5%
事前通知以降 10%

参照:国税通則法第六十七条

3. 延滞税

延滞税は、法定納付期限までに支払われるべき税金を納付していない場合に発生する課税です。

納期限から2カ月以内 年率7.3%
納期限から2カ月以降 年率14.6%
納期限から2カ月以内
特例:令和3年1月1日〜12月31日
年率2.5%
納期限から2カ月以降
特例:令和3年1月1日〜12月31日
年率8.8%

参照:国税庁「延滞税の計算方法」

納めるべき税額が不足していた場合にも延滞税が発生します。延滞税は、税金の納付期限の翌日から完納されるまでの日数を基に計算されます。本税が1万円に満たない場合は、延滞税は発生しません。

税務調査で指摘を受けないための3つの注意ポイント

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税務調査で指摘を受けないためには、下記3つの点に注意が必要です。

  1. 委託事業者と給与所得者を明確に分ける
  2. 源泉徴収の対象となる報酬かを確認する
  3. 請求書を必ず提出してもらう

1. 委託事業者と給与所得者を明確に分ける

外注費を支払う際は、委託事業者と給与所得者を明確に区別することが重要です。支払い相手が従業員であるか個人事業者であるかは税務調査で注目されるポイントです。

委託事業者か給与所得者の違いには次が挙げられます。

委託事業者 給与所得者
契約 請負契約 雇用契約
雇用 事業者 給与所得者
業務代替の可否 可能 不可
具体的な業務命令 受けない 受ける
用具や材料の供与 なし あり

誤った処理は追徴課税を招くため、契約の性質や業務形態、業務遂行など明確に判別しましょう。

2. 源泉徴収の対象となる報酬かを確認する

税務調査で指摘を受けないためには、源泉徴収の対象となる報酬かを確認しましょう。通常、外注費は源泉徴収の対象ではありませんが、原稿報酬やデザイン報酬など一定の報酬は源泉徴収の対象となるため手続きが必要です。

源泉徴収の対象となる外注費は次が挙げられます。

  • 作曲の報酬
  • 挿絵の報酬
  • デザイン報酬
  • 書籍の装丁の報酬
  • 映像作品などの吹き込みの報酬
  • 翻訳の報酬
  • 技芸やスポーツなどの教授の報酬
  • 講演料
  • 著作権の使用料

参照:国税庁〔原稿等の報酬又は料金(第1号関係)〕

3. 請求書を必ず提出してもらう

税務調査の指摘を回避するためには、請求書を必ず提出してもらいましょう。外注先からの請求書は、税務調査の際、証拠資料として有効になるためです。

確実な記録であることを証明するためには、請求書を受け取ることが重要です。業務委託時には請求書の発行を促し、税務問題やトラブルを未然に防ぎましょう。

まとめ

外注費は、外部に仕事を発注した場合に支払われる費用です。外注費は支払手数料や販売手数料、給与と混同しやすいため、業務の背景を正しく理解する必要があります。正確に処理しなかった場合、税務調査で指摘されたり、延滞税や加算税の支払いが発生したりします。

適切な確定申告を行うためには帳簿への記入や会計知識が求められます。経費計上に関しては専門家である税理士に相談することがおすすめです。

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監修者のコメント
竹中啓倫税理士事務所
税理士・米国税理士・認定心理士 竹中啓倫

岐阜県出身。上場会社の経理に勤務する傍ら、竹中啓倫税理士事務所の代表を務める。M&Aなどの事業再編を得意とし、セミナーや研修会講師にも数多くあたるほか、医療分野にも造詣が深く、自ら心理カウンセラーとして、心の悩みにも答えている。税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。

個人事業で行ってみえたり、個人事業者と取引を行う場合に注意すべき点は、源泉徴収の問題と消費税課税の問題です。個人事業者に対して、外注費を支払う必要があるのかないのかを確認することが重要です。

仮に、相手が源泉徴収の必要がないから全額支払ってください、といわれたとしても、本当に必要ないかは確認するようにしてください。本当は源泉徴収する必要があった場合は、源泉徴収義務があるあなたが、源泉税の負担をしなければならなくなる可能性があります。

名目は外注費であっても、その実態が給与であると認定された場合、あなたが原則課税で消費税事業者であった場合、この外注費(実は給与)に対応する消費税額はあなたは修正申告をして支払わなければならない場合があります。自分の目で確認してください。わからない場合は税理士にご確認下さい。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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