中国で越境ECをする際の規制を徹底解説!違反しないポイントも紹介!
- 中国での越境ECをするときの規制には何がある?
- 中国での越境ECで守らなければいけないことは?
- 中国で越境ECを成功させるポイントは?
中国で越境ECをする場合、中華人民共和国電子商取引法以外にも規制があります。
この記事では、中国での越境ECを考えている方に向けて、中国での越境ECについての規制を徹底解説します。
規制に違反しないポイントも紹介するので、すでに中国で越境ECをしていて法律に違反していないか知りたい方も、ぜひ参考にしてください。
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中国の越境ECにおいて守るべき5つの規制
中国では、2016年施行の「越境EC輸入販売政策」により、越境ECに対する門戸が大幅に広がりました。それにともない、2019年の「中華人民共和国電子商取引法」を筆頭に、越境ECに対する規制が整備されています。
越境EC輸入販売政策施行により整備された法律等は、次の5項目です。
- 中華人民共和国電子商取引法(通称:電子商務法)
- 越境電子商取引の小売輸入の監督管理業務の改善に関する通知
- 越境EC小売輸出入商品に係る監督管理事項に関する公告
- 中華人民共和国サイバーセキュリティ法
- 輸出品の規制
いずれも、日本から中国に越境ECを行う際に守るべきことです。しっかり頭に入れておきましょう。
1. 中華人民共和国電子商取引法(通称:電子商務法)
「中華人民共和国電子商取引法」は、2019年に施行された中国初の電子商取引の法律です。日本では「電子商務法」「電商法」と呼ばれています。
中国で越境ECをする際の、主な電子商務法の規定を4つ紹介します。
- 市場主体登記・行政許可の義務付け
- 営業許可
- 虚偽宣伝や抱き合わせ販売の禁止
- 電子商取引プラットフォーム経営者に関する規定
市場主体登記・行政許可の義務付け
電子商務法10条では、原則として電子商取引経営者は市場主体登記を行うことが義務づけられています。市場主体とは「中華人民共和国の領土内で営利目的の事業活動に従事する自然人、法人、非法人組織」です。自然人等の中に、越境EC事業者も含まれます。
参照:中華人民共和国国務院令第2条|中華人民共和国中央人民政府
個人で事業をする場合で、次に該当するケースでは主体登記は不要です。
- 個人が自家の農業副製品、家内制手工業を販売する場合
- 個人が自分の技能を利用して、法に従い、許可のいらない大衆に便利な労務活動や零細で小額な取引活動に従事する場合
- 法律や行政法規に従い登記を必要としない場合
電子商務法12条では、電子商取引経営者は、行政許可が必要な場合は行政許可を取ることが規定されています。
営業許可
日本では、特定商取引法(特商法)に基づき、氏名や屋号、販売方法や決済方法、返品についてホームページに明記する規定があります。
中国でも同様です。電子商務法15条に基づき、営業許可証や行政許可情報などをホームページに記載する必要があります。
第十五条 電子商取引経営者はそのホームページの目立つ位置に、営業許可証情報、その経営業務に関連する行政許可情報、本法第十条に規定する市場主体登記を必要としない状況に該当する等の情報、又は上記情報のリンク標識を継続的に公示しなければならない。前項に規定した情報に変更が生じた場合、電子商取引経営者は公示情報を直ちに更新しなければならない。
引用:中華人民共和国電子商取引法 |日本貿易振興機構(ジェトロ)
中国の電子商務法では、目立つ位置での記載が義務付けられている点が特商法と違うため、注意が必要です。違反した場合は、2万元〜10万元以下の罰金が科される可能性があります。
虚偽宣伝や抱き合わせ販売の禁止
電子商務法17条は、商品の情報を全面的に開示することで、消費者の権利を保障する義務の規定です。同時に、消費者の誤解を招く虚偽宣伝が禁止されています。
同法19条は、商品は抱き合わせ販売を基本としてはならない規定です。 抱き合わせ販売をする際は、目立つ方式で消費者に伝える必要があります。
19条に違反した抱き合わせ販売をした場合、抱き合わせ販売の所得を没収したうえで、5万元〜20万元の罰金です。深刻なケースだと、さらに20万元〜50万元の罰金が併科されてしまいます。
電子商取引プラットフォーム経営者に関する規定
電子商務法26条では、以下のように定められています。
電子商取引経営者はクロスボーダー電子商取引に従事する場合、輸出入監督管理の法律、行政法規及び国の関連規定を遵守しなければならない。
引用:中華人民共和国電子商取引法 |日本貿易振興機構(ジェトロ)
クロスボーダー電子商取引とは、越境ECのことです。越境ECをする場合は、中国の法律や規定に従うことが規定されています。
電子商務法27条〜46条は、ECプラットフォームを経営する場合のプラットフォームについて、細かく規定されています。自分でサイトを構築する場合は、電子商務法27条から46条をよく見ておきましょう。
2. 越境電子商取引の小売輸入の監督管理業務の改善に関する通知
「越境電子商取引の小売輸入の監督管理業務の改善に関する通知」は、越境EC小売輸入における当事者の義務を定めた通知です。当事者とは、越境EC企業、越境ECプラットフォーム経営者、中国国内のサービス業者、消費者を指します。
日本における対象者は、越境EC企業と越境ECプラットフォーム経営者です。
越境EC企業に対する義務
「越境電子商取引の小売輸入の監督管理業務の改善に関する通知」では、越境EC企業に対する義務が6点定められています。
- 製品の品質と安全性に対する主要な責任
- 消費者の権利保護に対する責任
- 商品注文ページもしくは目立つ位置にリスク通知書を掲載
- 製品の品質および安全リスクの防止および管理メカニズムの確立
- 品質追跡システムの確立・改善
- 越境ECでの取引データを電子署名付きで税関にリアルタイムで送信する・代理人に送信を委託する
リスク通知書に記載する事項は、次の3点です。
- 原産地の基準や技術仕様を満たしている商品でも、中国の基準と異なる可能性があるため、リスクは消費者が自己責任で負う
- 商品は海外から直接購入したもので、中国語のラベルがない可能性があり、消費者はウェブサイト経由で中国語の電子ラベルを閲覧できる
- 商品は消費者の私的利用に限り、転売してはならない
中国における越境ECサイト経営では、目立つところにリスク告知書を記載する、取引データをリアルタイムで税関に送信するなど、日本でのECサイト経営と異なる義務が多くあります。中国で越境ECをする際は、義務をきちんと把握し、違反のないECサイトを作成することが大切です。
越境ECプラットフォーム経営者に対する義務
越境ECプラットフォーム経営者に対しては、次の義務が定められています。
- 中国国内での工商登録と税関に登録登記
- 越境ECでの取引データを電子署名付きで税関にリアルタイムで送信
- 管理システムやリスク管理体制の確立
中国で越境ECプラットフォームを経営する場合は、市場主体登記だけでなく、税関への登録登記も必要です。税関への登録登記義務は、越境EC企業に対する義務には掲載されていないため、登記し忘れには気をつけましょう。
3. 越境EC小売輸出入商品に係る監督管理事項に関する公告
「越境EC小売輸出入商品に係る監督管理事項に関する公告」こと「194号広告」では、越境ECを行う企業は税関監督の対象となり、税関で登録手続きを行うことが定められています。
中国税関に登録を行うと、企業の信用状況に基づいて信用等級が認定されます。信用等級は高級認証企業・一般認証企業・一般信用企業・信用喪失企業の4種類です。高級認証企業・一般認証企業は「認証企業」と呼ばれ、税関での優遇措置を受けられます。
取り扱う商品の税金についても規定があります。課税対象は、運送料及び保険料を含んだ売買価格に対して、関税・増値税・消費税がかかる旨が明記されています。
参照:税関総署より「越境EC小売り輸出入商品の監督管理に関する公告」が公布|中国規制データバンク
4. 中華人民共和国サイバーセキュリティ法
中国でECサイトを運営する場合「中華人民共和国サイバーセキュリティ法」(以下中国サイバーセキュリティ法)の対象となります。
中国サイバーセキュリティ法では、安全のランク保護制度を実施する旨が定められています。ランク保護制度は「サイバーセキュリティ等級保護条例」により規定されているものです。
損害を与える対象や損害の程度に応じて、自分たちのECサイトがどのセキュリティレベルかを自社で設定し、等級に応じたセキュリティ対策を講じる必要があります。
セキュリティレベルは1級〜5級まであり、5級が一番厳しいです。自社のセキュリティレベルが2級以上に該当する場合は、公安委員会に届け出をし、第三者評価機関による審査を受けなければいけません。
損害を与える対象や損害の程度で決まる等級は、次のとおりです。
一般的な損害 | 重大な損害 | 特に重大な損害 | |
---|---|---|---|
国民や法人対象 | 1級 | 2級 | 3級 |
社会秩序や公共の利益が対象 | 2級 | 3級 | 4級 |
国家安全が対象 | 3級 | 4級 | 5級 |
中国で越境ECをするにあたっては、自分たちのECサイトがどのレベルに該当するか確認し、等級に合ったセキュリティ対策を講じるようにしましょう。
5. 輸出品の規制
中国で越境ECを行う際は、輸出品の規制も守らなければいけません。
中国は、武器や劇薬だけでなく「中国の政治、経済、文化、道徳に危害を加える」印刷物や録音物が輸入禁止とされています。
農産物の輸入にも、細かく制限があります。東日本大震災以降、福島県、宮城県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都産の全ての食品・飼料が輸出停止となっています。
新潟県産の食品は、上記9都県で生産していない証明が取れれば、米のみ輸出可能です。
参照:東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う諸外国・地域の輸入規制への対応|農林水産省
各国の法律で、輸入していいものと良くないものが細かく決められています。取り扱いたい商品が輸出できるかどうか、必ず事前に確認しておきましょう。
越境ECと輸出の違いは関税比率や検査の優遇度合
中国で保税区越境ECをはじめるにあたり認証企業として登録されると、194条広告により、ポジティブリストに掲載された商品に限り関税・増値税・消費税が一定額優遇されます。輸入通関も個人名義で可能となり、規制が緩やかになります。
一方、輸出は一般貿易となります。電子商取引ではないので、電子商務法や各種規制の対象外です。従って、各種税制や税関での優遇はありません。通関の際もライセンスが必須となります。
越境ECと輸出の違いは、こちらの表を参考にしてください。
輸出(一般貿易) | 越境EC(保税区を利用した場合) | |
---|---|---|
関税 | 17%、11%、6%、3%の4段階 | なし |
増値税 | 13% | 一般貿易の70% |
消費税 | 特定の商品に課税 | 一般貿易の70% |
購入金額の制限 | なし | 1回の取引金額が5,000元以内かつ個人の年間取引金額の合計が26,000元以内 ※制限を超えた分は一般貿易と同じ税率 |
通関 | 輸入ライセンスを持った企業が行う | 一般消費者の個人名義 ライセンス不要 |
ポジティブリストについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
まとめ
中国での越境ECを行う際は、遵守すべき法律や通知、告示について理解することが大切です。中国の法令に関する日本語の情報は少ないため、理解しづらい面も多くあるでしょう。
自分で越境ECを行うのが大変な場合は、中国の越境EC事情に詳しいサイト制作会社への外注という方法もあります。
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一つはECサイトプラットフォームへの出店です。中国では天猫(Tmall)や京東(JD)といったサイトがあります。これらのサイトに出店するためには、厳しい審査に通る必要があり、さらに高額な初期費用や年会費などがかかります。その代わりにプラットフォーム自体の集客力を利用できるメリットがあります。
もう一つは自社ECサイトを制作する方法です。審査への通過が難しい場合にはこちらの方法を取ることになるでしょう。越境ECに対応したカートシステムのShopifyなどを利用すれば、比較的少ない工数で中国語対応や、中国でよく使われている決済方法を導入することが可能です。
プラットフォームのような集客力はないため、広告の出稿や中国で利用できるSNSなどを利用して集客できるよう、運用のための予算も大きく必要となってきます。
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もしも今現在、
- どのECプラットフォームが適切かわからない
- 継続的な運用・更新ができるか不安
- ECサイトへの流入が増えない
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