下水道工事の費用相場は?工事を行う4つのメリットや工事の流れを解説!

 SD住宅相談室
監修者
SD住宅相談室 花沢 雅樹
最終更新日:2024年02月02日
下水道工事の費用相場は?工事を行う4つのメリットや工事の流れを解説!
この記事で解決できるお悩み
  • 下水道工事の費用相場はいくら?
  • 下水道工事の費用が高額になるケースは?
  • 下水道工事のメリットは何?

下水道工事の費用相場は、1mあたり1万5,000円〜2万円です。工事内容ごとの目安は、新築住宅は30万円〜100万円、浄化槽から下水道への切り替え工事は20万円〜30万円です。

この記事では、下水道工事を検討している方へ向けて、下水道工事にかかる費用、下水道工事のメリット、業者選びのポイントなどを解説します。記事を読み終わった頃には、工事の全体的な流れをイメージできるでしょう。

「水まわりの環境を改善したい」「下水道工事の大まかな流れや費用は?」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

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下水道工事の主な2つの種類

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下水道工事には、主に2つの種類があります。以下の2つの下水道工事はどちらも、悪臭や浸水、下水のあふれなどの不快な状況を防ぎます。

  1. 公共下水道工事
  2. 排水設備工事

下水道工事は、公共の健康と環境を守るために重要であり、都市や地域全体の衛生基準を維持するために必要不可欠です。

1. 公共下水道工事

公共下水道工事とは、道路の地中に下水道管を布設し、浄化センターまで接続する工事です。地域・エリアを管轄する地方自治体が実施する工事で、工事費用も自治体が負担します。

公共下水道工事は下水道管の布設だけではなく「公共マス」の設置まで含まれる場合が一般的です。

公共マスとは、各家庭の台所やトイレ、お風呂などの排水を下水道管へ流す取付管がつまったときに作業するための重要な設備です。原則1宅地に1個、道路との境界付近に設置されています。

2. 排水設備工事

排水設備工事とは、家屋内の排水口から公共マスに接続するまで、排水管や汚水マスを設置する工事のことです。下水道を利用するには、公共マスへ接続する排水設備工事は不可欠です。

住宅新築の場合は、排水管・汚水マスの設置を含めた排水設備工事が必要となります。

公共マスから下水道管までは地方自治体が管理しますが、公共マスまでの排水設備工事は建物の所有者が自治体指定の排水設備工事事業者に依頼しなければなりません。工事費用も所有者の負担となります。

下水道工事(排水設備工事)の費用相場4パターン

下水道工事の費用相場は、工事の種類や建物の状況により変化します。下水道工事の種類ごとにかかる費用を紹介します。

  1. 下水道工事費用の相場は1mあたり1万5,000円〜2万円
  2. 新築住宅の下水道工事は30万円〜100万円
  3. 浄化槽から下水道への切り替え工事は20万円〜30万円
  4. 汲み取り式トイレから下水道への切り替え工事は60万円〜100万円

工事の費用は、地域や施工業者・具体的な状況によって異なる可能性があります。工事の複雑さや必要な設備の種類などが費用に影響を与えるため、正確な見積もりを得るためには、専門家からの見積もりを比較することが重要です。

1. 下水道工事費用の相場は1mあたり1万5,000円〜2万円

下水道工事費用の相場は、1mあたり1万5,000円〜2万円です。たとえば、下水道引き込み工事を30m行う場合、45万円〜60万円の費用がかかります。

下水道工事の費用相場は、家や敷地内の汚水マスと下水道本管の距離に大きく左右されます。「家と下水道本管の距離が長い」「汚水マスが道路と反対側にある」などのケースは下水道工事の費用が高額になるでしょう。

2. 新築住宅の下水道工事は30万円〜100万円

新築住宅に下水道を引き込む工事の場合、排水管・汚水マスの設置を含む排水工事を実施する必要があるため、30万円〜100万円の費用がかかります。

下水道本管に接続するために道路の舗装をはがして掘り返す作業も含まれ、費用がさらに高額になることもあるでしょう。

新築住宅の場合、下水道工事だけではなく水道メーターから上水道を引き込む給水工事も必要です。上水道・下水道を屋外配管と接続する給排水工事も必須であるため、予算の取り分けが必要になります。

3. 浄化槽から下水道への切り替え工事は20万円〜30万円

浄化槽から下水道への切り替え工事を行う場合、費用相場は20万円〜30万円です。浄化槽を使用していてもトイレは水栓になっているため、浄化槽への排水管を公共マスに切り替える工事だけで済みます。浄化槽の撤去費用は5万円前後、清掃費用が3万円前後です。

下水道へ切り替えるため、汚水マスや排水管の設置が必要になるケースでは、費用が高額になるのが一般的です。道路の舗装カットが含まれない工事でも30万円〜50万円、道路の掘り返しを含む工事では50万円以上の費用が必要です。

4. 汲み取り式トイレから下水道への切り替え工事は60万円〜100万円

汲み取り式トイレを使用している場合、下水道工事費用は60万円〜100万円です。汲み取り式のトイレでは、下水道工事に伴うトイレのリフォーム料金がかかります。

下水道がない地域では浄化槽設置型しか選択肢がありません。下水道が設置されている地域では下水道直結型にすることがもっともコストパフォーマンスのいい下水道工事です。

下水道工事の主な3つの工法

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下水道工事における主な工法は以下のとおりです。

  1. 開削工法
  2. 推進工法
  3. シールド工法

地下構造物の建設や下水道工事において使用され、地形や地質・プロジェクトの規模などに応じて適切な方法が選択されます。

1. 開削工法

地面を掘り下げて地下構造物を建設する方法です。通常、大規模な地下トンネルや地下管路を作る際に用いられます。掘削された地面は仮設支保工で補強され、作業領域が確保されます。

比較的伝統的で、地下の地質や状況によっては適していない場合もありますが、安定した構造物を作ることができるでしょう。

2. 推進工法

トンネルを掘る際に用いられる手法の1つであり、地下にトンネルを掘る際に、シールド(推進機械)を使って地盤を支えながら進める方法です。地盤を支える役割を果たすシールド内で作業員が作業を行います。

環境への影響が少なく、交通や周辺環境に与える影響が比較的少ないため、都市部や深い地下でのトンネル工事に適しています。

3. シールド工法

シールド工法は推進工法の1種であり、トンネルや地下管路を掘るために使用される工法です。地盤を支えるためのシールド(盾)と呼ばれる機械を使って地下を掘進します。作業員はシールド内で安全に作業を進め、地下構造物を構築します。

地質条件にあわせてさまざまなタイプのシールドが使われ、安全かつ効率的に作業を進めることができるでしょう。

下水道工事のメリット4つ

メリット

下水道工事を行うことには、以下の4つのメリットがあります。

  1. 衛生的になる
  2. 浄化槽の管理費用がなくなる
  3. 汚水の管理がしやすくなる
  4. トイレが使用しやすくなる

公共下水道に接続することで、衛生面や管理費用・環境への影響などに関する利点が生じます。

1. 衛生的になる

下水道工事を行えば、家や周囲がより衛生的になります。浄化槽を使用している場合、汚水の処理水を道路側溝に放流すると、住宅の近くに川や水路に、生活排水が垂れ流しになり水質汚染の原因となります。

下水道工事を行うことで、悪臭問題も解決されるでしょう。

2. 浄化槽の管理費用がなくなる

下水道工事により、浄化槽の管理が必要なくなり費用が軽減できます。浄化槽は年に3回以上の点検と1回以上の清掃が義務付けられており、5万円ほどの管理費用がかかります。

浄化槽の管理費用を何年間も支払い続けるより、下水道工事を行う方がコスト削減につながる場合もあるでしょう。

3. 汚水の管理がしやすくなる

下水道工事を行えば、汚水がすべて下水道本管から処理場に流れていくため個人で管理する必要はなくなります。下水道本管は地方自治体が管理しているため、個人の負担を大幅に削減できるでしょう。

下水道工事を行わないままでは「悪臭に悩まされる」「汚水が管理できない」などのデメリットがあります。処理水は放流されるため、環境汚染のおそれもあるでしょう。

4. トイレが使用しやすくなる

下水道工事により、トイレが格段に使用しやすくなります。汲み取り式トイレはもちろん「浄化槽でもトイレのにおいが気になる」「便座の管理が必要」などの不便を感じる方は少なくありません。

下水道工事を行うことで、便器の管理が不要になり、においも発生しなくなります。年配の方や幼児もトイレが使いやすくなり、生活の快適さが向上するでしょう。

公共下水道工事の流れ4ステップ

下水道工事や公共下水道工事の詳しい内容は以下のとおりです。

  1. 現地調査
  2. 工事説明会
  3. 工事着手
  4. 完成検査・下水道供用開始

舗装をカットしてから道路を掘り下げ、下水道管を敷設し、各家庭の敷地内に公共マスが設置することが基本的な流れです。

1. 現地調査

下水道工事で最初に行われるのが現地調査です。レーダ探査機を使い、水道管やガス管・通信管が埋設されていないか確認しなければなりません。どの部分に下水道本管を敷設するのか決定します。

下水道工事は大規模なものになるため、周辺の家屋や建築物への影響を最小限に抑えることも重要なポイントです。現地調査では、現場付近の写真を撮影して工事前後の影響を確認します。

2. 工事説明会

下水道工事の前に、近隣住民への説明会が行われるのが一般的です。長期にわたる工事や騒音・振動が発生することが予想される工事では、工事説明会で住民の理解を得ることが重要になります。

短期間で終わる工事や周囲に住宅がない地域での工事では、説明会が行われないこともあるでしょう。

3. 工事着手

現場調査と工事説明会が終わると、下水道工事に着手します。すでにガス管や水道管などが埋設されていることがわかっている場合、保護や移設を検討しなければなりません。

公共マスや汚水マスを近隣の敷地内に設置することが決まっていれば、事前に自治体に申請を出して許可を得る必要もあります。

4. 完成検査・下水道供用開始

下水道本管の埋設や公共マスの設置後は、保護したガス管や水道管を元の状態に戻し、道路を舗装し直して工事完了となります。検査員による完成検査が行われ、無事に検査に合格すると工事完了です。

下水道工事の完了後、実際に供用が開始されます。述べた手順は下水道法第9条に定められているもので、公共下水道工事では必ず踏まなければならない手順です。

排水設備工事の流れ4ステップ

排水設備工事も下水道工事の1種ですが、公共下水道工事が完了しないと着手できません。排水設備工事の流れを紹介します。

  1. 下水道工事会社の選定・契約
  2. 自治体へ宅内工事申請
  3. 宅内工事
  4. 完了報告・自治体検査

排水設備工事を行う際に通常実施される一般的な手順を把握しておくことで、工事会社の選定がスムーズにできるでしょう。地域や工事の種類によって異なる場合があるため、具体的な要件や地方の規制に基づいて手続きを行うことが重要です。

1. 下水道工事会社の選定・契約

排水設備工事の最初のステップは、下水道工事会社の選定と契約です。必ず自治体の指定を受ける「排水設備工事指定店」から選定しましょう。

指定店ではない場合、技術や専門知識の水準が一定ではない可能性があります。品質や安全性が保証されない場合があるためです。

価格設定を検討したうえで、類似のプロジェクトや実績の有無・口コミや評判を加味し、自分の条件にあう業者を見つけ契約を締結しましょう。

2. 自治体へ宅内工事申請

排水設備工事を行う場合、管轄している地方自治体に宅内工事申請を行わなければなりません。排水設備工事指定店として工事契約を交わした水道工事会社が代行してくれることが一般的です。

業者が申請を代行する場合でも、排水設備工事を依頼した人はどの申請が行われたのか確認しておくことが重要です。

3. 宅内工事

宅内工事の段階では、排水設備や配管システムの設置・修復・改良が行われます。新しい排水管の敷設・トイレやシンクの設置・必要な排水設備の取り付けなどが挙げられるでしょう。

工事は、契約に基づいて進められ、専門家や技術者が監督・実施します。

4. 完了報告・自治体検査

下水道工事終了後、業者が自治体に完了報告を行い、自治体の担当者が現地調査に向かいます。とくに問題なければ工事完了です。完了報告後の検査を行わない自治体もあります。具体的な流れを業者や担当者に確認しておきましょう。

すべての工事が完了した後に、業者に対して下水道料金の支払いを行います。

下水道工事を依頼する業者選びのポイント3つ

Business相談

下水道工事を依頼する際、業者選びは非常に重要です。下水道接続・切替工事を依頼できるのは、地方自治体の指定を受ける「排水設備工事指定店」に限られています。

排水設備工事指定店の認定を受けるには、排水設備工事責任技術者が1名以上在籍していなければいけないため、技術面の問題は通常発生しません。

顧客対応やアフターサポートなどを総合的に判断して、最適な下水道工事会社を選定することが不可欠です。下水道工事会社を選定する際に考慮すべきポイントを3つ紹介します。

  1. 工事対応エリアを確認する
  2. アフターサポートを確認する
  3. 相見積もりを取る

業者選びの際のチェック項目を用意しておくことで、自宅や施設の下水道工事を行う際に、信頼性の高い業者を選ぶ手助けとなります。

1. 工事対応エリアを確認する

下水道工事の業者選びでもっとも簡単な方法は、自治体が指定する排水設備工事指定店の対応エリア内で、自宅から近い業者をリストアップします。トラブルが発生した場合にすぐに助けを求めることができ、出張費用を抑えられます。

工事対応エリアを確認し、自宅からの距離を考慮に入れて業者を選びましょう。

2. アフターサポートを確認する

下水道工事の業者選びでは、アフターサポートの手厚さを確認することが重要です。どのアフターサポートを用意しているか、費用はどのくらいかかるのか確認しなければなりません。

排水設備工事は、敷地を掘り返して排水管・汚水マスを埋め戻す作業が必要になるため、トラブルがあった場合のアフターサポートが非常に重要です。排水設備工事の方法やリスク・起こり得るトラブルを含め、事前にていねいに説明してくれるなど、担当者の対応を見て業者を選びましょう。

3. 相見積もりを取る

下水道工事業者を選ぶ前に、相見積もりを取ることで失敗のリスクを減らせます。相見積もりとは、複数の下水道工事会社から見積もりを取り、比較・検討することです。下水道工事の費用相場もわかります。

作業ごとに明細の記載があるか、項目ごとの金額が適正かなど、見積書の内容も精査しましょう。「排水設備工事一式」と記載し、内訳の料金が明確でない業者は、利用を控えたほうがいいでしょう。

まとめ

下水道工事の費用相場は、1mあたり1万5,000円〜2万円で、下水道本管から汚水マスの距離や工事内容により大きく変わります。下水道工事を行うことで、衛生面や利便性の向上が期待できます。

施工業者を選ぶ際は、見積もりの細かさやアフターサポートの手厚さを考慮することが大切です。

「比較ビズ」では、必要事項を入力する2分程度の手間で、下水道工事に詳しい専門家をスピーディーに探せます。どの専門家に相談すべきなのか迷うようなことがあれば、ぜひ利用してみてください。

監修者のコメント
 SD住宅相談室
花沢 雅樹

宮城県の一級建築士事務所。建築物について調査・リフォーム設計・コンサルティングを行う。耐震性能、省エネ性能、劣化のしにくさ、維持管理のしやすさの観点にて、計画をされている設計内容を、図面や見積書のチェックなど、第三者視点にて中立な立場でアドバイスを行う。

下水道のない地域で現在ご使用のトイレが汲み取り式の場合は、排水処理設備を浄化槽へ交換をおすすめします。

これは、衛生的な理由や汲み取り費用がかかることのほか、最近では汲み取り式用の簡易水洗トイレが少なくなってきたこともあり、トイレに不具合が出たときに交換の選択肢が少なく、また、急ぎの修理が必要になった時に改修の方法が限定されるからです。

浄化槽の設置にはある程度の費用がかかりますが、自治体では補助金を交付しているケースも多いです。ただし、浄化槽も定期的に清掃が必要なため、維持管理に費用がかかります。以上のことから、下水道が整備されている地域であれば、できるだけ早い段階で排水設備を下水道に接続への変更をおすすめします。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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