遺産分割協議書って必要?相続トラブル回避のヒント
お金が絡むトラブルは根深く厄介です。遺産の分割となればなおさらのこと。こうしたこともあり、遺産分割に関するトラブルを防ぐために「遺産分割協議書」という書類があります。今回はこの書類が持つ役割や必要になるケース、作成しなかった場合に起こりうるトラブルの事例を分かりやすく解説していきましょう。
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遺産分割協議書とは
遺産分割協議書とは遺産分割の協議を行った際にその内容をまとめた書類のことです。遺産分割の必要が生じたときにはさまざまなトラブルが起こりうるもの、そんな時に内容を正式な書類の形でまとめるのです。
遺産相続・分割がトラブルに発展してしまう場合、どうしても「言った/言わない」の水掛け論が起こりやすくなります。以前の話し合いでは合意に達していた内容が一部の相続人の考えが変化することで覆されるといったケースも見られます。
そうした状況を防ぐためにも合意に達した部分など話し合いの内容を書類にまとめておく必要が出てくるのです。もしすでに合意に達していた内容を否定しようとする相続人が現れた場合にこの書類を提示することで対処することができます。
また、書類にすることで客観的な意味を持つのもこの遺産協議書の重要なポイントです。当事者同士の話し合いで合意に達した内容を部外者が後日確認するときにこの書類が判断材料となるからです。
いわば「遺産相続の合意を目指して話し合いを行いました」と証明するための書類といえるでしょう。それだけに作成の際には正式な書類としての体裁を整えておく必要があります。
遺産分割協議書が必要なケース
ではこの遺産分割協議書はどのようなケースで必要になるのか?もっとも多く見られるのが故人が遺言書を残さなかったケースです。遺言書があればその内容に基づいて相続対象者が決まり、遺産の分割が行われます。
その遺言書の正当性に対する疑問がなければトラブルが起こる余地はほとんどないといってもよいでしょう。しかし遺言書を残さず亡くなった場合にはどうしてもトラブルが発生しやすくなるのです。
とくに多いのが遺言書がないうえに遺産が比較的多く、さらに相続人の数も多いケースです。そうなると遺産を巡って遺族の間で争いが生じやすくなります。
では遺言書が作成されていればまったく必要ないのか?となるとじつはそうとは言い切れない面もあります。遺言では一部の遺産を特定の団体に寄付するなど特定の用途を指定するケースが見られます。
一方でそれ以外の遺産に関しては使い道を指定していない場合、その部分を巡って相続人の間で協議が必要なケースも出てくるのです。こうしたケースでは相続人たちが分割できる遺産の配分が少なくなるのでトラブルになりやすい面もあります。
そしてもうひとつ、遺産の処分・配分を故人が遺言書の形で明確に行っている場合であっても遺族の意思・都合で変更することも可能です。
これには相続人全員の合意が必要になるので珍しいケースともいえますが、それだけに合意に達するまでの経緯を客観的に記載できる遺産分割協議書は重要な意味を持ってきます。
不動産の相続登記をする場合
具体的に遺産分割協議書が必要になるケースでは故人が所有していた不動産の相続登記を行う場合が挙げられます。相続によって遺産となったその不動産の所有権が変更されるだけでなく、次に挙げる相続税の深刻・納付とも関わってくるだけに重要です。
また現代では相続遺産の大半が不動産で占められることが多く、誰がどのような形で相続するかを協議して決めることがとても大きな意味を持ちます。。
状況によっては不動産を分割相続するシチュエーションも考えられるだけにその分割の状況や内容を正式な書類の形で残しておくことは非常に重要になってくるわけです。
さらに故人が土地・不動産を複数所有していた場合、立地条件などによって価値に大きな差が出てくることもあります。
誰がどの土地を相続するのかを明確にしておくだけでなく、後になって「この土地を相続したわたしは貧乏くじを引いてしまった」といった異議申し立てが出てくるのを防ぐ意味もあります。
相続税の申告をする場合
遺産相続においてもっとも重要といってよいのが相続税の申告です。遺産分割協議書とは誰がどれだけ、どのような形で相続税を支払うのかについて合意に達した証拠という面も持ち合わせています。
相続税をすぐに現金で納付できる人はごく限られています。通常は相続した土地などを処分したうえで納付する形になるわけです。そのため多くの遺産を相続できた人ほど恵まれているとは必ずしもいえないことになります。
例えば親と同居していた子供が住んでいた家を相続し、別の相続人が他の財産を相続したとします。
その場合、子供は相続した家の価値を元に相続税を支払う必要があるため、最悪の場合その家を売却して納付のための税金を確保しなければならなくなるのです。
それに対して故人の預金を相続した場合にはそのうちから相続税分を納付する形になるのでこのような面倒なシチュエーションを避けることができます。
遺産分割協議では当然こうした問題も話し合いのテーマになります。単に価値の高い遺産を誰が相続するかではなく、相続税の支払い方法も視野に入れながら分割していくことになるのです。
そうなれば意見の食い違いなどが生じてトラブルが起こりやすくなるもの、話し合いを終えた後に相続税の申告の問題と直面して異議申し立てをするといったケースを防ぐためにも遺産分割協議書の存在が大きな意味を持ってくるわけです。
預金口座が多い場合
預金口座が多い場合の分割は不動産の分割に比べると問題が起こりにくい面がありますが、一方では簡単に移動させることができるだけ種類の形で合意内容をまとめておく必要が出てきます。
相続するなりすぐにお金を引き出す相続人が出てくることも多く、後日になって「もっと公平に分割するべきだ」といったトラブルが起こりやすいからです。
また誰が故人の預金口座を管理するかという問題も出てきます。そもそも故人の預金口座を扱ううえでも相続人たちの合意が必要なケースも出てくるからです。
相続人同士で合意に達しないばかりにいつまで経っても故人の口座から預金を動かすことができないといった問題が起こることもあります。そうなれば相続税の申告・納付にも大きな影響が出てくるでしょう。
相続人どうしのトラブルが予想される場合
これまで挙げてきた内容はすべて相続人同士のトラブルの原因として考えられるケースです。こうしたトラブルを防ぐために遺産分割協議書が必須になるわけです。
「言った/言わない」の水掛け論に発展したり、「分割の内容が不公平だ」と文句を言い出す人が現れたりといった典型的なトラブルを防ぐうえで遺産分割協議書はとても役立ちます。
遺産相続においてはもともと仲が良くなかった、または長年没交渉だった親族と顔を合わせて話し合いを行う必要が出てきます。これが協議の場で「何が起こるかわからない」状況を生み出す原因とも言えるでしょう。
中には親族間で「あの人は面倒なことを言い出しそうだ」と懸念している相続人がいるケースもあるでしょう。こうした「予測できるトラブル」をあらかじめ防ぐ意味でも遺産分割協議書をしっかり作成できるよう準備を整えておくことが求められるのです。
いちどトラブルが起こると次から次へと不満や異議申し立てが起こって収拾がつかなくなる恐れもあります。それを最初の段階から防ぎ、「一度合意に達したものを覆すことはできない」と相続人全員の間で確認する。
これも遺産分割協議書の重要な役割といえるでしょう。
遺産分割協議書が不要なケース
一方で遺産分割協議書が不要なケースもあります。分割する必要がない場合、または分割において話し合う余地がないが該当します。ただ分割する必要がない、話し合う余地がないケースにはさまざまなシチュエーションが存在します。
言い方は良くないかもしれませんが、遺産相続・分割においては異議申し立てをしようと思えばいくらでもできる面もあります。
先ほど挙げたように故人によって遺言書がしっかり作成されている場合であっても相続人の合意のもとで改めて分割協議を行うことができるほどです。
ですから遺産分割協議書が不要なケースはよほど円満に話し合いが進んだか、または親族同士の結びつきが強いか、相続する遺産がそれほど多くないかといったシチュエーションに限られる面があります。
とくに相続人の人間関係と経済状況が大きく関わってきます。故人の意思や遺言書の内容よりもそちらの方が遺産分割協議書の有無を決める要素になるといってよいかもしれません。
相続人が1人だけの場合
もっともわかりやすいのはそもそも分割する相続人がいないケース、つまり相続人が一人しかいないケースです。
核家族化、少子高齢化が進んでいる現代社会ではこうしたケースは決して少なくありません。親族が一人しかいないケースがもっとも多いですが、さまざまな事情で一部の親族が相続を放棄している場合も該当します。
また財産を相続できるケースならよいですが、故人が負債を残して亡くなった場合には相続人になる資格を持つ人たちがこぞって相続を放棄してしまい、結局一人しか残らなかったというケースも考えられます。
いずれにしろ相続する人が一人だけなら分割の余地もなければ話し合いの必要もなく、そのままスムーズに相続が行われるわけです。
遺言書のとおりに遺産分割する場合
先ほども触れたように相続人全員が合意すれば故人が遺言書を残していても分割協議を行うことができます。ただそれは遺言書の内容がよほど特定の相続人に有利など偏ったものになっているケースで、通常は遺言書のとおりに遺産分割が行われます。
ここでも話し合いのよちがないため弁護士など専門家の管理のもとでスムーズに遺産相続・分割が行われていくことになるわけです。
その意味では遺言書と遺産分割協議書との間には大きな影響を与え合う関係が成り立っているともいえます。
遺言書の内容が相続人全員にとって納得できる内容ならば遺産分割協議書が作られる余地はない一方、十分な内容ではない、または作成されなかった場合なら遺産分割協議書が必要になるケースが多くなるわけです。
一般的に遺言書は本人が自分の意思で遺産を分割するために作成する書類というイメージが強いですが、遺産分割協議書との関係を考えれば相続人に不満を抱かせずに円満に分割を行うための書類という面も持ち合わせていることになります。
遺産が現金・預金だけの場合
遺産が現金・預金だけの場合も遺産分割協議書が作成させずに相続が行われることがあります。現金の場合は分割がスムーズに進みやすいからです。
例えば故人が遺言書を残さず、法定相続分に基づいて分割されることに相続人がみな合意している場合には遺産分割協議書は必要なくなります。法定相続分の内容に基づいて預金・現金を分割していけばよいわけです。
これが不動産や有価証券などが含まれていると誰が、どの財産を、どのような形で相続するのかトラブルが生じやすくなります。先ほども触れたようにこうした遺産の場合、相続税の納付の際に不公平が生じてしまう可能性が出てくるからです。
遺産分割協議書を作成しないとどうなるの?
遺産分割協議書を作成しないと遺産を巡るさまざまなトラブルが発生する恐れが出てきます。以下のようなケースを想定できるでしょう。
- 相続人の間でいつまで経っても合意に達しない
- 一部の相続人同士が結託して有利な相続を目指す
- トラブルが長引いてしまい故人の預金口座を扱えなくなってしまう
遺産分割は相続人全員の合意が前提であり、遺産分割協議書はそこへ導くために役立つ種類です。作成しないとこの合意がないがしろにされた形でなし崩し的に相続・分割が行われてしまう恐れが出てきます。
例えばAさん、Bさん、Cさんの3人の相続人がいたとします。そのうち法定相続ではAさんがもっとも多くの遺産を相続できる環境にあり、それをねたんだBさんとCさんが結託して相続を自分たちに有利な形に進めていってしまうケースも出てくるのです。
ここに彼らに便乗した弁護士が加わればあっという間にAさんは不利な環境に陥り、そのまま遺産がどんどん分割処分されてしまうことになってしまいます。
遺産相続においては不公平がトラブルの原因になるケースが多いものですが、一部の相続人の結託によって意図的に不公平が生じる可能性も出てくるため、遺産分割協議書を作成しつつ、公平な話し合いと合意を目指していくことが大事になってきます。
誰かが勝手に遺産を処分
ほとんどの相続人にとってはまだ遺産分割の話し合いが解決していない状況下で相続人の一人が勝手に遺産を処分してしまう可能性もあります。例えば不動産の名義変更が可能な書類を確保した相続人がその不動産を自分のものにしたうえに売却してしまうなどです。
遺産のなかにはしっかりとした手続きのもとで相続が行われる必要があるものだけでなく、一部の相続人が自由に処分できてしまうものもあります。高額な貴金属や骨董品などはその代表格でしょう。
そもそも故人がどれだけの遺産を残したのか正確に確認する前にフライングのような形で処分してしまうケースも考えられます。故人が亡くなった後はできるだけ早い段階で遺族が集まり、遺産分割協議書を作成しながらの協議が必要になるのです。
遺産分割協議書を作成し、早い段階で遺産の内容を確認し目録などを作成しておけば万一相続人の一人が勝手に処分してしまった場合にもその責任を問うことができます。
この問題では故人と近い位置にいた相続人ほど勝手に処分できる可能性が出てくるため、離れて暮らしていた親族や遺言状で相続の対象になっている人ほど注意が必要になるでしょう。
相続トラブルが終わらない
協議がなかなか進まずトラブルがいつまで経っても解決しない。これが遺産分割協議書を作らずに遺産分割を進めていく際にもっとも起こりやすい問題でしょう。
これまでも何度か指摘してきたように、遺産分割協議書で「相続人の間でこの点について合意に達した」といった協議の内容を客観的な証拠として記録しておかないと前言撤回による話の蒸し返しなどが頻発しやすくなります。
せっかく合意に達したと思っていた遺産の処分について「わたしはそんな合意をした覚えはない」などと異議を申し立てくる、「わたしが相続する財産は価値が低い、どう考えても不公平だ」と意志を翻すといったケースはよくあるものです。
価値のある土地を相続できたのはよいものの、いざ相続税を支払う段階になると土地の売却などいろいろな面倒が付きまとうことに気づいた場合に「やっぱり現金の方がいい」と意見を変える。
またはある相続人が相続した骨董品や美術品が鑑定の結果思いのほか高値がついたため、ほかの相続人が文句を言い出す。こうしたケースもよくあるものです。
遺産分割協議書は一度合意に達した内容はよほどのことがない限り覆すことができないことを示す意味でも価値が大きいのです。
さらに一部の相続人が自分に有利な相続を実現するために虚偽の報告をしていた場合、後に発覚したときに遺産分割協議書が証拠として役立ちます。故人から預かっていた財産を過少申告して自分が相続しようと目論んでいた場合などです。
遺産分割協議書を作成していないとやはり「わたしはそんな嘘をついた覚えはない」などと居直られてトラブルや親族間の不信がますます深まってしまいかねません。
相続手続きができない
相続人の間で合意に達しないといつまで経っても相続手続きができなくなります。不動産や自動車の名義変更ひとつとっても「あれはわたしが相続する」「いや、わたしこそ相続されるに相応しい」と言い争っている間は手続きができないわけです。
これは相続トラブルが終わらない部分とも関わってきますが、肝心の相続手続きが進まないと当然相続人は遺産を受け継ぐことはできません。遺産が欲しくて言い争っているというのに、争い続けているといつまで経っても遺産を手にすることができないという皮肉な状況になります。
とにかく話し合いを続けて合意に達し、相続手続きをどんどん進めていく。これが遺産相続・分割の原則です。
故人の預金口座など遺族・相続人の合意がないと手を付けられないものも多いものです。いつまでも相続手続きができないと先ほど挙げたように一部の相続人が業を煮やして勝手に処分できる財産を処分してしまうリスクも出てくるでしょう。
相続税が高額になる
相続税は相続人が相続した財産の価値に基づいてそれぞれが申告・納付するものです。しかし相続が長引くといつまで経っても相続税の納付ができなくなってしまいます。
相続税に限らず税金には必ず申告期限があります。それを過ぎるとペナルティが発生し、納付が遅れれば遅れるほど相続税が高額になっていくのです。
相続税の申告書は10ヶ月以内に行わなければなりません。しかし一度遺産相続でもめてしまうとこの期間中に話を解決するのは非常に困難です。しかも遺産分割協議書を作成しておかないとズルズルと長引いてしまうことも多くなります。
最悪の場合、話し合いが一向に進まない間にどんどん相続税が膨れ上がってしまうことに…
なお、万一相続税の申告・納付期限までに遺産分割協議をうまくまとめることができなかった場合には未分割の形で申告する形になります。いずれにしろ定められた期限内に納付しないとペナルティが発生するので注意が必要です。
厄介なのは遺産が高額であればあるほどトラブルが発生しやすく、高額であればあるほど申告・納付が遅れたときに発生するペナルティも高額になってしまう点です。
遺産分割協議書を作成する場合は自分でやるべき?
このように遺産分割・相続の話し合いにおいては遺産分割協議書の作成は必須といえるわけですが、作成の際には自分たちだけで作成するケースと、弁護士など士業に依頼して作成するケースの2つの選択肢があります。
どちらが適しているのか?状況によって判断が異なってくるので難しい面もあります。証明書・契約書としてしっかり機能させるためにも専門家に依頼して作成した方が確実なのは事実です。
しかし専門家に依頼すると当然報酬が発生します。ですから自分たちで作成しても大丈夫な場合には節約の観点から見てもそちらの方が望ましいともいえるわけです。
自分で作成しても良いケース
自分たちで作成する場合、インターネット上からも入手できるフォーマット、ひな形を利用して作成するのが一番の近道です。
履歴書や職務経歴書などと同じようにネット上ではダウンロードやコピーできる形で遺産分割協議書の雛形を入手できるのでお金もかかりません。
ではどんなときにひな形を利用して自分たちで作成するべきなのか、また作成する際にはどういった点に注意すればよいのか、以下にまとめてみました。
- 相続人同士で深刻なトラブルが発生していない場合に適している
- 実印で押印するのを忘れない
- 不動産が含まれている場合には登記事項証明書(登記等簿本)に書かれている内容の通りに記述すること
相続人同士で深刻なトラブルが発生しておらず、あくまで「このような形で合意に達しました」と証明するために作成する場合に適しています。トラブル対策というよりも相続税をはじめとした相続対策や分割内容を確認するためのものともいえるでしょう。
専門家に依頼したほうがよいケース
専門家に依頼した方がよいのは相続のトラブルが発生している場合や、相続手続きが複雑になることが予想されるケースです。相続人が多い場合など、明らかに相続協議がとまどりそうな場合には最初から専門家に依頼した方が確実でしょう。
具体的にどのようなケースで専門家への依頼が適しているのでしょうか。
- 遺産を巡って意見が対立している
- 相続人が多く、関係も複雑になっている
- 遺産が多く、処分が大変
これまで繰り返し指摘してきたように、遺産分割協議書を作成しておかないと後になって合意の撤回や異議申し立てなどの問題が起こりやすくなります。
どのシチュエーションで合意に達したのか、誰がどの財産を引き継ぐことに合意したのか、万一裁判に進展してしまった場合に証拠として役立つレベルの書類を作成したい場合にはやはり専門家に依頼するのが確実です。
相続人が多いだけでなく関係が複雑な場合、遺族が多い、故人が再婚や養子縁組をしていた、遺言書で友人や団体なども相続の対象にしていた場合には話し合いが複雑になることが多く、遺産分割協議書の作成も大変になります。
しっかりまとめておかないと後日効力を発揮することが難しくなるのでやはり専門家に依頼した方がよいでしょう。
遺産が多く、不動産や有価証券の処分が大変な場合も分割・処分の経緯を正確に記載し記録に残せるよう専門家に作成したもらったほうがよいでしょう。
ではどの士業に依頼するとよいのか?遺産分割を巡るシチュエーションによって判断が異なる場合もあります。相続人同士でトラブルが発生している場合にはその仲介役も含めて弁護士に依頼するのがもっとも適しています。
それに対して書類としての作成が複雑で難しい場合には司法書士や行政書士といった種類作成のプロに依頼すると確実です。
相続税の申告・納付を巡るトラブルには税理士の力を借りるのもよいでしょう。
まとめ
遺産相続・分割において遺産分割協議書は必須というわけではありませんが、相続人が複数いる場合にはトラブルを防ぐ意味でも作成した方がよいでしょう。
その判断はこれまで挙げてきたように相続人の数や相続する財産の内容、遺言書の有無とその内容などによって決まります。
また早い段階で作成しておくことで後日のトラブルを防ぐ役に立つだけに誰の判断で、話し合いのどの段階から作成していくのかの判断もポイントになってくるでしょう。
相続人が多くなればなるほど合意に達するまでの道のりが長くなりがちなうえにトラブルが発生しやすくなります。
自分がトラブルに巻き込まれるだけでなく、他の相続人同士のトラブルが解決せずにズルズルと話し合いが長引いてしまうといった問題を防ぐ意味でも役立ちます。
もともと仲が良かった親族が遺産分割を巡って仲たがいするケースもあるものです。遺産分割協議書はそうした「しなくてもよいトラブルを避ける」上でも役立ちます。
「われわれにはトラブルは起こらないから大丈夫」ではなく、故人を悲しませるような事態を招くのを防ぐためにも遺産分割協議書の作成は検討するべきでしょう。
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