国際特許(PCT国際特許)出願の費用はいくら?費用の内訳や国内移行にかかる費用を解説

最終更新日:2024年05月17日
国際特許(PCT国際特許)出願の費用はいくら?費用の内訳や国内移行にかかる費用を解説
この記事で解決できるお悩み
  • PCT国際特許出願の費用はいくら?
  • PCT国際特許出願にかかる費用の内訳は?
  • PCTルートで特許出願を行う際の国内移行の費用は?

「PCT国際特許出願の費用相場がわからない...」とお悩みの担当者の方、必見です。

PCT国際特許出願にかかる費用相場は、50万円〜70万円です。PCT国際特許とは複数国への特許出願をまとめてスムーズにしたものを指します。

出願後、すぐに国際特許を取得できるわけではありません。国際特許取得までには日本国内の特許取得・各国の国内移行を行う必要があり、総額で200万円〜300万円かかるケースもあります。

本記事ではPCT国際特許出願の費用や内訳、国内移行にかかる費用を解説します。記事を読み終わった頃には、PCT国際特許出願の費用や方法を理解し、国際特許取得までスムーズに進められるでしょう。

特許出願の依頼にお困りではありませんか?

もしも今現在、

  • どの弁理士に依頼したらいいかわからない
  • 見積もり金額を安く抑えたい
  • 特許法や特許審査の手続きに関するサポートがほしい

上記のようなお困りがありましたら、比較ビズへお気軽にご相談ください。比較ビズでは、複数の弁理士に一括で見積もりができ、相場感や各弁理士の特色を把握したうえで業者を選定できます。見積もりしたからといって、必ずしも契約する必要はありません。まずはお気軽にご利用ください。

特許出願に対応できる業者を一覧から探す

PCT国際特許出願の費用は「50万円〜70万円」

輸送 海外

PCT国際特許出願の費用は、50万円〜70万円です。PCT国際特許出願にかかる手数料は合計で40万円程度となり、弁理士費用を含めると総額が50万円を超えます。

PCT国際特許出願は「PCT加盟国に特許出願をする」手続きです。1度の出願でPCT加盟国すべてに出願できます。特定の国に対してそれぞれ出願するわけではないため、日本語で作成しても問題はありません。

英語で提出する場合は、日本語で書かれた元の書類を英語に翻訳する費用が必要です。手数料は出願1件あたりの金額となっており、出願件数が増えるほど費用が増加します。

PCT国際特許出願の費用内訳

PCT国際特許出願にかかる費用の内訳は、以下のとおりです。

手数料の種類 要件 費用
国際出願手数料 明細書30枚まで(A) 217,700円
30枚を超える用紙1枚ごと(B) 2,500円
オンライン申請での減額
(A+Bの合計額から減額)
49,100円
送付手数料 国際出願1件ごと 17,000円
調査手数料 日本語1件ごと 143,000円
英語1件ごと 169,000円
予備審査手数料 日本語1件ごと 34,000円
英語1件ごと 69,000円
予備審査取扱手数料 国際出願1件ごと 32,700円
弁理士費用 弁理士報酬 10万円〜30万円

参照元:特許庁「国際出願関係手数料表」

出願手数料・送付手数料・調査手数料など、費用が細かくわかれています。「何にどれくらいかかるものなのか」を把握することで、スムーズに手続きを進められるでしょう。

国際出願手数料とは出願にかかる費用

国際特許出願手数料とは、特許出願に必要となる費用です。用紙枚数が30枚までは、手数料が217,700円と決められています。

用紙枚数が30枚を超える場合は、1枚あたり2,500円が追加されるシステムです。出願の手続きをオンラインで行う場合は、国際特許出願手数料から49,100円が減額されます。

送付手数料とは国際出願の送付にかかる費用

送付手数料とは、受理官庁による国際出願の処理や送付にかかる手数料です。国際出願1件につき、17,000円が必要になります。送付手数料は案件によって不要になるケースがあるため、必ずしも発生する費用ではありません。

調査手数料とは国際調査が必要な際にかかる費用

調査手数料とは、国際特許出願にあたり国際調査機関による国際調査が必要な場合にかかる費用です。費用は、国際特許調査機関によって異なります。日本国特許庁の場合は143,000円(英語の場合は169,000円)欧州特許庁の場合は297,100円です。

国際調査とは出願する発明の特許性に与える公知文献・技術文献を確認して特許性に関する見解書を作成する作業になります。原則として、すべての国際特許出願に対して行われます。

予備審査手数料とは出願前の予備審査費用

予備審査手数料とは、PCT出願前の予備的な審査を行うための費用です。出願の正式な審査を受ける前に、発明の特許権利や権利化に必要な要素を具体的に指摘してくれます。予備審査は任意で受ける審査となっており、PCT出願で必ずしも必要な審査ではありません。

日本の特許庁に支払いますが、予備審査手数料34,000円(英語の場合は69,000円)に加えて、予備審査取扱手数料32,700円が必要です。

弁理士費用とは特許出願を弁理士が代行した場合の費用

弁理士費用とは、PCT出願を弁理士が代行する場合に支払う報酬です。報酬の目安は10万円〜30万円となり、請求項数や弁理士事務所によって異なります。特許出願の代行ができるものは、弁理士のみです。

国際特許取得に「PCTルート」を利用する場合のポイント

国際特許取得に「PCTルート」を利用する場合のポイントは、以下のとおりです。

  • PCT国際特許出願だけでは特許取得は不可能
  • 日本の特許庁への出願が必須
  • 国際特許登録各国への「国内移行」手続きが必要

PCTルートとはPCT出願の流れを指し、複数のPCT加盟国への出願をひとまとめに行う方法です。国ごとに書類を作成する必要がないため、手間と時間を省けます。

PCT出願はあくまで特許出願の手続きであり、そのまま特許を取得できるわけではありません。特許を取得する際は、該当の国に対して国内移行の手続きが必要になります。

PCT国際特許出願だけでは特許取得は不可能

自作:PCTルート

PCT国際特許出願は、PCT加盟国に対して特許出願をひとまとめに行う方法ですが、各国の特許取得はできません。特許の登録手続きや登録にかかる費用は別途必要です。

PCTルートでは、原則として「優先日から数えて30カ月以内」の国内移行の期限が設けられています。「どこの国で特許を取得するのか」「戦略としてどこの国を狙えばいいのか」などを検討するための時間は充分に確保できるでしょう。

日本の特許庁への出願が必須

国際特許を取得する場合、基本的に日本の特許庁への出願が必須です。基本的なステップは、以下になります。

  1. 日本の特許庁への特許出願
  2. 日本の特許庁へのPCT国際特許出願
  3. 各国の国内移行

PCT国際特許出願の際に、国内移行の一環として日本の特許取得手続きも可能です。通常よりも手数料を抑えられるため、どの方法がいいか弁理士に相談するといいでしょう。

国際特許登録各国への「国内移行」手続きが必要

国際特許の登録は、各国への「国内移行」手続きで行います。国内移行の手続きを行わないと、特許取得ができません。

PCTルートを利用する場合は、必ず行う手続きとなるため注意しましょう。海外で国内移行を行う場合は、現地代理人費用・翻訳費用などが別途必要になります。

日本の特許庁への出願費用は「30万円〜50万円」

手数料の種類 費用
特許出願 14,000円
審査請求料 138,000円+(請求項数×4,000円)
弁理士費用 10万円〜30万円

日本の特許庁への出願費用は、30万円〜50万円です。特許出願に必要な印紙代「14,000円」と出願審査請求料「138,000円+請求項数×4,000円」が必要になります。弁理士に代行を依頼する場合は弁理士費用が必要になるため、最低でも30万円程度の費用が必要です。

PCTルートの「国内移行」の費用は対象国によって異なる

ビジネス_建物

PCTルートの「国内移行」の費用は、対象国によって異なります。現地代理人費用や翻訳費用・拒絶対応の費用が国によって異なるためです。拒絶対応の費用とは、特許申請が1度で通過しない可能性があり、拒絶された際にかかる費用を指します。

拒絶費用は国によって異なり、アメリカや欧州は特に高額です。国際特許の出願がうまくいったとしても拒絶される可能性は十分にあるため、拒絶対応の費用も頭に入れて計算しましょう。

明細書の量・特許の請求項数によっても費用が異なるため、数字はあくまでも参考程度にとどめてください。いずれの国も国内移行から特許取得までに1年6カ月〜3年かかります。

国内移行を行う国 費用
日本 30万円〜60万円
アメリカ 100万円〜130万円
EU(欧州) 180万円〜230万円
中国 80万円〜100万円

【日本】国内移行〜特許登録までの費用:30万円〜60万円

国内移行手数料(日本の特許庁) 14,000円
審査請求手数料(請求項をはじめとした条件で変動) 138,000円+(請求項数×4,000円)
弁理士の報酬 10万円〜30万円

日本の国内移行から特許登録までの費用は「30万円〜60万円」です。国内移行と同時に審査請求するため、合計費用は30万円程度になります。

特許庁からの拒絶通知に対する「拒絶対応」は、1回あたりの費用が15万円程度です。明細書を英語で提出している場合は、日本語への翻訳費用も必要になります。日本の国内移行から特許取得・登録までの費用総額は、30万円〜60万円と考えておきましょう。

PCT国際特許を出願した場合は「出願した日(優先日)から30カ月以内に国内移行する」必要があります。日本国内の特許の場合は「出願した日から3年以内」に審査請求するため、期限が異なる点に注意してください。

【アメリカ】国内移行〜特許登録までの費用:100万円〜130万円

現地代理人手数料および知的財産機関への手数料 17万円程度
日本の代理人報酬 10万円程度
翻訳費用 30万円程度
合計 55万円〜60万円

アメリカの国内移行から特許登録までの費用は「100万円〜130万円」です。国内移行に必要な費用は、現地代理人手数料や知的財産機関への手数料・翻訳費用などを含めて55万円〜60万円となります。

アメリカの拒絶対応の費用は、1回あたり20万円〜30万円です。アメリカでの国内移行から特許取得・登録までの費用総額は、100万円〜130万円と考えておきましょう。

人件費の高いアメリカでは、知的財産機関への手数料や拒絶対応の費用も高額になります。PCT国際特許出願時、もしくは国内移行時のどちらかで翻訳費用が必要になるため、弁理士に相談のうえ進めましょう。アメリカの優先日から国内移行への期限は30カ月です。

【EU(欧州)】国内移行〜特許登録までの費用:180万円〜230万円

現地代理人手数料および知的財産機関への手数料 60万円程度
日本の代理人報酬 10万円程度
翻訳費用 30万円程度
合計 100万円程度

EU(欧州)で国内移行から特許登録までの費用は「180万円〜230万円」となります。国内移行にかかる費用は、100万円程度です。

EUでは特許出願中であっても、3年目移行は毎年10万円程度の「出願を維持するための年金支払い」が必要になります。拒絶対応も、1回あたり20万円〜30万円と高額です。

EUは複数の国を含むため、どうしても費用が高額になります。EUでの国内移行から特許取得・登録までの費用総額は、180万円〜230万円を見込みましょう。EUは、優先日から国内移行への期限が31カ月あります。

【中国】国内移行〜特許登録までの費用:80万円〜100万円

現地代理人手数料および知的財産機関への手数料 20万円程度
日本の代理人報酬 10万円程度
翻訳費用 30万円程度
合計 60万円程度

中国で国内移行から特許登録までの費用は「80万円〜100万円」です。国内移行にかかる費用は60万円程度となります。拒絶対応の費用は1回あたり15万円〜20万円です。

中国での国内移行から特許取得・登録までの費用総額は、80万円〜100万円と考えておきましょう。優先日から国内移行への期限は30カ月が原則ですが、追加手数料を支払うことで32カ月まで延長できます。

PCTルート以外に「パリルート」がある

自作:パリルート

PCT国際特許出願は、PCTルートと呼ばれる流れで進めますが「パリルート」と呼ばれる国際特許出願の方法があります。パリ条約の優先権主張を根拠にしているため「パリルート」と名付けられました。

パリルートとは、パリ条約の加盟国間において、相手国の知的財産機関に直接特許出願できる仕組みです。特許出願した発明が他国よりも早ければ、特許の優先権を主張できる取り決めがあります。

PTCルートとパリルートの違い

PCTルートの特徴 ・加盟国の特許出願をまとめられる
・出願後に調査結果を確認できる
・国内移行まで出願の日から原則30カ月の猶予がある
・PCT非加盟国への特許出願はできない
パリルートの特徴 ・特許取得した国それぞれに出願が必要
・それぞれの国ごとに特許出願の内容を最適化できる
・優先権を主張できるのは出願日から1年以内
・PCT非加盟国であっても特許出願可能

PCTルートと比較した場合、パリルートは各国ごとに特許出願が必要となる点が大きく異なります。PCT加盟国以外の国にも出願できる点がメリットです。

出願をまとめてできないため、複数国の出願を行う場合は費用がかさみます。優先権を主張できる期間は出願日から1年以内となっており、PCTルートより期間が短い点はデメリットです。

スタートアップ企業や中小企業は「PTCルート」がおすすめ

青色

スタートアップ企業・中小企業・多数の国で特許を取得したい企業は、PCTルートがおすすめです。PCTルートは、特許出願日から「海外特許を取得すべきかどうか」を検討する1年間の猶予があり、国内移行までに30カ月あります。

猶予期間を利用することで、ビジネスの方向性・成長度合いを見極めながら海外進出の決断が可能です。資金面で厳しいスタートアップ企業や、中小企業でもチャレンジしやすくなります。

特許出願をまとめられるため、多数の国で特許を取得したい企業は手続き・費用を圧縮できる効果も期待できます。戦略的に資金を投入することで、投資が重なってしまうことも避けられるでしょう。

PTC加盟国以外で特許を取得する企業は「パリルート」がおすすめ

PTC加盟国以外の国で特許を取得したい企業は「パリルート」がおすすめです。パリルートは、限定した国で特許を取得でき、台湾のようにPCT加盟国以外の国でも特許を取得できます。

PCTルートに比べると、パリルートのほうが1カ国あたりの特許取得費用がやや割高です。PCT国際特許出願費用が50万円程度かかる点も留意しましょう。

特許を取得したい国が1〜2カ国の場合、トータル費用はパリルートのほうが抑えられる可能性があります。特許を取得したい国がPCTに加盟していない場合は、選択肢はパリルートのみです。

まとめ

PCT国際特許出願の費用は、50万円〜70万円です。PCT特許出願はPCT加盟国にまとめて出願できますが、国際特許を取得できるものではありません。国際特許の取得・登録には、それぞれの国で国内移行の手続きが必要です。

国際特許出願から取得までの費用は、日本で30万円〜60万円、アメリカで100万円〜130万円かかります。国際特許の取得にはPCTルート以外にもパリルートがありますが、スタートアップ企業・中小企業はPCTルートがおすすめです。

比較ビズでは、多数の弁理士事務所のなかから気になる弁理士を無料で比較できます。国際特許の取得を検討している方は、ぜひ比較ビズを利用してください。

比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

特許出願の依頼にお困りではありませんか?

もしも今現在、

  • どの弁理士に依頼したらいいかわからない
  • 見積もり金額を安く抑えたい
  • 特許法や特許審査の手続きに関するサポートがほしい

上記のようなお困りがありましたら、比較ビズへお気軽にご相談ください。比較ビズでは、複数の弁理士に一括で見積もりができ、相場感や各弁理士の特色を把握したうえで業者を選定できます。見積もりしたからといって、必ずしも契約する必要はありません。まずはお気軽にご利用ください。

特許出願に対応できる業者を一覧から探す

比較ビズでお仕事を受注したい方へ

資料請求はこちら