中小企業は電子帳簿保存法への対応が必要?対応方法をわかりやすく解説

最終更新日:2023年12月11日
中小企業は電子帳簿保存法への対応が必要?対応方法をわかりやすく解説
この記事で解決できるお悩み
  • 電子帳簿保存法とはそもそもどういうもの?
  • 中小企業は電子帳簿保存法に対応する必要があるの?
  • 中小企業の電子帳簿保存法に対応する方法は?

中小企業は2024年1月までに電子帳簿保存法への対応が必要です。電子帳簿保存法は、国税関係の書類・帳簿保存を、電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引による保存が義務化されたものです。

この記事では、電子帳簿保存法への対応を知りたい方向けに、電子帳簿保存法の区分や保存要件を解説します。記事を読み終わった頃には、国税関係の書類ごとに保存方法が理解できるでしょう。

「義務化される電子帳簿保存法とは何?」「重要ポイントを知ることで、スムーズに対応したい」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

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中小企業は2024年1月までに電子帳簿保存法への対応が必要

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電子帳簿保存法の対象となるのは、すべての個人事業主と企業です。中小企業でも、電子帳簿保存法に対応する必要があります。期限は2024年1月までと定められており、2024年1月からは、完全義務化として正式に執行されます。

現段階では猶予期間が残されている状態ですが、計画的に対応するのがおすすめです。

電子帳簿保存法の概要

電子帳簿保存法は、1998年に制定された法律でしたがほとんど普及せず、2022年の改正をきっかけに、2024年1月からは義務化されます。

国税関係の書類・帳簿を認められている保存法で保存することが義務化されます。認められている保存法は、電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引による保存の3つです。

書類ごとの保存法をはじめ、保存におけるルールは電子帳簿保存法で明確に定められており、義務化後はルールに従って保存しなくてはなりません。

電子帳簿保存法の3つの区分

電子帳簿保存法には以下の3つの区分があります。各区分によって保存法が異なるため、取り扱う書類やデータの種類に応じて、最適な保存方法を選択することが大切です。

  • 電子帳簿保存
  • スキャナ保存
  • 電子取引

義務付けられているのは、現段階で上記の電子取引のみとなり、他の区分は任意です。以下で詳しく解説します。

電子帳簿保存

電子帳簿等保存は、電子的に作成された書類を、データの状態で保管する方法です。自分が作成した書類が対象となり、取引先から受け取った書類は対象になりません。

具体的には自分が専用の会計ソフトを使用して作成した書類や、パソコンを使用して作成した誓約書・領収書控えなどが、電子帳簿等保存の対象です。自分で作成したという点がポイントになります。

スキャナ保存

スキャナ保存は、紙の形で受領または作成した書類を、スキャナで画像データにして保存する方法です。名前のとおり、スキャナを使う保存方法となるため、画像データに替えるという点がキーポイントになるでしょう。

スキャナ保存の対象となるのは、自分が作成した領収書や相手から受け取った書類などです。スキャナを使って画像データを保存できたら、原本は処分しても問題ありません。

電子取引

電子取引での保存は、請求書や領収書などをネット上でやり取りした場合、受領したデータをそのまま受け取る方法です。電子帳簿等保存・スキャナ保存とは違い、電子取引保存の場合はデータでの保存が義務付けられており、紙の状態で保管することはできません。

電子取引の対象となるのは、インターネット取引や電子メールでの取引で得たデータです。電子データで得た情報は、電子データの状態で保存します。EDIやクラウドなどでの取引も、電子取引の対象です。

電子帳簿保存法におけるデータの保存要件4つ

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電子帳簿保存法には、データ保存の要件が4つあります。電子取引を行ううえで大切なポイントになり、要件を4つすべて満たさないと、電子帳簿保存法の義務を果たしたことにはなりません。

  • システム概要に関する書類の備え付け
  • 見読可能装置の備え付け
  • 検索機能の確保
  • 真実性の担保

具体的な保存要件は上記4つです。以下では各保存要件を詳しく解説します。すべての条件を満たせるよう必ずチェックしましょう。

1. システム概要に関する書類の備え付け

1つめは、システム概要に関する書類の備え付けです。データ作成ソフトの概要や仕様が記載されている書類、操作マニュアルなどの書類を備え付けましょう。

備え付けた書類は、誰でも自由に閲覧できる状態にしなければなりません。使用しているシステムを変更した場合は、都度備え付けている書類も見直して、現在使用しているシステムに対して最適なものに変更しましょう。

2. 見読可能装置の備え付け

2つめは、見読可能装置の備え付けです。データを確認できる機器を用意しましょう。代表的な機器はパソコンのディスプレイやアプリなどです。

見読可能装置の備え付けは、保存要件として定められていませんが、多くの企業ですでに取り入れられています。導入していない場合は、義務化になるまでに用意しましょう。税務職員だけではなく、自社のスタッフがデータを確認するために必要です。

3. 検索機能の確保

3つめは、検索機能の確保です。各データに日付や企業名などの情報を入力しておくことで、データ情報をピックアップしやすくすることです。検索機能を使いこなしていくためには、大切なポイントといえるでしょう。

たくさんの電子データを管理していると、必要なデータを探し出すことが難しくなります。検索機能を確保しておくと、日付や企業名などの条件により、データを簡単に見つけられるでしょう。

4. 真実性の担保

4つめは、真実性の担保です。データが不正に削除・編集されたものではなく、正しいものが表示されていることを表します。真実性を証明するためには、下記のいずれかを行いましょう。

  • タイムスタンプが押されたデータを受け取る
  • データを受け取ったら速やかにタイムスタンプを押す
  • データの訂正・削除が記録されるシステムを使うか、訂正・削除ができないシステムを使う
  • 不当な訂正削除の防止に向けて、事務処理規程を運用する

電子帳簿保存法における対象書類の保存方法

電子帳簿保存法における対象書類の保存方法は、データを受領した状況に応じて異なります。以下の3項目に分け、くわしく解説します。

  1. 請求書
  2. 領収書
  3. 見積書・注文書

1. 請求書

請求書を電子データで受領した場合、以下の保存方法を選びましょう。

データを受領した状況 保存方法
メールにPDFが添付されていた PDFを保存
ホームページでPDFをダウンロードした PDFを保存
ホームページ上で請求書を画面表示した スクリーンショットで画像データを保存
EDIシステムを利用している ・システム上でデータを保存する
または
・ダウンロードをしてPDFを保存
FAXで受信した請求書をデータ管理したい スキャンしてPDF化したデータを保存

2. 領収書

領収書を電子データで受領した場合、以下の保存方法を選びましょう。

データを受領した状況 保存方法
メールにPDFが添付されていた PDFを保存
ホームページでPDFをダウンロードした PDFを保存
ホームページ上で領収書を画面表示した スクリーンショットで画像データを保存
EDIシステムを利用している ・システム上でデータを保存する
または
・ダウンロードをしてPDFを保存
クレジットカードの利用明細や交通ICカードなどを、ホームページでデータ確認している ・ファイルをダウンロード
または
・スクリーンショットで画像データを保存

3. 見積書・注文書

見積書・注文書などを電子データで受領した場合、以下の保存方法を選びましょう。

データを受領した状況 保存方法
メールにPDFが添付されていた PDFを保存
ホームページでPDFをダウンロードした PDFを保存
ホームページで見積書または注文書を画面表示した スクリーンショットで画像データを保存
EDIシステムを利用している ・システム上でデータを保存する
または
・ダウンロードをしてPDFを保存
FAXで受信した見積書または注文書をデータ管理したい スキャンしてPDF化したデータを保存

中小企業が電子帳簿保存法に対応する方法

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中小企業も電子帳簿保存法に従う必要があります。以下の対応方法を参考にして、2024年1月の義務化までに、適切に対処しましょう。

  1. 電子帳簿保存法の適用要件の確認
  2. 改正に対応したシステムの導入・アップデート
  3. 業務フローの最適化

1. 電子帳簿保存法の適用要件の確認

電子帳簿保存法の適用要件は、3つの区分があります。それぞれの要件を確認しましょう。

  • 電子帳簿等保存
  • スキャナ保存
  • 電子取引

なかでも電子取引は、電子データでの保存が義務付けられています。紙の状態で保存をすることは、2024年1月以降は行えないことに注意しましょう。保存対象となる書類を、各ケースごとに理解しておくことも重要です。

2. 改正に対応したシステムの導入・アップデート

電子帳簿保存法に対応していない場合は、新たなシステムを導入するか、アップデートを行う必要があります。システムを選ぶ際、電子帳簿保存法に対応しているか必ず確認しましょう。

タイムスタンプ付与の機能があるシステムを使う、修正や削除ができないシステムに変更するなど、現場の状況に応じて対応しましょう。

システムを見直したら、社内で共有することが大切です。社員がスムーズに使用できなければ、結果的に義務化に対応できなくなるおそれがあります。

3. 業務フローの最適化

各書類の業務フローを見直して、最適化を行いましょう。承認手続きやデータの受け渡しなどを、スムーズに行えるフローに変更することで、社員の負担を軽減できます。最適化により、電子データを適切に保存することが可能です。

業務フローは申請方法や承認方法はもちろん、経理のチェック項目まで細かく見直しましょう。最適化を行ったら、関係があるスタッフ全員に周知することも大切です。全員がフローを理解し行動することで、電子帳簿保存法に対応できるでしょう。

まとめ

この記事では、2024年1月から対応が義務化される電子帳簿保存法について解説しました。電子帳簿保存法により、国税関係の書類・帳簿保存を電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引により保存することが義務付けられました。

帳簿や種類に応じて適した保存法を用いることが大切です。電子取引を行ううえで満たさなければならない要件があるため、しっかり確認しましょう。

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比較ビズ編集部
執筆者

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