特定調停の流れをわかりやすく解説!期間は?民事調停や債務整理とどう違う?

こしだ司法書士事務所
監修者
こしだ司法書士事務所 司法書士 越田一希
最終更新日:2023年01月17日
特定調停の流れをわかりやすく解説!期間は?民事調停や債務整理とどう違う?
この記事で解決できるお悩み
  • 特定調停はどうやって手続きするの?
  • 特定調停はどれくらい期間がかかるの?
  • 特定調停と民事調停、任意整理はどう違うの?

特定調停は、簡易裁判所の仲裁のもとで返済の軽減を行う制度のことです。原則として全ての手続きを当事者本人が行う必要があるため、流れを理解しておくことが求められます。

この記事では、特定調停の流れや必要書類を解説します。特定調停にかかる期間や民事調停や債務整理との違いも紹介するので、特定調停を自分で行い借金を軽減させたい方は、ぜひ最後までお読みください。

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特定調停は返済ができなくなる恐れがある債務者対象の手続き

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特定調停とは、クレジットカードやローン、借入による多重債務で返済できないおそれがある方のための手続きです。債務の減額をしたうえで、債務者の経済的再生を図ります。

東京簡易裁判所による特定調停の定義は、以下のとおりです。

特定調停というのは,債務の返済ができなくなるおそれのある債務者(特定債務者)の経済的再生を図るため,特定債務者が負っている金銭債務に係る利害関係の調整を行うことを目的とする手続です。

引用:特定調停申立てQ&A:東京簡易裁判所

特定調停の最大のメリットは「自分でできること」

特定調停には、次のようなメリットがあります。

  • 専門家に依頼しなくても自分でできる
  • 費用が安く済む
  • 裁判所が仲介してくれる
  • 督促が止まる

特に「専門家に依頼しなくても自分でできること」が最大のメリットです。

特定調停の流れ

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特定調停の流れは、6段階あります。自分で特定調停を行う際は、以下の流れに沿って進めましょう。

  1. 特定調停の相談
  2. 特定調停申立書の作成
  3. 特定調停の申立て手続き
  4. 債権者への通知
  5. 調停期日当日
  6. 調停終了

1. 特定調停の相談

特定調停を利用したい場合は、簡易裁判所に行き特定調停について相談します。相談は近隣の簡易裁判所で構いません。

簡易裁判所では「特定調停を申し立てたい」ことを伝えます。申立書の書式や必要書類、費用などについても忘れずに確認しておきましょう。

2. 特定調停申立書の作成

特定調停を利用するために、「特定調停申立書」を作成します。申立書のひな形は、簡易裁判所もしくは裁判所のホームページに備えつけてあります。

申立書は、裁判所用の「正本」と債権者用「副本」の2通準備します。本人控えは発行されないので、自分で作成しておきましょう。

特定調停申立書には、次の書類を添付します。

  書類名 内容
債務者 財産明細書
関係権利者一覧表
住民票の写し
財産明細書=申立てを行う時点で有している財産を記載
関係権利者一覧表=債権者の一覧
債権者が企業の場合 登記事項証明書(履歴事項証明書)
代表者事項証明書(資格証明書)
契約書類
登記事項証明書・代表者事項証明書=法務局にて取得

3. 特定調停の申立て手続き

特定調停申立書の正本・副本と添付書類を簡易裁判所に提出し、特定調停の申立てを行います。手続きには、印鑑が必要です。特定調停の申立ては、債権者の本社や本支店を管轄する簡易裁判所で行います。

債権者が複数いて、管轄裁判所も複数ある場合、ひとつの簡易裁判所でまとめて調停をしてもらえることも。どの裁判所に申し立てるべきかわからない場合は、相談の際に先に聞いておきましょう。

申立書と同時に、手数料分の収入印紙と郵送用の切手の提出も必要です。手数料額と郵便切手の枚数は、債務額・裁判所により違います。相談のときに、印紙の必要額や切手の枚数も合わせて確認してください。

特定調停でかかる費用については、こちらの記事で詳しく解説しています。

4. 債権者への通知

申立てを受けると、裁判所は債権者に対し、特定調停が開始された旨の通知をし、契約書の写し・取引履歴・利息の計算書などの提出を求めます。特定調停の通知を受けた債権者は、以降債務者への取り立てができません。

5. 調停期日当日

調停を申立ててから裁判所に出向く日を「調停期日」と呼びます。特定調停の調停期日は2回。初回の調停期日を「事情聴取期日」、2回目の調停期日を「調整期日」と呼びます。

1回目:調査期日(事情聴取期日)

申立てから約1カ月後に、第1回目の調停期日である「調査期日(事情聴取期日)」が設定されます。調査期日に呼び出されるのは債務者のみで、債権者は呼び出されません。

調査期日には、現在の生活状況、収入や返済方法を債務者から調停委員に伝えます。

2回目:調整期日

「調整期日」は、第2回目の調停期日です。債権者も呼び出され、債権者と債務者、調停委員の三者で話し合いを行います。調停は、調停委員が間に入り債務者と債権者それぞれに話を聞く形。一方への聴取が行われている間、他方は別室待機となります。

債権者が貸金業者の場合、調停の場に来ることはほぼありません。調停委員が、電話で担当者に聞き取りを行うことがほとんどです。

調整期日で双方が合意に至れば、調停は終了です。合意に至らなかった場合は、引き続き調停が行われるか合意が取れないまま特定調停が終了するかのどちらかとなります。

6. 調停終了

調停期日の終了後は、調停の成立・不成立により変わります。

調停が成立した場合は、調停調書の作成により調停は終了。調停が不成立の場合は、そのまま終わるか裁判所による決定が出されます。

調停が成立した場合:調停調書の作成

債権者と債務者の話し合いがまとまった場合、裁判所が両者の話し合いの結果を調停調書にまとめます。調停証書の作成により、正式に調停終了。以降は、調停調書の内容に沿って返済を進めていきます。

調停証書は、確定判決と同等の効力があります。債権者は、調停証書に沿って返済を進める以上の督促を受けることはありません。一方、支払をしなかった場合は、裁判所からの支払い勧告や命令、強制執行となる場合があります。

成立しなかった場合:17条決定により返済条件決定

債務者と債権者との間で合意に至らなかった場合、民事調停法の17条に基づく「17条決定」が出される場合も。17条決定は、裁判官により決められた、話し合いに基づく返済条件です。

17条決定に対して双方異議がなければ、決定に従い返済が進みます。

特定調停に必要な期間は2カ月

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特定調停の通知が債権者に届いて以降の、債務者への催促は禁止です。

債務者としては、一日でも早く督促を停止し債務を減らしたいもの。ここからは、調停終了までの期間や特定調停の申立て手続きが完了する期間について解説します。

特定調停にかかる期間は早くて2カ月

特定調停の申立てから調停の成立には、通常2カ月程度かかります。2回の調停で結論が出ない場合、半年以上かかることもあります。

特定調整が長引く理由

特定調整が長引く理由として、管轄の裁判所が持つ事件数が多いことが挙げられます。

特定調停は、債権者の本支店や営業所の管轄簡易裁判所で行います。本店や営業所所在地の多くは、都市部や県庁所在地です。人口が多い地域であるほど事件が多いため、一事件の処理に時間がかかってしまうのです。

特定調停と民事調停や債務整理との違い

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債務を整理するときには、「特定調停」の他に「民事調停」「債務整理」「任意整理」と、似た言葉を使った制度が複数出てきます。言葉が似ているため、どの制度が自分に合っているのかわからなくなる場合もあるでしょう。

「特定調停」と特に混同されやすい言葉として「民事調停」「債務整理」をピックアップし、特定調停との違いを解説します。

民事調停との違いは「目的」

特定調停と民事調停の違いは、調停の目的です。民事調停は、民事の紛争を話し合いで解決する目的があります。民事調停でも債務の減額はできますが、債務者の生活の立て直しができないという問題点がありました。

一方で特定調停は「債務者の生活の立て直し」に特化した制度。民事調停でできなかった、債権者の生活の立て直しを図るための調停です。

特定調停も債務整理のひとつ

「債務整理」とは債務を減額する手段の総称で、特定調停も含まれます。一般的に債務整理とされるのは、次の4つです。

  • 自己破産
  • 個人再生
  • 任意整理
  • 特定調停

任意整理との違いは「裁判所を介しているか」

任意整理と特定調停は、どちらも直接債権者に交渉する制度です。任意整理では、債権者と債務者が直接交渉。特定調停は債権者と債務者の間に裁判所の調停委員が入り、調停委員が主導して話し合いが進む制度です。

任意整理の方法については、下の2記事で詳しく説明しています。

まとめ

特定調停のメリットは、債務を減らす手続きをすべて自分でできることです。メリットは、同時にデメリットともなります。自分で手続きする特定調停では、思うように債務が減らない点がデメリットとも言えるでしょう。

特定調停は、弁護士や司法書士といった専門家に依頼するより時間もかかります。早く債務を減らしたいときには、あまり向かない制度です。

自分で特定調停をするか専門家に債務整理を依頼するか迷った場合は、一度専門家への相談をおすすめします。弊社の「比較ビズ」には、専門家が多数登録。複数の専門家に一括で相談メールを送れるため、説明や訪問の手間が省けます。

ぜひ「比較ビズ」を使って専門家への相談を検討してみてください。

監修者のコメント
こしだ司法書士事務所
司法書士 越田一希

1984年京都市生まれ。不動産・相続・会社の「登記」に必要な手続きを代理する専門家であり、若手ならではのフットワークの軽さと様々な職業経験で培った対応力を持つ法務大臣認定司法書士。自身が法律知識ゼロで資格学習を開始した経験から法律の適用や用語の難しさを理解しており、平易でわかりやすい説明を心がけており評価を得ている。

簡易裁判所に申立てを行った後、債権者(貸主)に対して裁判所から通知が届き債務者(借主)への直接取立てが停止するのですが、その通知が債権者に届くまでの間は引き続き債権者からの直接取立ての行使が可能です。ですので、今すぐに債権者からの直接取立てを停止させたいといった場合には他の任意整理の手続きを取る必要があります。

また、特定調停による直接取引停止の制度は貸金業者にしか適用されませんので、個人債権者や売掛金債権者・一部銀行等からの取立は止まらない可能性もあります。

特定調停は、司法書士や弁護士といった任意整理の専門家に依頼することなくご自身で行うことも可能です。

しかし費用を安く抑えるために民事調停を選んだ結果、ご自身の望んだ成果を発生させられないといった事態も起こりえますので、申立を裁判所に行う際にはご自身の現在の状況であればどうなるかといった事も踏まえて事前にしっかりと確認しておいたほうがよいでしょう。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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